「move up」というイディオムがあります。皆さんはこの意味や使い方を知っていますか?
”move”そして”up”という馴染みのある単語を組み合わせたイディオムですが、英会話をするときに自然に使っている人はそれほど多くないかもしれません。
しかし、move upの意味そして使い方を知ると、ビジネスでもプライベートでも英語の表現力がグッと一歩前進します。
そこでこの記事では、move upを使えるようになるための解説をします。いったい、どんな風に使うのでしょう?!
- ”move”と”up”のイメージを掴もう
- 1. ビジネスのシーンで使うmove upの意味は?
- 昇進・昇任・昇格・出世などのmove upに代わる単語とは?
- 2. 「~を早める・前倒しする・繰り上げる」という意味のmove up
- 3. 「移動する」という意味のmove up
- 4. 「株価・為替などが上昇する」という意味のmove up
- moveを使った他のイディオムを紹介!
- まとめ
”move”と”up”のイメージを掴もう
まずは、moveとupそれぞれのイメージを掴んでおきましょう。moveの主な意味は、「動かす・移動させる・始動させる・引っ越す」などになります。元の位置から異なる場所へ人・モノが動くというイメージです。
upは、皆さんもご存知の通り、「上へ・上方へ・上昇する」というものから、「元気・幸せ」「北へ」「進行中で」という意味もある単語です。
この2つの単語が組み合わされたmove upは、今の立ち位置から地位が上がったり、日にち・時間を早めるといった使い方になるのです。なんだか、日常英会話に使えそうな感じがしてきましたね。
さっそく、具体的にみていきましょう!
1. ビジネスのシーンで使うmove upの意味は?
年に1回または2回、昇進や昇格が公表される時期があります。すると、こんなささやきが日常英会話で聞かれたりします。「○さん、いよいよ部長に昇格するんじゃない?」
「○○課長がした今回のミスは大きい。出世は程遠くなったね」
「今年は昇進したいもんだなぁ」
企業で働くうえで、”出世の階段を上る”といった表現があるように、会社員にとって気になる出世レース。こんな風に社内の地位について噂をしたり、同僚と話をすることがありませんか?こういったときに使える表現が「move up」(動詞)です!
ビジネスシーンで使うmove upですが、以下の意味があります。
・昇進する
マーケティングマネージャーに昇進するといった感じで、職務上の地位が上がり、現在のものより上になることを意味します。
・昇任する
上級の役職や地位に上がる意味です。本部長に昇任するといったように使います。
・昇格する
階級や格式などが上がることを意味し、人だけでなく、営業所が支店に昇格したというようにも使われます。
・出世する
役職など地位が上がり、社会的に高い身分になることを意味します。常務取締役に出世した父、といった感じで使います。
次に、その使い方を例文とともに紹介しましょう。
<例文紹介>昇進・昇任・昇格・出世などで使うmove up
それでは、昇進・昇任・昇格・出世など、ビジネスのシーンでのmove upの使い方を例文でみていきます。
I try to work hard as a manager in order to move up to a director.
- 部長に昇進するため、マネージャーとして頑張って働いてます。
Her parents were so surprised to know their daughter had moved up so fast.
- 娘が早く昇進したと知って、彼女の両親はとても驚きました。
My boss told me today that he moved me up to a sales manager.
- 私のことをセールスマネジャーに昇進させたと今日、上司から聞きました。
He is anxious to move up the promotion ladder.
- 彼は出世の階段を上っていくことを切望しているんです。
※anxiousは「心配して・気がかりで」という他に、「是非とも~したいと思って」という意味を持っています。
昇進・昇任・昇格・出世などのmove upに代わる単語とは?
今までmove upというフレーズを使ってこなかった場合、昇進・昇任・昇格・出世などは他の単語で表現していたはずですね。代わる単語をみてみると、move upの意味をさらに理解することができるでしょう。
get promoted to
promotion(昇進・昇格・昇給)という名詞、promote(昇進させる・進級させる)という動詞があります。get promoted toで、to以下に昇進したという意味になります。climb the career ladder
ladderは「はしご・踏み台」という意味の単語です。キャリアのはしごを上っていくということで、昇進する・出世するという意味があります。advance
前へ進める・促進する・前倒しする・先送りするなど、様々な意味を持つadvance。(人)を昇進させるという意味も持っています。
それでは、ここからは昇進・昇任・昇格・出世以外のmove upの使い方を紹介しましょう。
2. 「~を早める・前倒しする・繰り上げる」という意味のmove up
皆さんも生活のなかで、日程や時間の調整をしたいことはよくあるのではないでしょうか?私も時々、急に入る息子の担任やヘッドティーチャーからのメールで学校の予定と他の用事の調整をすることがあります。このようなシーンで、予定を早めたり前倒ししたいときに使えるのがmove upです。
例えば会議など、予定していたプランを前倒ししなければいけなかったり、誰かに会おうと言われたときに自分の都合に合わせて時間をズラして欲しいときなどにもmove upが使えます。
<例文紹介>
それでは、予定を「~を早める・前倒しする」ときにmove upをどう使うのか、例文で解説します。
- 予約を午後でなく午前に前倒しすることを頼まなければいけないわ。
Can we move up the date of our meeting from 12th to 10th please?
- 会う日を12日から10日に早めてもらっていい?
My boyfriend told me to move up the day of our date from the day after tomorrow to tomorrow due to his business trip to Fukuoka.
- 彼が福岡への出張のためと言って、デートを明後日から明日に変えたいと言った。
My friend asked me to meet up at 4pm, but I wanted to move it up to 3pm as I have another meeting at 4pm.
- 友達が4時に会えるか聞いてきたけれど、4時から他の用事があるので3時に早めたかったんです。
どの例文も、午後→午前、12日→10日、明後日→明日、そして4時→3時と予定を前倒ししていることが分かりますね。
英語のレッスンを取っている人なら、外せない用事が急にできて、レッスンを先に取ってしまおうなどということはあるのではないでしょうか?そんなとき、オンライン英会話であればフレキシブルに時間設定ができますね!
3. 「移動する」という意味のmove up
さて、moveとupという単語が組み合わされてできたmove upの一番分かりやすい使い方が「上のほうへ移動する」「前のほうへ移動する」ではないでしょうか?具体的に例文でみていきましょう。<例文紹介>
上のほうへ移動するとともに、upの持つ「北へ」という意味でもmove upが使われます。地図を見れば北はいつでも上に位置していますので理解しやすいですね。
- 前のほうへ移動しよう。
My family had to move up north due to my father’s business.
- 父のビジネスのため、私の家族は北へ行かなければなりませんでした。
4. 「株価・為替などが上昇する」という意味のmove up
何かが元の位置よりも上がる・上昇するという意味で、株価の上がり下がりのうち上昇のときにmove upを使うことができます。株の売買や外貨貯金をしている人、興味を持っている人は覚えておきたい表現となります。ちなみに、move up以外で株価の上昇を表現する場合は、increase, rise, go upなどがあります。
<例文紹介>
ここで「株価・為替などが上昇する」の例文をご紹介しましょう。
- 本日午後、ユーロに対して円が上昇した。
The latest news shows that the British Pound moved up.
- 最新のニュースは英国ポンドが上昇した動きを示している。
ここまで、move upの使い方や例文をご紹介しました。イディオムのなかでも特に生活で使えそうな印象があったのではないでしょうか?
せっかくですので、最後にmoveを使った他のイディオムもご紹介します。move upと合わせて、いくつか覚えられるものを見つけましょう!
ここで少し余談!
下記記事では、「must」と「have to」の違いについて詳しく解説しています!ニュアンスが似ていて間違いやすい表現なので、間違えて使わないように下記記事で一緒に学んでいきましょう♪♪
moveを使った他のイディオムを紹介!
日常英会話でよく使われるイディオム。語彙力や文法力があっても、イディオムを知っているのと知らないのとでは、理解力が違ってきます。口語表現のアップにも、受験対策の一環としてもイディオムの強化はおすすめです。では、moveを使ったイディオムのリストをご紹介しましょう。
on the move
「進行中の・発展中の・多忙で・転々と移動して」まさしく今現在起こっていることを表わしたり、忙しく動き回っている状態を表現します。
The project is on the move.
(そのプロジェクトは進行中です。)
move forward
「前進する・させる」「これから~」「近い将来に~」in the near futureに代わる近い将来を表わすときの表現でもあります。
The negotiations moved forward.
(交渉は前進した。)
move ahead
「進める・実行する」move forwardが既に方向が決まっていることを進めるという取り方に比べ、move aheadはその延長線上とは限らない計画なども含めてするか・しないかを言い表すときに使うイディオムです。
No thank you. But please move ahead if you want.
(結構です。だけど、あなたが望むなら実行してください。)
move away
「場所・地位などから離れる」fromと続け、from以降のものから離れることを表わします。
She moved away from the crowd.
(彼女は群衆から離れた。)
make a move
「(~の方向に)移動する・動く」「行動を起こす」直訳すると”動きを作る”となる通り、何かの動きを表わすイディオムです。
Let’s make a move!
(行動を起こそう!)
move in
「引っ越す・入居する」「同棲する」「接近する」引っ越すというときにmovingと言いますが、move inは”in”を使うところから入る→入居するという意味になります。
I’m so looking forward to moving into the new house.
(新居に入居するのがとっても楽しみです。)
move out
「転居する」「移動する」「立ち退く」「商売から手を引く」入居するというmove inに対し、転居する=その場所から出ていくことを表わします。
I’ll move out from this flat next week.
(来週、このフラットからでていきます。)
moveを使うイディオムは、やはり”動くこと”に関するイメージのものが多いということが分かりましたね!
ここでまた少し余談!
下記記事では、「for good」という英語の意味について説明しています!日常生活の中に取り入れていけるように正しい使い方を一緒に学んでいきましょう♪♪
まとめ
move upは、昇進・昇任・昇格・出世だったり、予定を前倒しするとき、上・前へ移動する、そして株価・為替などが上昇するといった生活のなかで使えるイディオムということが分かりました。外国人との英会話でmove upがでてきたとしても、moveとupという単語の意味から割と想像しやすいイディオムであるかもしれません。
今回しっかりと使い方を理解し、すっきりしましたね。
すっきりしたところで、まずは、日にちや時間の前倒しをしたいときなどで意識して使ってみてはいかがでしょう。
私も出世こそありませんが(笑)、剣道のお稽古時間や友達とのランチなどの予定変更があるときにmove upをどんどん使おうと思います!

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。