夏の風物詩である花火は、いざ外国人に説明しようと思っても案外難しかったりします。
大きくてドカンと空に打ちあがる花火なら海外でも新年のカウントダウンでよく見られますが、日本の花火文化の中にある線香花火やねずみ花火は英語でどう説明するのでしょうか。
ここでは、日本の花火についての英語の表現について紹介していきます。
「花火」は英語で何と言う?
単に「花火」という単語だけだと、皆さんも中学生くらいの時に習っているはずです。答えは”firework“、ですね。
直訳すると「火の作品」となり、この単語を知らなかったとしてもなんとなく花火へ結びつくような合成語になっています。
それでは、英会話でも使える花火についての表現について、もう少し掘り下げてみましょう。
「花火をする」は英語で何と言う?
花火は英単語として知っていても、意外と知らないのが「花火をする」という動詞も含めた表現です。これは”set off fireworks”と言います。
ちなみに、納涼花火の概念はヨーロッパにはないと言われています。
大きな打ち上げ花火が上がることがメインであり、自分たちで小さな花火をすることはあまりないのだとか。
そうすると、この「花火をする」というフレーズを使いたいのであれば、夏の日本文化についての説明も加えておく必要があります。
イギリスなど、緯度の高いところでは暗い時期が長い冬に花火を上げることも多く、花火=夏とは限りません。
ガイ・フォークス・デイという各地で花火を打ち上げるイベントは11月ですし、新年のカウントダウンで盛大に夜空を彩るのも冬ですね。
この辺りの文化の違いは先に知っておいた方が誤解が少なくて済みます。
「線香花火」は英語で何と言う?
海外で日常会話をしていれば、日本文化を説明する機会もたくさんあります。
花火を一つとっても、線香花火は海外にないものなので丁寧に言わないと伝わりません。
「線香花火」は英語で”sparklers”と表現します。日本の花火なので、”Japanese sparklers”とも言います。
“sparkle”は「キラキラする」、「小さく点滅する」などの意味がありますから、確かに線香花火の様子を表していると言えますね。
しかし、これだけではまだ外国人に線香花火をイメージしてもらいにくいでしょう。
では、ここで線香花火を英語で説明するフレーズを見てみましょう。
“Sparklers are traditional small fireworks in Japan. We call them ‘senko-hanabi’.”
Sparklersは日本の伝統的な小さい花火で、日本人は「線香花火」と呼びます。
これで、日本語で”sparkler”を線香花火と呼ぶことが伝わりましたし、小さい花火であること、伝統的なものであることを凝縮できました。
ちなみに、線香花火は江戸時代に作られたそうです。
これらの歴史についても説明を加えると、より高度な英文が完成します。
「ねずみ花火」は英語で何と言う?
それでは、もう一つ日本の花火文化である「ねずみ花火」を英語で説明してみましょう。
"Catherine wheel"または"pinwheel"と言われるのが一般的です。
どちらにも”wheel”という単語が含まれていますが、これはねずみ花火は回転花火の一種だからです。
「回転するもの」という意味合いが含まれているためこれで大まかに伝わります。
"Catherine"と人名が入っていることに疑問を感じた人も多いかと思いますが、これは逸話が元になっています。
"Catherine"とは、4世紀にいたと言われるキリスト教の聖女、カタリナのことです。
彼女は車輪を使った刑を執行されそうになったのですが、車輪に触れるとそれが壊れたとされています。
この逸話を知っていると、なぜ「ねずみ花火」を表現するのに"Catherine"が出てくるか納得できますね。
もう一方の言い回しの"pinwheel"は、おもちゃの風車を意味しています。
これがねずみ花火と似ているので一つの説明方法として使えるのです。
それでは、より具体的にねずみ花火を説明する英文を作ってみましょう。
“‘Nezumi-hanabi’ are round, flat fireworks that spin around while shooting out sparks. ‘Nezumi’ means ‘mouse’ so the fireworks move like a mouse.”
「ねずみ花火」は火花を出しながら回転する平たく丸い回転花火です。「ねずみ」とはmouseのことで、この花火はねずみのように動きます。
「打ち上げ花火」は英語で何と言う?
打ち上げ花火は海外でも日本でも花火の中ではメジャーとなりますから、「打ち上げ花火」を”fireworks”と言っても伝わります。
けれど、より打ち上げることを強調したいのであれば” a skyrocket”と表現することもできます。
他にも
“shooting-up of fireworks”
”aerial fireworks”
というフレーズも使えます。
空へのロケットと言えばまさに打ち上げている光景が目に浮かびますし、シューティング、そして上を表"up“があればこれも想像が容易です。
”aerial”は「空中の」という意味ですから、間違っても線香花火やねずみ花火を想像することはないでしょう。
例文として使うなら以下のようになります。
“shooting-up of fireworks is prohibited in some areas of this river.”
「打ち上げ花火はこの川のいくつかの場所では禁止されています。」
“Aerial fireworks are a feature of summer in Japan.”
「打ち上げ花火は日本の夏の風物詩です。」
もし英会話レッスンなどで夏の話題が出てきたら、是非花火の種類を説明して言い回しを練習してみてください。
ここで少し余談!
皆さん「梅雨」は英語でなんと言うかご存知ですか?下記記事でご紹介しています♪♪ぜひご覧ください!
日本の花火と海外の花火の違い
それでは、ここからは日本の花火と海外の花火の違いについて解説していきます。
これを知っていれば、少なくともこちら側からは文化の違いによって誤解が生じることはありませんので、たとえまだ英語がペラペラでなくても知識で補えることになります。
先ほど少しだけご紹介した内容がまた入りますが、より詳しいところまで見ていきましょう。
海外は花火そのものよりイベント重視
日本で花火を見る時、皆さんはきっと花火を見ることをメインの一つとするでしょう。
もちろん、屋台が出ていたりもするのでそれを楽しみにすることもできますが、花火大会の主役は花火ではないでしょうか。
だから花火師の腕も磨かれ、どんどんキレイな花火に進化していっています。
日本の花火が海外より素晴らしいと言われる由縁は、あくまで主役が花火だからなのです。
対して海外では、花火が打ちあがるとそれを見るというよりは、イベントの方を重視します。
新年のカウントダウンが良い例ですね。
新年を迎えるということがメインであり、花火は言ってみればそれを彩る盛り上げ役なのです。
そのため、日本ほど花火の色や形にこだわりを持ちません。
花火大会があるのではなくて、イベントに花火がくっついてくるという感覚です。
海外の様々な花火文化
中には面白い文化を持つ国もあり、スペインやイタリアでは花火の「音」を楽しみます。
もし音が小さいとブーイングが起こるとか。
もっと盛大に鳴らしてほしいという気持ちの表れなのでしょうね。
ギリシャでは、花火をまるで矢のように町中で飛ばし合うちょっと危ないお祭りもあります。
その光景はまるで戦争でも起こったかのよう。
金色の線が街中に飛び交い、建物に当たって落ちます。
もちろん人に当たることもあるのでなかなか刺激的な花火になりますね。
このように、海外によって花火の印象はかなり違います。
花火そのものは海外にもあるため名詞のイメージを共有することはできますが、そのシチュエーションは知識がないと共有できません。
日本では納涼のために線香花火を静かに楽しむイメージがあるのに、ギリシャでは花火を街中で撃ち合うお祭りがあるので、「花火ってセンチメンタルでいいよね」と言うと変な顔をされるかもしれません。
花火が円形なのは日本だけ?
今でこそ海外でも円形の花火が見られるようになりましたが、実は昔はそうではありませんでした。
貴族が楽しむためのものとして広まったため、花火を見るための建物の正面からキレイに見えればそれで良かったのです。
これだと一つの方向だけを意識すれば良いので円形にしてどこから見てもキレイに見えるよう調整する必要はありません。
一方、日本では打ち上げ花火が庶民のものとして広まりました。
「景気払いのためにドカンと皆で楽しめるものを打とう」という意識だったため、あらゆる場所にいる庶民が全員楽しめるように円形になっていきました。
貴族の楽しみだったのか、庶民の楽しみだったのか、ひと昔前の歴史を見てみるだけでも花火の性質が異なってくることがわかりますね。
日本の花火文化の歴史を知っておこう
花火に限らず、日本独自のものを外国人に説明する時に困ったことはありませんか?
あまりにも日常にありすぎてその歴史を知らなかったり、説明しようとすると日本文化に疎いことがよくわかったり。
そうなってしまうとなかなか会話が盛り上がらないので、英語で説明できるようにするためには日本の文化を学んでおく必要もあります。
特に日本に興味のある外国人は、日本人なら日本のことを知っていて当然というスタンスで聞いてくるため答えられないと少し恥ずかしいです。
本格的な始まりは江戸時代
日本の花火文化は、火薬を使って戦争をしていた時代が終わりを告げてからになります。
平和が訪れて火薬が争いごと以外で使われるようになったと知ればなんだか感慨深くありませんか?
最初はねずみ花火などがメインでしたが、そのうち打ち上げ花火も行われるようになりました。
ところが、当時はまだ安全のための技術が今ほど高くなかったため、打ち上げ事故が起こり禁止令が出されてしまったそうです。
今花火が安全に見られるのは、こうした安全に対する技術がどんどん進化していったからなのですね。
このように、簡単に日本の花火の歴史を知っておけば外国人に伝えやすいですよ。
ここでまた少し余談!
最近は生活の中に欠かせない「インスタグラム」。ちなみに皆さん「インスタ映え」って英語でなんというかご存知ですか??下記記事でご紹介しているのでぜひ参考にしてみて下さい♪♪
まとめ
英語で伝えようとすると意外と難しい線香花火やねずみ花火でしたが、これで英会話で使えるようになったでしょうか。
あとは実際に使ってみて実践あるのみですね!
日本と海外の花火文化の違いも意識しておくと説明がしやすいですし、相手が説明してくれる花火を理解する際に多少リスニングができなくたって知識が助けとなってくれます。
・線香花火
・ねずみ花火
・打ち上げ花火
これらの言い回しがわかっただけでも夏の話題には困らないでしょう。

◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇留学経験
イングランドのオックスフォードのOxford English Centreに3週間の語学留学と、スコットランドのエディンバラのUniversity of Edinburghに1年間の交換留学をしていました。
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。