中国語は漢字で作られた言語です。
日本語には、カタカナ、ひらがな、漢字というように漢字だけで成り立つ言語ではありません。
しかし中国語は漢字だけなので日本人から見たら意味が少し分かるかもしれませんが、漢字のみで圧倒される人もおられるかもしれません。
そもそも漢字は中国から伝わってきました。漢字の成り立ちなどを子どものときに学ばれたことがあるでしょうか?
漢字は歴史が古いので、興味で漢字の歴史を学ばれた方もいらっしゃるかもしれません。
でも好きならともかく、中国語を学ぶ学習者の中には中国語の字体に慣れるのに苦労しておられる方もいます。
ではどのようにすれば中国語の字体への理解を深めることができるのでしょうか?
まず漢字の文化そのものを知ることで漢字を広く理解することが助けになるはずです。
これから漢字について概観して理解をさらに広げてみましょう。
- 世界で使われている漢字
- 中国語の字体表記は?2種類の字体
- 繁体字圏の国々
- 日本語の文字との関係は?
- 文章で見る繁体字フォントと簡体字フォント
- 翻訳者はどんな方法で翻訳文(中国語の文章)を作成するのか?
- いったい中国語の字体に慣れるにはどうしたらいいのか?
- まとめ
世界で使われている漢字
世界ではどれくらいの国が漢字を使っているのでしょうか?
漢字を使っている地域を漢字文化圏と言います。なんと漢字文化圏の国は中国、香港、台湾、日本だけではないのです。
シンガポールやマレーシアも漢字を使っています。
なぜなら中国からたくさんの人が移り住んできたため、漢字を使用する人が増えたからです。
それでも韓国は以前漢字を使用していましたが、今ではほとんど使用をやめています。
加えて、北朝鮮やベトナムは漢字を昔使っていましたが、使わなくなりました。
こうしてみるとまだ日本には漢字がしっかりと根づいているので、日本は漢字文化圏だと断言できるでしょう。
中国語の字体表記は?2種類の字体
中国は戦後、漢字の字体を変える動きが出てきました。
昔の字体は複雑だったので、簡略化された字体へと変えていったのです。
そのため、昔の字体を繁体字、簡略化した字体を簡体字と呼ぶようになりました。
文字改革で簡略化された漢字が簡体字
簡略化された簡体字はいつ頃から使用されてきたのでしょうか?
その字体は1949年の「当用漢字字体表」で定められ、その後使用されてきました。
それで簡体字そのものは70年ほどの歴史があるといえそうです。
中国本土で使われている簡体字と文字改革の歴史
70年くらいの歴史のある簡体字ですから、漢字そのものの起源と比べるとかなり新しい字体といえます。
それでも中国だけでなくシンガポールやマレーシアでも使われている漢字なのです。
中国本土では特に簡体字が使用されています。
中国を旅行された方なら見られたことがあると思いますが、看板やメニュー表、説明書から契約書、様々な文字はすべて簡体字です。
もちろん繁体字を使うときもありますが限定的に使われています。
それは書道や芸術、教育や研究のために必要な場合に限られています。
ここまでしっかりと浸透しているのは漢字の改革が行われた歴史と関係があるようです。
1949年に中華人民共和国が建国され、1951年には毛沢東が文字改革を始めました。
それから「中国文字改革研究委員会」が設立されて、1956年には「漢字簡化方案」が公布されることで、様々な簡体字が採用されていったのです。
こうした歴史を見ると中国政府の強い後押しが漢字改革にあったと言えるでしょう
繁体字圏の国々
では繁体字はどうでしょうか?
この繁体字は簡体字より複雑な字体です。この自体は台湾や香港、マカオで使われています。
こうした場所では中国で呼ばれている繁体字という名称ではなく、正体字という名称で呼ばれることがあります。
というのは古くから伝わる正統な文字であるというのがその理由の一つです。
繁体字を使う文化の地域では簡体字を見て理解できる割合が少なく、台湾では約半分しか簡体字を読めず、全部読める人は14%だったという調査もあるほどです。
台湾や香港で使う繁体字(繁體字)
台湾と香港の漢字の字体は繁体字なのですが、両者は全く同じなのでしょうか?
そうではないようです。
もちろん広東語を話す香港と台湾の中国語はかなりの違いがあり、字体はそれほどまではないにしても若干の相違があります。
例えば、香港では、著と着を分けて使います。
しかし台湾では一般に著として書きます。
このように書き分けないといけない漢字がある一方で、書き分けないで統一している漢字もあるというのがその現状なのです。
日本語の文字との関係は?
中国で書き分けられている簡体字と繁体字ですが、日本にはあまり馴染みのない関係かもしれません。
これは明治から使われてきた字体(旧字体)と当用漢字以後の比較的新しい字体(新字体)との関係と似ていると言われています。
でもこの新字体は第二次世界大戦後に文字改革によって書き表された漢字なので、今の私たちのほとんどは旧字体との区別を考えないかもしれません。
文章で見る繁体字フォントと簡体字フォント
繁体字と簡体字にはどのくらいの漢字の違いがあるのでしょうか?
簡単に言えば画数の多い字体が繁体字といえます。
これを単語や例文で紹介してみます。
台灣、中國、韓國(繁体字・繁體字)
台湾、中国、韩国(簡体字)
国名ですが、画数が全然違うと思いませんか?
文章はどうでしょうか?(私は図書館に行って本を読む)では
我去图书馆看书(簡体字)
我去圖書館看書(繁体字・繁體字)
かなり簡略化された漢字がありますね。
画数の違いがおわかりいただけたでしょうか?
ここで少し余談!
もうそれなりに中国語を勉強されている!という方、そこからさらに一段階上のレベルに行きましょう!下記記事で中国語中級者以上の方におすすめの勉強法をご紹介しています!ぜひ参考にしてみて下さい♪♪
翻訳者はどんな方法で翻訳文(中国語の文章)を作成するのか?
私は翻訳者としても仕事をすることがあります。お客様からの要望は様々で、中には中国語(繁体字)を日本語に翻訳してほしいという要望や、日本語を中国語(繁体字)に翻訳してほしいという依頼もあります。
または、日本語を中国語(簡体字と繁体字の両方)に訳してほしいとの依頼もあります。
二つの字体に訳す場合、どのように翻訳したら早く終わらせることができるのでしょうか?
わざわざ簡体字を訳し終えた後、繁体字を手入力で打ち込む必要はありません。様々なアプリから簡体字を変換することができます。
その方法をご紹介します。
グーグル翻訳
このアプリは、日本語や他の言語を別の言語に翻訳するのに役立ちます。
英語に翻訳したり、英語を日本語に翻訳するのに使ったことがあるかもしれません。
このアプリはそうした使用方法もできますが、繁体字と簡体字の字体を変換するのにも使用できます。
カーソルを合わせて繁体字か簡体字かをクリックするだけです。
読み込まれた文章が一瞬で繁体字、または簡体字に変わります。
このアプリは無料で使えるのも非常に便利です。
翻訳作業に重宝するアプリといえます。
ピンイン変換ソフト
ピンイン変換ソフトの中には繁体字と簡体字の変換もしてくれるものもあります。
ウェブ上で変換したい元の文章をコピーペーストで張り付けて変換ボタンを押すだけで字体を変換してくれるものもあります。
さらにあるソフトでは、簡体字や繁体字のピンインを表記したり、広東語の漢字をローマ字の発音表記でルビを振ってくれるものもあります。
中国語の中でも広東語は多くの人が話している言葉なので、こうしたソフトを使って勉強してみるのもいいでしょう。
いったい中国語の字体に慣れるにはどうしたらいいのか?
ここまでで漢字が使われてきた歴史や、漢字を使っている国について簡単に紹介しました。
概要を知ることで、繁体字や簡体字にとっつきやすくなったでしょうか?
歴史や背景だけではまだ慣れないと感じる方もきっとおられることでしょう。
2つの字体をいっぺんに勉強するのは難しいかもしれません。
まずは自分がなぜ中国語を勉強したいのかを考えてみるのはどうでしょうか?
そうすればおのずと最初に勉強しないといけない字体が見えてくるはずです。
自分は香港に行って旅行をしたいとか、香港や台湾に移住したいのであれば繁体字を先に学んだほうがいいでしょう。
また言語もできるだけ台湾人や広東省あたりの南の人から学ぶほうが言葉自体も似ているので効率がいいはずです。
どちらかに絞って学び、その言語をある程度のレベル(日常会話レベル以上)までマスターしたのなら別の自体や言語を学んでみるほうがいいのです。
なぜなら、同じ漢字圏の言語を両方学ぶと必ずといっていいほど混乱したり、言語を別の言語と混同してしまいかねないからです。
簡体字の字体に慣れる方法
それでは中国本土に旅行や仕事をしたいという場合のケースを考えてみましょう。当然北京語を勉強しなければなりません。
字体はどうでしょうか。これまで見てきたように中国本土は、ほとんどといっていいほど簡体字が使用されているので、まず簡体字を学ぶ必要があります。
簡体字を扱った本や雑誌は中国に行けばたくさんありますし、日本でも中国語を学ぶ時の教材はほとんどが簡体字表記ですから勉強するのは難しいことではありません。
繁体字に慣れる方法
台湾で使う中国語はどうでしょうか?台湾人と中国本土の人は基本的にコミュニケーションができます。
使う言葉の基本的な部分は同じだからです。
でも字体は異なります。日本人が台湾で中国語を学ぶならいいとしても日本で繁体字を学ぶ場合はどうしたらいいでしょうか?
言語は聞くことと話すこと、書くことと読むことの四種類あります。
コミュニケーションとなれば聞くことと話すことが真っ先に必要です。
繁体字は画数が多くて書くのは大変かもしれません。
それに書けるようになっても会話ではあまり使えません。
台湾人のYouTubeやチャットアプリを活用
それで、まず台湾の人たちが使う中国語のビデオ、テレビ、YouTubeなどを視聴しながら繁体字を学ぶのはどうでしょうか?会話から入る漢字なのでよく使う単語ばかりで役立ちます。
それに単語と映像をセットで覚えられるので記憶に残りやすいのも利点の一つです。
繁体字表記の中国語テキストもあるのはありますが、種類がさほど多くなく、台湾へ行って勉強するならいいとしても日本で学ぶとなるととっつきにくく感じるかもしれません。
会話から入るという点では、最近たくさんの会話練習のできるアプリなどが登場しています。
中には台湾人とたくさん友達になって音声チャットやメッセージの交換ができるアプリもあります。
こうしたアプリを使って会話に使う繁体字を勉強してみるのはどうでしょうか?
ここでまた少し余談!
現在中国語をどんな方法で勉強されていますか?下記記事では少し変わった勉強方法をご紹介しています!ぜひ勉強方法の一つとして取り入れてみて下さい♪♪
まとめ
繁体字も簡体字も同じ漢字の仲間です。
時間をかければ日本人ならどちらも習得できる字体です。
それでも時間をあまりかけたくない方は、まず自分の今のニーズを考えて、そこで繁体字と簡体字のどちらを使用したらいいのか考えてみてください。/p>
目標が具体的になれば勉強方法も決めやすくなるでしょう。

中国語講師として様々な方に基礎から指導してきました。 文法解説や発音指導、フレキシブルなレッスン時間の点で、よい評判もいただいております。 中国語能力を測る資格試験、HSKの最上位6級にも合格しています。(中国語の新聞、ドラマを見たり聞いて理解可能なレベル) もし中国語にご関心があればスカイプ及びLINEより中国語を教えることができます。(30分:500円から) ご連絡は下記のブログからお待ちしております。 https://chinesekun.hatenablog.com/