家庭・学校・会社では、叱ったり叱られたりする場面が日常的にありますが、英語で「叱る」をどのように表現できるでしょうか。
そもそも「叱る」ってどういう意味かというところから、日常英会話でよく使われる言い方やイディオム、「叱る」に類似した言葉なども、例文と共に紹介します。
「叱る」は英語で何という?
「叱る」を英語で何と言うかを考える前に、「叱る」の意味を確認しておきたいと思います。
「叱る」を辞書で調べると「怒る」と書かれていますが、生活する中で使われる「叱る」と「怒る」は少し意味合いが異なります。
(1)「叱る」と「怒る」の違い
「怒る」は腹を立てる事をいい、「叱る」は相手をより良い方向に導くために注意やアドバイスをすることをいいます。
しかし実際に叱る場面では、怒りの感情も同時に持っていることが多々あると思うので、どちらも同じと考える人がいても不思議ではありません。
日常的に子供と接する親や先生は特に、「叱る」と「怒る」を意識的に区別している人が多いかもしれません。
この記事では、相手をより良い方向に導くために注意をするという意味合いの「叱る」についての英語表現を紹介します。
(2)「叱る」を英語で表現すると?
「叱る」を辞書で調べるとscoldが最初のほうに出てきます。
しかしscoldは英会話ではあまり使われておらず、次のように「叱る」が表現されています。
●Tell off
Tell offは日常会話でよく使われる表現です。
主に子供が叱られるときに使われます。「叱られる」と言いたいときは「get told off」と表現し、時には「give you a telling off」と言うこともあります。
I got told off by my teacher yesterday.
昨日先生に叱られた。
●Take someone to task
誰かのやったことを非難するという意味です。
仕事場などで失敗したとなど、主に大人に対して使われるフレーズです。
I was taken to task for not reporting the problem earlier.
私は早く問題を報告しなかったことを非難されました。
●give someone a talking-to
自分よりも下の者に対して、強い口調で叱る(注意する)ときに使われます。大人・子供両方に対して使えます。
She gave her subordinate a talking-to. Because he doesn't really care that much about being on time.
彼女は部下に注意しました。時間にルーズだったからです。
ここで少し余談!
「喜怒哀楽」の英語での表現方法をご紹介!気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!
英語で子供を叱るときやしつけをするときに使えるフレーズ
英語で子供を叱ったりしつけたりするときに使えるフレーズを紹介します。
子供にはわかりやすく短い言葉で伝える方が効果的なので、英語を学ぶ親にとっても使いやすいフレーズばかりだと思います。
(1)「ダメ」と言いたいとき
子供が何か悪いことをしたので「ダメ」と言いたいときは、次のように表現することができます。
●No!
ダメ!
●That‘s bad!
それはダメ!
【ここに注意】
悪いのは子供自身ではなく子供の行動なので、次のように言わないようにしましょう。
◆You are bad!
あなたはダメ!
(2)子供の注意をこちらに向けたいとき
叱ろうと思っても遊びに夢中になっている子供の注意をこちらに向けるのは、そう簡単にはいきません。
まずは優しく次のように言うことができます。
●Listen to mommy / daddy.
ママ/パパの話を聞いて。
何度か話しかけてもこちらに耳を傾けないときには、子供の名前をフルネームで呼ぶそうです。
普段子どもを呼ぶときにはファーストネームや愛称で呼びますが、フルネームで呼ぶことにより、親と子の関係ではなく人間対人間としてお願いしているというニュアンスになります。
つまり、真面目にお願いしているのだということを子供に示しているのです。
この他「早くやってちょうだい」と言いたいときや、相手に真剣に聞いて欲しいときに使えるフレーズがあります。
●Now, move!
さあ、動いて!
これは簡単ですね。
●I’m not kidding.
本気よ。
ちゃんと聞いて欲しいときに、I’m not kidding.と言って相手にも真剣に向き合って欲しい気持ちを表すフレーズを使います。
(3)堪忍袋が切れそうになって「何回言わせるつもり?」と言いたいとき
お母さんならほぼ毎日と言ってもいいほどあるのではないでしょうか。子供は1回2回言ってもまず動きません。
それが子どもですよね。親は毎日何十回と同じことを繰り返し子どもに言わなければならないのです。
そこで「何回言わせるの?」と言いたいときに使えるフレーズをいくつか紹介します。
●What did I just say?
ママはさっき何て言った?
●I’ve asked you a hundred times already today. How many more times do I need to ask you?
今日はもう100回も言っているけど、あと何回言えば聞いてくれる?
●I am not gonna ask you again to (do something).
何度言ったら○○するの?
gonna: going to
この表現は直訳すると「私はあなたに○○することを再び頼まない」となり、何度言ってもしない子供に、「二度と言わない=今度はちゃんとやってちょうだい」と言いたい気持ちを表す表現です。
(4)もういい!と言いたいとき
子供に何度言っても動かない状況で、ついにしびれを切らして「もういい!」と言いたいときがあると思います。
そういうときに使えるフレーズがいくつかあります。
●Okay, that does it.
わかった、もういい。
This is it.
これ以上は耐えられない。
という意味で使われます。
海外でも日本と同じように、お母さんの言うことを聞かない子どもに対して「お父さんに言うよ!」という手段が使われるようです。
●Alright, that’s it. I’m calling your father.
わかった。もういい!お父さんに電話するからね。
日本でも「お父さんに言いますからね」というセリフはよく聞きます。
この場合、お父さんに子供のことを言う際に、our son(私たちの息子)という言い方をしないで、your son(あなたの息子)と言うことが多いようです。
「叱る」に似た英語表現
叱ると同義の言葉はたくさんありますが、そのうちのいくつかを紹介します。
大人が子供に叱るときよりも、少し遠回しな表現になります。
●reprimand
Reprimandは、相手を叱責・非難・戒告するようなときに使われる言葉で、大人に注意するニュアンスを持ちます。
He reprimanded his employees.
彼は従業員たちを叱責しました。
●admonish
Admonishは、相手に諭し・警告し・気づかせるような意味合いで使われる単語です。
I was admonished not to do it again by him.
私は彼から、二度とそんなことをしないように警告された。
●dressing-down
Dressing-downは、叱責を受けることを意味します。
give someone a dressing-downや、get a severe dressing-downのように使われます。
I was given a dressing-down by my boss.
上司から叱責を受けた。
またまた少し余談!
日常で使える様々な感情を表現する英語をご紹介!気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!
子供の心を傷つけずに叱る方法やフレーズ
叱る時に、親の不用意な言葉に子供が傷ついてしまうことがあります。
子供を叱る時は、子供の人格を否定しないよう注意することが必要です。
あくまでも叱るのは子供の行為なので、次のように表現するのが良いと言われています。
(1)子供が好ましくないことをしたとき
●That’s not nice / good.
それは良くないよ。
または相手を注意するようなときには、主語をYouにするよりもIにすると相手を傷つけません。
●I don’t want you to do it.
ママはそれをして欲しくないよ。
またはシンプルに
ママはそれ好きじゃない。
(2)子供に考えさせるようにするとき
いつも親の方からダメというばかりよりも、一度子供に言い聞かせたことを再びやっていたり、やろうとしていたりするときに使えるフレーズがあります。
●Do you think it’s OK to do that?
それはして良い事だったかな?
子供に判断させることも大事ですね。
(3)相手に愛情をきちんと伝えたいとき
小さな子供に対しては、毎日叱ってばかりで悩んでいるお母さんは多いと思います。
子供のためを思って言っているのに、それが上手く子供に伝わっていないのではないか不安になることもあると思います。
また大人同士でも、誤解を防ぐために「あなたのためだから」という言葉を一言添えたいときがあります。
そんなときに、使いたい表現です。
●I’m saying this for your sake.
あなたのために言っているのよ。
これは子供にも大人にも使える表現ですね。
●I’m saying this because I love you.
あなたが大好きだから言うのよ。
子供がまだ小さいときには、子供にこう言ってあげると安心すると思います。
小さいうちは親が全てなので、きちんとI love youを伝えたいですね。
上手に叱ると効果あり
英語では子供に叱るときにも論理的に言うことが多いようです。
子供を叱かるときにも、子供に動機づけをしたり自立心を持たせたりしようとすると、日本語でも同じように論理的な言い方をすると思います。
英語だから特別な言い方をしているというよりも、叱られる者の立場に立って考えれば、どのような言い方をすれば良いかがわかりそうですね。
また叱るときには、相手に誤解されないように伝えるのは意外に難しいものです。
それは日本語でも同じですが、英語になると特にどのように叱って良いのかわからないことが多いかもしれません。
ここで紹介した表現の他にも様々な伝え方があるので、まずは簡単に言えることから徐々に表現を広げていけると良いですね。
純日本人、留学経験なし。学生時代は英語恐怖症だったのに、外資系企業で英語環境の中、化粧品の研究開発業務を約7年経験。苦手意識の裏には英語への強い憧れが潜んでいて、40歳で英語に目覚める。英語の多読が趣味。その趣味が高じて英語学習本も出版。英検準1級。現在はフリーライター。専門家として美容系の記事執筆・校正、英語学習系の記事を書くことも多い。日々ネイティブキャンプでスピーキング力を磨いている。