英語は共通言語として、世界中で話されています。多民族で多言語なために、英語を公用語としている国も多くあります。
そのため、それぞれの国でアクセント(訛り)に特徴があります。もちろん私たち日本人訛りの英語というものもあります。
とりわけ有名なのがインド人訛りの英語です。人にもよりますが、多くのインド人が強い訛りで英語を話します。
そのため、英語ネイティブスピーカーでも聞き取りに苦労する人が多いようです。
そこで今回は、インド人訛りの英語を聞き取るためのポイントを紹介したいと思います!
インド人の英語
インド人の英語を聞き取れるようになるために、まずは基本的な背景について知っておきましょう。
インド人の英語は上手い
多くのインド人は流暢に英語を話すことができ、使っている英語レベルも日本全体のレベルより遥かに高いです。
2019年の 「EF EPI(世界100カ国を対象にした国別英語運用能力ランキング)」 によると、アジア地域でインドは、シンガポール、フィリピン、マレーシア、香港に次ぐ第5位にランクインしています。
ちなみに世界1位はオランダ、日本は53位です。
インド国内で英語が話されるようになったきっかけが、19世紀後半のイギリスによる植民地化です。イギリスは当時のインド帝国における英語教育に力を入れました。
また、多民族国家であるインドでは、それぞれの民族で言語が異なります。
正確な数まではわかっていないようですが、細かく分類すると3000近い異なる言語が存在すると言われています。
そのため、お互いにコミュニケーションを取るために公用語としての英語が必要でした。
20世紀半ばにイギリスから独立したインドでは、既に広く英語が話されていました。
そのため、
第一公用語がヒンディー語
第二公用語が英語
と指定されました。
しかし、あくまでも国家としての公用語が2つであり、州単位で見ると22の異なる公用語が存在します。
そのため、地域によってはヒンディー語よりも英語を話す人口のほうが多いところもあるなど、それだけインド国内では広く英語が話されていることがわかります。
また、インドには古くから残る 「カースト制」 と呼ばれる身分制度があり、身分によっては職業の選択がかなり限られます。
しかし、IT関連の職業は例外となり、給料も他に比べて良いことから、一生懸命英語を勉強してIT職につく人も多くいます。
さらに、インドには英語のテレビ番組が多かったり、多くの私立校やほとんどの大学では英語で授業が行われるなど、国全体で英語教育に熱心だと言えます。
聞き取りづらい理由
インド人の英語は一般的に聞き取りづらいと言われがちです。
もちろんインド人同士ではお互いに訛っていてもスムーズにコミュニケーションは取れますが、他国の人と英語でやり取りをする際は同じようにいかないことが多いようです。
聞き取りづらい一番大きな理由はやはり独特の強い訛りです。訛りはヒンディー語が影響していて、 「ヒングリッシュ」 と呼ばれることもあります。
ただし、インド国内でも地域によって英語の訛り方は異なると言われています。
また、インド人の英語を話すスピードはとても速いです。人によっては英語ネイティブスピーカーよりも速く感じるという人もいます。
そのため、かなりの英語上級者であっても聞き取りが追いつかずに苦労するケースが多くあるようです。
さらに、独特な言い回しや文法も聞き取りづらい原因の1つです。インドでしか使われないような英語表現はとても多くあります。
日本国内でも、地域によっては強い訛りと聞いたことのない方言が存在し、地元の人との会話で聞き取りに苦労する状況とよく似ています。
ちなみに、国によって英語が異なるのは珍しいことではありません。
英語を母語とする イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド のような国々でも、それぞれ異なる英語表現やアクセントがあります。
そのため、ネイティブスピーカー同士なのに話が通じないということも時々起きます。
インド人英語を聞き取るポイント
ここでは、インド訛りの英語を聞き取るために知っておくべきいくつかの押さえておくべきポイントを解説します。
Rの発音
インド人は「R」の音を、巻き舌で「ルル」と発音します。ボイストレーニングで言う「巻き舌タンロール」に近い音です。舌を震わせることで出すことができます。
例えば、「R」の音で終わるような単語だと、以下のようになります。
after → アフタルル
here → ヒルル
better → ベタルル
また、「R」から始まる単語であれば以下の通りです。
ring → ルルィング
rain → ルルェイン
road → ルルォード
インド人が英語を話すと、「R」の巻き舌サウンドが非常に多いです。
日本語には巻き舌の音がないため、音自体に慣れるためにもまずは「巻き舌タンロール」から練習してみると良いでしょう。
※ここではわかりやすいように、巻き舌の意味を込めて「ルル」としています。
Tの発音
インド人の「T」の発音は「ツッ」という音よりは、「ト」に近い音です。
日本語の「ト」のような「TO」とはっきり母音が発音されているわけではありませんが、弾けた音に少し母音が入っているように聞こえます。
but
英語ネイティブ → バッ(ツ)
インド→ バット
hot
英語ネイティブ → ホッ(ツ)
インド→ ホット
try
英語ネイティブ → チョライ
インド → トルルァイ
※英語ネイティブの「(ツ)」としているのは、発音しない人もいるためです。
これらのように、比較的日本語のカタカナ発音に近い「T」の音なので、日本人にははっきり聞こえると思います。
Aの発音
英語ネイティブの「A」の発音が「エイ」だとすると、インド人の発音は「エー」です。
today → トゥデー
Monday → マンデー
say → セー
face → フェース
table → テーブル
game → ゲーム
日本人がカタカナ英語で発音する「A」とほぼ同じです。そのため、「T」の発音同様、私たち日本人には聞きやすい発音です。
THの発音
英語ネイティブの「TH」発音は、舌を上前歯と下前歯の間に挟み、隙間から空気を漏らして「ス」と発音します。
一方で、インド人は空気音を漏らさずに発音します。そのため、結果的に「タ行」の音になります。
think → ティンク
thick → ティック
three → トゥリー
のような発音になります。「スィ」という音に慣れているため、インドではこのように発音されると知らないと聞き取るのは難しいでしょう。
W/Fの発音
インド人は「W」や「F」を「ブ」という濁った音で発音します。ネイティブ英語にも日本人英語にも存在しない法則なので、聞き取りにはかなり苦労する人が多いです。
water → ブォータルル
winter → ブィンタルル
wait → ブェート
finger → ブィンガルル
far → ブァルル
ight → ブライト
上記のように、かなり音が変化します。ですが、このような法則をある程度知っておくだけでも、かなりインド人英語を聞き取りやすくなるでしょう。
その他
インド人は英単語をスペル通り発音することがよくあります。
Wednesday → ウェドネスデー
receipt → ルルェスィプト
また、インド人は現在形で言える文章でも、以下のように進行形を多用します。
I'm understanding that.
I'm liking it.
ヒンディー語の影響を受けているというのが理由のようです。
イントネーションにも特徴があります。インド人は英単語の始まりの音から終わりの音にかけて、イントネーションが下から上に上がっていく傾向があります。
また、抑揚自体は英語ネイティブが話す英語に比べて少ないのも、聞き取りづらさの原因の1つだと言えるでしょう。
発音が間違っていると、上手く伝わらない場面が多々あります。下記記事にて発音の練習法について記載しているので、ぜひご覧ください♪♪
インド英語を聞こう
インド人英語を聞き取れるようになるために特徴を掴むのも大事ですが、インド訛りに慣れるためにも、インド英語をたくさん聞くことをおすすめします。
インド英語を聞く方法は色々あります。
例えばYouTubeで「India Today」という英語で放送されているインドのニュースチャンネルが視聴できます。
また、「Inside Forbes India」というPodcastチャンネルでも、インド人同士の英会話が聞けるのでおすすめです。
初めは聞き取りづらくて心地よくないかもしれませんが、上述した発音や文法の特徴にフォーカスしながら毎日聞いて少しずつ耳を慣らしていくことで、次第に聞き取れるようになるでしょう。
アクセントを受け入れる
インド人の独特のアクセントを馬鹿にしたり、下に見てしまう人も残念ながら一定数いることは事実です。また、聞き取りづらいということに文句を言う人もいるでしょう。
しかし、どの国にも英語の訛りは存在します。
実際、日本人のカタカナ英語が聞きとってもらえないケースも多々あると思います。英語ネイティブの人同士でさえ、国が違うだけで理解できないこともあるくらいです。
各々が持つアクセントは アイデンティティ の一部とも言えます。
お互いがそれを受け入れた上で、理解しようとする思いやりが大事であり、それが本来のコミュニケーションの形です。
そうすることによって、世界中のより多くの人たちと交流し、分かり合えることができ、本当の英語の楽しさを感じることができるでしょう。
上手く発音が出来ず苦労している方も多いと思います。下記記事で発音の矯正方法をご紹介しているので、ぜひお役立てください!!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はインド人の英語についての記事でしたが、他にも フィリピンやシンガポール、マレーシア など、英語を公用語としている国々が存在します。
そのような国々では、それぞれ独特の発音や言い回しがあるため、インド英語同様聞き取りづらく感じる人もいるでしょう。
もしそのような国々に渡航する予定のある方はぜひ一度、ご自身でどのような特徴があるのかを調べてみたり、その国が放送している英語のテレビ番組をYouTubeなどで探して聞いてみましょう。
すぐに聞き取れるようにはならないと思いますが、継続することで少しずつ耳が慣れてくると思いますよ!
◇経歴
・コールセンターでの日英バイリンガルオペレーター(3年)
・外資系企業(製薬業界)でのテクニカルサポート(2年)
・副業でオンライン英会話の講師(2年)
・東京にて通学型の英会話スクール経営(4年)
・英会話スクールをオンラインに切り替えて運営(現在で約4年)
・英会話講師歴は合計で10年
◇資格
・英検1級
・TOEIC990点
◇海外渡航経験
・イギリス(3ヶ月、短期留学)
・タイ(6ヶ月)、マレーシア(3ヶ月)、台湾(3ヶ月)の滞在歴あり(海外ノマド)
・海外旅行:韓国、マルタ、ベトナム、インドネシア、アメリカ
◇自己紹介
バイリンガル英会話コーチのBobです!ほぼ日本国内で英語を習得してバイリンガルになりました。たまたま始めたオンライン英会話講師の仕事が天職だと悟り、自らの英会話スクールを開校。これまでに200人以上の英語学習者に教えてきました。多くの人たちに英語を好きになってもらい、思いっきり英会話を楽しんでもらえるよう日々活動しています!