グラタンにまつわる英語とその由来

Gratin


みなさんの冬に食べたい好きな食べ物は何ですか?
寒い冬には定番のお鍋もいいですが、アツアツのグラタンをフーフーして食べるのもいいですよね!

私は子供の時から、クリーミーでトロトロ濃厚なグラタンが大好物の一つでした。

日本人には定番でチーズがたっぷり入っている洋風のグラタンですが、欧米では日本ほど有名な食べ物ではないって知っていましたか?

今日はグラタンの起源、英語での説明の仕方、私が普段よく作るレシピなどご紹介したいと思います。

 

 

グラタンを英語で言うと?

Gratin(グラタン)です。発音も日本語に近いです。マカロニを含む場合はMacaroni gratinと言ってもいいです。マカロニの代わりにパンを使うグラタンはA gratin with breadと言うと想像して貰いやすいと思います。

ちなみにグラタンのような食べるとほっこりする家庭料理を” Comfort food”(カンフォートフード)と言います。和食の定番料理の肉じゃがなど、シンプルだけど心が安らぐような「お袋の味」的なニュアンスで使うことができます。ネイティブもよく使う便利な言葉なので合わせて覚えておくと便利ですよ。

そもそもグラタンって何料理?

グラタン好きとしては知っておきたい“グラタンの歴史”を調べてみました。

グラタンはそもそもフランス料理ってご存知でしたか?日本ではイタリア料理のイメージがありますが、意外や意外フランス料理が私たちの冬の定番のメニューとして食卓に上がっていたのですね。元となったのは、サボワ・ドーフィネ地方の郷土料理だと言われています。

フランス語では”Le Gratin” 鍋にこびり付いた「お焦げ」を指す言葉で呼ばれています。お鍋のお焦げを「掻き取る」と言う意味を持つ“Glatter”(動詞)が語源だったようです。

あるフランス人が料理を作った際に誤って焦がしてしまったチーズ部分を食べてみたところ、『あら美味しいじゃないの』と、ここからグラタンが誕生しました。

19世紀以降になってから料理の表面に軽く焦げ目をつける調理法とその料理自体の両方を”Le Gratin”と呼び国民に愛される料理(法)になりました。グラタンは失敗から生まれた料理だったとは驚きですね。

日本でグラタンと言えば、ベシャメルソースにマカロニ・玉ねぎなどの野菜・鶏モモ肉やエビなどを入れるのが定番ですよね。

しかしフランスでは、牛肉やポテトなど様々な野菜を入れたり、甘いデザートグラタンなんていうのもあったりして具材や味付けは様々です。後ほど本場フランス版のグラタンのレシピもご紹介しますね。

グラタンは欧米にはあるの?

あるお店もありますが、Macaroni and Cheese(マカロニチーズ)または省略バージョンの Mac and cheese(マック&チーズ)の方が一般的です。

アメリカとカナダではkraft という会社が最も有名です。箱に入って売られているのですが、パスタが袋などにラップングされずに直接入っているので初めて見た時は衝撃でした(笑)さすが大雑把な欧米人って感じですよね^^;

お湯でマカロニを茹でて、バター・牛乳と付属されている黄色い粉チーズを入れてトロっとなるまで混ぜたら出来上がりというすごく簡単なインスタント食品として愛されています。欧米方面に留学や旅行に行く予定のある方は是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

グラタンを英語で説明してみましょう

上記の情報を含めて3段階の英語レベルに分けてみました。

(初級編)
Gratin is like a creamy version of mac and cheese.
It’s less cheesy but creamier than mac and cheese.

(中級編)
Gratin is a dish that is comprised of a creamy sauce, macaroni, chicken or shrimp and browned and melted cheese on top.
It originated from a dish called “La Gratin” in France. Apparently, it was invented from a failed dish in which the top was accidentally burned. However, the burned part was absolutely delicious so they name the dish after this technique.

*comprise ~を含む
*invent ~創り出す

(上級編)
It’s one of the most popular French-style Japanese comfort dishes in winter. It came from a French food. The best-known gratin dish in North America is potato gratin which is a baked layer of sliced potatoes in a dish, with creamy sauce and grated cheese, topped with breadcrumbs. On the other hand, in Japan, gratin contains chicken, some seafood, macaroni, creamy sauce and is topped with cheese. It is then baked until the cheese gets brown. It’s so easy to cook and it’s delicious, too. You can even buy a frozen Gratin in Japan.

 

とってもよく似た料理、ドリアは何料理?

ベシャメルソースをかけてチーズを乗っけて焼くことから、グラタンがフランス料理なら、ドリアもフランス料理じゃないの?と思っていませんか?

実は日本で生まれた洋食の一つなのです。
なので、Doriaなどと英語風に言っても伝わらないのでご注意を!

さて、気になる考案者は誰でしょうか?横浜の老舗ホテルのニューグランドの初代料理長に抜擢された、フランスから来たスイス人のサリー・ワイル氏だそうです。

日本生まれと言っても日本人が考案したメニューではないということですが、あの洋風な顔をしたドリアを見れば何だか納得ですよね(笑)

ホテルの料理長ともあればメニューになくとも、要望があれば即興で料理を作りお客様に振る舞うことも多々ありました。このドリアも体調の良くないお客さんに喉に優しいものをという要望から、生まれた即興メニューだったそうです。

調理法は、ピラフにエビのクリームソースとチーズを乗せてこんがり焼き目がつくまで焼いたというものだったのですが、これがとっても美味しいと好評になり、ホテルの看板料理にまでなったそうです。

のちに同ホテルで修行を積んだ弟子たちにより、他のホテルやレストランでも振る舞われることになったことで全国に広がり国民に親しまれ愛されるようになりました。

ドリアを英語で言うと?

A rice casserole with white sauce または Gratin rice です。
焼くことが可能な容器に入れて、それごとオーブンで焼く料理をcasserole(キャセロール)と言います。

It’s similar to gratin, but it’s made up of rice instead of macaroni.
「グラタンに似ていますが、マカロニの代わりにお米が入っています」

We have many different kinds of gratin rice, such as curry, meat sauce, and tomato sauce.
「様々な種類のドリアがあります、例えばカレー、ミートソース、トマトソースなどです。」

ドリアの名前の由来は?

19世紀にパリの”カフェ・アングレ“というレストランの常連客であったジェノバ共和国の名門貴族「ドーリア家」のアンドレア・ドーリア提督から名前から付けられたそうです。

しかし、その料理はキュウリ・トマト・卵を使い、イタリアの国旗に見立てたもので、私たちが想像するドリアとは似ても似つかない料理した。ではなぜサリー・ワイル氏がこの“ドリア”という名前を彼の即興メニューに名付けたのでしょうか?

なぜワイル氏はこの名前を料理につけたの?

憶測は幾つかあるそうですが、有力そうなものをご紹介します。

フランス料理に、Homard Tourville(オマール・トゥールヴィル)という料理があります。まずはグラタン皿にリゾットを入れます。そしてバターで炒めたマッシュルーム・オマール海老・オイスター・ムール貝・トリュフにクリームソースを加えたものを、先に敷いたリゾットの上にかけます。更にソース・ベシャメルソース・チーズを乗せて焼きます。

想像してみるとシーフードドリアに似ていませんか?この料理名は17世紀に活躍したフランス海軍提督・トゥールヴィル伯爵から名付けられたそうです。

ワイル氏はこの料理をアレンジしたものをお客様のために作ったので、洒落として港町のジェノバ共和国、アンドレア・ドーリア提督から名前を取って、ドリアと名付けたと言われています。

ドリアは海外にあるのか

日本で生まれた洋食だからか海外にドリアは存在しません。マカロニは人気が出ても、やはり日本に比べるとお米を食べる習慣が圧倒的に少ないことが原因だと思います。

サイゼリアにある「ミラノ風ドリア」はどうなの?と思った方も多いのではないでしょうか?あれはミートソースをかけていてお米がターメリックにより黄色いことから「ミラノ風」とネーミングされただけで、ミラノにはもちろん存在しない料理です。

 

日本のグラタンのレシピ

日本のグラタンはコンソメが美味しさの秘訣だと思います。と言いますのも、外国産のチキンストックでも作ってみましたが、なんだかやはり味が違いました。

海外で作る際でも、アジアンレストランなどで是非日本のコンソメをゲットして作ってみて下さい。一から手作りすることをMake/cook from scratchと言います。

材料(2人分)
・鶏のもも肉     150g
・エビ                      6尾ぐらい
・玉ねぎ       1/2
・バター       5gぐらい(炒め用)+40gぐらい(クリームソース用)
・小麦粉       大さじ4
・牛乳        800ml
・コンソメキューブ  2個 
・マカロニ      80gぐらい
・ピザ用チーズ    好きなだけ
・塩コショウ     少々

[作り方]
200℃にオーブンを予熱する。マカロニを茹でる必要がある際は先に茹でておく。(グラタン用に茹でなくていいマカロニが日本には売っているため)鶏とエビを一口サイズに、玉ねぎは薄くくし切りに切ります。フライパンに炒め用バターを入れて、鶏肉・エビ・玉ねぎを炒めます。
玉ねぎを焦がさないように気をつけながら柔らかくなるまで炒めたら、火を一旦止めて小麦粉を入れて絡める。(牛乳を入れる前に小麦粉を入れることで小麦粉がダマになるのを防げます)牛乳・コンソメ・茹でたマカロニを入れて火をつける。
弱火~中火でトロミが付くまでゆっくりと混ぜて煮る。塩コショウで味を整える。硬くなるまで煮込まず、緩めで止める。グラタン皿に移して、チーズを乗せてオーブンで焼く。200℃で10分ぐらいですが、基本チーズに焼き色がついたら出来上がりです。

Ingredients (Serves 2)
・150g chicken thigh
・6 pieces shrimp/prawn
・5g butter(for sauté) + about 40g butter (for a white sauce)
・4 tbsp flour      
・800ml milk
・2 chicken stock cubes(Japanese brand preferred)
・About 80g macaroni
・Grated cheese

[Method]
Preheat the oven to 200 ℃. Boil some water and boil the macaroni pasta according to the direction on the package. Cut the onions into thin slices and cut the chicken and shrimp into small pieces. Heat a pan with the butter, the chicken and the shrimp and sauté them until the onion is soft.
After the onion gets nice and soft, turn off the heat and add flour and stir until the flour is fully dissolved in the mixture. Next, add the milk, chicken stock cubes and the cooked macaroni to the pan and cook it over low to medium heat.
Keep stirring slowly until it gets nice and creamy. Do not overcook it too much, otherwise, the sauce will get too thick during baking. Move the creamy sauce into a gratin dish or a heat-resistant dish and sprinkle whatever kind of cheese you like. Place in the oven and bake it for about 10 minutes until the cheese turns a bit brown. Bon Appetit! ;)

 

本場フランスのグラタンのレシピ

日本のグラタンの原型であろうGratin dauphinois(ドフィノワ)という料理の作り方をご紹介します。

材料(1~2人用)
・じゃがいも     3個(520g)
・にんにく     1片
・牛乳       180ml
・生クリーム          90ml
・ナツメグ           少々
・グリュイエールチーズまたはピザ用チーズ 80g
・塩、胡椒         適量
・バター           少々

[作り方]
200℃にオーブンを予熱する。ジャガイモの皮をむいて、薄めにスライスし、軽く塩を振り全体になじませておく。牛乳・生クリーム・ナツメグ・塩こしょうを入れてよく混ぜる。耐熱容器にバターと香り付けにニンニクを塗りこむ。容器にジャガイモを綺麗に並べ敷き詰める。そこに牛乳などの混ぜておいた液体をジャガイモが全て浸かるように流し込む。予熱が終わったオーブンで30分焼く。一旦取り出してチーズを乗せて再度オーブンで8~10分程こんがり焼けたら出来上がり。

チーズを後乗せする理由は、日本のグラタンと違いクリームに火を通さないため、先に火を通す必要があります。チーズで蓋をしてしまうと、中まで火が通るまでにすごーく長い時間がかかってしまうからです。調理過程も日本のグラタンとは少し違うので、この本場フランス版のグラタンを作る時は注意が必要です。

 

まとめ

そろそろグラタンが無性に食べたくなったのではないでしょうか?日本人のほっとする味グラタンを外国人にも広めて、一緒に食べて寒い冬を乗り越えましょう。

ネイティブキャンプの講師の中には、フィリピンを始めアフリカなど寒い冬のない地域出身の講師もたくさんいます。
そんな講師たちの中にはグラタンを食べたことのない人もいるかもしれません。
グラタンを知らないかもしれない講師たちにグラタンについてちゃんと説明することができれば楽しいですよね!

ぜひネイティブキャンプの講師と仲良くなるきっかけに、グラタンの話をしてみてください!