きよしこの夜とクリスマスの歴史!英語を通じて振り返る

Silent night


クリスマスとはイエス・キリストの生誕(12月25日)をお祝いする日のことです。

前日の12月24日はクリスマス・イブと呼ばれ、正式には24日の日没から25日の日没までをクリスマス(降誕祭)と言います。キリスト教圏内では、クリスマスになると教会で礼拝(ミサ)が行われます。

神父がパンとぶどう酒を聖別して信者に捧げる儀式でとても重要とされています。また、礼拝のときに神をたたえる宗教歌(讃美歌)を歌います。クリスマス・イブの夜、キリストの生誕をお祝いするときに歌うキャロル(歌)は、クリスマス聖歌とも呼ばれフランス語やラテン語が語源になっており讃美歌の一種とされています。

現在では、クリスマスはキリスト教信者だけでなく、世界中でイエス・キリストや神様をたたえて誕生をお祝いする年中行事になっています。クリスマス・シーズンが近づいてくるとクリスマス・カードを送ったり、家にクリスマス・ツリーやリースを飾ったりします。

欧米では一般的に、クリスマスは家族と一緒に過ごす日とされています。家族が自宅に集まってクリスマス・ディナーでお祝いし、ツリーの木の下にはクリスマス・プレゼントを置き、クリスマス・ミサに参加するために教会へ出かけます。

今回は、讃美歌の一つである『きよしこの夜』やクリスマスの歴史を紹介しながら英語を学んでいきたいと思います。

 

 

きよしこの夜の歌詞と歴史

きよしこの夜とオーストリア・聖ニコラ教会

きよしこの夜は、1816年オーストリアにある聖ニコラ教会の神父(ヨゼフ・モール)のドイツ語による作詞で、教会専属のオルガン奏者で学校の教師でもあったフランツ・クサーヴァー・グルーバーによって作曲されました。

原題はドイツ語で『Stille Nacht』。英語の曲名では『Silent night』です。日本語では『きよしこの夜』と言い、由木康によって日本語に訳詞されました。

この曲ですが、1818年12月25日にオーストリアのオーベンドルフにある聖ニコラ教会で初めて演奏されました。クリスマス前日のイヴに教会のオルガンが鼠にかじられて壊れてしまい音が出なくなってしまったという逸話がありますが、以前からオルガンの修理が必要だったため、ヨゼフはギター伴奏用の楽曲を制作しようと思っていたのが由来のようです。

そこでヨゼフは自分で詞を書き上げ、グルーバーに曲をつけて欲しいと依頼することにしました。当時、ギターは一般大衆が集まる場所や店で演奏されていたため、教会でギターの演奏はミスマッチでではないかという懸念もありました。

しかし、当時、教会の礼拝はラテン語で行われていたため、貧しい人々でも理解できるように一般庶民向けにドイツ語で作られて礼拝堂で演奏されることになりました。

Silent night (サイレント・ナイト)
きよしこの夜

Silent night, holy night!
All is calm, all is bright.
Round young Virgin, Mother and Child.
Holy infant so tender and mild,
Sleep in heavenly peace,
Sleep in heavenly peace.

Silent night, holy night!
Shepherds quake at the sight.
Glories stream from heaven afar
Heavenly hosts sing Alleluia,
Christ the Savior is born!
Christ the Savior is born.

Silent night, holy night!
Son of God love's pure light.
Radiant beams from Thy holy face
With the dawn of redeeming grace,
Jesus Lord, at Thy birth.
Jesus Lord, at Thy birth.

日本では1988年まで小学校の音楽の教科書に掲載されており、最近では中学校の英語学習も兼ねてこの詩が取り上げられています。日本をはじめ、世界中の国や地域でこの歌が様々な言語に翻訳され、クリスマスになると歌われています。

オーストリア・ザルツブルグの小さな村から生まれた『きよしこの夜』は、世界で最も有名なクリスマス・ソングであり、平和への思いが込められています。

様々な讃美歌とクリスマス・ソング

讃美歌/聖歌:
讃美歌/聖歌(Hymn)とはキリスト教の礼拝などのとき、神をたたえる歌として歌われています。讃美歌はキリスト教でもとくにプロテスタントを中心とした宗教歌です。
聖歌は讃美歌よりも範囲が広く、カトリック教会を中心に古代・中世から続くもので讃美歌を包含しています。

旧約聖書(出エジプト記)に収められ、讃美歌の歌詞と考えられている詩篇は、神ヤハウェへの賛美の詩のことを指しています。新約聖書(マタイによる福音書)では、最後の晩餐のあとに「一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。」等の記述があります。

そのほかにも、プロテスタントのドイツの讃美歌やイギリスの讃美歌、アメリカの讃美歌、日本の讃美歌など各国で詩篇歌が出版、発表されました。

クリスマス・キャロル:
キャロルの歴史は西欧中世まで遡り、元来、踊りのための民謡でありました。それが宗教行事や礼拝のときにも歌われるようになりました。クリスマス・キャロル(Christmas Carol)はイエス・キリストの誕生と関連した内容になっており、キャロルの歌詞はそれにまつわる逸話となっています。

通常、クリスマス・シーズンに歌われますが、キリスト教の聖日や行事にも歌われています。もともと世俗音楽でありましたが、キリスト教側が教会音楽として取り入れるようになりました。

クリスマス・イブの夜、教会に集まった子どもたちが街の家々を尋ねてクリスマス・キャロルを歌う習慣があり、これをキャロリング(Caroling)と言います。代表的なクリスマス・キャロルは『ベツレヘムの小さな町で』『もろびとこぞりて』『きよしこの夜』など。

クリスマス・ソング:
クリスマス・ソング(Christmas Song)はクリスマス・シーズンに歌われる歌のことです。そのため、クリスマス・キャロルとソングは同じと見なされています。主なものは、『ホワイト・クリスマス』『赤鼻のトナカイ』『ジングルペル』などがあります。中でも『アヴェ・マリア』は古くから伝わる歌であり、歌詞は新約聖書やルカ福音書にあります。

そのほか:
イギリスの文豪チャールズ・ディケンズ作の『クリスマス・キャロル(A Christmas Carol)』は1834年に出版されました。主人公であるスクールジーは、人間の心の温かみや愛情などがない冷酷な初老の男でした。

クリスマスの夜、7年前に亡くなった老人の幽霊と遭遇して教示を受け、心を入れ替えて改心するというお話です。この話の中にもクリスマス・キャロルが出てきます。

 

クリスマスに関する英単語や表現

イエス・キリストとクリスマスの歴史

イエス・キリストとはキリスト教におけるただ一人の神の子であり、三位一体(父なる神、神の子、霊)と見なされています。神の子が受肉して人としての性を宿した真の神であると言われています。約二千年前のベツレヘム、イエスは父ヨセフと母マリアの間に聖霊により身ごもり、天使のお告げにより誕生しました。キリスト教はこの日に誕生したイエスを記念してクリスマスとしてお祝いしています。

クリスマス・ツリー:
クリスマス・ツリー(Christmas Tree)はクリスマス用に装飾された木のことです。知恵の樹の象徴であり聖樹とも呼ばれています。クリスマス・キャロルの『もみの木』からも分かるように、一般的にクリスマス・ツリーにはモミが使用されています。

モミなどの常緑樹は強い生命力の象徴であり、また、アダムとイヴの舞台劇で禁断の木の実を飾るために使用されたりんごの木の代用にモミの木が使われたという逸話もあります。

クリスマス・ツリーには美しいオーナメントが装飾されています。ツリーのてっぺんにはキリストの降臨を象徴しているベツレヘムの星、アダムとイヴが食べた知恵の実(りんご)を象徴した光沢のあるメッキやガラス製のオーナメントボールなどあります。

世界のクリスマスと英語

オーストリア:
世界的に有名なクリスマス・キャロルである『きよしこの夜』は、オーストリアのオーベンドルフで誕生しました。イエス・キリストの誕生を祝福する歌として世界中で多くの人たちに歌われています。

オーストリアでは、クリスマス・イブに伝統的なクリスマス料理を食します。ソーセージスープ、バニラキプフェル(粉砂糖をまぶしたクッキー)、レープクーヘン(ジンジャーブレッド)、アーモンドクグロフ(アーモンドケーキ)、グリューワイン(グローブとシナモン入りのワイン)などです。

きよしこの夜200周年:
きよしこの夜のゆかりの地であるオーストリアのチロル州、ザルツブルグ州、オーバーエステライヒ州などでは、きよしこの夜200周年記念イベントとして待降節やクリスマスマーケット、展覧会などの行事が行われます。

きよしこの夜は、第一次世界大戦時でも兵士たちによって様々な言語で合唱が行われ戦地にも平和の願いが響き渡っていました。平和・政治的なメッセージを包括している歌でもあります。

ザルツブルグ・ミュージアムの特別展(Salzburg Museum)
きよしこの夜200年―歴史、メッセージ、存在
2018年9月29日~2019年2月3日まで

ザルツブルグ祝祭大劇場
2018年ザルツブルグ待降節コンサート「きよしこの夜」合唱
2018年11月30日(初演)から12月16日の週末

リンツ城にて特別展
クリスマス・ソング「きよしこの夜」200年

「きよしこの夜」音楽イベント(チロルの村にて劇などのイベント)
2018年待降節の期間

以上のほかにもその他各種イベントあり!
詳しくはオーストリア政府観光局公式サイト、きよしこの夜スペシャル版をご覧ください。 

クリスマス・カード:
キリスト教圏内では、クリスマス・シーズンになると親しくしている友人や家族にクリスマス・カードを送る習慣があります。日本で言えばお正月に送る年賀状のようなものです。

Merry Christmas and a Happy New Year!
(メリークリスマス、ハッピーニューイヤー!)

I wish you a very Merry Christmas!
(とても楽しいクリスマスを!) 

Seasons Greetings!
(年末年始のご挨拶を申し上げます。)

Happy New Year! / Best wishes for the New Year!
(新年おめでとう!)

Happy Holidays!
(楽しい休暇を!)

クリスマスやイエスに関する英語表現:
クリスマスやイエスに関連する有名な文言やフレーズです。

Christ! / Holy Christ!
(あれまあ、なんてことだ)
※聖書には、みだりに神や主の名を唱えてはいけないと書かれているため、信心深い人たちはこの言葉遣いを好まない。 

Christmas comes but once a year.
(クリスマスは年に一度しかこない)
※楽しいことはめったにないから楽しめるときに楽しめということわざ。

Christmas is about giving.
(クリスマスは与えること)
※クリスマスは、クリスマス・プレゼントをもらう日ではなく、神がキリストを地上に降臨させて下さった、つまり与えることに意義があるということ。

‘T was (It was) the night before Christmas.
(クリスマスの前の晩のことでした。)
※19世紀のアメリカの作家クレメント・C・ムーア作の有名な詩『The Night Before Christmas』の出だし文句。

まとめ

今回はクリスマスやイエス・キリスト、讃美歌を中心にその歴史や逸話をご紹介しました。オーストリアで生まれたクリスマス・キャロル「きよしこの夜」は初演から今年で200周年記念となり、さまざまなイベントが行われます。

クリスマスはキリスト教信者だけでなく世界中の人々によって祝福されています。クリスマスになると日本でも生クリームと苺でデコレーションされたクリスマス・ケーキを食べるように、世界各国にはさまざまな伝統料理がありますので調べてみるのも興味深いですね。

ネイティブキャンプのフィリピン人講師たちは、クリスマスを家族と過ごす人が多いようです。別の島から来ている講師も、クリスマスや年末には帰省をして、家族と祝うのが毎年恒例のイベントのようです。

皆さんもネイティブキャンプの講師にクリスマスの過ごし方を聞いたり、ご自身の過ごし方をシェアしてそれぞれの国の文化の違いを感じてみてはいかがでしょうか!
きっと新しい発見があるはずですよ!