オーストラリアは、
その面積が日本の約20倍という広大な国です。
そしてその中に、たくさんの魅力的な都市があります。
東西南北に国土が広いため、四季が明確な地域もあれば砂漠地域もあるなど場所によって気候がかなり異なり、それがそれぞれの都市の個性を生み出しています。
加えて、その地域の歴史、そこに伝わる古くからの文化なども、都市を特徴づける要素の一つです。
オーストラリアに旅行する、あるいは留学するという場合、こうした都市の個性をあらかじめ知っておくことは重要でしょう。
自分がどのような旅行を、あるいは留学をしたいのかによって、それにぴったりの都市が変わってきます。
今回の記事では、オーストラリア旅行やオーストラリア留学で特に人気が高く、都市ランキングでも上位に登ることの多い10都市について、各都市を比較しながらそれぞれの特徴を説明していきたいと思います。
オーストラリア基本情報
まずはオーストラリアの基本情報について振り返ってみたいと思います。
日本の南で時差が少ない
以下、オーストラリアの基本情報です。
正式国名:オーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)
面積:約770万k㎡(日本の約20倍)
人口:約2664万人(2023年)
首都:キャンベラ
公用語:英語
日本から真南に行くとオーストラリアに到着します。
つまりこれは「日本とオーストラリアでは時差が少ない」ということを意味しています。
実際、日本とオーストラリア最大の都市シドニーとの時差はたった1時間(サマータイムの時は2時間)です。
日本とシドニー間で連絡を取る場合、相手が今何時であるかをあまり意識しないでいいのが便利な点です。
もっともオーストラリアは東西にも広いため、地域によってはこれ以上の時差になるところもあります。
6つの「州」と2つの「準州」で構成
広大なオーストラリアは、6つの「州」と2つの「準州」に行政上区分されています。
以下に、各地域の地域名と中心となっている都市名を挙げましょう。
州名・準州名 | 中心都市 |
ニューサウスウェールズ州 | シドニー |
クイーンズランド州 | ブリスベン |
ビクトリア州 | メルボルン |
南オーストラリア州 | アデレード |
西オーストラリア州 | パース |
タスマニア州 | ホバート |
ノーザンテリトリー(準州) | ダーウィン |
オーストラリア首都特別地域(準州) | キャンベラ |
オーストラリアは現在も「イギリス連邦」の一員であり、オーストラリアの元首はイギリスと同じくチャールズ国王です。
オーストラリアの歴史と文化
オーストラリアでは、歴史的に見て、一般的に、先住民文化、イギリス文化、世界からの移民文化という3つの文化が混じり合っていると言われることが多いです。
オーストラリアはイギリスの植民地として発展してきました。
そのため、オーストラリア英語も基本的にはイギリス英語です。
食べ物でもイギリス名物のフィッシュアンドチップスが人気だったりします。
加えて現代のオーストラリアは積極的に
世界からの移民を受け入れており、街は世界中の人々であふれています。
中国人街、韓国人街、イタリア人街など、特定の国の人々が集合して暮らす地域もたくさんあります。
レストランなども種類豊富で、世界中の料理を楽しむことができます。
オーストラリアの先住民では
アボリジニが有名です。
彼らは独自の言語や芸術、宗教観を持ち、祖先や土地とのつながりを大切にしています。
この先住民文化は、現在のオーストラリア社会にも深く根付いています。
アボリジニによる民芸品などを売っている観光地もよく見かけます。
現在のオーストラリアは
「多文化主義」を重視し、先住民文化の再評価も進めながら、多様な文化が共存する国としての発展を目指しています。
オーストラリアの人気都市と特徴
多様な文化を擁するオーストラリアにはまた多様な魅力を持つ都市が数多く存在します。
今回は以下に、主要な10都市とその特徴を紹介します。
シドニー(Sydney)
シドニー(Sydney)はニューサウスウェールズ州の州都であり、オーストラリア最大の都市です。
大学や語学学校も豊富なほか、世界的に有名なオペラハウスやハーバーブリッジ、美しいビーチなどがあり、観光地としても人気があります。
多文化が融合した都市で、多様な食文化も楽しめます。
メルボルン(Melbourne)
メルボルン(Melbourne)はビクトリア州の州都で、文化と芸術の中心地として知られています。
カフェ文化が発展しており、ストリートアートや音楽、スポーツイベントが盛んです。
「世界で最も住みやすい都市」の一つとして評価されたこともあります。
もちろん、大学や語学学校も充実しています。
ブリスベン(Brisbane)
ブリスベン(Brisbane)はクイーンズランド州の州都で、温暖な気候と豊かな自然環境が特徴です。
都市と自然が調和し、落ち着いた雰囲気の中で生活を楽しめます。
治安も良好で、初めての海外生活を送る方にも適しています。
ゴールドコースト(Gold Coast)
ゴールドコースト(Gold Coast)はクイーンズランド州、ブリスベンの南に位置し、美しいビーチとリゾート地としての魅力を持つ都市です。
サーフィンやアウトドアアクティビティが盛んで、リラックスしながら生活を楽しむことができます。
観光業が発展しており、留学生にとってもアルバイトとして働きやすい環境が整っています。
ケアンズ(Cairns)
ケアンズ(Cairns)はクイーンズランドの北部に位置する都市です。
世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフの玄関口として知られ、観光業が盛んな都市です。
温暖な気候とリゾート感あふれる環境が特徴で、ダイビングやシュノーケリングなどのアクティビティが楽しめます。
比較的のんびりした生活を送りたい人におすすめです。
パース(Perth)
パース(Perth)は西オーストラリア州の州都で、美しいビーチと豊かな自然に囲まれています。
他の主要都市から離れているため、独自の文化が育まれています。
穏やかな気候とフレンドリーな人々が魅力です。
アデレード(Adelaide)
アデレード(Adelaide)は南オーストラリア州の州都で、ワイン産地として有名です。
計画的に整備された街並みと、多くのフェスティバルやイベントが開催される文化的な都市です。
生活コストも比較的低く、留学先として検討する価値があります。
ホバート(Hobart)
ビクトリア州の南に位置する島がタスマニア州。 ホバート(Hobart)はタスマニア州の州都で、自然に囲まれた落ち着いた雰囲気の都市です。
美しい風景や新鮮なシーフードが楽しめ、アートや文化も盛んです。
都会の喧騒から離れて、穏やかな環境で生活したい人に適しています。
ダーウィン(Darwin)
ダーウィン(Darwin)は準州であるノーザンテリトリーの州都で、熱帯気候の影響を受ける都市です。
アボリジニ文化が色濃く残り、多文化が融合した環境が特徴です。
アジア諸国との結びつきも強く、エキゾチックな雰囲気が魅力です。
キャンベラ(Canberra)
キャンベラ(Canberra)はオーストラリアの首都であり、政治・行政の中心地です。
オーストラリア国立大学(ANU)などの有名大学があり、教育水準が高い都市としても知られています。
治安も良く、落ち着いた環境で学びたい方に適しています。
留学するならどの都市を選ぶ?
留学先を検討する際には、都市の雰囲気、物価、治安、気候などを考慮することが重要です。
以下に、上記各都市についての、「語学留学のメリット・デメリット」をまとめてみました。
シドニー
語学留学のメリット:シドニーは世界的に有名な大都市のため、大学や語学学校も多く、英語を使う機会が豊富で、様々な国籍の留学生と交流できます。
アルバイトの求人も多く、仕事を探しやすい環境です。
語学留学のデメリット:生活費や家賃が高めで、特に市内の滞在費は負担が大きくなります。
また、日本人留学生が多いため、意識して英語を使う環境を作る必要があります。
メルボルン
語学留学のメリット:メルボルンはアートや文化に触れながら学べる環境が整っており、クリエイティブな分野に興味がある人には最適です。
また、ヨーロッパの雰囲気があり、多国籍な環境で英語を学べます。
語学留学のデメリット:天候が変わりやすく、寒暖差が激しいため、気候に慣れるのに時間がかかることがあります。
また、シドニー同様、生活費はやや高めです。
ブリスベン
語学留学のメリット:ブリスベンは温暖な気候と治安の良さが魅力。
他の大都市に比べて生活費が比較的安く、穏やかな環境で学ぶことができます。
また、フレンドリーな人が多く、英語を実践的に使う機会が豊富です。
語学留学のデメリット:シドニーやメルボルンほど仕事の機会が多くなく、アルバイトを探すのに時間がかかることがあります。
ゴールドコースト
語学留学のメリット:ゴールドコーストは観光業が盛んなため、英語を使う機会が多く、アルバイトも見つけやすいです。
自然の中でのびのびと学ぶことができます。
語学留学のデメリット:観光客が多いため、留学中も誘惑が多く、勉強に集中するのが難しい場合があります。
ケアンズ
語学留学のメリット:ケアンズはリゾート環境でのびのびと学習可能。
日本人観光客が多く、比較的安心して生活できます。
観光業関連のアルバイトも豊富。
自然に囲まれた環境でリラックスしながら学べます。
語学留学のデメリット:都市部と比べると英語を話す機会が少ないこともあり、意識して英語を使わないと日本語環境になりやすいかもしれません。
パース
語学留学のメリット:パースは落ち着いた環境で集中して英語を学べるほか、自然が好きな人にとっては最適な場所です。
日本人留学生が少なめで、英語漬けの環境を作りやすいのも利点です。
語学留学のデメリット:他の都市と比べて交通の便が悪く、アルバイトの求人も少なめです。
また、大都市ほどエンターテイメントが充実していないため、都会的な生活を求める人には向かないかもしれません。
アデレード
語学留学のメリット:アデレードは生活費が比較的安く、落ち着いた環境で学ぶことができます。
語学留学のデメリット:シドニーやメルボルンほど仕事の機会が多くなく、特に飲食業のアルバイトは限られています。
ホバート
語学留学のメリット:ホバートは自然に囲まれた静かな環境で、集中して学ぶことができます。
生活費も比較的安いです。
語学留学のデメリット:都市部ほど仕事の機会が少なく、英語を使う機会を増やす努力が必要です。
ダーウィン
語学留学のメリット:ダーウィンは異文化体験ができ、特にアボリジニ文化に興味がある人には魅力的です。
英語を使う機会が多く、実践的に学べます。
語学留学のデメリット:気候が暑く湿度が高いため、慣れるまでに時間がかかることがあります。
教育機関がやや限られます。
キャンベラ
語学留学のメリット:キャンベラはオーストラリアの政治の中心で、教育レベルが高く、学問に集中しやすい環境です。
治安が良く、落ち着いた生活ができます。
語学留学のデメリット:他の都市と比べると娯楽が少なく、刺激の少ない生活になる可能性があります。
オーストラリアの都市別治安情報と安全対策
オーストラリアは比較的治安の良い国とされていますが、注意が必要なエリアも存在します。
各都市の主要な治安情報を把握し、安全に生活を送りましょう。
一般的な注意事項
注意すべきポイントとしては次のようなことが挙げられます。
スリ・置き引きに注意:観光地や繁華街ではスリや置き引きが発生することがあります。
貴重品の管理には気をつけましょう。
夜間の外出に注意:ナイトクラブやバーが多いエリアでは、深夜になると犯罪が増える傾向があります。
特に一人での夜間移動は避けるのが無難です。
詐欺やぼったくり:観光客を狙った詐欺やぼったくりに遭うことがあります。
事前に相場を確認し、安易に高額なサービスを利用しないようにしましょう。
公共交通機関の利用:バスや電車は基本的に安全ですが、夜間は人通りの少ない駅やバス停の利用を控えた方が良いでしょう。
自然環境のリスク:オーストラリアには毒を持つ動物や危険な海洋生物が生息しています。
ビーチでは警告表示を確認し、自然の中ではガイドラインに従うようにしましょう。
地域別の傾向
以下、一般的によく言われている、都市別の治安情報です。
ここに取り上げている以外にも危険な場所はありますので、あくまで一例として参考にしてください。
・シドニー
全体的に治安は安定していますが、ナイトライフが盛んなキングスクロスは過去には麻薬や暴力事件が多発していました。
現在は改善されていますが、深夜の一人歩きは避けた方が良いでしょう。
また、セントラル駅周辺などは、観光客が多いため、スリや置き引きの被害が報告されています。
特に荷物の管理には気をつけましょう。
・メルボルン
治安は比較的良好ですが、フリンダースストリート駅周辺やビーチエリアで観光客に人気のセントキルダ近辺は、ともに夜遅くの一人歩きは避けるのが無難です。
・ブリスベン
治安は比較的良好ですが、フォーティチュードバレー近辺はナイトクラブやパブが多く、夜間は酔っ払いによるトラブルが発生することがあります。
深夜の一人歩きは避けたほうが良いでしょう。
・ゴールドコースト
リゾート地として人気のある都市ですが、観光客を狙った犯罪が発生することがあります。
サーファーズパラダイスは観光客が多いため、スリや置き引きの被害が発生しやすいエリアです。
夜間はナイトクラブ周辺でのトラブルにも注意が必要です。
・ケアンズ
観光都市であり、治安は比較的良好ですが、ナイトマーケットや繁華街ではスリや置き引きが発生しやすいので、バッグは前に持つなどの対策を取りましょう。
・パース
比較的治安の良い都市ですが、夜間のノースブリッジ近辺、特に週末は注意が必要です。
・アデレード
市内中心部で夜間のスリや置き引きの被害が報告されています。
特に繁華街での飲酒後は注意しましょう。
・ホバート
オーストラリアの中でも特に治安が良い都市の一つです。
しかし、夜間の人通りの少ないエリアでの一人歩きは避けましょう。
・ダーウィン
全体的に治安は安定していますが、夜間の繁華街は酔っ払いによるトラブルが発生することがあります。
特に週末の夜は気をつけましょう。
・キャンベラ
治安は非常に良好で、犯罪発生率も低いとされています。
とはいえ、夜遅くは一人歩きは避け、タクシーを利用するのが安心です。
まとめ
オーストラリアには、多様な魅力を持つ都市が点在しており、それぞれのライフスタイルに合った都市を選ぶことが可能です。
とはいえ、特に初めての場合、やはりシドニーやメルボルンといった、超メジャー都市をおすすめします。
生活費が若干高めなものの、シドニーやメルボルンであれば、大学や大学院、語学学校もたくさんあり、選択肢が広いです。
スーパーマーケットやレストランもたくさんあります。
また、日本との行き来がしやすいというのも大きなメリットです。
まずはシドニー、あるいはメルボルンで暮らしてみて、そしてオーストラリアの生活に慣れてきたならば、留学拠点を、自分が魅力を感じた別の都市に移してみるというのもいいかもしれませんね。

◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。