みなさんは、「マレーシア」にどのようなイメージを持っているでしょうか?
日本からそれほど遠くなく、マレーシアに住んでいる日本人や、日本に住んでいるマレーシア人も多いことから、比較的身近に感じている方も多いかもしれません。
マレーシアは
留学や旅行でも人気がありますが、行く前に知っておきたいのが「宗教事情」です。マレーシアは多民族国家であり、宗教もさまざまです。
また、日常生活に宗教が根付いていることも多いため、少し注意が必要です。
そこで、今回の記事では、マレーシアの基本情報、マレーシアの宗教事情、食べ物と宗教の関係、宗教対立の現状、マレーシア留学や旅行での注意事項などを詳しくわかりやすくご紹介していきたいと思います
留学先や旅行先の候補としてマレーシアを考えている方、マレーシアの宗教事情が気になるという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
マレーシア基本情報
マレーシアという国の名前は聞いたことがあっても、「実はどんな国なのかよくわかっていない……」という方も多いかもしれません。まずは、マレーシアの基本的な情報からチェックしていきましょう!
マレーシアの地理
マレーシアは、赤道近く、東南アジア南部のマレー半島の大部分、およびボルネオ島北西部地域の東マレーシアからなる国です。
面積は約33万km2(日本の約0.9倍)であり、そのうちおよそ60%が多種の生命を育むジャングルとなっています。
ボルネオ島北部は、
世界最古の熱帯雨林
が広がっています。
気候帯としては、熱帯雨林気候に属しています。
高温多湿の南国で、年間の平均気温は約27℃です。
日本との時差はマイナス1時間です。
マレーシアの首都・主な都市
マレーシアの首都は
クアラルンプールです。
地名はクアラ(川の合流地点)、ルンプール(泥)を組み合わせたものです。
そのほか、ペナン、ジョホールバル、コタキナバル、イボーなどの有名な都市があります。
日本からマレーシアまでの行き方
成田空港・羽田空港・関西国際空港からクアラルンプール行きの直行便があるほか、シンガポールやタイ、ベトナムを経由した乗り継ぎ便もあります。
※新型コロナウイルスの影響に伴い路線・便数計画の変更の可能性がありますので、ご注意ください。
マレーシアの人口
マレーシアの人口は約3,200万人です。
公用語のマレー語のほかに、中国語、タミル語、英語などが話されています。
マレーシアは多民族国家であり、マレー系(60~70%)、中国系(約20%)、インド系(約7%)、そのほか多数の民族の人々が暮らしています。
マレーシアの宗教事情とは
先ほどからご紹介しているとおり、マレーシアは多民族国家です。多様な国民がいることは、宗教の多様性にも反映されています。
マレーシアの国教はイスラム教
マレーシアの国教は
イスラム教
であり、マレーシアの人口の約60%がイスラム教徒だとされています。
イスラム教というと、中東などのイメージがあり、東南アジアでは仏教などのイメージが強いかと思います。
しかし、マレーシアの国教はイスラム教。
これには、マレー半島の歴史が関係しています。
マレー半島では、15世紀にマラッカ王国が成立しました。
アジア交易の中心地として栄え、商人であるアラブやインドのイスラム教徒が多く訪れたことにより、マラッカ王国はイスラム教の国になりました。
そのほかの宗教もマレーシアの歴史に由来している
マレーシアでは、宗教の自由が認められており、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教、儒教・道教、シーク教、アニミズム(土着宗教)などが信仰されています。
キリスト教は、1511年にポルトガルが支配し、1641年にオランダ、1786年にイギリスが領有したことで広まりました。
また、植民地時代(主に19世紀)には、労働力として中国系やインド系の人々が移り住むようになり、仏教やヒンドゥー教が広まりました。
マレーシアには宗教に関連する休日も多い
マレーシアの休日は、宗教に関連するものも多いです。
それぞれの宗教の開祖の生誕日は休日ですし、それぞれの宗教や暦の正月も休日扱いになります。
マレーシアの食べ物と宗教
マレーシアでは、普段の生活で食べる料理にも宗教が大きく関係しています。日本とは異なる食文化も多いため、あらかじめチェックしておきましょう!
イスラム教の教えに則した「ハラル料理」が根付いている
ハラル料理とは、
イスラム教の教えに則したものです。
ハラルには「許された」という意味があります。
野菜・魚・果物・卵・牛乳・決まった方法で処理した肉などが使用されます。
なお、豚肉(イスラム教において不浄とされています)やアルコールは許されていないものとされ、食べることはありません。
そのほかの宗教と食べ物
ヒンドゥー教では、牛が神聖な動物とされているため、食べることはしません。
仏教の一部においても、牛を食べることがタブーの場合があります。
なお、仏教徒の中華系マレーシア人が営む中華レストランでは、お酒や肉を楽しむことができます。
ちなみに、宗教に関係なく、チキン(鶏肉)とラム(子羊)は食べられています。
しかし、イスラム教の人々は、ハラル認証されたもののみとなります。
宗教対立の現状
マレーシアでは人々がお互いの宗教を尊重して生活していますが、宗教対立の現状も知っておきましょう。
2013年、マレーシアの裁判所は、表記「Allah」の公的使用はイスラム教に限るべき(中華系キリスト教者たちがキリストをマレー語で表すために「Allah」という言葉を使用することを禁じる)という判決を出しました。
マレー語における「神」を表す単語がアラビア語からの借用語、「Allah」であり、聖書で「Allah」という言葉をキリスト教の神を示すものとして使用していたという背景がありました。
しかし、ムスリムのなかには、キリスト教徒が「Allah」の表現を公的に使用することを認めれば、キリスト教布教活動の助長につながるという懸念もありました。
マレーシア留学や旅行での注意事項
最後に、マレーシア留学や旅行での注意事項をいくつかご紹介します。いずれも、知っておかないと無用なトラブルを招きかねませんので、ぜひ渡航前にチェックしておきましょう!
寺院の見学
多様な宗教があるマレーシアでは、モスク、中国寺院、ヒンズー寺院などがあります。
いずれも神聖な場であるため、肌をあまり露出しない服装を心がけましょう(ノースリーブやミニスカートは避けましょう)。
とくに、モスクは注意が必要です。
多くのモスクがあり、観光スポットにもなっていますが、女性は髪と手足を覆うスカーフやガウンの着用が必須です。
男性の場合も、タンクトップやハーフパンツなどを着ている場合は、ガウンの着用が求められます(男性の場合、サングラスや帽子をつけて寺院へ入ることも避けましょう)。
なお、モスクの入り口で観光用のガウンやローブ、スカーフを貸し出しているため、わざわざ日本から用意して持って行く必要はないでしょう。
服装以外にも、大きな声を出さないなどの基本的なマナーは守りましょう。
祈りの時間は電話や訪問を避ける
日没から夕方の祈りの時間が始まるため、日没から約1時間は、電話をかけたり訪問したりするのはできるだけ避けた方が良いです。
また、イスラム教徒を夜ごはんなどに招待する場合は、開始時間に気を配りましょう。
頭を撫でない
イスラム教やヒンドゥー教では、頭に触ることはタブーとされています。
かわいい子どもなどがいても、頭を撫でないようにしましょう。
握手や食事は右手を使う
イスラム教において、左手は不浄とされています。
そのため、握手をしたり、食事をしたり、物の受け渡しをするときは、右手を使いましょう。
指のさし方
方向を指し示したり、人や物をさしたりする際に、指を指すことがあると思いますが、マレーシアでは、人差し指を使ってさすのは失礼だとされています。
代わりに、親指で指します。
右手をグーのように握り、そのまま親指だけを伸ばすイメージです。
握手のマナー
男性が初対面の女性に握手を求めるのはタブーとされています。
男性は、初対面の女性が自発的に握手を求めてきたら応じる程度にしてください。
また、マレーシアを訪れた日本人女性が現地の男性に握手を求めた場合、「自分に気があるのか?」と勘違いされる可能性があるので、やめましょう。
なお、同性同士の場合でも、がっちりと握手をするのではなく、指先で軽く握手をしたあとに、その手で自分の左胸に軽く触れるという方法で行います。
まとめ
今回の記事では、日本からもそれほど遠くなく、留学や旅行の渡航先としても常に人気が高いマレーシアの宗教事情についてご紹介していきました。
またあわせて、マレーシアの基本情報、マレーシアにおける食べ物と宗教の関係、宗教対立の現状、マレーシア留学や旅行での注意事項などについてもわかりやすく解説していきました。
記事のなかでもご紹介したとおり、マレーシアは多様な文化的・宗教的背景を持った人たちが暮らす多民族国家です。
無用なトラブルを起こさないため、また快適に滞在するために、宗教上で気をつけるべきことはたくさんあります。
ぜひ、この記事でご紹介した内容を参考にしてみてくださいね。
また、ご紹介したマレーシアの宗教事情について、「もっと詳しく知りたい」「ネイティブの意見を聞いてみたい」と思った方は、ぜひネイティブキャンプのオンライン英会話レッスンを試してみてください!レッスンでは、ネイティブ講師とマンツーマンで話すことができます。
マレーシア出身の講師であれば、よりリアルな現地情報を聞くこともできます。ぜひ、みなさんの英語学習や渡航前の準備にレッスンをフル活用してくださいね。

◇経歴
新卒入社した会社ではオーストラリア人上司のもと働いた経験があります。
海外クライアントとのメールや電話でのやりとりは日常茶飯事でした。
現在はWebライターのほか、英日翻訳者としても仕事をしています。
◇資格
TOEIC、TOEFL、IELTSなどの受験経験あり
◇留学経験
学生時代、イギリスのハル大学に1か月半語学留学をしました。
◇海外渡航経験
学生時代にイギリス留学を経験したほか、アジアを中心にさまざまな国に旅行に行ったり、フィールドワークをしたりしました。
フィールドワークでは英語を使ってインタビューをした経験もあります。
2019年よりイギリス在住で、現在は毎日英語を使っています。
◇自己紹介
子どものころはアメリカ人の先生の英会話教室に通い、大学ではイギリス留学を経験、新卒入社した会社ではオーストラリア人上司を持つなど、英語とは色々な接点を持ってきました。
英語はもっぱらリーディングが得意で、毎日洋書を読んでいます。大学で経験したイギリス留学では、語学クラスでさまざまな国の留学生と交流しました。また、英語で大学の歴史の講義を受けたり、現地の小学校でのボランティア活動も行いました。
よろしくお願いします!