近年、海外留学先として注目されるカナダ。
教育のレベルが高いことで知られるこの国には、世界大学ランキングに名を連ねる大学が数多く存在します。
その中でも、特に輝かしい歴史と実績を持つのが
マギル大学です。
本記事では、マギル大学の基本情報、レベル、入学条件などについてご紹介します。
カナダ国内でも屈指の名門大学とされるマギル大学には、日本でどの程度の学力が求められるのでしょうか。
また、フランス語圏であるモントリオールに位置することから、フランス語の必要性についても気になるところです。
マギル大学への留学を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
マギル大学の基本情報
・マギル大学の概要
1821年にケベック州モントリオールで設立されたマギル大学は、
カナダ最古の公立大学の一つであり、その名は創立者ジェームズ・マギル氏の遺産に由来します。
アイスホッケーを発明し初めての試合を開催、医学部や法学部といったカナダ初の学部設立をはじめ、10名のノーベル賞受賞者を輩出するなど、その功績は多岐にわたります。
また、学生の約30パーセントが150か国以上からの留学生で占められているなど、国際性豊かな環境も大きな魅力です。
・マギル大学の場所
・メインキャンパス
845 rue Sherbrooke Ouest Montreal, QC, H3A 2T7 Canada
・マクドナルドキャンパス
21111 Lakeshore Sainte-Anne-de-Bellevue, QC H9X 3V9 Canada
マギル大学は、ケベック州最大の街であるモントリオールにあります。
大学のメインキャンパスは市内の中心地にあり、美しい建築や広大な緑地に囲まれ、落ち着いた学習環境が魅力です。
メインキャンパスからダウンタウンまでは徒歩10分程度で、バスや地下鉄も利用しやすく、交通の便が良いのも特徴です。
農業環境科学コースなどがあるマクドナルドキャンパスへはシャトルバスが運行しています。
モントリオールは、他のカナダの都市に比べて家賃が安く、イベントが豊富で、多くの飲食店が集まる街としても人気です。
2025年の「QS Best Student Cities」ランキングでは、学生にとって住みやすい街としてカナダ国内1位に選ばれています。
・マギル大学の学生数 39,920名 (2024年秋 現在)
Undergraduate students 学部生 | 27,737 |
Graduate students 大学院生 | 10,072 |
Postdoctoral scholars 博士課程卒業後の研究員 | 613 |
Residents and fellows 研修医・フェロー | 1,498 |
・マギル大学の留学生比率
学生全体の30%がカナダ国外からの留学生であり、これはカナダの大学の中でもトロント大学、ブリティッシュコロンビア大学などと並んで高い割合です。
また、学生の48%がケベック州出身、22%がカナダ国内の他州からきているため、多文化的な交流が盛んな環境が整っています。
日本出身の学生さんは、高校卒業後に入学したり、日本の大学から交換留学、語学留学をする方がいるようです。
・英語とフランス語のバイリンガル環境
マギル大学では、授業は英語で行われていますが、フランス語を使える学生も多く在籍しています。
学生の48%が英語を母語とし、20%はフランス語、残りの32%はその他の言語を母語としています。(undergrad-viewbook-2025より)
・マギル大学の学部
マギル大学は、
の11の主要学部を擁し、 300以上のプログラムを提供しています。
2.マギル大学のレベルは?
マギル大学は、世界大学ランキングで常にトップクラスにランクインしている、カナダを代表する名門大学です。
2025年のTimes Higher Education世界大学ランキングでは、カナダ国内で第3位、世界ランキングでもトップ50に名を連ねています。
特に、医学、法学の分野で高く評価されており、研究成果の質と教育水準の高さが注目されています。
日本では、大学の難易度は偏差値をもとに予測されますが、カナダの大学入試では、高校での成績、英語力のテストなどが出願で使用され、難易度の目安となります。
世界大学ランキングの高い大学は人気があり、優秀な学生が集まるため、マギル大学は競争率が高く、レベルの高い大学といえるでしょう。
・先進的な研究成果
マギル大学は、革新的な研究の拠点としても知られています。
人口血球やアクリル樹脂の発明は、医療や素材科学における重要な革新として評価されています。
近年では、RNAの研究や遺伝学の分野でも注目を集めており、未来の技術を切り拓く大学として期待されています。
・卒業生
マギル大学の卒業生には、現在のカナダ首相ジャスティン・トルドー氏、バスケットボールの発明者ジェームズ・ナイスミス氏、神経科学分野でノーベル生理学・医学賞を受賞したジョン・オキーフ氏などがいます。
これらの卒業生たちは、マギル大学の教育が幅広い分野で活躍する人材を輩出していることを示しています。
3.マギル大学への入学条件は?
マギル大学の学部課程に進学するための基本的な条件は以下の通りです。
・学部 Arts (文学部) の場合
-英語能力証明
IELTS (Academic) | オーバーオールスコア6.5以上、各セクションスコア6.0以上。 |
TOEFL (iBT) | 90 リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの各セクションで21点以上 |
*上記以外にも認められる試験がありますので、詳細はマギル大学公式ウェブサイトをご確認ください。
*英語能力証明のスコアを持っていない場合、マギル大学のSchool of Continuing Studiesが提供する語学プログラムを修了して取得できるMcGill Certificate of Proficiency in English も証明として認められるプログラムがあります。
School of Continuing Studiesの詳細や入学手続きについては、マギル大学のSchool of Continuing Studiesの公式ウェブサイトをご確認ください。
参考:マギル大学 School of Continuing Studies 公式ウェブサイト
-高校の成績
平均 B+ 以上であること
カナダ国外の高等学校の成績水準は、カナダの成績評価基準と異なるためか、マギル大学側は明確にウェブサイトに条件を記載していません。
あらかじめご自身の成績表を確認し、 GPAに換算するなどして、入学基準を満たせるか確認しておいた方がよいでしょう。
また、希望する学部によっては(工学部や建築、経営学など)、高校で数学など特定科目の履修が必須になる場合があります。
さらに、学部によっては志望理由書なども必要になりますので、学びたい学部の要件を早めによく確認することが大切です。
なお、大学院の場合は、英語能力証明書と大学卒業証明、専攻によって志望理由書、論文サンプル、申請書、履歴書などの提出も求められます。
大学院へ出願予定の方は、希望する専攻の要件をよく確認しましょう。
4.マギル大学へ留学するためには?
マギル大学への留学は、語学力、学業成績、そしてご自身の目標に応じた計画が大切です。ここでは学部課程を中心に、語学プログラム、大学院課程、カレッジなどからの編入まで、各ルートについて解説します。
1.学部課程
・出願時期
マギル大学の出願締切日は、入学希望時期や学部によって異なります。
一般的に、秋学期(9月入学)の場合、
出願書類の提出締切は1月半ば、追加書類の提出締切は3月上旬となっています。
ただし、学部によって異なるため、最新の情報は必ずマギル大学の公式ウェブサイトでご確認ください。
・手続き
1.オンライン出願
マギル大学の公式ウェブサイトからオンライン出願フォームにアクセスし、必要情報を入力します。
2.書類の提出
出願後、指定された期限までに以下の必要書類を提出します。
・高校の成績証明書(High school transcript):高等学校の成績証明書(原本・英訳)を提出します。
・英語能力証明書(Proof of English proficiency):TOEFLやIELTSのスコアを提出します。一部のプログラムでは、マギル大学 School of Continuing Studiesが提供する英語プログラムの修了証明書も受け入れられます。
・受験料
・追加資料(Additional supporting documents)教育、音楽学、看護、宗教学、ソーシャルワークなどのプログラムに出願する場合、フランス語能力証明書、推薦状などの追加書類が必要となる場合があります。希望する学部の要件を事前にご確認ください。
2.大学院課程
大学院課程では、出願時に以下が重要な基準となります。
・大学院での研究で選択した分野に密接に関連する分野での学士号(またはマギル大学が認める同等の学位)を有すること。
・GPAは4.0点満点中3.0点、またはフルタイムの学習の最後の2年間の成績平均点が4.0点満点中3.2点。
・大学の成績証明書(英または仏語訳付)、推薦状(英または仏語)、その他プログラム要件に応じた研究計画書等の書類
・英語能力試験のスコア
例:TOEFL iBTオーバーオール86点、各セクション20以上、IELTS(Academic) バンドスコア 6.5以上
参考:マギル大学 Future Graduate Students
3.カレッジからの編入
マギル大学のウェブサイトによると、多くの学部では、編入は、現在の空き状況に応じて例外的に考慮されることが多いと記載があります。
出願時には、過去の成績や、マギル大学で履修したいプログラムの要件に合致した学習を終えており、その成績が優れていることを確認される場合があります。
なお、入学基準は内部の空き状況に応じて年ごとに大幅に変わる可能性もありますので、最新の情報をよく確認し、検討することが重要です。
4.語学プログラム(マギル大学付属語学学校)
語学留学を希望する学生や、英語力が入学条件基準を満たさない学生などに向けて、以下のプログラムが提供されています。詳細はウェブサイトをご確認ください。
・English Language and Culture:
6週間、昼間にキャンパスで開催、週24時間程度
・English for Professional Communication:
13週間、昼間にキャンパスで開催、全10コースで各コース3時間程度
5.その他
マギル大学への留学を検討する際、費用や生活費の見積もりは重要な要素です。
ここでは、学部課程を参考として、学費、生活費、奨学金について紹介します。
・学費
年間の学費は学部によって異なります。
多くのカナダの大学では、授業料は国内学生(Domestic)と留学生(International)の2種類に分けられています。
しかし、マギル大学では、ケベック居住者(Quebec)、ケベック外居住カナダ人(non-Quebec Canadian)、留学生(International)に分けられています。
留学生は最も高い授業料が適用されます。専攻によりますが、年間30,000カナダドルから67,000カナダドルと幅広い金額設定です。
・生活費
マギル大学のコスト計算機によると、以下の通りです。
キャンパス内(大学寮) | キャンパス外 | |
家賃 | $8,148 - $13,052 (宿泊施設の種類と滞在期間によって異なります) |
$6,000- $15,600 (12か月賃貸での見積もり) |
食費 | $5,475 | $ 2,600 - $ 4,500 |
合計 | $13,623 - $ 18,527 | $ 8,600 - $ 20,100 |
学費が67,000カナダドルで、キャンパス外に住んだ場合(20,100カナダドル)、年間費用はおよそ87,100カナダドル(約9,232,600円)です。*1カナダドルは106円で計算しています。
・奨学金
マギル大学では、留学生が学業を全うできるよう、1年間3,000ドル相当が支給される新入生向けのマギル奨学金や、ローン及び助成金、学費支払い延期など、経済支援策を提供しています。
また、各学部が独自に設けている奨学金プログラムもあります。
参考:マギル大学 Scholarships and Student Aid
・留学準備
語学学習
マギル大学では主に英語で授業が行われますが、モントリオールはフランス語圏でもあるため、英語とフランス語の両方を準備できると、コミュニケーションをとれる可能性も高まり、より充実した留学生活が送れるでしょう。
英語力の強化は、 まず入学基準を満たすためのTOEFLやIELTSスコアを目指した学習を計画的に進めることが望ましいです。
出願時期から計算し、いつまでに目標スコアを取得したいかを決めて学習をすすめましょう。
カナダでは駅や建物内の表記が英語とフランス語で書かれていることが多いです。
まずはフランス語の単語を知ったり、読めるところから始めると、留学先で新しい気づきがあるかもしれません。語学アプリ等から学習をはじめてみるのはいかがでしょうか。
・事前オリエンテーション等
マギル大学では、新入生や留学生向けに事前オリエンテーションが実施されており、現地到着前に役立つ留学情報や、学生生活サポートを提供しています。
オンラインセッションは入学2か月程度前から開催されており、キャンパスライフ、学業サポート、住居探しに関する情報を提供しています。また、ウェブサイト内でもビザ申請等の手続きがわかりやすく解説されています。
到着後には、キャンパスでのオリエンテーションも開催されています。
その中では学生生活に関する情報を中心に、現地の先輩学生とペアになって、キャンパスライフや学業についてのアドバイスをもらえるメンターシップ制度の紹介や、コミュニティ活動の案内もあります。
まとめ
マギル大学は、カナダの名門大学として、世界中の学生に多彩な学びを提供しています。
高い教育水準と国際性豊かな環境、充実したサポートが魅力です。語学力の強化や事前準備を計画的に行うことで、留学生活を実現することができます。
この記事が、マギル大学への留学計画を建てる際の参考になれば嬉しいです。新しい学びと経験を通じて、自分らしい未来を見つけに行きましょう!