「イギリス料理ってまずいの?」
「イギリス料理は味がしないってほんと?」
このようにイギリス料理は美味しくないと聞いた事がある人もいるのではないでしょうか。
そういわれる背景にはイギリスの歴史が関係しています。また、イギリス料理自体がまずいわけではなく、美味しい伝統的な料理も数多く存在するのです。
今回は、イギリス在住経験のある筆者がイギリス料理の歴史や特徴、代表的な料理などを紹介します。
イギリス料理の歴史
イギリスの食文化は、17世紀に起きたピューリタン革命と呼ばれる市民革命から変化していったとされています。革命により表舞台に立った支配階層が質素な食事を美徳としていたことで、質素な食文化が社会に浸透していったのです。
そして18世紀、生産活動の中心が農業から工業へ移った産業革命がさらに大きな影響を与えたといわれています。この時代には男性だけでなく女性や子供も働かなければならなかったため、料理に時間や手間をかけられませんでした。
そのため、手をかける料理よりも満腹になることが重視されていました。また、当時は衛生的に良くない環境だったため、過剰に殺菌して加熱する料理法が広まっていったのです。
このように時間や手間をかけない食文化が浸透したことで、イギリスでは平日は質素な食事をして週末は豪華な食事を楽しんでいます。日曜日のお昼に食べられるサンデーローストと呼ばれる肉料理は特に大切にされている食文化ですよ。パブに行ったりして食事を楽しむ人も多くいます。
イギリスの食文化と伝統料理
ここでは、イギリス料理の特徴と伝統料理を5つ紹介します。
イギリス料理の特徴
イギリス料理は、シンプルで薄めの味付けなのが特徴です。茹でるだけ、焼くだけなど簡単に調理できる料理が多くあります。
また、野菜を茹ですぎたり肉を焼きすぎたりと過剰に調理する傾向があり、これが「まずい」といわれる理由の一つだといわれているのです。
料理の味付けはあえて薄め。食べる人が自分の好きなように塩や胡椒、ソースをかけて自分好みの味にして食べるのが一般的だからです。
イギリス料理は今でも「まずい」といわれますが、イギリス料理がすべてまずいわけではありません。日本においてもイギリス料理の展覧会などが開かれるほど、美味しいものもたくさんありますよ。
ここからは、有名な伝統料理5選を紹介していきます。
フィッシュ&チップス
フィッシュ&チップスは、衣をつけて揚げた魚にフライドポテトを合わせた料理。 魚はおもにタラやモンツキダラが使われることが多いですよ。
フィッシュ&チップスは、価格が安く栄養があり、短時間で食べられるとして産業革命中のロンドンで広まったとされています。パブの定番メニューとして知られており、ほかにもスーパーの冷凍食品や家庭料理としても人気です。多くのイギリス人は、フライにビネガーと塩をたくさんかけて食べますよ。
また、内陸のロンドンよりも、ブライトンやボーンマスといった海辺の都市のものの方が魚に脂がのっているので美味しいです。
ローストビーフ
日本でもよく知られているローストビーフは牛肉の塊を蒸し焼きにして薄く切ったものを並べた料理です。
昔イギリス貴族の間では、日曜日に牛1頭を丸ごとさばいてローストビーフを作り、平日にそれを食べ続け、また日曜日が来ると新しいものを作る習慣がありました。これにより、現代のイギリス人の生活にローストビーフが根付いていったといわれています。
イギリスのローストビーフは、シュークリームの皮のようなヨークシャープディングとマッシュポテトを添えて、グレイビーソースとともに食べられるのが一般的です。家庭料理としてもよく作られます。
スコッチエッグ
スコッチエッグは、スパイスを効かせた牛ひき肉でゆで卵を包み、パン粉を付けて揚げた料理です。「カットされた」を意味する「scotched」が由来とされています。
世界的に知られるイギリスの紅茶ブランド「フォートナム&メイソン」が、1738年に旅行者向けに持ち運びやすい料理として発明したことで国中に伝わり、「英国最高のつまみ」といわれるほどの国民食となっていきました。
スコッチエッグは肉屋やスーパーで簡単に手に入ります。ボリュームのある料理として家庭でもよく作られますよ。
シェパーズパイ
シェパーズパイは、ミートソースに野菜を混ぜたものをジャガイモで作ったパイ皮で包んで焼いた料理です。別名「羊飼いのパイ」といわれており、昔イギリスの農村で「シェパード」と呼ばれる羊飼いが作ったことが起源だとされています。
日本でいうミートパイのようなもので、日本人の口にも合うといわれていますよ。似た料理に「コテージパイ」というものがあります。コテージパイは牛ひき肉を使い、シェパーズパイはラムひき肉を使うという違いがありますよ。
イギリスではどちらも人気で、レストランのメイン料理でもよく見かけます。
イングリッシュブレックファスト
イングリッシュブレックファストは、イギリスの伝統的な朝食のことです。ハッシュドポテト、ソーセージ、焼きトマト、卵、ベーコン、ブラッド・プディング、マッシュルーム、ビーンズ、揚げた食パンなどが乗ったボリューム満点の料理として知られています。
イングリッシュブレックファストは、産業革命の時代に腹持ちの良い朝食として労働者階級の中で広まりました。現代でもホテルでの朝食や、家庭の休日の朝食などに出されます。
特に多くのホテルでは、一般的なコンチネンタルスタイルかイングリッシュブレックファストかを選択できますよ。
イギリス料理の国際的展開
イギリス料理は国際的な広がりを見せています。たとえば、スコットランド生まれのゴードン・ラムジー(Gordon Ramsay)はその代表格。
ゴードンは、世界でも屈指の知名度と影響力の大きさを誇るシェフで、現在は欧米やアジア各国でレストランを経営し、ロンドンやフランスの高級レストランで7つのミシュランを獲得しています。
このように、他の国々で知識やスキルを習得したイギリス人のシェフが、見た目も良く美味しいイギリス料理を作るようになってきたのです。
イギリス人の料理に対する意識も高まっており、料理を扱うテレビ番組も増えたといわれています。日本のテレビにおいても、イギリスの料理コンテスト番組である「ブリティッシュベイクオフ」が放送されていました。
このように、イギリス料理はグローバル化が進む中でどんどん世界に進出しているのです。
イギリス料理のデザートとその魅力
ここでは、イギリスのデザートの特徴やおすすめのデザートを紹介していきます。
イギリスのデザートは、日本のものと比べるとサイズが大きく甘みが強いのが特徴です。
たとえばケーキに関して、日本では口当たりが軽く繊細な味わいであるものが多いですよね。一方、イギリスのケーキは、砂糖がシャリッというほどたっぷりと入っており、そこに固めの濃厚なクリームが塗られている満足感のある一品です。
また調理にも特徴があり、隣国のフランスのお菓子は泡立て器を使用して空気を含ませるのが主流なのに対して、イギリスのお菓子は木べらのみで作るのが一般的です。そのため、ずっしりと重みを感じる食感になります。
スコーン
スコーンは、日本でも有名なイギリスを代表するスイーツです。小麦粉やバター、砂糖、ベーキングパウダーなどで作られる焼き菓子となっています。
スコーンは、16世紀にスコットランドで庶民が食べていた硬いパン菓子「バンノック」が起源。スコットランドの歴代の国王の戴冠式に使用された「The Stone of Scone(運命の石)」が名前の由来ともいわれています。
イギリスのスコーンは、表面はサクっと噛むとホロっと崩れるような食感が特徴です。生地にバターや砂糖がたっぷり含まれているので、スコーン単体で食べても美味しいですよ。イギリスでは、ジャムやクロテッドクリームを付けて紅茶とともに楽しむのが定番となっています。
ヴィクトリアケーキ
ヴィクトリアケーキは、スポンジケーキにジャムを挟んだシンプルなケーキです。19世紀に誕生した伝統的なスポンジケーキで、ヴィクトリア女王のお茶会で人気であったことからこの名前がつけられました。
ヴィクトリアケーキは、バター、砂糖、卵、小麦粉というシンプルな材料で作られる素朴な味わいが特徴。日本の軽い食感のスポンジケーキとは異なり、ずっしりとした食感と濃厚なバターの風味が魅力的です。イギリスではアフタヌーンティーでよく出されたり、家庭のおやつとして作られたりします。
クリスマスプディング
クリスマスプディングは、イギリスの伝統的なクリスマスケーキです。
クリスマスプディングは、生パン粉と小麦粉、砂糖、卵、ブランデーに浸けたドライフルーツ、ナッツ、ミンスミートと呼ばれる牛脂、スパイス、ラム酒などの材料を混ぜ合わせ、オーブンで焼き上げたもの。
日本のスポンジケーキで作られる一般的なクリスマスケーキとは見た目も材料も大きく異なります。そして、食べる際にブランデーなどのフランベをかけて食べるのが一般的です。
クリスマスプディングは時間をおくほど美味しくなるといわれており長持ちもするため、クリスマスに次の年のプディングを作る家庭も。クリスマスが近づくと、スーパーでもよく売られていますよ。
まとめ
今回は、イギリス料理の歴史や特徴、おすすめの伝統料理を詳しく紹介しました。イギリス料理はまずいといわれているものの、美味しい料理も数多く存在します。
イギリスへ旅行する方は、ぜひこの記事を参考に気になる伝統料理を食べてみてください。
◇経歴(英語を使用した経歴)
英語科高校卒
国際系学部卒
アメリカ留学中に現地企業にてインターンシップ経験
◇英語に関する資格(資格、点数など)
・TOEIC895点
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容(仕事、留学、旅行など)
留学→アメリカ、オーストラリア
旅行→イギリス、イタリア、ベルギー、カナダ、スイス、オランダ、ドイツ、フランスなど
◇自己紹介
英語学習記事を執筆するWebライターです。
青年時代のイギリス在住をきっかけに英語に目覚め、高校・大学とともに国際系学科へ進学しました。
個人的にイギリス英語が好きで、ネイティブのように話せるよう日々学習中です。
皆さまに分かりやすい!興味深い!と思っていただけるような記事をつくっていきます。どうぞよろしくお願いします。