
海外留学で人気の国イギリス。短期や長期留学だけでなく、イギリスの大学で学位を取得したいという人も多くいます。
ところが、日本の大学の仕組みとはかなり異なります。
イギリスの大学留学は、原則3年制で教養課程がなく、入学直後から専門分野を深く学べるのが最大の特徴です。
また、日本の高校を卒業して留学する場合、多くの人は「ファウンデーションコース(進学準備コース)」を経由する必要があり、学費も留学生価格となるため資金計画が必要です。
そこでこの記事では、イギリスの大学の特徴や世界大学ランキングの常連トップユニからおすすめの大学まで、某イギリス大学現役2年生の息子を持つ筆者が知っておきたい「まとめ解説」をお届けします。
イギリス大学進学を考えている方はどうぞお役立てください。
- イギリスの大学の特徴は?
- 日本人がイギリスの大学に留学するには?
- イギリス留学にかかる費用と奨学金
- イギリスの大学ランキングと選び方
- 留学にもおすすめのイギリスの3大学
- イギリスでの大学生活と卒業後の進路
- イギリスの大学院留学の特徴は?
- まとめ
イギリスの大学の特徴は?
イギリスの大学は、入学初年度から専門課程が始まり、イングランドでは通常3年で学位(学士)が取得できます。
なぜなら、イギリスの教育制度は教養課程を省き、早期から専門性を高めるカリキュラムになっているためです。
大学の英語はuniversity、そこでイギリスでは大学のことをユニと省略し、大学生のことをユニstudentと呼んだりします。
まずは、イギリスの大学の特徴について紹介しましょう。
イギリス大学はほぼ国公立
イギリスの大学は、ほぼ国公立で国からの資金で運営されています。
また大学数も日本に比べ少なく、イギリス全土でも約160校ほどしかありません。
課題の数もそれに費やす時間も多く、高いリサーチ力を求められたり、グループワークでプレゼンをしたりという点も日本の大学と違う点です。
イギリスの大学では世界から様々なナショナリティの学生が学んでいることを発見するでしょう。
学士課程は原則3年制で集中して学ぶ
イギリスの大学を卒業した学生に授与される学士(Bachelor’s degree)の取得は、基本的に3年制です。
日本の大学は4年制が一般的ですが、イギリスでは高校卒業までの期間(Aレベルなど)ですでに専門知識の基礎を固めているとみなされます。
そのため、大学では即座に専門分野の講義や研究に入ります。
しかし、スコットランドの大学や、イングランドの大学によってもその専攻によって4年制をとっていることがありますし、医学部は5年制または6年制です。
ちなみに3年制は英語で3-Year Bachelor’s degreeになります。また、大学院での修士課程は基本1年です。
入学直後から専門課程がスタートする
イギリスでは、大学入学の1年目から一般教養の課程なしで専門分野の学習がスタートします。
大学進学を決めた16〜18歳は、The Sixth form(シックスフォーム)と呼ばれる2年間で、専門科目を3科目に絞って学習し、受験の準備をします。
例えば息子の場合は、物理・数学・経済でした。大学で学びたい学部に関係するものを選び、2年間専門的に勉強します。
このような仕組みのため、大学進学の1年目から専門授業がはじまり、また、それについていく力が求められます。
日本とは異なる偏差値と入学基準
イギリスの大学には日本のような「偏差値」という概念はありません。
大学の合否は、統一試験の点数だけで決まるのではなく、書類選考やこれまでの成績(グレード)で判断されます。
| 項目 | 日本の大学入試 | イギリスの大学入試 |
|---|---|---|
| 学力指標 | 偏差値、共通テスト | Aレベル、IB、GPAなど |
| 選考基準 | ペーパーテストの点数重視 | 成績、志望動機書、推薦状 |
| 出願方法 | 各大学へ個別出願 | UCASを通じた一括出願 |
日本人がイギリスの大学に留学するには?
日本の高校を卒業した学生は、まず約1年間の「ファウンデーションコース」を経て大学に入学するのが一般的です。
日本とイギリスでは教育システムが異なるため、日本の高卒資格だけでは直接イギリスの大学入学資格を満たさないケースがほとんどだからです。
これ以外にも、イギリスの高校生と同じ「Aレベル(GCE A-levels)」の試験を受ける、あるいは、「日本からオンラインで受講できるオープン大学を利用する」といった方法もあります。
ファウンデーションコースを経て進学する
日本の高校卒業生は、イギリスの大学入学に必要なAレベルを取得していなければ、まず1年間は大学学部準備コース(ファウンデーションコース)を経て大学へ進学するのが一般的です。
このコースの成績によって提携大学への進学が決まります。
現地学生と同じ「Aレベル」で受験する
大学受験のための試験は「Aレベル」と呼ばれます。A*を最高マークにA/B/C/D/Eの6段階評価です。
志望大学のコースでAAAのグレードが求められる場合、Six-th form 1年目に実施される模擬試験でこのグレードを取得しなければいけません。
まず、受験のための模擬試験で必要なグレードを獲得、2年目の5月~6月にある本番のAレベル試験でグレードを確かに得ることができれば合格というシステムです。
Aレベルは実際には国際資格です。このため、海外大学への進学にもチャレンジすることが容易になります。
日本では共通テストを受験しますが、それとはかなり違いがあることをまず知っておきましょう。
出願はオンラインシステム「UCAS」を利用
イギリスの大学出願から合否の確認まで、すべてオンラインの一括管理システム「UCAS」を通して行います。
UCASとはUniversities and Colleges Admissions Serviceの略で、このシステム上から大学の学部情報を得たり、志望大学の出願、そして結果まで得ることになります。
以下、UCASのinternational studentのためのページです。ヴィザを含む留学方法など情報が載っていますので、一度ご覧になってみてくださいね。
参考:International students|UCAS
通信制の「オープン大学」なら日本人も学びやすい
渡航せずに日本にいながら、イギリスの学位を取得できる通信制大学もあります。
「The Open University(オープン大学)」はイギリス公立大学で、通信制を専門としています。
入学に学歴や資格の要件がなく、英語力さえ満たしていれば日本にいながらイギリスの正式な学士・修士号を取得可能です。
学習方法は、録画やオンライン教材、ウェブセミナーなどが組み合わせられています。学費も通学制に比べて抑えられています。
働きながら自分のペースで学習を進められる点も大きな魅力です。
イギリス留学にかかる費用と奨学金
イギリスでは、留学生(International Student)の学費は、イギリス人学生(Home Student)の約3倍に設定されています。
ロンドンなど、イングランド内の大学は年間9,535ポンド、日本円にすると約190万円ですので、約3倍となると年間570万円前後になります。(2025年現在)
さらに、物価の高いイギリスでの生活費も考慮する必要があります。
イギリスの大学留学における奨学金には、「日本学生支援機構(JASSO)」や、「ブリティッシュ・カウンシル日本協会(BCJA)英国留学奨学金」などがあります。審査がありますので、最新の情報を確認しましょう。
参考:海外留学のための奨学金|日本学生支援機構
2025年度BCJA奨学生募集要項|BCJA.net
イギリスの大学ランキングと選び方
イギリスの大学選びでは、大学全体の知名度だけでなく「科目別ランキング」や「ラッセルグループ」への所属かを確認しましょう。
イギリスでは、「どこの大学を出たか」以上に「どの大学で何を専攻して学んだか」がキャリアに影響します。
グレードの高いイギリスの大学
イギリスでは日本でいう偏差値という学力指標はありません。代わりに、グレード(grade)があります。
World University Rankingsという世界大学ランキングを発表するサイトがあります。
2026年のものが出ているので、イギリスの大学が世界50位まででどのような位置に入っているかみてみます。
日本では第26位に東京大学がランクインしています。
参考:“World University Rankings 2026”|Times Higher Education
また、University League Tables 2026というサイトも紹介します。
英国国内の大学ランキングの一つですので、ご興味のある大学がどの位置にいるのかご確認ください。
参考:University League Tables 2026|Complete University Guide
名門大学群「ラッセルグループ」
ラッセルグループ(The Russell Group)とは、イギリスの著名な国立の研究型大学24校で構成されたグループです。
アメリカの「アイビーリーグ」のような存在で、オックスフォード大学やケンブリッジ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどが含まれます。
研究の質が高く、企業からの評価も安定しているため、進路を選ぶ際の一つの目安になります。
24校については以下のリンクをご覧ください。
参考:The Russell Group Our universities
そのほか、ラッセルグループでなくても、セント・アンドリュース大学、バース大学、ラフバラー大学など優秀な大学がたくさんあります。
それぞれが分野においてトップクラスの大学として人気があります。
やはり、何を勉強したいのかによって大学選びをするイギリスならではの選択肢の広さがあります。
イギリスの大学の選び方は?
イギリスの学生は、大学名よりも「学びたいコース(専攻)」の評価を重視して選びます。
イギリスの教育では学年が上がるなかで2回、学びたい科目を絞っていきます。
14〜16歳の学生は「GCSE」という試験のために5〜12の科目を選びますし、その後、大学に入るための「Aレベル」という資格では基本3科目です。
学生はどんなことを将来大学で学びたいかでこれらの科目を選択していきます。
そして、どの大学のどのコースがもっとも良いものなのかを決めます。大学名ではなく、どのコースが優れているかで選択するのです。
いくつか決めたら、年に数回開催されるOpen day(オープンデイ)で実際に大学を訪れます。日本のオープンキャンパスと同様です。
希望コースの説明会などを事前にオンラインで予約して講師の話を聞いたり、またPersonal statement(志望動機書)の上手な書き方を教えてくれる時間に参加できます。
これらの体験、そしてオンラインなどで得る情報を合わせて志望大学を決めていきます。
留学にもおすすめのイギリスの3大学
イギリス留学におすすめの3大学を紹介しましょう。
ハリーポッターの世界、名門オックスブリッジ(オックスフォード大学とケンブリッジ大学)以外をみていきます。
バース大学/University of Bath
バース大学は、2023年度The University of the year 2023の受賞をはじめ、様々な評価を得ている大学です。
コースでは、建築学・犯罪学・ビジネスと経営学・心理学やスポーツ科学などが特に優秀ですし、航空工学といったコースもあります。
自然たっぷりなキャンパス、大学はイギリス西部にあるユネスコ世界遺産の都市Bathに位置し、街全体の治安がとても良いところもおすすめポイントです。
公式サイト:University of Bath
グラスゴー大学/University of Glasgow
スコットランドにあるグラスゴー大学は創立1451年という大学です。
大学の建築自体も美しく、500年以上の歴史を持つ英語圏最古の大学の一つでキャンパスライフを送るというのは留学生にとって魅力かもしれません。
経済学、法律学、MBA取得で人気があります。
公式サイト:University of Glasgow
チェルシー·カレッジ·オブ·アーツ/Chelsea College of Arts
ロンドンにあるロンドン芸術大学を構成するカレッジの一つチェルシー・カレッジ・オブ・アーツです。
イギリスで芸術関係の勉強をしたいという人におすすめの本大学は1895年創立という歴史を持っています。東京藝術大学の学生も留学に来たりしています。
公式サイト:Chelsea College of Arts
イギリスでの大学生活と卒業後の進路
イギリスでの大学生活は、寮生活から始まります。
在学中に1年間のインターンシップを組み込む「サンドイッチイヤー(Sandwich Year)」という制度があり、その就労経験が就職活動で非常に有利になります。
また、イギリスの大学・大学院を卒業すると、「Graduate Route(グラデュエート・ルート)」という就労ビザを申請できます。
それでは、イギリスの大学における学校生活、気になるキャンパスライフも紹介しましょう。
1年目は寮生活、2年目からはシェアハウス
1年生は学生寮で共同生活をします。
部屋は個室にシャワー付き、個室だけれど共同シャワーなど種類があり、希望をいくつか提出します。
学食というものがない大学も多く、共有のキッチンスペースで自炊をします。
フラットメイト達と一緒にご飯を食べたり、パーティをしたり映画やゲームを一緒にしたりコミュニケーションを図ります。
日本人もこのような輪に入ることで英語をどんどん使うようにしましょう。
2年生になると学生寮から出て、民間の一軒家を数名でシェアしたりします。もちろん、実家から通う学生もいます。
就労体験「サンドイッチイヤー」
学士課程に1年間のインターンシップ(就労体験)を組み込む「サンドイッチイヤー(Sandwich degree)」という制度があります。
この1年がある場合は学士課程修了に4年かかります。
日本でいうところの新卒というものがなく、イギリスでは学生にいる間に仕事経験を積むことが重要と考えられています。
卒業後のビザ「Graduate Route」
イギリスの大学・大学院を卒業すると、「Graduate Route(グラデュエート・ルート)」という就労ビザを申請できます。
学部・修士卒業生は最大2年間(博士号は3年間)、イギリス国内で就労が可能です。
以前は卒業後すぐに帰国しなければならないケースも多かったのですが、現在は現地でキャリアをスタートさせるチャンスが大きく広がっています。
イギリスの大学院留学の特徴は?
イギリスの大学院(修士課程)は、基本的に1年間で修了できるため、短期間でキャリアアップを目指す社会人や学生に人気です。
日本の大学院(修士)は通常2年かかりますが、イギリスは1年間の集中プログラムが主流です。
多くの修士コース(Taught Course)は、9月入学で翌年の9月に修了する1年制です。
イギリス大学院への出願には、卒業・成績証明書や英語力(IELTS)、志望動機書、推薦状などが必要です。
大学学部への留学と同様、出願はコース開始の1年近く前から始まります。早めの準備を心がけましょう。
まとめ
イギリスの大学について色々と紹介してきましたがいかがでしたか?
どのようなシステムで、学生達がどのようなキャンパスライフを送っているのかイメージができていれば幸いです。
イギリスの大学は新学年スタートが9月、9月後半には「フレッシャーズ・ウィーク」といって、大学に慣れるためのレクチャーやパーティが企画される1週間があってかなり盛り上がります。
イギリス英語、イギリス文化と揃った英国で大学生活を送ることになれば人生にとってかけがえのない体験となること間違いなしです。
ぜひ、リサーチを続けて夢を実現していってください。
◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。