海外留学で人気の国イギリス。短期·長期留学だけでなく、イギリスの大学で学位を取得したいという人も多くいます。ところが、日本の大学の仕組みとはかなり異なります。
例えば、ファウンデーションコースとはどんなコースか知っていますか?加えて、イギリス大学へ入学した後、何年学ぶのかなどについても知っていないと計画が立てられません。
そこでこの記事では、イギリスの大学の特徴や世界大学ランキングの常連トップユニからおすすめの大学まで、某イギリス大学現役2年生の息子を持つ筆者が知っておきたい「まとめ解説」をお届けします。イギリス大学進学を考えている方はどうぞお役立てください。
イギリスの大学の特徴は?
大学の英語はuniversity、そこでイギリスでは大学のことをユニと省略し、大学生のことをユニstudentと呼んだりします。
まずは、イギリス国内の大学の特徴について紹介しましょう。
大学の選び方
イギリスの教育では学年が上がるなかで2回、学びたい科目を絞っていきます。14~16歳の学生はGCSEという試験のために5~12の科目を選びますし、その後のAレベルという大学に入るための資格では基本3科目です。
学生はどんなことを将来大学で学びたいかでこれらの科目を選択していきます。そして、どの大学のどのコースがもっとも良いものなのかを決めます。大学名ではなく、どのコースが優れているかで選択するのです。いくつか決めたら、年間に数回開催されるOpen dayで実際に大学を訪れます。日本のオープンキャンパスと同様で実際にキャンパスを見学し、希望のコースの説明会などを事前にオンラインで予約して講師の話を聞いたり、またPersonal statement(志望動機書)の上手な書き方を教えてくれる時間に参加できます。これらの体験、そしてオンラインなどで得る情報を合わせて志望大学を決めていきます。
学士課程は原則3年制
イギリスの大学を卒業した学生に授与される学士という学位は英語でBachelor’s degreeと表現します。Bachelor’s degreeを取得するため、イギリスの大学では大学卒業まで原則3年かかります。しかし、スコットランドの大学や、イングランドの大学によってもその専攻によって4年制をとっていることがありますし、医学部は5年制または6年制です。ちなみに3年制は英語で3-Year Bachelor’s degreeになります。
また、大学院での修士課程は基本1年です。
いきなり専門課程が始まるイギリス大学
英国の教育制度は日本とはかなり違います。
大学進学を決めた16~18歳は大学入学前の2年間、The Six-th formで期間内、受験の準備をします。大学に必要な科目は個人の選択による3つ、例えば息子の場合は物理·数学·経済でした。これらの科目は大学で学びたい学部に関係するものを選び、2年間専門的に勉強します。
このことから大学に進学すると、入学した1年目から専門課程を学ぶことになるのです。
大学受験の「Aレベル」資格
大学受験のための試験は「Aレベル」と呼ばれます。A*を最高マークにA/B/C/D/Eの6段階評価です。志望大学のコースで例えばAAAがグレードが求められる場合、Six-th form1年目に実施される模擬試験でこのグレードを取得しなければいけません。まず、受験のための模擬試験で必要なグレードを獲得、2年目の5月~6月にある本番のAレベル試験でグレードを確かに得ることができれば合格というシステムです。Aレベルは実際には国際資格です。このため、海外大学への進学にもチャレンジすることが容易になります。センター試験を受けるといった日本のシステムとはかなり違いがあることをまず知っておきましょう。
また、この間、大学からのオファーが出る·出ないというプロセスがありますがここでは省きます。
サンドウィッチイヤーとは?
学士課程に1年間のインターンシップが含まれるのがサンドウィッチイヤー、英語ではSandwich degreeです。この1年がある場合は学士課程修了に4年かかります。
日本でいうところの新卒というものがなく、イギリスでは学生にいる間に仕事経験を積むことが重要と考えられています。
日本人のためのファウンデーションコース
イギリスでは現地の学生をhome student、海外からの外国人の学生をinternational studentと呼びます。日本人が日本から留学する場合もinternational studentです。ロンドンなど、イングランド内の大学は年間9,250ポンド(2024年現在)で高いのですが、international studentは約3倍の費用がかかります。このため大学の学費はもちろん、生活費を考慮した計画を立てなければいけません。
留学生international studentでAレベルを取得していなければ、まず1年間はファウンデーションコース(大学学部準備コース)と呼ばれるコースで大学生活を始めることが一般的になります。このコースの成績によって提携大学への進学が決まります。
UCASは大学と学生をむすぶ必須システム
イギリスの大学の特徴として大きなものがUCASというシステムを利用する点です。UCASとはUniversities and Colleges Admissions Serviceの略で、このシステム上から大学の学部情報を得たり、志望大学の出願、そして結果まで得ることになるため重要なシステムです。
以下、UCASのinternational studentのためのページです。ヴィザを含む留学方法など情報が載っていますので、一度ご覧になってみてくださいね。
https://www.ucas.com/international/international-students
イギリスの大学の学校生活
次に紹介するのは、イギリスの大学における学校生活です。
気になるキャンパスライフも紹介しましょう。
イギリス大学はほぼ国公立
イギリスの大学はほぼほぼ国公立で、国からの資金で運営されています。また大学数も日本に比べ少なく、イギリス全土でも約160校ほどしかありません。
課題の数もそれに費やす時間も多かったり、高いリサーチ力を求められたり、グループワークでプレゼンをしたりという点も日本の大学と違う点です。イギリスの大学では世界から様々なナショナリティの学生が学んでいることを発見するでしょう。
Student Union
SUと呼ばれるStudent Union(自主組織)は学生にとって強い味方です。困ったことの相談から、プロ顔負けのパーティ主催まで様々な活動をしています。また、大学にはイギリスらしくカフェだけでなくパブまでありいくらでもソーシャルができます。
1年生は学生寮
1年生は学生寮で共同生活をします。部屋は個室にシャワー付き、個室だけれど共同シャワーなど種類があり、希望をいくつか提出します。学食というものがない大学も多く、共有のキッチンスペースで自炊をします。フラットメイト達と一緒にご飯を食べたり、パーティをしたり映画やゲームを一緒にしたりコミュニケーションを図ります。日本人もこのような輪に入ることで英語をどんどん使うようにしましょう。
2年生になると学生寮から出て、民間の一軒家を数名でシェアしたりします。もちろん、実家から通う学生もいます。
偏差値の高いイギリスの大学
イギリスでは日本でいう偏差値という学力指標はありません。代わりに、グレード(grade)があります。
ここでは、グレードの高い大学を紹介しましょう。
グレードの高いイギリスの大学
World University Rankingsという世界大学ランキングを発表するサイトがあります。2025年のものが出ているので、イギリスの大学が世界50位まででどのような位置に入っているかみてみます。
第1位 University of Oxford
第5位 University of Cambridge
第9位 Imperial College London
第22位 UCL
第29位 University of Edinburgh
第36位 King’s College London
第50位 London School of Economics and Political Science
日本では第28位に東京大学がランクインしています。
参考:Times Higher Education “World University Rankings 2025”
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/latest/world-ranking
また、University League Tables 2025というサイトも紹介します。英国国内の大学ランキングの一つですので、ご興味のある大学がどの位置にいるのかご確認ください。
University League Tables 2025:
https://www.thecompleteuniversityguide.co.uk/league-tables/rankings
ラッセルグループとは?
ラッセルグループ(The Russell Group)とは、イギリスの著名な国立の研究型大学24校で構成されたグループです。
名門大学オックスフォード、ケンブリッジ大学をはじめロンドン大学などが入っていますが、24校については以下のリンクをご覧ください。
The Russell Group Our universities:
https://russellgroup.ac.uk/about/our-universities/
その他の有名大学
ラッセルグループでなくでも、セント·アンドリュース大学、バース大学、ラフバラー大学など優秀な大学がまだまだあります。それぞれが分野においてトップクラス大学として人気があります。やはり、何を勉強したいのかによって大学選びをするイギリスならではの選択肢の広さがあります。
留学にもおすすめのイギリスの3大学
最後に、留学におすすめの3大学を紹介しましょう。ハリーポッターの世界、名門オクスブリッジ(オックスフォード大とケンブリッジ大)以外をみていきます。
バース大学/University of Bath
バース大は2023年度、The University of the year 2023の受賞はじめ、様々な評価を得ている大学です。コースでは、建築学·犯罪学·ビジネスと経営学·心理学やスポーツ科学などが特に優秀ですし、航空工学といったコースもあります。
自然たっぷりなキャンパス、大学はイギリス西部にあるユネスコ世界遺産の都市Bathに位置し、街全体の治安がとても良いところもおすすめポイントです。
University of Bath:
グラスゴー大学/University of Glasgow
スコットランドにあるグラスゴー大学は創立1451年という大学です。大学の建築自体も美しく、500年以上の歴史を持つ英語圏最古の大学の一つでキャンパスライフを送るというのは留学生にとって魅力かもしれません。
経済学、法律学、MBA取得で人気があります。
University of Glasgow:
チェルシー·カレッジ·オブ·アーツ/Chelsea College of Arts
3校目はおロンドンにあるロンドン芸術大学を構成するカレッジの一つチェルシー·カレッジ·オブ·アーツです。
イギリスで芸術関係の勉強をしたいという人におすすめの本大学は1895年創立という歴史を持っています。東京藝術大学の学生も留学に来たりしています。
Chelsea College of Arts:
https://www.arts.ac.uk/colleges/chelsea-college-of-arts
まとめ
イギリスの大学について色々と紹介してきましたがいかがでしたか?
どのようなシステムで、学生達がどのようなキャンパスライフを送っているのかイメージができていれば幸いです。イギリスの大学は新学年スタートが9月、9月後半には「フレッシャーズ·ウィーク」といって、大学に慣れるためのレクチャーやパーティが企画される1週間があってかなり盛り上がります。イギリス英語、イギリス文化と揃った英国で大学生活を送ることになれば人生にとってかけがえのない体験となること間違いなしです。ぜひ、リサーチを続けて夢を実現していってください。
イギリスであっという間に18年目、英語を使って生活中。 外資系製薬会社勤務や各国への旅行で英語を使ってきたものの、南ロンドンでの生活は人生にもコミュニケーション力アップにも貴重な経験に。暮らしの英語はもちろん、イギリス人夫と運営する剣道道場のメンバー達とのやりとりをメインに、日本文化を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど幅広く活動しています。 息子がUK大学に入学、イングランド西部の世界遺産の街にある大学寮生活が始まったものの、英国代表として剣道をする彼のサポートはエンドレス。ヨーロッパ各国に飛ぶこともある口だけ八段の道場おかみの夢は日本・イギリス完全2拠点生活。いずれにしても、英語はコミュニケーションで大いに役に立つ言語であることは間違い無し!です。