AI翻訳があれば英語学習は不要?英語が上達するAI活用法もご紹介

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英語に興味がある人はもちろん、普段英語に触れることがない人でも、AI翻訳もしくは機械翻訳という言葉を聞いたことはあると思います。ビジネスシーンなどでAI翻訳を日常的に活用している人もいるかもしれませんね。

昨今のAI翻訳は精度が上がってきており、たとえばAI翻訳を使って英語から日本語に翻訳したときも、少々ぎこちない部分があるとは言え、ちゃんと理解できる文章が出てくることが多いです。ですから、中には英語を勉強する必要性を感じなくなってきている人もいるでしょう。

そこでこの記事では、「AI翻訳があれば英語学習は不要になるのかどうか」に触れつつ、AI翻訳を活用して英語のスキルを向上させる方法をご紹介していきます。

AI翻訳とは

AI翻訳という言葉は聞いたことがあっても、どんなものかよくわからないという人もいるでしょう。そんな人のために、簡単にAI翻訳とは何かをまずはご説明します。

AI翻訳の「AI」とは人工知能のことです。人工知能とはその言葉どおり、人工的に作られた知能のことで、機械やプログラムに人間のような知能を与えているもののことを言います。人工知能には学習や分析をする機能が備わっており、AI翻訳で言えば、各言語の知識および翻訳方法を学習していくことで、一瞬にして文章や記事を別の言語に翻訳することを可能にしています。

ちなみに「機械翻訳」という言葉もありますが、AI翻訳と機械翻訳は同意語ですから、特に違いはありません。

AI翻訳の精度

冒頭で少し触れているとおり、AI翻訳の精度はかなり上がってきています。そして、人工知能というものの性質を考えると、これから先もどんどん精度が上がっていくと予測されます。人間と違って年齢による衰えがない人工知能は、ほぼ無限大に学習を行えるため、「年を取って新しい言葉を覚えづらくなった」「英語を使わないでいるうちに、話せなくなってきた」なんてことが起こりません。さらに、メンテナンスを行う人間がいれば、パソコンなどの電子機器や家電のような経年劣化もありませんから、将来的には人間の手で翻訳する必要がないほどに精度が上がっている可能性もあります。

実際、2024年現在でも、取扱説明書や契約書といった言い回しが決まっている文書の翻訳や短文の翻訳は、人の手による修正があまり必要ではなかったりします。ただ英語で書かれた文章を理解したいだけなら、AI翻訳だけでも十分なことも多いでしょう。

とは言え、今のところはAI翻訳だけでは、ビジネス文書や公的な文書の翻訳はこなせません。どうしても「翻訳された感」が残ってしまったり、日本語として語順が不自然だったりするため、人の手によって自然な文章に書き換える作業が必要なのです。

AI翻訳の精度が実際にどの程度なのかを示すために、BBC Newsのこちらの記事(https://www.bbc.com/news/articles/cz99yr6dq41o)の冒頭部分をAI翻訳にかけてみました。

原文:In 1998, a Japanese man was stripped naked and left alone in an almost-empty apartment as part of a challenge for a reality TV show.Tomoaki Hamatsu, known as Nasubi, was left with only a pen, some blank postcards, a telephone and rack full of magazines.

DeepL翻訳:1998年、リアリティ番組の企画で、ある日本人男性が裸にされ、ほとんど空っぽのアパートの一室にひとり取り残された。ナスビとして知られる濱津智明は、ペンと白紙のハガキ数枚、電話と雑誌の詰まったラックだけを残された。

Google翻訳:1998年、リアリティ番組のチャレンジの一環として、日本人男性が裸にされ、ほとんど人がいないアパートに一人取り残された。なすびとして知られる浜津智明さんに残されたのは、ペン、白紙のポストカード数枚、電話、雑誌が詰まったラックだけだった。

どうでしょうか。もしこれが日本語のニュース記事だとしたら、少々不自然な部分はあるかもしれませんが、内容を理解するには十分すぎるほどの精度になっています。このニュースを全文AI翻訳にかけてみるとやや精度は落ちるのですが、それでもこの精度で一瞬にして翻訳をこなせるのはすごいことですよね。ちなみに、この記事に出てくるなすびさんの本名の漢字はGoogle翻訳の方が正しいのですが、AIが学習をしていれば、人名の漢字も正確に出してくれるようになります。

AI翻訳があれば英語学習は不要になる?

AI翻訳は、前述のとおり今後も精度が向上し続けると予測されます。翻訳だけではなくAI通訳機なんてものも出回っており、そこそこ使えるようですから、それが今後も精度が上がると考えると、英語学習が不要になるように感じる人もいるでしょう。

しかし、「AIがあれば英語学習が不要になる」というのは、今のところはまだまだ現実的ではありません。

実際の翻訳業界の現場では、AI翻訳が活用されるようになってきているとは言え、人の手による修正が必ず必要です。そして、その修正を行うために、翻訳者は両方の言語に精通している必要があります。そうでなければ、AI翻訳のミスを見抜けないからです。

また、AI通訳の精度もまだまだ完璧ではありませんから、時々コミュニケーションにおいて勘違いが起こることがあります。使いこなすには、ごく単純な文章を作るなど、ちょっとしたコツも必要です。

そして何より、英語はコミュニケーションツールです。英語を使って人と会話や文章でのコミュニケーションをしたい場合、AI翻訳に助けてもらうことはできるかもしれませんが、自分の気持ちを自分の言葉で伝えることは難しくなります。

AIは所詮機械のため、同じ文章はすべて同じように訳してしまいます。シチュエーションや心情、ニュアンスといった部分を捉えることは、現時点ではあまり得意ではありません。また、AIは人の心が読めるわけではないため、気持ちを表す翻訳は難しいでしょう。ですから、英語を使って極力誤解が生まれないように人とコミュニケーションを取りたいと思うなら、あなた自身の脳に英語を学習させる必要があります。

これから先、AI翻訳の精度がかなり上がって、多くの文書の翻訳に人の手がほぼ必要なくなったとしても、他人との対話、コミュニケーションという部分においては、当面は人間の力が必要なままだと考えられます。つまり、AI翻訳の精度の向上によって英語学習が不要になることは、当面の間はありません。

AI翻訳を英語学習に活用する方法

AI翻訳のおかげで英語学習が不要になるということはありませんが、このAI翻訳の力を借りて、あなた自身の英語力を向上することはできます。

工夫次第でさまざまな方法が考えられますが、たとえば英語のリーディングが苦手な人は、練習の一環としてAIに英語を日本語に翻訳してもらいましょう。日本語の文章ならすぐに理解できますよね。では、その翻訳文を読んだあとに、今まで読めないと感じていた英語の文章をもう一度読んでみてください。意外と読めるようになっているはずです。AI翻訳がないと、英語の文章でわからない部分がストレスに感じるかもしれませんが、AI翻訳の力を借りることでストレスが軽減されるため、リーディングの練習が継続しやすくなります。

さらに、わからない単語はAI翻訳が教えてくれていますから、自然と単語力も身についていきます。この作業を繰り返しているうちに、AI翻訳の力を借りなくても、ストレスなく英語が読めるようになっていくことでしょう。ただし、AI翻訳を英語学習のサポートとして用いる場合は、必ず自分の力でも英語の原文を読むことを忘れないようにしましょう。

ちなみに、英語の文章を作る能力を鍛えるためにもAIが役立ちます。例として、この記事の冒頭部分の一文をAI翻訳にかけてみました。

原文:「ビジネスシーンなどでAI翻訳を日常的に活用している人もいるかもしれませんね。」

DeepL翻訳:Some people may use AI translation on a daily basis, for example in business situations.

Google翻訳:Some people may already use AI translation on a daily basis in business situations.

この文章も「翻訳された感」は見受けられるものの、文法や使われている単語に誤りはなく、誰にでもわかる英文となっています。長文になると精度が低下するため、英語学習をする際には数文ずつに分けてAI翻訳にかけてみるべきですが、こうしてAIが翻訳してくれた文章を見ることで、自然と正しい英語の文法や単語などを学ぶことができるでしょう。

まとめ

AI翻訳は、外国語で書かれた文書を理解したいときにはとても便利なツールです。しかし、便利だからと言って、AIがあれば人間が英語学習をしなくてすむということはありません。ですが、そんな有能なAIの力をあなたの英語学習に活用することはできます。AI翻訳と仲良くなって、ぜひ英語力の向上に役立ててみてくださいね。

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