「透明」を英語で表現するとき、どんな風に言えばいいのか迷ったことはありませんか?
「クリア」「スケルトン」「トランスパレント」など、カタカナ英語として日本語の一部になっている言い回しもありますが、正しい英語の発音や意味、使い分けについては意外と知らなかったりしますよね。
今回は、「透明」を意味する英語表現について詳しく解説していきます。
透明とは
「透明」を意味する英語の解説に入る前に、まずは「透明」という言葉自体について確認しておきましょう。
「透明」に似ている言葉に「無色」があります。この2つの言葉の違いを見ていくと、「透明」という言葉の意味をよりはっきりと理解することができます。
Weblio国語辞典(https://www.weblio.jp/)で「透明」と「無色」について調べてみると、以下のように記載されています。
1 色がついていないこと。「—透明」⇔有色。
2 特定の主義・党派にかたよらないこと。「—の立場」
1 ㋐すきとおって向こうがよく見えること。また、そのさま。「—なガラス」
㋑すきとおって、にごりのないこと。また、そのさま。「—な音」「—な空」
2 物体が光をよく通すこと。
光が物質中を通過するとき、吸収される度合いが小さいこと。
改めて調べてみると、「無色」と「透明」という2つの言葉には意外と違いがあることがわかります。
「無色」と「透明」はどちらも、「色がついていない」という点では同じです。「色が無い」に加えて、「向こうが透けて見える」「光や視線が向こう側まで透過できる」といったニュアンスが加わると「透明」になる、というわけですね。
transparent
「透明」という言葉の意味が持つ「向こう側が透けて見える」というニュアンスを表現できるのが、”transparent” です。
日本語でも「トランスペアレント」や「トランスパレント」などというカタカナ英語として使われますが、正しい発音はアメリカ英語では /trænˈsper.ənt/、イギリス英語では/trænˈspær.ənt/ となります。
アメリカ英語の方が「トランスペアレント」に近く、イギリス英語の方が「トランスパレント」に近い感じの発音です。
”transparent” は「向こう側が透けて見える、透明な」という意味をもつ英単語で、水やガラスが透きとおっている様子を表します。
その建物の入り口には透明なドアがあった。
また ”transparent” は、団体や政治などの「透明性」に関する表現にも使うことができます。
当社の会計には透明性があります。
”transparent” は「透明な」という意味以外にも「秘密がない」「(隠し事や複雑さがないので)わかりやすい」といった意味も表します。
エマは隠し事のできない性格です。
日本では人の性格に対して「透明だ」という類の表現をすると「彼の性格はピュアだ」「一点の曇もなく、純粋だ」「隠し事をしない実直な性格だ」といったポジティブな印象を与えますが、英語ではニュアンスが少し違います。
上の「Emma's personality is transparent.(エマは隠し事のできない性格です。)」の例文のように、”transparent” を人に対して使うと、「(彼女の性格は)筒抜けで、隠そうとしていることが見え見えだ」といった少しネガティブな印象にもなります。「本心が見える」「本音が透けて見える」といった感じですね。
clear
”clear” は ”transparent” と同じように「透明」を表す英単語ですが、次のような意味の違いがあります。
・easy to understand(分かりやすい)
・easy to hear, read, or see(はっきりしている)
・easy to see through(透明な)
・obvious and not possible to doubt(明らかな)
・not covered or blocked by anything(空いている)
・that you can see through(透明な)
・able to be seen or understood, not secret or complicated(平明な)
不純物や邪魔するものがない、という部分にフォーカスするときには ”clear” を使うのが適切です。
特に山や高原の澄んだ空気や、突き抜けるように青く澄んだ空の様子を表すときには ”clear” がよく使われます。
彼女は山頂の澄んだ空気を吸い込んだ。
また、”clear” とセットで使われやすい単語として ”crystal” があります。”crystal” は水晶と言う意味で、無色で透明度が高いものを表す単語です。”crystal clear” というように ”clear” の前につけると、「すごく透明な」「透明度が高い」という風に、透明度の高さを強調することができます。
沖縄の海は非常に透き通っていた。
また ”crystal clear” には「透明な」という意味の他に「分かりやすい、明瞭な」という意味もあります。
そのため、「よくわかりました!」と返答するときや、「(私の言っていることが)本当にはっきりとわかってる?」と聞きたいときなどに使われます。
B:It’s crystal clear! Thank you so much!
A:わかりましたか?
B:よくわかりました!ありがとうございました!
上の例文では、”crystal clear” が 「はっきりわかりました」という意味で使われていますね。
関連表現
「透明」を表現する英語は ”transparent” や ”clear” だけではありません。
透明度の具合や、透明すぎて「目に見えない」といった状態について述べるには、
・invisible(インビジブル)
・see through(シースルー)
といった関連表現を使うこともあります。これらの表現についても、詳しく見ていきましょう。
translucent
”translucent”は、「ほぼ透明で、いくらかの光を通す」という意味をもつ単語です。
前述した ”transparent” は、「にごりがなく透明で、光や視線をよく通す」という意味でしたが、”translucent”はより透明度が低く、色がついていたりすることもあるイメージです。
その花瓶は半透明で少し青いガラスでできている。
色のついたガラスや、中の機構が見える程度に赤や青の色がついた文房具のプラスチックなど、「向こう側が透けて見えるけれど、無色透明というわけではない」という場合に使うのが ”translucent” になります。
この製品は半透明のプラスチックでできているので、内部を見ることができます。
invisible
”invisible”は ”in-”(〜できない)という接頭語と ”visible”(見える)が合わさってできた単語で、「見えない、見ることができない」という意味を表します。
大切なものは、目に見えない。
”invisible” は、透明すぎて目に見えない状態を表すこともできます。
私の父は「インビジブル・マン(透明人間)」という名前の映画が大好きです。
see through
”see through”は、「見透かす」「見抜く」といった意味をもつ表現です。
私の先生は、アンの嘘を見抜いていた。
”See-through”は、形容詞として使うこともでき、その場合には「透けて見える」といった意味になります。
私は今年の夏休み用にシースルーのシャツを買いました。
日本語でも、薄い布地で肌が透けて見えるような服や、中身が見えるような素材でできたバッグのことを「シースルーの服」「シースルーのバッグ」と言ったりしますよね。
形容詞としての ”see-through”は、英語でも同じように使うことができます。
ちなみに、「内部が透けて見える」ということを日本語で「スケルトン」と呼ぶことがありますが、英語の ”skeleton” は「骨組」や「骨格」を表す単語です。「透明」というニュアンスはありませんので、 ”see through” などと混同して使わないように注意してくださいね。
透明感を表す英語表現
「透明」から少し視野を広げて、「透明性」や「透明感」を表す英語表現についても確認していきましょう。
ビジネスにおける透明性 transparency、openness、clarity、visibility
時代の移り変わりに伴って、ビジネスにおける会計の透明性やコンプライアンスの遵守が重要事項として関心をもたれるようになってきました。
ビジネスにおける透明性を表現する英語としては、
②openness
③clarity
④visibility
などがあります。
①の transparencyは、「透けて見えること」を意味する単語で、「透明性」という日本語の直訳にもっとも近い表現です。
「透けて見える」=「情報が開示されており、かつ内部の様子を明瞭に確認することができる」ということから、会社の財務情報についての透明性などに対して使うのにぴったりの表現といえます。
最近では、企業会計の透明性は必須事項となっている。
②の opennessは、「開いていること、開示していること」を意味する表現です。
「情報が外部に開放されている」という意味だけではなく、「(組織やシステム内部における)風通しの良さ、開放性」も意味します。
彼は仲間同士がお互いの新しいアイディアを受け入れようすることの重要性を強調した。
③の clarityは前述した ”clear” と同じ語源を持つ言葉で、「明瞭さ、明晰さ」を意味する名詞です。
彼のプレゼンテーションは明晰さに満ちていた。
”clarity” は「思考や視界を邪魔するものがなく、はっきりとよく見える」というニュアンスを持つ言葉なので、水や空気の「透明性」や「透明度」についても使うことができます。
トムは水の透明度をチェックした。
④の visibilityは、「見えること、可視性、視認性」を意味する表現です。
昨晩は嵐のため、多くの道路で視界不良となった。
「見えやすさ」や「視認性」という意味の他に、「世の中に見られている度合い」や「知名度」を意味することもあります。
その会社のサイトは高い知名度を持っている。
ビジネスシーンでは、 ”visibility” という言葉が「能力や業績を、他人にも認識できる(=見える)ようにする能力」を指すことも多くあります。
個人のキャリアや企業の業績を公表する際、外部に対してどれくらいはっきりと明確な情報を提示しているか、について ”visibility” という言葉を使います。
高い能力を持つことも大切だが、それを高い視認性をもって表現することも重要だ。
透明感のある肌 flawless complexion、glowing skin
化粧品のCMや店頭表示で「透明感のある肌」という表現を目にすることもありますよね。
「透明感のある肌」というのは、文字通り「向こうが透けて見える」という意味ではもちろんなく、「透き通るように美しい」という意味の比喩的な表現です。
透き通るように美しい肌は、具体的にはシミやニキビなどがなく、ハリがあり、ほのかな血色がある、といった複数の要素を併せ持った肌であるといえます。
そんな「透明感のある肌」のことを、英語では
・Flawless skin(完璧な肌)
・Glowing skin(輝く肌)
などと表現します。
”Flawless skin” はシミやニキビがなく、肌のトーンや質感が均一で完璧な状態の肌を指します。また ”Glowing skin” は、つやつやとして健康的で内側から発光するように輝く肌を指します。
どうすればあなたのような美しい肌になれるのか、教えてもらえませんか?
透明感のある声 angelic voice、crystal voice
「透明感のある声」は、英語では次のように表現します。
・crystal voice(水晶のように透明感のある声)
・clear voice(澄んだ声)
”angelic voice” は、まるで天使が歌っているかのように美しく、透き通った声を指します。
彼女の天使のような歌声はいつも私を元気づけてくれる。
”crystal voice” は、混じり気のない水晶のように、澄み切った美しい歌声を表します。また、”clear voice” も混じり気のない澄み切った声を表しますが、より明瞭で、遠くまでよく通るような透明感を持っているニュアンスになります。
彼はクリスタルヴォイスの持ち主だ。
100メートル離れていても、彼の澄んだ声が聞こえるに違いない。
まとめ
「透明」を意味する英語表現や、「透明性」「透明感」といった関連表現について解説してきました。
”clear” や ”transparent” だけでなく、様々なニュアンスをもつ英語表現があることがお分かりいただけたかと思います。
毎日の英語学習の中で実際に使いながら、お気に入りの表現や、伝えたいニュアンスにぴったりな表現を身につけていってくださいね!

◇経歴(英語を使用した経歴)
高校時代にイギリスへ短期留学。
大学院進学の傍ら、TOEICスコアアップや海外留学、海外旅行を経験。
社会人生活を経て、現在は英語に関するWEBコラム記事を執筆中。
◇資格
TOEIC900
◇留学経験
・ロンドン:2週間 Harrow School
・ハワイ島:2週間 Universal English Academy
・バレンシア:3週間 don Quijote Valencia
◇海外渡航経験
留学:イギリス、ハワイ、スペイン
旅行:イタリア、チェコ、アメリカ、メキシコ、韓国、モロッコ、フランス、デンマーク、フィンランド、スイス、ハンガリー、ベルギー、オーストリア
◇自己紹介
ラジオ基礎英語をきっかけに英語の世界へ。理系専攻ながら英語を磨き、留学や旅行で色々な国を訪れた。結婚を機にWEBライティングを始め、現在は二児と共に英語ライフを楽しんでいる。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.