内気とは
人の性格を表す言葉の一つ「内気(うちき)」。
おとなしい人、あまり自分の意見を強く主張しない人のことを、「内気な人」「内気な性格」といったりしますね。
あらためて国語辞典・国語辞書や類語辞典で「内気」を調べてみると、
「おとなしい」「遠慮深い」「穏やか」「人前ではきはきしない」「気が弱い」「内向的」「人見知り」「物静か」「控えめ」などと書いてあります。
ここからわかるように、ひとことで「内気」といっても、これは、いい意味で使われることもあればちょっと弱点を指摘するような場合にも使われることもある、さまざまな意味合いを持つ言葉です。
さてではこの「内気」という表現、英語ではどのようにいえばいいのでしょうか。
いろいろな意味合いがありますから、英語にする場合は、特にどのような種類の「内気」を表現したいかによって適切な言葉が違ってきます。
どのような場合にどのような英語を用いるのがいいか。今回は、日常生活でもよく使う、「内気」の英語表現・フレーズについて、関連表現も含め、例文を交えながらわかりやすく解説していきたいと思います。
shy
「内気な」「恥ずかしがりの」「人見知りする」などと訳されることが多いのが形容詞「shy」です。
内気な性格を表す時に、最もよく使われる英単語の一つです。
単語そのものには特に人を非難するようなニュアンスはありませんが、文脈によっては「shy過ぎる」ことをたしなめるような、ネガティブな使い方をすることもあります。下の例文の3つ目を参考にしてください。
また、日本語でもすでにカタカナ言葉で「シャイ」というのが定着しています。「シャイな人」などと言ったりしますよね。英語「shy」と日本語「シャイ」は、ほぼ同じ意味で使われていると考えていいでしょう。
私は内気な性格です。/私は恥ずかしがり屋です。
日本人には内気な人が多いというのは本当ですか。
彼は内気過ぎます。 仕事ではもっと声をあげて自分を表現すべきです。
「shy」を動物に使うと、「臆病な」「警戒心の強い」といった意味にもなります。
私の愛猫ベティはとても臆病なんです。
reserved
「控えめな」「遠慮がちな」「つつましい」などと日本語に訳されることが多いのが形容詞の「reserved」です。
「内気」の類義語ではありますが、あまり「内気」と翻訳されることは多くありません。
「shy」がどちらかというと天然の性格・性質を表しているのに対して、「reserved」は、もともとの性格・性質のこともあれば、意図的に努力してそのような態度を取っている可能性も感じさせる言葉です。
私の祖父はいつも控えめな人です。
B: I think he is somewhat more reserved than shy.
A: 田中さんはあまりしゃべらないですね。 彼は内気な人ですか。
B: 彼は内気というよりは、どちらかというと控えめな性格だと思います。
modest
「謙虚な」「控えめな」「遠慮がちな」といった日本語に訳されることが多いのが形容詞の「modest」です。
「内気」に類似した言葉ではありますが、「reserved」と同様、「内気」と訳されることは比較的少ないです。
また、やはり「reserved」と同様、自然とそのような性格であるという場合もあれば、本人が意図的にそうした態度を取っているということも感じさせる言葉です。特に「謙虚な」という意味の場合は、そうした態度を心がけている人という雰囲気もあります。
ナンシーは彼女の成功した結果について謙虚な態度でした。
彼がとても謙虚なのは、彼が日本人だからではなく、常にそうであろうと努めているからです。
bashful
「shy」の同義語として使えるのが形容詞「bashful」です。
「内気な」「遠慮がちの」「恥ずかしがり屋の」「はにかんだ」「おずおずとした」などといった意味です。「臆病な」と翻訳されることもあります。
「shy」に比べて、この「bashful」という単語は日本では学校で習う機会が少ないようですが、英語圏では日常会話の中でとてもよく使われている言葉です。
私の息子はとても内気です。学校でうまくやっていけるか心配しています。
恥ずかしがらないで!
timid
形容詞の「timid」は「臆病な」「びくびくしている」といった意味で使われることが多いですが、「内気な」と訳されることもあります。
ただ、「内気」「恥ずかしがり屋」というニュアンスをはっきり出したい場合は、「shy」や「bashful」を使う方がいいでしょう。
今日は彼が初めて小学校に行く日です。 彼は今、少し臆病になっているようです。
retiring
やや固い言葉で、日常会話ではあまり使われませんが、書き言葉で用いられることが多いのが形容詞の「retiring」です。
「内気な」「遠慮深い」「引っ込み思案な」などと訳されます。
彼は内気な性格であった。
彼女は歳の割に遠慮深い。
なお、「retiring」には「退職に伴う」「引退の」といった意味もありますので、どのような意味で使われているのかは文脈から判断しましょう。
似ている表現シリーズ
「内気」などの性格を直接描写するものではありませんが、それに似た表現もあります。2つほど取り上げましょう。
「quiet」と「placid」です。
quiet おとなしい、静かな
最初に「静かな」という意味で習うのが「quiet」ですね。
これを人間を形容するように使うと「おとなしい」「静かな」「無口な」といった意味になります。
そもそもは「quiet=静か=話さない」という、文字通り静かな状態を描写したものですが、そこから連想して「性格がおとなしい」という意味でも使われます。
ヴィンセントは本当に恥ずかしがり屋でおとなしいね。
彼は無口な人だ。
placid 穏やかな
「placid」も、「穏やかな」「静かな」「落ち着いた」「おとなしい」といった意味で使われます。
穏やかであることはあなたの長所であり、短所ではありません。
彼はどんな状況でも常に落ち着いています。
おまけ 内向的・外向的 などの性格を表す英語表現は?
ちょっと固めの言い方ですが、「あの人は内向的だよね」「彼はとっても外向的だ」などというように、「内向的」「外向的」という表現を使うことがあります。
国語辞典で「内向的」を調べると、「内気。自己の内面に関心を持つ性格」などとあります。
どちらかというと、あまり人と交わらず、一人で静かにものごとを考えるタイプ、という感じですね。
一方、「外向的」は、「活動的・社交的で、外のものに関心を示すような性格」など。こちらは「内向的」の正反対で、積極的に他人と交わる、エネルギッシュな人のイメージです。
今回のテーマである「内気」の関連表現として、この「内向的」「外向的」を英語ではどのようにいうのか、解説したいと思います。
introvert
「内向的な人」という意味を表すのが「introvert」です。
もともとは心理学の用語から来ていますが、日常会話で使われることも少なくありません。
大企業の成功者が実は内向的な人である、というようなストーリーやインタビューの中で、よくこの言葉を聞くことがあります。同じ「内気」という範疇であっても、「shy」などを使うよりは、この「introvert」を使った方が、内面を見つめるような深みが感じられたりもします。
「introvert」自体にも形容詞としての用法もありますが、「内向的な人」という意味の名詞として使われることが多く、形容詞として使われる場合は「introverted」という形になったりします。
実のところ、私は内向的な性格です。
あんな内向的な人がどうやってビジネスで成功したのか不思議です。
extrovert
人との交わりを好みエネルギッシュに行動する「外向的な人」は「extrovert」です。
「introvert」と同様、こちらももともとは心理学の用語から来ています。
やはり「introvert」と同様、「extrovert」自体にも形容詞としての用法もありますが、「外向的な人」という意味の名詞として使われることが多く、形容詞として使われる場合は「extroverted」という形になることもあります。
彼は外向的な性格です。
彼女はとても外向的で、いつも周りのみんなを楽しませてくれます。
sociable 社交的
外向的を意味する「extrovert」と似ているのが「sociable」です。
「社交的な」「人付き合いが上手な」「愛想がよい」などと訳されたりします。こちらは形容詞です。
「extrovert」と似た言葉ではありますが、「extrovert」が心理学的な、主として心のありようや性格を表す言葉なのに対し、「sociable」はどちらかというと行動の様子に焦点を当てるニュアンスがあります。
彼は内気な人だと思っていたが、パーティーではとても社交的だったので驚いた。
おまけ 内向的なことのすばらしさ
内向的な性格と外向的な性格のどちらが良いか、という議論になると、特にビジネスの場などにおいては外向的な方がいいと思われる傾向があるかもしれません。
しかし、前述のように、英語圏においても、大企業の成功者が「実は私は内向的な人間である」とインタビューなどで言っていることが少なくありません。
内向的であることには、実は多くのメリットがあるのかもしれませんね。
じっくり一人で静かに考え、新しい独創的なアイデアを生み出す。
周りに振り回されることなく、一つのことについて思考を深める。
落ち着いて行動計画を立てることで、失敗の可能性を抑える。
自分が上司の場合、自分自身は前に出ないことで部下が活躍するチャンスを広げる。
…などなど。
内向的であることには、そうしたすばらしい点がたくさんあるのではないでしょうか。
ただし気をつけないといけないのは、「内向的であること」と「自分の意見を言わないこと」を混同してしまうことかもしれません。
たとえ内向的な性格であっても、必要な場合には自分の考えをきちんと伝える。そうしたことが大事なのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか? 今回は「内気」に関する英語表現について、関連表現も含めてたくさんご紹介しました。
たくさんありますから、必ずしも全部を自在に使える必要はありません。
でも、一通り理解しておくと、相手が何を言っているのかがわかり、コミュニケーションの幅が広がります。
「自分が使う言葉」を確実に覚え、それにプラスアルファする形で、さまざまな「内気」表現を学習し、身につけていってください。 それではまた。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.