英語の倒置法とは?例文を使って倒置法の使い方を徹底解説します!

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「倒置」とは、英文において、単語の並びが通常の語順とは違う語順になる現象を指します。

通常とは違うわけですから、倒置を含む文を見ると、「あれ、この英文の構造はどうなっているんだろう? 何か変!」と思うことも少なくありません。

ではまず、「通常の語順」とは何かということろから考えてみましょう。これはいわゆる「5文型」で考えるとわかりやすいかと思います。

すべての英文は、以下の5つの文型に分類することができます。

第1文型 SV
第2文型 SVC
第3文型 SVO
第4文型 SVOO
第5文型 SVOC

*S:主語、V:動詞、C:補語、O:目的語

「倒置」というのは、このいずれかの文型において、S、V、O、Cの順番が変わってしまう現象です。SとVの順番、SVとCの順番、OとCの順番などが、さまざまな理由によって変わります。

普通の文法をある意味逸脱するわけですから、倒置を含む文は一見ちょっとわかりにくくなります。

そのため大学入試問題でも倒置を含む文がよく使われたりしますが、実はネイティブスピーカーの人々は日常会話でもよく使っているんです。慣用的な表現になっているものも多く、普通の会話においては、倒置もそんなに特別なことではないんですね。

どんな時になぜ倒置が起きるのか。倒置のパターンを覚えておくと長文読解にも、日常英会話にも役立ちます。今回はこの倒置について、パターン別に詳しく解説したいと思います。

倒置の使い方

英文における「倒置」は、大きく2つに分けることができます。「文法上の倒置法」「強調の場合の倒置」です。

順番に説明していきますが、実は「文法上の倒置」は普通はあまり「倒置」として意識されるものではありません。倒置だ、と理解する必要もあまりありません。でも倒置法の全体像を理解するために、今回は簡単に解説したいと思います。

一方、いわゆる倒置として意識され、今回の記事の主人公でもあるのが2つ目の「強調の場合の倒置」です。これはいい換えると、「筆者による意図的な倒置、あるいは習慣的・慣習的な倒置」ともいえます。

それではまず「文法上の倒置法」から見ていきましょう。

文法上の倒置法

上述したように、この「文法上の倒置法」は、普段はあまり「倒置」とは意識されないものです。倒置することが文法上決まっていること、文法上やらなければならないこと、です。

主なものの例としては、「疑問文をつくる時の倒置」と「There is〜構文における倒置」が挙げられます。

疑問文をつくる時の倒置

例えば、be動詞を使った第2文型(SVC)の文がある場合、これを疑問文にするにはbe動詞を先頭に持ってきて文末にクエスチョンマークを付けます。

She is a student.
彼女は学生です。

これを疑問文にすると、

Is she a student?
彼女は学生ですか。

このように肯定文から疑問文にすると、SVCがVSCという語順に変わる、つまり主語と動詞の順番が逆になるわけで、こうしたものを「文法上の倒置」といったりします。

助動詞が入っている文を疑問文にする場合は助動詞を文頭に置きますし、普通の動詞しかない場合は、「do」「does」「did」といった助動詞を文頭に付けますね。これらも「文法上の倒置」の一つと見ることができます。

There is〜構文における倒置

普段あまり意識しない、あるいは意識しなくていい「文法上の倒置」の2つ目は「There is〜」構文です。動詞の部分には「is」などbe動詞だけでなく普通の動詞が来る場合もあります。

There were many people at the concert.
そのコンサートにはたくさんの人がいた。

「There is〜」は「〜がある」という意味の、大変よく使われる定型的な表現です。しかしあらためて「この文の主語は何?」と聞かれるとちょっと困ってしまいます。

上の例文の主語は「many people」ですね。「たくさんの人々」→「いた」という意味ですから。

ところが、語順を見ると主語である「many people」が最初に来ていません。つまり普通の5文型のどれにも当てはまらない文なのです。

つまり「There is〜」という文は、最初から倒置になっている文という風に考えることができます。倒置を意識して使っている人はあまりいないと思いますけれども…。

強調の場合の倒置

さて、今回の倒置の記事の主役となるのが、こちらの「強調の場合の倒置」です。

ある文の内容の全体、あるいは一部を強調したい場合に使われる「倒置」です。語句の順番を変えることで、読み手や聞き手の注意を引くというのが目的です。

前述のように、「筆者による意図的な倒置、あるいは習慣的・慣習的な倒置」といい換えることもできます。

「強調の場合の倒置」にはいくつかのパターンがあります。今回は主に、以下の4つのパターン+αを見ていきたいと思います。

・文頭に否定文がくる場合
・場所や方向が文頭にくる場合
・比較級を使う場合
・仮定法の場合
・その他

文頭に否定文がくる場合

強調の場合の倒置の中でもよく見かけるのが、この「文頭に否定文がくる場合」の倒置です。倒置法を用いることで特定の語句が強調され、文に臨場感が生まれます。

構文の特徴としては、文頭に「not」「never」「rarely」「no」「hardly」「little」「nor」「only」「seldom」などの否定的な意味を表す語句が来て、その後に「動詞+主語」もしくは「助動詞+主語+動詞」という倒置の形で語句が続きます。

「can」などの助動詞が含まれていない場合でも、「do」「does」「did」といった助動詞をわざわざ使うことが多いです。

中には、かなり定型化されて習慣的・慣習的に用いられているものもあります。以下に例文を挙げますが、もしかしたら、熟語みたいに覚えた記憶がある方もいらっしゃるかもしれません。

Not only did he eat all the dishes, but he also ordered lots of desserts.
彼はすべての皿をたいらげただけでなく、多くのデザートまで注文した。

上の例文は、「Not only〜, but also〜」(〜だけでなく、〜もまた〜)という定型的な構文で、「Not only」からの前半の部分が倒置になっています。

もともとは「he ate」だったと思われる部分を「did he eat」というように、助動詞「did」を使って倒置の形にしています。

なお、この文の場合、意味的に「Not only」を文頭に置かざるを得ないため、「倒置にしない文」を考えるのは難しいです。意味的に「倒置にせざるを得ない文」になっています。

Never have I seen such an impressive movie like this.
こんなに感動的な映画は今まで見たことがありません。

上の例文は、もともと「I have never seen such an impressive movie like this.」という文があって、強調のために「never」を文頭に持ってきたものです。

それにより、「I have seen」の部分が「have I seen」というように「have」(現在完了形をつくる助動詞)が前に出てきています。「意図的な強調のための倒置」の典型例ということができます。

Rarely does she drive a car.
彼女はめったに運転しません。

これも「She rarely drives a car.」という文があって、強調のために「rarely」を文頭に持ってきたものです。それによって助動詞の「does」が登場し、「does she drive〜」という語順になっています。

No sooner had I gotten home than the telephone rang.
家に帰り着くやいなや電話が鳴った。

これも「No sooner〜 than〜」という熟語で覚えている人も多いかもしれません。「〜するやいなや〜」という意味です。「No sooner」の後には過去完了形が来ることが多く、「had I gotten」というように「had」が前に出てくる倒置の形になっています。

場所や方向が文頭にくる場合

強調のために、倒置法を使って場所や方向を示すフレーズを意図的に文頭に持ってくる場合があります。

In her bag were so many coins.
彼女のバッグの中にはたくさんのコインがあった。

上の例文は、「So many coins were in her bag.」という文の「in her bag」を強調のために前に出したものです。「be動詞の前後を入れ替えた構造」と分析することもできます。

Right around the corner is the bank.
銀行は角を曲がったすぐのところにあります。

上は、「The bank is right around the corner.」を倒置したものです。

On the hill was he standing.
丘の上に、彼は立っていた。

これも「He was standing on the hill.」を、「On the hill」を前に持ってきて倒置にしています。

この場合カンマ(,)を使って「On the hill, he was standing.」というように、後半を「was he」と倒置にしない書き方もできます。

Here comes the train.
列車がやってきてます。

上の例文は「Here comes +主語」という形になっています。「〜がやってくる」という意味で、これももう熟語的表現として紹介されることが多いかと思います。前述の「There is〜」構文と似た形です。

Off we go!
さあ、出発しましょう。

これも倒置の形ですが、やはりもう、熟語的な表現ですね。「Let’s go!」とほぼ同じ意味です。

比較級を使う場合

前述の「No sooner〜」でも「sooner」という比較級が使われていますが、その他にも、比較級の語句を文頭に置いて倒置の形にすることもできます。

More important is love.
より重要なのは愛です。

上の例文は「Love is more important.」を強調のために倒置したものです。次のように、比較級だけでなく最上級で倒置を用いることもあります。

The most important is love.
最も大事なのは愛です。

比較級を2つ並列させる「The +比較級〜, the +比較級〜」の形も、倒置の一種といえるかもしれません。「〜すればするほど〜」という意味の構文ですね。

The higher you climb, the better you feel.
高く登れば登るほど気分がよくなります。

仮定法の場合

仮定法の文で「if」を省略し、その代わりに倒置によって仮定法であることを示す表現があります。

Had you joined the contest, you could have won the prize.
もしあなたがコンテストに参加していたら、あなたは受賞することができただろうに。

上の文は、「If you had joined the contest, 〜」という仮定法の文の「If」を省略し倒置表現にしたものです。以下の例も同様です。

Should you have any questions, ask me anytime.
もし質問があったら私にいつでも聞いてください。

これは「If you should have any questions, 〜」の倒置です。

Were the sun to rise in the west, he would not change his mind.
もし太陽が西から昇るようなことがあっても、彼は心を変えないだろう。

これは、「If the sun were to rise in the west, 〜」の倒置です。

仮定法における倒置表現には、この他にも、「Were it not for〜」(もし〜がなければ)、「Had it not been for〜」(もし〜がなかったら)などがあります。

その他

その他にも、倒置が用いられるいろいろなケースがあります。よく使われるものの中から一部を紹介したいと思います。

相手に同意したりする時

相手が何かを言って、それに同意するようなフレーズで倒置形が使われます。

A: I like sushi.
B: So do I.

A:寿司が好きです。
B:私も。

「私も」という同意を「So do I.」という倒置の形で表現します。否定の場合は同様に「Neither」を使います。

A: I don’t like sushi.
B: Neither do I.

A:私はお寿司嫌い。
B:私も。

文の一部が長い時

強調というよりも、文の一部が長い時に、全体のすわりをよくし、読みやすくする目的で倒置が行われる場合もあります。

On the desk were some books he bought in London last summer.
机の上には彼がこの夏にロンドンで買った数冊の本があった。

上の例文は、前述のように「On the desk」を強調する倒置とも考えられますが、「some books he bought in London last summer」という主語にあたる部分が長いために後ろに持ってきた倒置ともとらえられます。

We should make clear the fact that this construction plan is not practicable.
我々は、この建設プランは実行不可能という事実を明らかにしなければならない。

上の文は、もともとはSVOCという第5文型と考えられますが、O(目的語)に当たる部分である「the fact that this construction plan is not practicable」が長いため、SVCOという、OとCの語順が入れ替わった形になっています。Cに当たるのは「clear」です。

このように、倒置には、主語や動詞の順番だけでなく、目的語や補語の順番が変わるものもあります。

祈願文をつくる時

人に対して例えば「あなたが健康でありますように」というように何かを願う文を「祈願文」といいます。

これは、先頭に「May」を持ってくればできあがりです。後ろに来る動詞は原形になります。これも一種の倒置法といえるでしょう。

May you be happy!
あなたが幸せでありますように。
May he get it!
彼がうまくやれますように。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はさまざまな「倒置」についてまとめてみました。

すべてを網羅したわけではありませんが、「倒置」の全体像と具体例がおわかりいただけたのではないかと思います。

文の一部が倒置されているのに気づかないと、文の意味をなかなか理解できないこともよくあります。倒置が含まれる文は、確かにやや難しいものが多いかもしれません。

でもやはり大事なのは慣れです。何か難しいなと思ったら、倒置の可能性を考えることを習慣の一つにしてみてはいかがでしょうか。

まずは読んで理解できるようになること。そして慣れてきたら、倒置を使った文を自分でもつくってみるというのがいいのではないかと思います。

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