「ずるい」を意味する英語表現
辞書によると、日本語の「ずるい」は、「自分の利益のために、ごまかしてうまく立ち回ったりすること」を指します。「あの人はずるい人だから油断はできない」などと言いますよね。
似た表現としては、「狡猾だ」「こすい」「ずる賢い」などが挙げられます。また、会話的な表現としては、「お兄ちゃんだけもらえて私はもらえない、ずるーい」といったような「ずるい」の使い方もあります。
さてでは、こうした「ずるい」を英語で表現するとどうなるでしょうか。普段よく使うのに、日本語から英語にしようとするととっさに口をついて出てこない言葉がけっこうありますが、「ずるい」もその一つではないでしょうか。
英語で「ずるい」、あるいはそれに近い意味を表現する言葉はいろいろあります。ほとんど同じ意味を持つと解釈できるものもあれば、微妙なニュアンスの違いを持つものもあります。
今回は、そんな、「ずるい」を意味するさまざまな英語表現を例文とともに紹介したいと思います。
Cunning
「ずるい」を表現する英語、まずは「cunning」です。
日本語の「ずるい」は形容詞ですが、英語の「cunning」は形容詞として使われたり、名詞で「ずるさ」という意味で使われたりします。また、副詞「cunningly」は「ずるく」という意味です。それぞれ紹介しましょう。
形容詞としてのcunning
形容詞として使う「cunning」には「ずるい」「悪賢い」「狡猾な」といった意味があります。
人をだますのがうまい、ずる賢いというニュアンスが含まれています。どちらかというと人をけなす言葉であり、普通は、ポジティブな褒め言葉としては使われません。
What? You are cunning!
えっ、なんですって? ずるいわねえ。
He has cunning eyes.
彼はずるそうな目をしている。
「cunning」の発音は「カニング(kʌ́nɪŋ)」ですが、和製英語の「カンニング」とは意味が違いますので注意しましょう。
「試験でカンニングする」は「cheat」を使って、「cheat in an examination」または「cheat on an examination」などと言います。
なお、「cheat」を使った別の表現、「It’s cheating.」については後ほど解説します。
またアメリカ英語では、やや古い、くだけた表現として「cunning」には「(洋服などが)魅力的な」「(赤ん坊などが)かわいらしい」という意味があります。まぎらわしいですね。でも頭の隅っこに「こんな意味もある」と覚えておくといいですよ。
名詞としてのcunning
名詞としての「cunning」は「ずるさ」「悪賢さ」「狡猾さ」「巧妙さ」といった意味です。
He used his cunning.
彼はずるい手を使った。
副詞はcunningly
「cunning」を副詞として使う場合は「-ly」をつけて「cunningly」となります。
「ずるく」「悪賢く」「巧妙に」といった意味になります。
She carried out a scam cunningly.
彼女は巧妙に詐欺をはたらいた。
Sly
「sly」は「スライ」と読みます。「sly」は形容詞で、名詞形が「slyness」です。
形容詞のsly
「sly」は形容詞で「ずるい」「ずる賢い」「あくどい」「こすい」といった意味です。
ただし、「cunning」よりも悪賢さの程度が少し低いニュアンスです。
George is a sly person.
ジョージはずる賢い人間だ。
That’s sly!
それはずるい!
「sly like a fox」、または「(as) sly as a fox」という慣用句的な表現があります。
直訳すると「キツネのようにずる賢い」で、「sly」を強調した表現です。どんな方法を使ってでも自分のほしい物を手に入れるような人物を表現する時に使います。
She was sly like a fox.
彼女はずる賢い。
同様な表現に、「crazy like a fox」「dumb like a fox」「(as) cunning as a fox」などがあります。
話がちょっとそれますが、「fox」自体にも「ずる賢い人」「狡猾なやつ」という意味があります。「play the fox」で「ずるをする」「上手に立ち回る」、「an old fox」で「したたかな野郎」というような意味です。
名詞はslyness
「sly」の名詞形は「slyness」です。
「ずるさ」「陰険さ」「ずる賢さ」「狡猾さ」といった意味です。
I hate his slyness.
私は彼のずるさが嫌いだ。
I’m jelly
「I’m jelly.」を直訳すると「私はゼリー」となり、訳がわかりませんよね。
実はここで使われている「jelly」は、「嫉妬して」「妬んで」という意味の「jealous」の省略形なのです。
ですので、「I’m jelly.」は「私はうらやましい」という意味になります。ほかの人をうらやむ時に、「ずるい」と言いますよね。「I’m jelly.」はこうした時に使える「ずるい」のスラング表現です。
Why? I’m jelly! They're going there, why can't I?
なんで? ずるい! 彼らはそこに行けて、どうして私は行くことができないの?
せっかく「I’m jelly.」という、ほかの人をうらやむような時に使うフレーズが出てきたので、「jealous」と「envy」も紹介しましょう。
I’m jealous.
ずるーい!(私はうらやましい)
I envy you.
ずるーい!(私はあなたをうらやむ)
Devious
「devious」は「ずる賢い」「巧妙な」「不正な」といった意味の形容詞です。
名詞形は「deviousness」、副詞形は「deviously」です。
形容詞のdevious
同じ「ずるい」でも、「devious」は、ほしい物を手に入れるために人を騙したり、悪質な詐欺を働く場合などによく使われます。
I will use any devious means to win the game.
私はどんな悪どい手を使ってでも試合に勝つ。
By a devious way, they managed to raise the campaign war chest.
彼らはずる賢い方法でどうにか選挙活動資金を集めた。
名詞はdeviousness、副詞はdeviously
「devious」の名詞形は「deviousness」です。
「巧妙さ」「悪質さ」「悪賢さ」「ずる賢さ」「腹黒さ」といった意味です。副詞形は「deviously」で「よこしまに」「ずる賢く」「遠回りして」などの意味になります。
What deviousness!
何というずる賢さ!
Nancy got promoted by behaving deviously.
ナンシーはずる賢く振る舞って出世した。
It’s cheating
「cheating」は「不正行為」「インチキ」「カンニング」「浮気」といった意味の名詞です。
「It's cheating.」は「cheating」を使った慣用的な表現で、よく、「それはずるい」「それはずるだ」などと訳されます。
You can’t ask your sister for answers.It’s cheating.
答えをお姉さんに聞いちゃダメだよ。それはずるだよ。
「cheating」の元になっている動詞「cheat」は「不正をする」「ごまかす」「(試験で)カンニングをする」「浮気する」といった意味です。これを使って、以下のように「ずるい」を表現することもできます。
You always get a full score. Are you cheating?
いつも満点だよね。ずるしてるの?
He is always cheating and doesn't play fair.
彼はいつもずるいことをして公正な勝負をしない。
ちなみに「Cunning」のところでも触れましたが、日本語の「カンニング」は「cunning」ではなく、「cheat」を使いますよ。
They cheated on the test.
彼らはテストでカンニングをした。
No cheating!
カンニング厳禁!
That’s not fair
「That's not fair.」は「それは不公平だ」です。
そうした意味から、「ずるい」と言いたい時にもこのフレーズが使えます。より口語的に、「Not fair.」とだけ言う場合もあります。
That's not fair! I wanted to eat it, too!
そんなのずるい! 私もそれを食べたかったのに。
That's so not fair. I'm a big brother, so I need more!
すごくずるいよ! 僕の方がお兄ちゃんなんだから、僕の方がもっと必要だ!
I am envious of her success. Honestly, I think that's not fair!
私は彼女の成功がうらやましいです。正直、ずるいって思っています。
そのほかの関連する表現
crafty
「crafty」は形容詞で「ずるい」「ずる賢い」「悪賢い」といった意味です。名詞形は「craftiness」、副詞形は「craftily」です。
She's a crafty politician.
彼女はずる賢い政治家だ。
They perceived Tim’s craftiness.
彼らはティムのずる賢さに気づいた。
He craftily selected meeting members so that his opinion was accepted.
彼は自分の意見が受け入れられるように、会議メンバーをずる賢く選んだ。
dishonest
「不正直な」「いいかげんな」といった意味がある形容詞「dishonest」も、文脈に応じて「ずるい」といった意味で使えます。
They got money by dishonest means.
彼らはずるい方法で金を儲けました。
まとめ
いかがでしたか?今回は、「ずるい」を意味するさまざまな英語表現と英語例文を紹介しました。
どんな時にどんな「ずるい」を使えばいいのか。まずは日本語でどのような意味で使われているのかをよく考えてから、それに合う英語表現を選ぶようにしましょう。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.