夏が来ると、うだるような蒸し暑さに見舞われる日本。
国内では毎年のように、「夏バテして食欲がない」とか、「熱中症気味だった」といった会話がごく普通に交わされます。
今回は英語で「夏バテ」をどう伝えるのかを考えてみましょう。
「夏バテ」を端的に表す単語はない
英語では、「夏バテ」を端的に示す単語や表現がありません。一方、翻訳サイトや辞書で「Summer fatigue」や「Heat fatigue」が出てきますが、こちらは直訳に近く日常会話ではなじみが薄いのです。「Fatigue」が医療用語で「疲労、倦怠」を意味し、「熱疲労」や「熱射病」のニュアンスが強くなるからです。
「それなら、日常会話ではどう言うの?」という疑問が浮かびますよね。夏の暑さで起こる体調不良や疲労を表す時は、「暑さにやられる」や「暑さのせいで疲れる」と表現します。
猛暑 「a heat wave」
~のせいで 「because of」
この夏の暑さはこたえます。
「kill(動詞)殺す、死なせる」という強めの単語を使っていますが、口語では「(人を)へとへとに疲れさせる、消耗させる」という意味があります。ですので、「暑さにぐったりしている、やられている」といった様子を表現するのにぴったりです。
この猛暑で疲れ切っています。
中学校で習う「A+make+B+動詞/形容詞」の文型です。直訳では「暑さが私を疲れさせる」となります。
暑さのせいで疲れ切っています。
「be tired」よりも「be exhausted」の方が、より疲れ切っていることを表せます。
次からは、状態や状況ごとに見ていきましょう。
調子が悪い
~のせいで;~のため「due to」
この暑さのせいで調子が悪い。
「be not feeling well」で体調が優れないことを意味します。「due to ~」は「~のせいで」
体調が良くないんだ。外にいられる暑さじゃないよ。
「be under the weather」は、熟語として覚えましょう。
彼女は体調不良で今日は仕事に来ませんでした。
元気がない/元気が出ない
湿気のある 「humid」
この暑さのせいで、元気が出ません。
「feel down」は、頭が下がって沈んでいるような様子を表します。
湿気が高いせいで、彼は元気がありません。
「humid」は「(形容詞)湿気のある;むしむしする」という意味で、「humid and hot」で日本らしい蒸し暑さを表現することができます。名詞形は「humidity」です。
この部屋の湿度はすごく高い。
疲れやすい/疲れが取れない
疲労 「fatigue」
この夏の暑さで、疲れやすいみたい。
直訳では「この暑さが私を簡単に疲れさせると思う」ですが、実際には「疲れやすいみたい」というニュアンスを出せます。
毎日暑いせいで、疲労が取れそうにありません。
「get rid of ~」で「~を取り去る;取り除く」という意味で、先に出てきた疲労を表す「fatigue」を使っています。
食欲がない
~の間 「during+名詞」
暑さで、彼は食欲がない。
先ほども出てきた「A+make+B+動詞」の文型です。暑さが食欲を奪い去るようなイメージです。
この暑い天気のせいで、食べたいと思いません。
これも同じですが、「A+make+B+NOT+動詞」になるところがポイントです。
暑さのせいで、彼女は食欲がありません。
「ほぼ食欲がない」であれば、「have little appetite」ということができます。
夏の間は食欲不振になるので、食べられるものを食べるようにしています。
「during the summer」は「夏の間」という意味で、期間を表します。
「食欲がない」という表現は「have no appetite」のほか、「lose one’s appetite」、「do/does not want to eat」「be動詞 not hungry」などがあります。
よく眠れない/寝苦しい
熱帯夜 「sultry nights; sweltering nights」
蒸し暑い、暑苦しい 「muggy」
※日本の熱帯夜を表現する場合、熱帯地方を示す「tropical」よりも、「蒸し暑い」を表す「sultry」、「うだるように暑い」を意味する「sweltering」の方が、より伝わりやすいでしょう。
暑い夜は寝苦しいです。
「It's hard to sleep on」で「眠り続けるのが大変」というニュアンスです。
熱帯夜はよく眠れない。
より主観性が高く、自分のことを話している実感が出せます。
ムシムシしていて眠れません。
「cannot」に力を込めると、より眠れない様子が表せます。「よく眠れる」は「sleep well」、「眠り続ける」は「sleep on」です。
立ちくらみがする/眩暈(めまい)がする
眩暈がする、目がくらむ 「giddy」
(病気などの一時的な)発作、発病 「[口語]spell」
頭がふらふら・くらくらする 「lightheaded」
夏の間はいつも眩暈がします。
「during the summer」の代わりに「because of the summer heat」とすれば、「暑さのせいで」というニュアンスが出せます。
立ちくらみがします。
よく眩暈が起きます。
こちらは「形容詞dizzy+名詞spells」で、直訳では「眩暈の発作」となります。「spell」には様々な訳語がありますが、この場合は口語で「一時的な発作や発病」を意味します。
よく頭がくらくらすることに気づきました。
「lightheaded」は「(形容詞)熱・酔いなどで、頭がふらふら・くらくらする」状態を指します。誤解を避けるためにも「because of the heat」などを付け加えるのがおすすめ。
眩暈がしています。
頭がぐらぐらと回っているような感覚を説明する場合に、ピッタリな表現です。
熱中症/熱疲労
日射病 「sun stroke」
熱疲労 「heat exhaustion」
脱水症状 「dehydration」
どれも医学用語として使われている表現で、「stroke」は「発作」という意味ですので、「心臓発作」が「heart stroke」です。
夏は多くの人々が熱中症になる。
「get heat stroke」で「熱中症になる」を意味します。
軽い熱中症だった。
この「minor」は形容詞で「軽症の」の意味です。
熱中症にならないように、水をたくさん飲むようにしている。
「in order not to 動詞」で「~しないように」を表します。
熱中症にご注意ください。
「be careful of 名詞」で「~に注意する」
まとめ
今回は「夏バテ」に関する表現を見てきましたが、いかがでしたか?
ネイティブキャンプ英会話でも、ここに出てきた表現を使ってコミュニケーションを盛り上げてみましょう。

福岡県出身。現在は関東圏に在住。英語の面白さに目覚めたのは、夫の転勤に伴いアメリカに住んだ時。日本語との違いが楽しくて、渡米中の3年間でどんどんハマりました。もともと英語を「書くこと、読むこと」で勉強したので、「聞くこと、話すこと」の方が苦手。でも、オンライン英会話を活用することで、肩の力が抜けて、慣れるものだなぁと実感しました。趣味は山登り。低山から山小屋を利用した縦走まで、山とその周辺の自然に幅広く親しんでいます。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.