日本人学習者が間違いやすい初級で学ぶ文法

韓国語、文法、ネイティブキャンプ

韓国語と日本語は文法的にとても似ており、多くの共通点や類似性があることで日本人にとっては最も習得がしやすい外国語と言えます。

ところが、いくら似ているとは言っても別の言語であり日本語とまったく同じでは当然ありません。

ですが、似ているがために相違点に気付きにくいです。

そのため、日本語と同じ感覚で韓国語を考えてしまうことにより間違った韓国語や不自然な韓国語を身につけてしまうことがあります。

その結果、日本語を韓国語に置き換えただけの日本語風な韓国語になってしまうことが見受けられます。

今回の記事では、日本人学習者が間違いやすい初級で学ぶ文法について日本語表現を基に見て行きます。

日本人が間違った韓国語や不自然な韓国語を身に付けてしまう原因

私達は学生時代に英語を学んでいますが、中高と6年も学んだにもかかわらず習得できなかった人が圧倒的に多いと思います。

それは、母語である日本語と英語は似ても似つかない言語であるため習得の難易度が高いからです。

一方で韓国語と日本語は、冒頭で触れた通り多くの文法的な共通点や単語でも漢字語があるため、英語など日本語との距離がある言語に比べると学習の負担がかなり少ないです。

また、文化的にも隣国で似ているため、それらが反映された言葉や表現も理解がしやすいです。

このように日本語と共通点が多いことは私達日本人の学習者にとっては学ぶ上で大きなアドバンテージになりますが、一方で似ているがゆえに日本語と韓国語で違う部分に気付きにくいことが、間違いを犯しやすい、不自然な韓国語になってしまう原因です。

初級レベルでは日本語をベースに文を作れることが多いため韓国語は簡単、置き換えで文が作れると思う学習者もいるようですが、学習が進むにつれ日本語と韓国語の違いが段々と出てくるため、難しいと感じる学習者も多いと思います。

そして、日本語と同じ感覚で韓国語の文を作る癖がついてしまうとなかなか直すことが難しく、自然な韓国語を使うことができるようになりません。

それにより、いくら勉強してもいつまでもきちんとした韓国語を使えるようにならないという状態になってしまいます。

日本語から考える注意すべき韓国語表現

繰り返しになりますが、日本語と韓国語は文法がとても似ているため、初級の段階では置き換えで文を作れてしまうことが多いです。

例えば、「私は学生です」は初級文法のテキストで最初に出て来ますが、「私/は/学生/です」をそれぞれ当てはまる韓国語に置き換えることで簡単に文が出来上がります。

英語のように日本語と語順が違うわけではなく、学生のような漢字語であれば同じ漢字を使うので単語も比較的分かりやすく勉強をしていても分からないということはあまりないはずです。

ですが、日本語では同じ文型でもすべてが置き換えで正しい韓国語になるわけではなく、文法の使い分けが必要になります。

次からは具体的な日本語の文型と例文を取り上げ、置き換え式では正しい韓国語ができない注意すべき表現について見て行きます。

注意すべき文法表現

~の~

「~の~」にあたる「~의」という文法は、初級文法でも最初の段階で出てくる基本的な学習事項です。

ですが、この日本語の「~の~」という表現は必ずしも「~의」を使えるわけではありません。

「~의」の用法を理解していないと間違った韓国語になります。

以下、例を見ながら確認していきます。

「友達の家」

친구(의) 집

「東京の人口」

도쿄(의) 인구

このふたつは所有や所属の意味なので、「~の~」の意味を「~의」を使って表現することができます。

また、このような場合は「~의」を省略することができます。

次に、上の例文の「東京の人口」と同じように、文の構造としては「~の~」ではあっても「~의」を使うと不自然になる例です。

「東京の大学に通っています」

도쿄에 있는 대학에 다니고 있어요.

この例文では、上記の東京の人口とは少し意味合いが違います。

「東京の人口」の場合は、人口が東京の属性ですが「東京の大学」の場合はそうではなく、意味上、東京にある大学と解釈されます。

そのため、上記の韓国語が自然です。

次の例も多くの韓国語学習者に見られる間違いです。

「~の~」は「~의」になるという置き換え思考があると間違ってしまう例です。

「医者の父親」

의사인 아버지

この場合の「~の~」は、意味合いを考えてみると「医者である父親」です。

「友達の家」の場合は、「友達」と「家」は同じものを指していません。

一方で、「医者の父親」は、医者と父親がイコール関係です。

このような場合は、「~의」ではなく指定詞「이다」の連体形「인」を使います。

~(し)ている

以下の例文は日本語ではどちらも「~(し)ている」が含まれる文です。

「今韓国語を勉強しています」

「椅子に座っています」

韓国語で「~(し)ている」を表す文法として学ぶものが、「~고 있다」と「~아/어 있다」です。

「~(し)ている」は進行中の動作や動作が継続していることを表し、「~아/어 있다」は状態を表します。

日本語ではどちらの場合も「~(し)ている」を使えるため区別しませんが、韓国語では区別する必要があるので要注意です。

「今韓国語を勉強しています」(進行中の動作)

지금 한국어를 공부하고 있어요.

「椅子に座っています」(状態)

의자에 앉아 있어요.

また、下記の日本語の文も「~(し)ている」を含みますが、上記の2つの文法のいずれにも当てはまらず別の表現をする必要があります。

「私は結婚しています」

저는 결혼했어요.

「お店が閉まっています」

가게는 휴업이에요. /(오늘은) 문을 닫았어요.

「このお菓子は米で作られています」

이 과자는 쌀로 만들어졌어요./만든 거예요./만들었어요.

「~(し)ている」を見て、「~고 있다」か「~아/어 있다」のどちらかになると思うと間違えてしまうので注意が必要です。

~できない

「~できない」も日本語ではいくつかのニュアンスをこれひとつで表現しますが、韓国語では意味合いによって使い分ける必要があります。

以下に例文を挙げて見て行きます。

「約束があるので行けません」 

약속이 있어서 갈 수 없어요.

「을/ㄹ 없다」は不可能の意味を表します。

上記の例文であれば、約束があるので行くことが不可能ということです。

「勉強ができません」

공부 못 해요.

「못 하다」は「을/ㄹ 없다」と同じく不可能なだけでなく、得意ではないといったニュアンスが含まれます。

「そこにひとりで行くことができません」 

거기에 혼자서 갈 줄 몰라요.

「을/ㄹ 줄 모르다」はやり方や方法が分からないからできないという意味合いを持っています。

上記の例文であれば、道が分からないなどの理由で行く方法が分からないから行くことができないといったニュアンスです。

同じ「行くことができない」であっても「갈 수 없어요」と「갈 줄 몰라요」では意味合いが異なるので、伝えるニュアンスによって使い分けが必要です。

「ここで煙草を吸うことはできません」 

여기서 담배를 피우면 안 돼요.

「안 되다」には「~してはいけない、ダメ」というニュアンスがあります。

上記の日本語は意訳していますが、直訳をすれば「ここで煙草を吸ってはいけません」ということです。

相手に対し禁止やして欲しくないことを伝える時に使う表現です。

~ですね

「~ですね」に対応する韓国語として初級レベルで学ぶ文法が、「~네요」と「~군요」そして「~지요」です。

「~네요」と「~군요」は共通点があり両方使える場合が多いのですが、一部使い分けが必要な部分があります。

まずこのふたつの基本的な使い方はどちらも自分が経験してわかった時、自分で考えて判断してわかった時に使う表現です。

どちらも過去の経験でわかったことに使うことができません。

「このキムチチゲはおいしいですね」

이 김치찌개가 맛있네요./ 맛있군요.

この例文であれば、今キムチチゲを食べていてキムチチゲがおいしいということが分かり、それを感嘆として表現しているということです。

どちらでも使えますが、「~네요」を使う場合が多いです。

ただし、「~네요」と「~군요」の使い分けが必要なのは、自分の経験で判断するのではなく、相手の言っていることを受け入れる場合です。

この場合は、「~네요」は使えず、「~군요」を使います。

A:「このレストランはソウルで有名なんです」

B:「そうなんですね」

A:이 레스토랑은 서울에서 유명해요.

B:그렇군요.

「そうなんですね」は自分の判断ではなく、相手が言ったことをそのまま受け入れているので、「~네요」は使えず、「~군요」を使います。

次に「~지요」を使う場合の例文を見てみます。

「やっぱり家が一番ですね」

역시 집이 최고지요.

A:「一人暮らしは大変じゃないですか」

B:「大変ですね。でも自由に暮らせます」

A:혼자 사는 게 힘들지 않아요?

B:힘들지요.그래도 자유롭게 살 수 있어요.

「~지요」を使うのは、既にわかっていたことを表現する場合です。

上記のふたつの例文を見てもわかる通り、「やっぱり家が一番」であることや「一人暮らしが大変」であることは既に経験してわかっていることです。

「~네요」と「~군요」が過去の経験でわかったことに使えないのに対し、「~지요」は使える点が違いです。

まとめ

ここまで、日本語の表現を基に、日本語であれば同じ表現になるものでも韓国語では文法の使い分けが必要になるものを見てきました。

今回の記事ではいずれも初級段階で学ぶ基本的な文法事項について取り上げました。

基本や初級レベルは簡単、わかると思いがち、そして軽く見てしまいがちです。

ですが、今回取り上げた各例文を見てみると基本や初級レベルと言っても決して単純で簡単ではなく、使いこなせるようになるには個々の違いをしっかりと理解していなければならないことが分かったのではないでしょうか。

繰り返しお伝えしてきた通り、日本語と韓国語は似ているため日本人には一番習得がしやすいです。

ですが、日本語と同じように簡単に文ができると思ってしまったり、どれだけ似ていても日本語とは別の言語であることをしっかり理解した上で学習しないと正しい韓国語を習得することができません。

間違った韓国語や不自然な韓国語を身に付けないようにするために必要なことは、置き換えで韓国語は文が作れるという置き換え思考を捨てることです。

その上で、日本語の意味合いを理解して適切な韓国語にすることです。

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