韓国語の接辞とは?前後について意味を成す「接辞」を学ぼう

韓国語の接辞とは?前後について意味を成す「接辞」を学ぼう

 

「接辞」とは、語幹の前や後ろについて単語の意味を補ったり変化させたりする、単語の構成要素のひとつです。

例えば、日本語でいうところの「ま夜中」の「ま」「子供っぽい」の「っぽい」などがそれに当たります。

今回は、韓国語の接辞にはどういったものがあり、接辞を使うことで単語はどの様に変化するのかを詳しく見ていきたいと思います!

 

接辞の種類

 

韓国語の接辞は大きく二種類に分かれます。

語幹の前に付く「接頭辞(または接頭語)」
語幹の後ろに付く「接尾辞(または接尾語)」

韓国語の漢字もそのまま同じで、接頭辞は「접두사」接尾辞は「접미사」と言います。

また、どちらも朝鮮語由来の固有語の接辞と、漢字由来の接辞とが存在します。

漢字由来のものは日本語に変換しやすいので私たち日本人には理解しやすいでしょう。

 

接辞の役割

 

接頭辞の役割は、語幹の前に付き、単語の意味を補ったり強調したりする役割をします。

冒頭で例に出した「ま夜中」を思い出してください。「ま」という接頭辞が付くことで、ただの夜中を強調しより深い夜を表していますね。

一方接尾辞は、語幹の後ろに付くことで、単語に意味を追加したり、違う単語を作る役割をします。

こちらも冒頭の「子供っぽい」を例にみてみます。「子供っぽい」は子供の要素が強い、子供によく似ているという意味で、子供以外の大人や物に対して使い、「子供」とは別の単語になっています。

また、この様に接尾辞が付いてできた新しい単語を「派生語」と呼びます。

 

韓国語の主な接頭辞

 

名詞に付く接頭辞

 

시-

既婚女性の立場から「夫の~」という意味を持ちます。

例)
시₊아버지(父) ₌ 시아버지(夫の父)
시₊어머니(母) ₌ 시어머니(夫の母)
시₊댁(家) ₌시댁(夫の実家)

맨-

「他のものは何も無い」と言う意味を持たせます。

例)
맨₊눈(目) ₌ 맨눈(裸眼)
맨₊발(足) ₌ 맨발(裸足)

※「맨」は名詞に付いて「一番の」という意味を持たせることもありますが、これは今回取り上げる接辞とは全く別の文法になります。この場合、品詞は接辞ではなく「冠形詞」になり、名詞との間に分かち書きが必要となります。

例)
맨₊처음(初め) ₌ 맨␣처음(一番初め)
맨₊앞(前) ₌ 맨␣앞(一番前)

 

用言に付く接頭辞

 

새-

主に色を表す形容詞に付いて、「とても濃くて鮮明だ」と言う意味を持たせます。

例)
새₊까맣다(黒い) ₌ 새까맣다(真っ黒だ)
새₊빨갛다(赤い) ₌ 새빨갛다(真っ赤だ)

시-

主に色を表す形容詞に付いて、「とてもくすんだ」と言う意味を持たせます。

例)
시₊허옇다(くすんだ白) ₌ 시허옇다(とてもくすんだ白)
시₊퍼렇다(くすんだ青) ₌ 시퍼렇다(とてもくすんだ青)

※「새」は母音がㅏ・ㅗの語幹の時に、「시」は母音がㅓ・ㅜの語幹の時に付いてそれぞれの色を強調させる役割をします。

휘-

一部の動詞や形容詞に付いて、「めちゃくちゃに・むやみに・とてもひどく」といった意味を付加します。

例)
휘₊갈기다(叩く・打つ) ₌ 휘갈기다(書きなぐる・強く打つ)
휘₊감다(巻く) ₌ 휘감다(グルグル巻きにする)
휘₊넓다(広い) ₌ 휘넓다(だだっ広い)

한-

一部の名詞に付いて「まさに・真っ盛り」という意味を持たせます。

例)
한₊가운데(間) ₌ 한가운데(ど真ん中)
한₊여름(夏) ₌ 한여름(真夏)

되-

一部の動詞に付いて「元の・再び」といった意味を持たせます。

例)
되₊돌아가다(帰る) ₌ 되돌아가다(引き返す)
되₊살리다(生かす) ₌ 되살리다(よみがえらせる)

 

名詞や用言に付く接頭辞

 

헛-

  • 一部の名詞に付いて「意味のない・やりがいのない・無駄な」といった意味を持たせます。
  • 一部の動詞に付いた場合は「やりがいのない・間違った」といった意味を持たせます。

例①)
헛₊소문(うわさ) ₌ 헛소문(根も葉もないうわさ・デマ)
헛₊수고(苦労) ₌ 헛수고(無駄骨)

例②)
헛₊디디다(踏む) ₌ 헛디디다(踏み外す)
헛₊살다(生きる) ₌ 헛살다(適当に生きる)

덧-

一部の名詞や動詞の前に付いて「重なる・繰り返される」という意味を付加します。

例)
덧₊니(歯) ₌ 덧니(八重歯)
덧₊붙이다(付ける) ₌ 덧붙이다(付け加える)

 

漢字由来の接頭辞

 

漢字由来の接頭辞には、불‐(不‐)、총‐(総‐)、무‐(無‐)、비‐(非‐)、미‐(未‐)などがあります。日本語文法と同じなのでこちらは意味の説明は省きます。後ろに続く単語は豊富で、いくらでも単語を生産できるのが漢字接頭辞の特徴です。

 

韓国語の主な接尾辞

 

名詞を作り出す接尾辞

 

-개

一部の動詞の語幹の後ろに付いて「①その様な行為をする道具」もしくは「②その様な特性を持つ人」という意味の名詞を作ります。

例①)
날다(飛ぶ)₊개 ₌ 날개(翼・羽)
지우다(消す)₊개 ₌ 지우개(消しゴム)

例②)
오줌싸다(おしっこをする)₊개 ₌ 오줌싸개(小便たれ)

-기

一部の動詞や形容詞を名詞化させる役割をします。

例)
달리다(走る)₊기 ₌ 달리기(かけっこ)
더하다(足す)₊기 ₌ 더하기(足し算)

-음

ㄹ以外のパッチㇺがある用言を名詞化させます。

例)
웃다(笑う)₊음 ₌ 웃음(笑い)
믿다(信じる)₊음 ₌ 믿음(信頼)

-꾸러기

一部の名詞について「それが過度である人」という意味をもたせます。

例)
장난(いたずら)₊꾸러기 ₌ 장난꾸러기(いたずらっ子)
잠(眠り)₊꾸러기 ₌ 잠꾸러기(お寝坊さん)

-이

いくつかの名詞・形容詞・動詞・名詞と動詞の結合語・擬態語・擬声語などに付いて名詞を作ります。

例)
놀다(遊ぶ)₊이 ₌ 놀이(遊び)
목(首)₊걸다(かける)₊이 ₌ 목걸이(ネックレス)
멍멍(わんわん)₊이 ₌ 멍멍이(わんちゃん)

-질

질には色々な使われ方があり、中でも③④は相手を卑下する表現ですので使う時には注意が必要です。

①道具を表す一部の名詞に付いて、その道具を使った作業を表します。

例)
걸레(雑巾)+질 ₌ 걸레질(雑巾がけ)

②体の部位を使った行為を表します。

例)
손가락(指)₊질 ₌ 손가락질(指さし)

③(悪い意味で)その職業や立場の様に振舞っている人を表します。

例)
선생(先生)₊질 ₌ 선생질(先生の様に振舞う人)
※先生の様に振舞う事を不満に思っていたり、馬鹿にしている。

④主に良くない行為に対して卑下する意味を加えます。

例)
자랑(自慢)₊질 ₌ 자랑질(自慢話)
※その自慢話を良く思っていない

-쟁이

一部の名詞に付いて、その属性を持っている人という意味を持たせます。

例)
욕심(欲)₊쟁이 ₌ 욕심쟁이(欲張り)
겁(怯え)₊쟁이 ₌ 겁쟁이(怖がり)

 

動詞を作り出す接尾辞

 

-하다

一部の名詞を動詞化させる役割をします。

例)
빨래(洗濯)₊하다 ₌ 빨래하다(洗濯する)
생각(考え)₊하다 ₌ 생각하다(考える)

-거리다

動作や状態を表す一部の語幹に付いて「その状態が継続する」という意味を持たせます。

例)
출렁(ゆらゆら)₊거리다 ₌ 출렁거리다(ゆらゆら揺れ続ける)
반짝(キラキラ)₊거리다 ₌ 반짝거리다(しきりにきらめく)

 

形容詞を作り出す接尾辞

 

-스럽다

「そのような性質がある」という意味の形容詞を作ります。

例)
걱정(心配)스럽다 ₌ 걱정스럽다(気がかりである)
자랑(自慢)스럽다 ₌ 자랑스럽다(誇りに思う)

-답다

一部の名詞に付いて「その性質がある」という意味の形容詞を作ります。

例)
참(真実)₊답다 ₌ 참답다(真実である)
남자(男)₊답다 ₌ 남자답다(男らしい)

-롭다

「その様だ」または「それに値する」という意味を持つ形容詞を作ります。

例)
슬기(知恵)₊롭다 ₌ 슬기롭다(賢い)
향기(香り)₊롭다 ₌ 향기롭다(香り高い)

 

受動態や使役動詞を作り出す接尾辞

 

-이-,-히-,-리-,-기-,-우-,-구-,-추-

-이-,-히-,-리-,-기-はある単語に付いたとき受動態を作り出し、
-이-,-히-,-리-,-기-,-우-,-구-,-추-は使役動詞を作り出します。

どちらにも属する-이-,-히-,-리-,-기-に関しては、受動態と使役動詞になる明確な違いやルールがない為、単語ごとに記憶するしかなく、接尾辞の中で最も難しい部分と言えます。

受動態を作る例
바꾸다(変える)₊이 ₌ 바뀌다(変わる)
잡다(捕まえる)₊히 ₌ 잡히다(捕まる)

使役動詞を作る例
녹다(溶ける)₊이 ₌ 녹이다(溶かす)
앉다(座る)₊히 ₌ 앉히다(座らせる)

 

副詞を作り出す接尾辞

 

-이

一部の形容詞や反復する名詞の語幹に付いて副詞を作り出します。

例)
높다(高い)₊이 ₌ 높이(高く)
일일(ひとつひとつ)₊이 ₌ 일일이(いちいち・何から何まで)

-히

一部の名詞や形容詞に付いて副詞を作り出します。

例)
무사(無事)₊히 ₌ 무사히(無事に)
조용(静か)₊히 ₌ 조용히(静かに)

 

漢字由来の接尾辞

 

漢字由来の接頭辞には、-가(‐家)、-화(‐化)、-적(‐的)、-연(‐然)などがあります。日本語文法と同じなので意味の説明は省きます。

 

接頭辞と接尾辞の大きな違い

 

接頭辞が単語に意味を付加したり強調したりするのに対して、接尾辞は単語や語幹の後ろに付き新しい単語を作り出すという点が、接頭辞と接尾辞の一番大きな違いでしょう。

例を見てみましょう。

한(接頭辞) + 겨울(冬/名詞) = 한겨울(真冬/名詞)
새(接頭辞) + 까맣다(黒い/形容詞) = 새까맣다(真っ黒い/形容詞)

청소(掃除/名詞) + 하다(接尾辞) = 청소하다(掃除する/動詞)
많다(多い/形容詞) + 이(接尾辞) = 많이(多く/副詞)

接頭辞を名詞や動詞の頭に付けても、名詞は名詞のまま動詞は動詞のまま、品詞が変わることはありません。

一方、接尾辞の付いた単語は、単語の品詞そのものが変わってしまう事がほとんどです。

 

おわりに

 

接辞を知っておくと、初めて見た単語でもなんとなく意味を推測でき、臨機応変に対応することができます。

試験でも役に立ちますし、日常会話でも単語の幅が広がる接辞。韓国語学習が中級~上級に差し掛かったら、知識として頭に入れておきたい部分です。

この機会に、それぞれの接辞の持つ意味をしっかり把握しておきましょう!