韓国語学習を始める時に多くの学習者は何かしらの韓国語教材を使っていることがほとんどだと思います。
今では昔と違い、書店に行くと韓国語テキストは選ぶことが大変なくらい数多く並んでいます。それらの数多くの教材や参考書の中から自分にぴったり合うものを選ぶことは、特にこれから韓国語の学習を始める初級の人にとっては至難の業です。
教材を闇雲に増やしてしまったり、自分の学習目的やレベルに合わないものを選んでしまうと、韓国語習得ができなかったり、効率的に勉強を進めることができなくなります。
今回の記事では、韓国語教材の種類、役割、そして選び方と効果的な使い方についてご紹介していきたいと思います。
韓国語教材の種類
韓国語教材とひと口に言ってもその種類と使用する目的、また学習者のレベルにより様々です。
教材と聞くと一般的には、文法テキストや単語集と言ったいわゆる学習書を思い浮かべる人が多いと思います。
ですが、そのようなものに限らず映画やドラマ、そして音楽なども教材です。
これらの中から自分に必要なものを適宜取り入れて学習を進めることで、韓国語を効果的に習得することができます。
ここからはまず、これらの教材の種類と特徴について説明します。
総合テキスト
総合テキストは、1冊で韓国語に必要な知識を一通り学べる教材です。
これから勉強を始める韓国語初級者はもちろん、すべてのレベルでまず使った方が良い万能</な教材です。
総合テキストは主に、韓国語を使えるようになるために必須の単語と文法の知識をしっかりと身に付けることを目的としています。
目的別テキスト
目的別テキストは、韓国語を習得するために必要な各要素を強化したり、総合テキストでは足りない部分を補うために使う教材です。
これらのテキストは主に以下のようなものがあります。
- 単語
- 音
- 作文・日記
- 活用
- 会話
- 韓国語能力試験(TOPIK)・ハングル能力検定試験
これらを必要に応じ、自分の学習目的に合わせ選び取り入れることで学習効果が上がります。
映画・ドラマ・音楽
これらのエンタメ系のコンテンツも教材のひとつです。
後ほど詳しく触れますが、これらのコンテンツを使って韓国語学習の効果を上げるにはある程度の韓国語能力がすでにあることが前提になります。
ニュース・新聞
ニュースや新聞は、上級レベル向けの教材で、時事問題や専門用語を学ぶのに有効な教材です。
本
本もジャンルはいろいろですが、韓国語がある程度わかるようになった中級段階くらいから自分の好きなジャンルや学びたいことに合わせて選ぶと良いです。
その他
その他にも、身の回りで目に入るあらゆるものが教材になります。
例えば、韓国の街で見かけるお店の看板であれば、ハングルを読む練習になりますし、広告や商品パッケージなどもテキストには載っていない生の韓国語表現を学ぶ教材になります。
韓国語教材の役割
次に韓国語教材の役割について説明します。
韓国語教材の役割は何なのかと考える人はあまりいないと思います。
もし訊かれても教材と言うと本をイメージする人が多いと思うので、「勉強するために使う本」とでも答えるのではないでしょうか。
ですが、教材の役割は単に学習する内容を説明した本ではありません。
教材の役割を知っておくと勉強の役に立つこともあると思います。
なお、前の項目で挙げた教材のうち、ここでは一般的に教材と言うとイメージされるテキストで説明します。
勉強のガイド
テキストの大きな役割のひとつが、勉強のガイドになることです。
韓国語の勉強をいざ始めようと思っても、何をどういう順番で勉強すれば良いのか分からないのではないでしょうか。
韓国語に限らず外国語を学ぶ時は、思い付きで自分の好きなように勉強しても習得がなかなかできません。
効果的に習得できるように勉強する順番や学習内容を教えてくれるのがテキストです。
勉強するためのお手本
テキストは勉強するためのお手本の役割もあります。
韓国語に限らず何か新しいもの学ぼうとする時、参考にするものが何もなければ学ぶことが難しいです。
例えば、書道であれば、先生の書いたお手本をまずそのまま真似ることをします。
韓国語もそれと同じで、まずテキストを真似ることから始めていきます。
テキストはCD付きか音声をダウンロードできるようになっているはずなので、発音もそれらのお手本を真似して練習します。
テキストに沿って、ひとつずつ真似てできるようになれば、基本の型は身に付きます。
マニュアル
テキストはマニュアルでもあります。
例を挙げると、文法の説明は正にマニュアルです。
基本の形(原形)をどうやって自分の言いたいことに合わせて形を変えるか(活用)の方法が文法として説明されています。
その文法の説明に従ってやれば誰でも文を作ることができます。
例文集
テキストには多くの例文があります。
文法説明で該当の文法が適用された例文だったり、会話の形でも多くの例文が掲載されています。
文法を学びそれらの例文を基に、自分で必要に応じ例文をアレンジするだけでも自分で使う文を作ることができます。
資料集
さらに、テキストは資料集としても使えます。
しっかりとしたテキストであれば、巻末に単語の索引や活用形リストなど学習に役立つ資料があります。
教材の選び方
ここからは、
教材の選び方について必ず押さえておきたい基本的なことについて説明します。
自分の学習目的やレベルと合った教材を選ぶ
すでに触れた通り、教材にはいろいろな種類があります。
教材を選ぶ時にまずは、自分の学習目的やレベルを確認してください。
例えば、本当に初めて勉強する初心者であれば初級を選ぶことは分かると思います。
ですが、目的やその後の学習計画によっては同じ初級テキストでも選択が変わってきます。
例えば、ひとまず旅行で決まったフレーズだけ話したい、気軽にまずはお試し感覚で始めてみたいのであれば、内容があまり多くない簡単そうなものを選ぶと良いでしょう。
ですが、始める時点で数年を掛けてしっかりと韓国語を身につける覚悟があるならば、とっつきやすさを売りにしたものは選ばない方が学習する上でムダがありません。
なぜかと言うと、あまりにも簡単な内容の薄いテキストを初級で使ってしまうと、引き続き中級用テキストを始めても良く分からず、結局もう一度きちんとした初級用テキストで学び直さなければならなくなるからです。
韓国の大学付属の語学堂が出しているものか国内のテキストでもレベル別にシリーズで出ているテキストを選ぶのが無難です。
本当に必要な教材だけを厳選する
韓国語を始めると、次から次へと似たようなテキストが欲しくなり、買ってみたものの結局使わずに積読状態になってしまう人が少なからずいます。
テキストは学習を効率的、効果的に進めるために必要ですが、買うだけでは意味がありません。
学習段階に応じて、本当に必要なものだけを厳選して使うようにしてください。
教材の効果的な使い方
ここからは教材の効果的な使い方について説明します。
初級レベルは総合書を一冊だけやりこむ
韓国語を始めたばかりの初級の段階では、総合書を一冊だけやりこむようにしてください。
上で触れた通り、目的別でいろいろなテキストがあるのを見ると、別で使って勉強をしなければならないと思うかも知れませんが、ひとまず必要ありません。
初級で勉強自体に慣れていない段階であれこれ勉強しようとすると負荷が掛かり挫折しやすいです。
初級でまずは基本をしっかりと身につけて、それで足りない場合は目的別のテキストを適宜使って補強していくようにしてください。
試験対策には試験対策用テキスト
TOPIKやハングル検定を受験する場合は、過去問題集や対策本を使うと効率よく勉強ができます。
ですが、まずは普段の総合書を使ってする勉強が基本で、試験対策として取り入れるようにすることをおすすめします。
映画・ドラマは中級以降に使うと効果的
映画やドラマなどは、それを理解するためにはある程度の韓国語を理解できなければ取り入れても効果がありません。
これらを使って勉強する目的は、ある程度身に付いた韓国語力に磨きをかけるためです。
映画やドラマが好きだからそれをひたすら見て勉強しているという人が初級レベルでもいますが、非常に効率が悪いです。
勉強の教材として取り入れるのであれば、まずは韓国語自体をしっかりと身に付けてからにしましょう。
ニュース・新聞は上級レベルの試験対策に有効
ニュースや新聞などの時事を取り扱うものは、上級レベルの試験対策として使うと効果的です。
時事問題で出てくる専門的な単語や表現などは、こうした生の教材から学ぶことができます。
TOPIKの書き取りの練習として、新聞記事から記事選び、それをテーマに書く練習をすると力が付きます。
まとめ
ここまで、韓国語学習で使う教材について、種類、役割、選び方、効果的な使い方について書いてきました。
私が韓国語の勉強を始めた21年前に比べると、韓国語学習者が増えたことにより、教材のみならず学ぶための環境も格段に充実しました。
その反面で選択肢が多くなってしまったために、必要以上に教材を並行して使い勉強するなど学習効率が悪くなってしまうような勉強をしている学習者もいます。
韓国語学習では自分の学習目的に合った教材をいかに有効活用し、効率的に勉強するかも習得する上で重要になってきます。
教材を選ぶ前に、まずは自分の学習目的とレベルを確認しましょう。
そうすることで、多くの教材に目移りしたり、おすすめのテキストといった情報にただ流されてムダな教材を買わずに済むようになります。
教材の良し悪しが習得に関係ないわけではないですが、最も重要なことは教材を活かしてしっかり勉強を継続できるかどうかです。
教材はなるべく増やさないという考え方を基本に、本当に必要なものだけ厳選するようにしましょう。

◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
・韓国語能力試験(TOPIK)6級
・延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇留学経験
【オーストラリア】
・クイーンズランドカレッジオブイングリッシュ:3カ月
・ゴールドコーストカレッジオブビジネス:6カ月
【フィリピン】
・ファーストウェルネスイングリッシュアカデミー:3週間
【韓国】
・梨花女子大学校言語教育院:3週間
・延世大学校言語研究教育院(韓国語教員養成課程):5週間
【タイ】
・プロランゲージ(タイ語):1年6カ月
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。