「控えめに言って」の英語表現とは?実際に使えるフレーズもご紹介

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最近ネットやSNSでよく見かける「控えめに言って〇〇」

控えめに言って最高、控えめに言って神、控えめに言ってかわいすぎ、など。
基本的にはポジティブな場面で使われ、控えめに言っても最高、つまり最高以上、とてつもなく良い、というように後ろに続く言葉を強調するために使われているようです。
また、ネットでよく使われる表現でありながらも強調したい時に控えめにいう…というところに慎み・謙虚を美徳とする日本人らしさを感じずにはいられません。

そこで今回は「控えめに言って」の英語表現や役立つ情報をお伝えします。

そもそも「控えめに言って」ってどういう意味?

控えめに言って、つまり誇張でなく最低限の言葉で言っても、遠慮気味に言っても、という意味で使われています。

例えば、「控えめに言って最高」。
遠慮気味に言っても最高、最低限で表せる言葉が最高、すなわち最高では言い表せないぐらい良い、となり強い賛辞や称賛を意味しています。

また、控えめに言うと、と前置きすることで、謙虚でありつつもその後に続く言葉を際立たせることができる、という効果もあるようです。
自分の意見や主張をはっきり述べることがあまりない日本語において、ある種のクッション言葉のような役割を果たしているのかもしれません。

そして、この「控えめに言って」の元ネタは『ジョジョの奇妙な冒険』のセリフからと言われています。
「おれってよ~っ、やっぱりカッコよくて……美しいよなあ~っ、ひかえめに言ってもミケランジェロの彫刻のようによぉ~ッ」というセリフがあるのですが、控えめに言ってという出だしとその後に続く言葉のコントラストが面白くそこからネットを中心に使われるようになったようです。

「控えめに言って」の英語表現とは

非常に日本人らしい感性からうまれた「控えめに言って」という表現。
そんな「控えめに言って」を英語ではどのように表現すればよいのでしょうか?

to say the least

littleの最上級leastはless than anything or anyone else; the smallest amount or number(Cambridge dictionaryより引用)という意味で最小の量や数を表します。
そのleastを使い、一番少なく言っても=控えめに言っても、というように表現ができます。

例文)
The dinner was not tasty, to say the least.
(Cambridge dictionaryより引用)
夕食は控えめに言ってもおいしくなかった。

また例えば「控えめに言ってかわいすぎる」と言う場合、かわいすぎると言っても過言ではない、言い過ぎではないという風に言い換えることもできると思います。
その場合は以下の2つの表現が可能です。


It is not too much to say that ~
that以下のことを言うのはtoo muchではない、つまり過言ではないという意味になります。

例文)
It is not too much to say that she is a prodigy.
彼女は神童と言っても過言ではない(=控えめに言って、神童)

It is not an exaggeration to say that~
exaggerationはexaggerate(誇張する、大げさにいう)という動詞の名詞形でthe fact of making something seem larger, more important, better, or worse than it really is (Cambridge dictionaryより引用)という意味で誇張、誇張表現を表します。

例文)
It's not an exaggeration to say that natto rice is the easiest, most nutritious, and best meal of all!
納豆ごはんは最も簡単で栄養がある最高の食事といっても過言ではない!



No no no, you’re exaggerating!
いやいやいや、大げさだよー!

Exaggerationを同様の意味のoverstatementに変えて
It is not an overstatement to say that~という表現も可能です。

ですが、形式主語のitを使いthat以下で内容を説明するという上記の文ではネットでスラング的に使われている「控えめに言って」のニュアンスより若干硬い印象です。
ですので、先ほど出てきたexaggerationを使い、without exaggeration/no exaggerationという表現を使うと、「控えめに言って」のように気軽に文頭や文末に付けたして使うことができます。

例文)
Without exaggeration, the night view of New York was awesome!
控えめに言って、NYの夜景は最高だった!

海外でもこのような表現はあるの?

クッション言葉のように自分の意見を絶妙に曖昧にぼかすこの「控えめに言って」の表現には日本の文化が色濃く反映されています。

modesty(慎み)やhumble(謙虚な)であることは日本では非常に重要とされ、自分の力を誇示したり、でしゃばることは無礼とみなされます。
能ある鷹は爪を隠すということわざもあるように、たとえ実力があっても普段はそれをひけらかさないのが美徳なのです。

身近な例でも、「つまらないものですが…」といってお土産やプレゼントを渡したり、また身内である家族のことは「うちの妻はいつもぼーっとしていて」「うちの息子全然勉強しなくって」などと謙遜して言うことの方が多いと思います。
実際に成果を上げたことに関して事実の通り話したとしても、「あいつは自慢話ばっかりだ」「ビッグマウス」という評価をされてしまうこともあるかもしれません。

しかし海外では、必ずしも謙遜は美徳ではありません。
「うちの妻の料理はすごくおいしくて」「うちの子この前のテストで全部Aだった」のように、家族をポジティブに紹介することはよく行われますし、またビジネスの場においては、より自信があることを示すことが重要とされています。

何か新しいプロジェクトを任されたとき、「初めてのことで不慣れな点もあるかと思いますが…」などとミーティングで話し始めることもあるでしょう。
しかし、海外でそのように話してしまうと、やるきがない?スキルに見合わない仕事なのか?と不安に思われてしまうこともあるようです。

一般に日本はハイコンテクストの文化(high-context culture)と言われています。
英語のcontextの意味は前後関係や文脈、阿吽の呼吸という言葉もあるように、ハイコンテクストの文化の中ではすべてを口に出さずとも双方が行間を読み、場の空気や状況から相手の意図を察するコミュニケーションがとられます。

多くの背景・共有知識があることが前提とされますが、これは日本が島国であるという地理的要因や、長い間鎖国をしていた歴史的要因なども影響しているのかもしれません。

一方海外、特に欧米ではローコンテクストの文化(low-context cultures)の傾向があると言われています。
人種・宗教を含め、様々な背景を持つ人々が同じところで暮らすことが長く続いてきたため、人々の間に日本ほど共通の思想や生活形式が形成されていません。

したがって、相手に察してもらうことを期待して少ない情報で話してしまうと、結局相手に理解されなかったり間違って解釈されたりということが起こります。
ローコンテクストの文化では話し手にはわかりやすく情報を伝えることが求められるため、質問に対する回答や結果などを明確に伝えることが求められます。

このようなコミュニケーションの取り方の違いはどちらが良い悪いというものではもちろんありません。
誤解を招かずにより良い人間関係を築くために、この違いを知り状況に応じてコミュニケーションの方法を変えることができるようになることはこれからますますグローバル化する社会においては必要なことかもしれません。

以下に日本の謙遜の文化を表す際に使える英語も紹介します。英会話レッスンでこのような日本文化を説明してみるのも面白いかもしれません。

慎み→modesty
謙虚な→humble
遠慮→reservation
美徳→virtue
ずうずうしい、でしゃばり→pushy
無礼→rude, improper


ここで少し余談!

下記記事では、「マウントを取る」の英語表現をご紹介しています!ぜひ参考にしてください♪♪

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「控えめに言って」を使ってみよう!英語の例文もご紹介

それでは実際にどのような場面で使われるのか、英語表現とその使い方や例文を紹介します。
日常英会話で使える例を挙げているので、ぜひ英会話のレッスンでも試してみてください。
I went to Okinawa last week, the ocean was crystal clear and the blue sky, the best trip ever to say the least!
先週沖縄行ったんだー!透き通った海に青い空…控えめに言って最高だったよ!

My favorite Mio is, to say the least, the goddess of beauty. She is so cute!
私の推しのみおちゃん、控えめに言って美の女神。かわいすぎる!

ここでは、「お気に入りの、特に好きな」を意味する形容詞favoriteを名詞として使い、推しを表現しています。

My boyfriend looks like Justin Bieber, without exaggeration!
私の彼氏、控えめに言って、ジャスティンビーバー似だよ!

Isn’t it a bit of a stretch? Whew, love is blind.
それは言い過ぎじゃない?ふぅー、恋は盲目だね。

ここでのstretchはまさに皆さんが想像するストレッチから来ています。

日本語でも柔軟体操のことをストレッチと言いますが、stretchの動詞の意味は引っ張る・伸ばす。
そこから派生して、(引っ張りすぎて)無理に解釈することや誇張することも表すようになりました。
ここではstretchが名詞として用いられ、誇張・言い過ぎを表しています。
盛ってない?と訳してもいいでしょう。

「控えめに言って」の反対語の英語表現とは?

これまで見てきた通り「控えめに言って」には、思っていることを直接的に伝えないという慎みの気持ち、また誇張せず最低限の言葉で表していますよという感情が含まれています。

好き⇔嫌いのような分かりやすい反対語はありませんが、上記の2つの要素を逆にとらえるとニュアンスはそれぞれ異なりますが、「率直に言って」と「大げさに言って」という風になると思います。

それではそれぞれの英語表現も見ていきましょう。

率直に言って
・to be frank
・frankly

日本語でも気取らないざっくばらんな人をフランクな人と表現することがありますが、率直な・偽りのないという意味の形容詞frankもしくはその副詞franklyを使い、率直に言ってと表現することができます。

I know a good sushi restaurant. Let’s go there sometime.
いいお寿司屋さん知ってるんだ。今度行こうよ!

Frankly, I don’t really like sushi. How about ramen?
正直、あんまりお寿司好きじゃないんだ。ラーメンはどう?

正直に言って
・to be honest
・honestly

こちらは正直なという意味の形容詞honest、もしくはその副詞honestlyを使った表現です。

To be honest, your new hairstyle is iffy somehow.
正直言うと、あなたの新しい髪形ちょっと微妙かも。

大げさに言うと
to exaggerate

これまでご説明してきた通り、exaggerateには誇張する、大げさに言うという意味があります。


ここでまた少し余談!

下記記事では、「思い込み」に関する英語表現をご紹介しています!ぜひ参考にしてください♪♪

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まとめ

今回は「控えめに言って」の英語表現や情報をご紹介しました。

いかがでしたか?

控えめに言ってという最近流行りの言葉にも、日本人らしい考え方が表れていて興味深いですね。
本日ご紹介した「控えめに言って」の表現や日本流の謙遜の文化をテーマにぜひ英会話レッスンをしてみてください!

控えめに言って→to say the least, no/without exaggeration

それでは最後に一言。控えめに言って、英語学習って最高!
To say the least, learning English is amazing!