みなさん、こんにちは!大学で中国語を教えているリンムーと言います。
今回も私と一緒に楽しく中国語を勉強していきましょう!
第二回目のテーマは「発音」でした。
日本語にはない難しい発音がいくつも出てきましたが、みなさん練習していただけたでしょうか?CDなどを聞きながら何度も練習してくださいね。
さて、第三回目のテーマは、
「挨拶」です。
中国語の会話や文法を本格的に学ぶ前に、まず日常生活で使える簡単な挨拶について勉強しましょう。
ただ今回は、本題の挨拶に入る前に、前回の「発音」でお伝えできなかった声調の変化からお話ししていきたいと思います。
- 三声が連続する場合の声調の変化
- 不と一の声調の変化
- 意外と使われない挨拶の定型文
- 「こんにちは」と「さようなら」
- 「おはよう」と「こんばんは」
- 「ありがとう」と「すみません」
- 名前の言い方と聞き方
- まとめ
三声が連続する場合の声調の変化
声調には一声から四声まである、ここまではみなさんよろしいですよね。声調の変化とは、場合によっては本来の声調ではない声調で発音しなければならないというものです。
例えば、いくつかの声調が組み合わさる場合、三声が連続することがあります。
声調は一声から四声までしかないわけですから、むしろ普通によくあることだと言って良いでしょう。
例えば今日勉強する挨拶の「こんにちは」の 「你好(にーはお)」 は、みなさんもよくご存知だと思います。
ピンインでは「nǐhǎo」と表記し、三声+三声と連続することになります。三声とはどのように発音するか覚えていますか?
低くおさえた音で、溜息をつくように最後に少しだけ上に上げるんでしたよね。
ただ三声を連続して発音すると、低い音からまた低い音になり、非常に苦しい発音になってしまうのです。
みなさん試しに発音してみてください。
このため中国語には、三声が連続する場合、初めの三声を二声で発音するという法則があるのです。
つまり「你好」を実際に発音する時は、「níhǎo」と発音するわけです。
2声+3声で発音してみてください。
「に」を下から上に上げた後、「はお」を低くおさえた音で出します。
今度は言いやすかったですよね?
ただし、一つ注意が必要です。
表記上はあくまで「nǐhǎo」であるということです。三声の連続があったら頭の中で二声に変換して発音しなければなりません。
これは三声が三つ以上連続する場合も同じです。
三声+三声+三声であれば、最初の2つの三声を二声に変換して発音します。
4つ続くなら最初の3つですね。
不と一の声調の変化
後の回で詳しく勉強することになりますが、「不」は否定する時に使う副詞で、基本的には「bù」と四声で発音します。
ただし、後ろに四声をともなう時だけ二声に変化しなければなりません。
つまり後ろの漢字が一、二、三声なら四声で、後ろが四声の場合だけ二声になるということです。
例えば「不吃(食べない)」は「bùchī」、「不好(良くない)」は「bùhǎo」と後ろが一声、三声なので四声になります。
しかし「不要(いらない)」は「búyào」と二声になります。
三声の連続とは違い、こちらは声調符号自体が変わるので注意して下さい。
次に「一」ですが、数字の「一」は単独で使う場合、あるいは順番を言う場合には「yī」と一声になります。
ただし、このケースはそれほど多くありません。
「一月」と月の順番を言う場合などに「yīyuè」と一声になるぐらいでしょうか。
それ意外の通常の場合は、後ろが一、二、三声の場合は四声で、四声なら二声で発音することになっています。
例えば「一天(一日)」は「yìtīan」、「一块(一緒に)」は「yíkuài」と発音します。
このように「不」と「一」は後ろに来る声調によって変化しなければならないので、慣れないうちは戸惑うと思いますが、何度も中国語を読んでいると自然に言えるようになりますので安心してください。
意外と使われない挨拶の定型文
さて、ここからが今回の本題の「挨拶」です。
今回は中国語の決まりきった挨拶を覚えたいと思うのですが、初めにお断りしておくと、実は中国人自身は今回勉強するような挨拶をそれほど良く使うわけではありません。
例えば、最初に覚える挨拶は大抵 「你好(こんにちは)」 だと思いますが、この言葉、中国人自身はそれほど使わないんです。
「你好」は日本語に訳すと確かに「こんにちは」なのですが、英語の「hallo」や日本語の「こんにちは」のように親しみを込めて日常的に使う言葉ではありません。
むしろ初対面のようなよそよそしい時に使う挨拶であり、ある意味で壁を作ってしまう言葉だと思って下さい。
中国では、ある程度親しい関係になれば、礼儀正しい言葉は好ましくなく、くだけた表現を使う文化があるのです。
顔見知りの近所の人、親しい友だち同士、あるいは家族同士で「你好」などと言ったら変な目で見られること請け合いですよ。
ただし私たちは外国人として中国語を学んでいるわけで、よほど上達しないかぎり少し話せば外国人だと分かってしまうでしょう。
相手が外国人であれば、中国人も「你好」を使うことを奇妙に感じたりはしません。
ですから初級の中国語ではやはりこうした定形の挨拶を覚えておくべきだと思います。
「こんにちは」と「さようなら」
最もスタンダートな挨拶は、やはり「你好(nǐhǎo)」です。
先ほど三声の声調変化で学んだように、三声+三声ですが最初の三声を二声に変えて発音します。
你(nǐ)は、英語の「you」にあたる「あなた」を指す代名詞です。
では相手が複数だったらどうなるでしょうか?
例えば中国語の先生が教室に入ってきて学生たちに挨拶するような場合です。
この場合「你」の複数形「你们(nǐmen)」を使い
「你们好(nǐmen hǎo)」
と言います。
「みなさん、こんにちは」という意味になりますね。
指示代名詞については、また次回以降で詳しく勉強していきます
「みなさん、こんにちは」にはもう一つの言い方があります。
「大家好(dàjiāhǎo)」 です。
大家は「みな」を指す代名詞です。
学生が先生に「こんにちは」と言う場合には、先生を指す「老师(lǎoshī)」を用い、「老师好(lǎoshī hǎo)」も使えます。
中国語の授業では、初めに教員が「大家好」と言い、学生たちが「老师好」と言う光景が良く見られます
人と別れる時の「さようなら」は、 「再见(zàijiàn) です。直訳すればまた会いましょう、という意味です。
「さようなら」には色々なバージョンがあって、明日会う予定がある場合には、明日を意味する「明天(míngtīan)」を使い、 「明天见(míngtīan jiàn)」 と言ったりします。
「また来週」なら、「下星期(来週 xiàxīngqī)」を使って 「下星期(xiàxīngqī jiàn)」 になります。
「おはよう」と「こんばんは」
中国人は朝早いので、「おはよう」を使う機会は多いかもしれません。
おはようの定形の言い方は
「你早(nǐ zǎo)」
あるいは単純に「早(zǎo)」と言います。
かなりかしこまった言い方ですが、「早上好(zǎoshang hǎo)」という言い方もあります。
中国人がみなさんに「おはよう」という場合は、大抵の場合「早」になるでしょう。
中国人はもってまわった言い方は普通しないからです。
「こんばんは」は、一応「晚上好(wǎnshang hǎo)」という言い方があるのですが、実は日常ではそれほど使われません。
「晚上好」というのは、テレビの司会者が「みなさん、こんばんは」などと語りかける時に使う非常にかしこまった言い方なのです。
ですから、これも友達に使ったら変な顔をされるでしょう。
実は中国語には「こんばんは」に相当するような定型的な言い方が無いのです。
日本人のように細かく時間で挨拶を変えるようなことはしないということですね。
寝る前でしたら
「晚安(wǎn ān)」
(おやすみなさい)
を使って代用しても良いかもしれません。
「ありがとう」と「すみません」
「ありがとう」の 「谢谢(xièxie)」 もよく知られたフレーズです。
中国人はあまり謝ることはしませんが、感謝の言葉は良く口にします。
お礼を言われて悪い気がする人はいません。
機会があれば、迷わず「谢谢」と言って下さい。
相手に「谢谢」と言われた場合、返事の「どういたしまして」は 「不客气(búkèqi)」 と言います。
他に「不谢(búxiè)」などの言い方もありますが、「不客气(búkèqi)」一つ覚えておけば良いでしょう。
さて、謝罪する時の表現ですが、 「对不起(duìbuqǐ)」 というのが一般的な表現です。
日本の文化として習慣的に「すみません」をよく使うので、英語でも「I’m sorry」を多用してしまうというのはよく知られた話です。
中国でも、あまり必要もなく「对不起」を連発するのは推奨できません。
ただ、少し前までは「中国人は自分から全く謝らない」と言われたものですが、国際化の波の影響か、最近の若い世代の人たちは素直に謝るようになってきています。
道で人とぶつかったり、何か迷惑をかけた場合には必ず「对不起」と謝りましょう。
名前の言い方と聞き方
人と初めて会う時、自己紹介をしたり、相手の名前を聞いたりします。
中国語では名前の聞き方として、姓のみを聞く表現とフルネームを聞く言い方があります。
まず姓のみを聞く表現ですが、中国語の教科書だとよく 「您贵姓?(nín guìxìng)」 というフレーズが使われます。
「您(nín)」というのは「你」の非常に丁寧な言い方で、日本語で言えば「ご尊名をおうかがいしたいのですが」というような表現でしょうか。
ただ、このような丁寧な表現は中国語ではあまり使いません。
よほど地位や立場に違いがある場合、例えば従業員が社長や遥かに役職が上の上司に対してなら使っても良いかもしれません。
でも立場が少し上くらいの相手であれば、「您」ですら使わないでしょう。
では、普通は何と言えば良いかというと、
「你姓什么?
(nǐ xìng shénme)」
を使います。
「什么(shénme)」は英語の「What」に相当する疑問詞の「なに」、「姓」は「(姓は)~である」という意味の動詞です。
「姓」が動詞というのはちょっと変な感じがしますよね。
そして、このように姓を問われたら、
「我姓铃木
(wǒ xìng língmù)」
のように返事をします。
「私は鈴木といいます」という意味になります。
次にフルネームを聞く場合です。
普通はこちらの方が使い勝手が良い表現です。
「你叫什么名字
(Nǐ jiào shénme míngzi)」
あなたは何という名前ですか?
が良く使われるフレーズです。
「叫(jiào)」はやはり動詞で、「(名前を)~という」との意味になります。
「叫」も日本語のイメージからすれば想像がつきませんよね。
それと名字(míngzi)はファーストネームのみを指すわけではなく、フルネームの名前であることに注意して下さい。
受け答えは、例えば「鈴木剛」という名前だとしたら、
「我叫铃木刚
(wǒ jiào língmùgāng)」
と答えます。
以上、今回は「挨拶」について勉強してきました。
まとめ
今日とり上げた基本的な挨拶は、とっさに言えるように良く練習してください。
挨拶はコミュニケーションの基本です。
仮にあまり会話が出来ないとしても、せめて挨拶くらいは中国語でばっちりすると、中国人も「おっ」と思うはずです。