日本では、誕生日や結婚式などのお祝いの席で頂き物をした時に、その相手にお礼として何かプレゼントするという『お返し文化』があります。
お返しは、友達へ、親戚へ、仕事関係の人などへ、冠婚葬祭から誕生日祝いといった身近な場面などでコミュニケーションの一環として行われます。
この『お返し文化』、世界的には珍しい習慣ってご存知でしたか?
この記事では、そんな日本特有とも言える「お返し」を英語でどう表現するのか解説するとともに、「お返し」が盛んに行われる3月のイベント『ホワイトデー』についても触れながら、ネイティブが使うさまざまなフレーズをご紹介していきます。
「お返し」は英語で「in return」
日本特有の「お返し」は、“(~に対して)お礼をする”という意味を持つ単語「return」を使い「in return (for)」と表現されることが一般的です。
「in」と組み合わせることで、“(~の)お礼に”や“(~の)お礼として”といった風に使うことができます。
「in return」の類語を辞書で検索してみましょう。
- in exchange
- the profit that you get from an investment
交換する・やりとりをするという「in exchange」、実に分かりやすいですね。
「お返しに」以外にも、「見返りに」「お礼に」「引き換えに」「代償として」などの言葉に訳されることもあるんですよ。
ここで「in return」を使った表現をいくつかご紹介しますね。
“in return for the present”
→「プレゼントのお返しとして」
“in return for the information”
→「情報提供の見返りとして」
“give~in return”
→「お礼に~を差し出す」
“in return for money”
→「お金と引き換えに」
“in return for increased security”
→「セキュリティ向上の代償として」
“in return for a lighter sentence”
→「刑を軽くしてもらう代わりに」
「in return」を使った例文を見てみよう!
それでは、実際に「in return」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
「in return」の使い方をマスターし、友達同士やオフィスなど日常のシーンでおかえしが上手くできるようご参考にしてくださいね。
“This is in return for the present you gave me before.”
→「これは以前くれたプレゼントのお返しです」
「~してくれたお返し」と表現する場合は、「in return for + 名詞」の形をとります。
「in return」には“義務感”のようなニュアンスが含まれているため、家族間や近い間柄にお返しをする場合は「give and take」といった表現の方が適しています。
「in return」はビジネスやかしこまったシーンで使いましょう。
“This is only a little something in return for the present you gave me before.”
→「ちょっとしたものですが、以前いただいたプレゼントのお返しです」
「This is only a little something(ちょっとしたものですが)」と謙遜した挨拶を組み合わせることで、丁寧さが増したフレーズになります。
しかし、この謙遜の挨拶は日本人特有のもの。借りを受けたままにしておくことにちょっとした罪悪感を感じる日本文化の考え方もあります。ほとんどの国では日本のような“お返し文化”がないため、このフレーズをネイティブや他の国の人に使っても、意図している意味が伝わらない可能性があるので注意しましょう。
“Let me buy you dinner in return.”
→「お返しに夕食をおごらせて」
お礼として一緒に何かをしたいときなど、「in return」はプレゼントのような贈り物以外のお返しにも使うことができます。口語としてだけでなく、メールにも使える表現です。
「dinner」の部分はその場のシチュエーションやお返ししたい内容によって、「Lunch(昼食)」や「a cake(ケーキ)」など別の言葉に置き換えて使いましょう。
“What shall I give you in return?”
→「お返しは何がいいですか?」
このフレーズは、お返しの内容を相手にお伺いするときに使います。
馴染みのある単語「want」を使った「What do you want in return?」といったフレーズでも間違いではありませんが、表現がとても直接的なので、謙虚なニュアンスのある「shall」を使ったフレーズの方が相手に与える印象はいいでしょう。
“I got this in return from my boyfriend.”
→「彼からこのお返しをもらった」
誰かからお返しをもらった場合はこのフレーズが使えます。
もし「バレンタインデーに」や「記念日に」など“いつもらったか”と表現したい場合は、
「I got this in return for our Anniversary from my boyfriend.」
などと表現します。
“I’m sending you this gift in return for the wedding present.”
→「結婚祝いのお返しをお送りしますね」
「in return for」の後に続く部分は、「結婚祝い(the wedding present)」以外にも、「出産祝い(the baby present)」や「昇進祝い(the present of promotion celebration)」などにも言い換えることができます。
フレーズに「I’m sending~(~を送ります)」と入っていることから、郵送などでお礼を送るときに用いられます。
お返しのプレゼントに添えるメッセージとして使いましょう。
一言添えることで相手への感謝の気持ちをより伝えることができますし、丁寧な対応だと好印象を与えることはできるはずです。
「in return」を使わない言い方
「お返し」の英語表現は「in return」以外にもあります。
いくつかご紹介しますね!
“This is to say thank you for your present.”
→「これはあなたへのお礼の気持ちです」
このフレーズには「お返し」に当たる単語は使われていません。しかし、もらったプレゼントや、してもらった行為に対してのお礼の気持ちを伝えることができます。
お返しのプレゼントを渡すときに使いましょう。
“This is for the gift you gave for my baby.”
→「出産祝いのお返しです」
「for the present(プレゼントに対しての)」が「in return(お返し)」の部分を表現しています。
プレゼントをもらった人の出産祝のお返しなので、冠詞「my」をつけることをお忘れずに。
“This is a small present to express my gratitude.”
→「ささやかですが、感謝の気持ちを込めてお返しをお贈りします」
「a small present(ささやかですが)」は、自分からのお返しを控えめに伝えるときに使います。
「gratitude(感謝の気持ち)」を「to express(表現するための)」という単語を合わせ使うことで、とても丁寧で謙遜した日本らしい表現になります。
目上の方やかしこまったシーンに使うといいでしょう。
“You don’t need to send me anything back.”
→「お返しは必要ないよ」
相手からのお返しを求めない場合には、このフレーズを使いましょう。
「Don’t send me anything back.」と命令形にすると相手を傷つけてしまうかもしれないので、今回ご紹介した間接的な言い方でやんわりとお断りしましょう。
「お返し」は日本の文化?海外ではどうなの?
日本の「お返し文化」は昔から続いている習慣
さて、さまざまな「お返し」の英語表現をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
最初にお話ししたように、日本の「お返し文化」は習慣でもありマナーのようなものです。
結婚祝いや入学祝いのような喜ばしいことから葬儀のような悲しいことまで、とにかく贈られたものに対して「お返し」をします。
古来の日本では、冠婚葬祭にはそこに住む村人たちが米や野菜などの食べ物、またお金などを持ち寄りお互いを助け合っていたそうです。
そして行事終了後は、残ったものを再び村人に返す。
「お返し」の習慣・マナーには、こういった大昔の習わしが関係していると言われているんですよ。
「お返し」は昔から続いている、日本人にとっては当たり前のことなんです。
「お返し」は海外にはない文化
日本で当たり前の「お返し文化」は海外にはありません。
海外では贈り物をするというよりも、純粋に気持ちを渡すことに重点が置かれています。
そして、もらう方はその気持ちを感謝して受け取ります。
日本のように、その後の「お返しをしなければ」といった義務感は発生しません。
海外では逆に、「お返し」をすることを“無駄使い”と思う方もいるそうです。
日本の「お返し」といえばホワイトデー
ホワイトデーは海外にはない?
日本のお返し文化の代表的なイベントといったら『ホワイトデー』ですよね?
実は、チョコレートや贈り物をした男性から女性にお返しをする『ホワイトデー』は限られた国にしかありません。
日本のホワイトデーは、1978年に全国飴菓子工業共同組合という団体が「キャンディをプレゼントする日」という名で取り決めたイベントです。
『ホワイトデー』という名前に変更されたのは数年後と言われています。
残念ながら歴史的・世界的なイベント『バレンタインデー』とは全く関係がないんです。
しかし、なぜここまで『ホワイトデー』が定着したかの理由には、やはり昔から続いている習慣「お返し文化」があるからではないかと言われてます。
もらったら返す。日本人の習慣をうまくついたイベントですね。
加えて最近は、4月14日の「オレンジデー」なるものがあるそうです。
バレンタインデー、ホワイトデーに続く、愛の記念日に、お互いの愛や絆を確かめるために、オレンジやオレンジ色の贈り物を贈り合うということです!
文化を外国人に紹介すると、とても面白がられます。不思議な日本の習慣に、「どうして記念日でないと愛情を表現できないの?」なんて質問をされることもあるかもしれませんが、返事に困ってしまいますね。
次は、どんなイベントがくるのでしょう!
韓国や中国にもホワイトデーはある
日本のようなホワイトデーは、韓国や中国のような一部の東アジアにもあります。
韓国ではキャンディにプラスして、花束やアクセサリーなどのプレゼントもするそうですよ。
欧米やヨーロッパでは『ホワイトデー』という名前のイベントも「お返し文化」もありませんが、イタリアでは3月8日に男性から女性に感謝の気持ちを伝える『ミモザの日』というものがあります。
日本特有のイベント「ホワイトデー」を英語で
さて、アジア特有とも言えるイベント『ホワイトデー』は英語で「White Day」と表現します。
日本発祥のイベントのため、そのまま日本語を英単語に当てはめています。
先ほどもお話ししたように『ホワイトデー』はアジアにしか存在せず、欧米やヨーロッパの方に『ホワイトデー』という言葉を使ってもどんな日なのか理解してもらえませんのでご注意を。
ですので、一からイベント内容を説明してあげてくださいね。
日本の文化として興味を持ってくれるかもしれませんね。
ホワイトデーに使える英語フレーズ
欧米やヨーロッパで使う機会はないかもしれませんが、ここで『ホワイトデー』に使える「お返しフレーズ」をいくつかご紹介します。
日本で外国の恋人がいる方などは参考にしてくださいね。
“With lots of love on White day!”
→「ホワイトデーに沢山の愛を込めて!」
プレゼントに添えるメッセージカードなどに使ってみましょう。
“This gift represents my gratitude.”
→「私から、感謝の気持ちを込めたプレゼントです」
プレゼントを渡すときに使いましょう。
“Present for you.”
→「あなたへのプレゼント」
シンプルなメッセージです。
メッセージカードに書くも、プレゼントを渡すときに直接伝えるのにも使えます。
“I hope you’ll like this.”
→「気に入ってくれるといいな」
相手を思って選んだお返しだという気持ちが伝わりますよ。
まとめ
いかがでしたか?
「お返し」を英語表現するなら「in return」をまず覚えましょう!
日本の特有の文化である「お返し」の英語表現は、国によっては使う機会がほとんどないかもしれません。
しかし、日本の「お返し文化」を説明するときには必要になるので覚えておいた方がいいでしょう。
こういった独自の文化紹介ができるようにしておくことは、英会話上達のコツのひとつになります。
まずは「in return」から。
そのあとに他のフレーズも身に付け、表現の幅を広げていってくださいね。
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最初は文章を作るのも苦労するかもしれませんが、何度も口に出しているうちに、自然に使いこなせるようになりますよ!
新潟出身のNaokoです。オーストラリアのワーホリからスタートし、約10カ国以上で様々な文化を体験してきました。帰国してからは京都に拠点を移し、ライターとしてライフスタイルからビジネスまで幅広く執筆しています。趣味は1人旅。好きな国はニュージーランドです。ブログでは、語学以外の海外情報もお届けできたらと思います。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.