フィリピンへ渡航するならば、 滞在目的に合ったビザを選ばなければならないこともあります。
日本国籍の場合は 30日以内の短期滞在ならビザなしで入国できますが、それ以上の滞在や特定の目的がある場合は、 目的に合ったビザが必要になります。
この記事では、 フィリピンで取得できるビザの種類や特徴、申請時の注意点までを詳しく解説します。
そもそも査証（ビザ）とは？
ビザとは、 外国へ入国・滞在するための許可証です。正式には 「査証」と呼ばれ、パスポートに貼付されるシールや別紙の形で発行されます。入国許可だけでなく、 滞在期間や活動内容の制限も定められています。
フィリピンのビザは目的別に細かく分類されており、 観光・商用・就労・就学・永住など、渡航目的に応じて申請するビザが異なります。ビザが免除されている場合でも、 入国時に滞在目的や期間を入国審査官に伝える必要があります。
しかし、ビザを取得しておけばスムーズに入国できます。
フィリピンの観光・ビジネス向けビザ
フィリピンへの短期滞在を予定している方向けのビザには、 観光ビザと ビジネスビザがあります。これらは比較的 取得しやすく、用途も幅広いのが特徴です。
9Aビザ（観光ビザ）
9Aビザは 観光や親族訪問などの目的で発行されるビザです。日本国籍の場合、 30日以上の滞在を希望する場合は、現地で 延長手続きが必要です。
延長手続きは、 フィリピン入国後にイミグレーションオフィスで行います。 最初の延長で59日間、その後の延長で最大36カ月まで滞在が認められます。
ただし、延長の度に 手数料がかかり、滞在が長くなるほど費用も増えていきます。事前に観光ビザを取得したい場合は、 在日フィリピン大使館や領事館で申請できます。
9Dビザ（商用ビザ）
ビジネス目的でフィリピンを訪れる場合、 9Dビザという選択肢もあります。会議や商談、市場調査など、短期的なビジネス活動であれば 9Aビザ（観光ビザ）でも対応できますが、より 長期的または頻繁にビジネス活動を行う場合は 9Dビザがおすすめです。
9Dビザの申請には、 訪問の目的を証明する書類（招待状やビジネスレター）、滞在スケジュール、会社の登記簿謄本などが必要です。滞在期間は基本的に 最大59日間で、必要に応じて延長もできます。
フィリピンの就学・就労向けビザ
フィリピンで学ぶ、または 働くためには、それぞれ専用のビザが必要です。この ビザなしで英語を学んだり、バイトをしたりすると、 罰金や国外退去などの処分を受ける場合があります。
9Fビザ（学生ビザ）
9Fビザは、フィリピンの 正規教育機関（大学や専門学校など）で6カ月以上学ぶ留学生向けのビザです。このビザの申請には、 入学許可証、財政証明、健康診断書などが必要となります。
注目すべき点として、 語学学校での勉強は通常9Fビザの対象外です。語学留学の場合、 観光ビザ（9Aビザ）での入国後、特別就学許可証（SSP）を別途取得します。
SSPは語学学校側が申請手続きをサポートしてくれるケースが多いですが、有効期間は 最長6カ月のため、長期の語学留学には 観光ビザの延長も必要です。
学生ビザを持っている場合は、原則としてフィリピン国内での 就労は認められていません。ただし、 インターンシップなど学業の一環として行う活動については、 教育機関の承認と専用の許可証があれば例外的に認められる場合があります。
9Gビザ（就労ビザ）
フィリピンで合法的に働くためには 9Gビザが必要です。このビザは 雇用主となるフィリピン企業がスポンサーとなり、申請を行います。そのため 個人で直接申請することはなく、雇用先の人事部門などを通じて手続きを進めることになります。
9Gビザの取得には、 雇用契約書、企業のビジネスライセンス、外国人雇用許可（AEP）など多くの書類が必要です。特に重要なのが 外国人雇用許可で、これはフィリピン人では代替できない 専門的技能を持っていることを証明するものです。
就労ビザの処理には通常2〜3カ月かかるため、就労開始予定日よりも十分 早めに申請手続きを始める必要があります。また、就労開始が急ぎの場合には、暫定的な就労許可として SWP（特別就労許可）や PWP（臨時就労許可）を先に取得することもできます。
フィリピンの永住・長期滞在向けビザ
長期間フィリピンに滞在したい方や、 永住を考えている方向けのビザ制度もあります。これらは通常、特定の条件を満たす必要があります。
13Aビザ（結婚ビザ）の取得条件と手続き
13Aビザは、 フィリピン国籍者と法的に婚姻関係にある外国人が申請できる永住権ビザです。初回申請では 「仮永住権」が発行され、1年後に 「永久永住権」へ切り替えることができます。
申請には 婚姻証明書、配偶者のフィリピン国籍証明、犯罪経歴証明書などが必要です。また、面接が行われ 婚姻関係の真正性を確認されることもあります。
このビザの大きなメリットは、 フィリピン国内での就労制限がなく、また 更新手続きも比較的簡単なことです。ただし、 婚姻関係が終了した場合（離婚や配偶者の死亡など）、ビザの有効性に影響する点には注意が必要です。
SRRVビザとSIRVビザ
SRRVビザ（特別居住退職者ビザ）は、 35歳以上の退職者を対象とした長期滞在ビザです。 最低でも10,000ドル（50歳以上の場合）または 20,000ドル（35〜49歳の場合）の預金をフィリピンの指定銀行に預け入れることが条件となります。
このビザの魅力は、 複数回の出入国が許可され、 永久的な居住権が得られることです。
一方、 SIRVビザ（特別投資家居住ビザ）は、フィリピン国内で少なくとも 75,000ドル以上の投資を行う投資家向けのビザです。投資対象は政府指定のプロジェクトや企業に限られ、 投資をし続ける限りビザも有効です。
両ビザとも 家族（配偶者と21歳未満の未婚の子供）も含めて申請でき、フィリピン国内での自由な活動が許可されています。ただし、 就労に関しては制限がある場合があるため、事前に確認しておきましょう。
フィリピンの特殊なビザ
通常のビザカテゴリーに当てはまらない特別なケースのために、フィリピンには 特殊なビザ制度があります。
ダウングレードビザ
ダウングレードビザは、現在保有している 高いカテゴリーのビザ（就労ビザや学生ビザなど）から観光ビザ（9A）へ切り替える際に利用される 一時的な措置です。
例えば、就労契約が終了したが引き続き短期間フィリピンに滞在したい場合などに適用されます。
この手続きはイミグレーションオフィスで行い、 現在のビザの解約と観光ビザへの切り替えを同時に行います。手続き後は 標準的な観光ビザの規則が適用され、必要に応じて延長も可能です。
BALIKBAYANプログラム
BALIKBAYANプログラムは、かつてフィリピン国籍を持っていた人や、フィリピン国籍者の外国人配偶者・子供を対象とした 特別プログラムです。
このプログラムを利用すると、 最長1年間ビザなしでフィリピンに滞在できます。
利用条件として、フィリピンへの入国時に フィリピン国籍の家族メンバーが同伴している必要があります。また、入国時に 「BALIKBAYAN」スタンプを取得するため、入国審査官に対して 関係を証明する書類（結婚証明書や出生証明書など）を提示する必要があります。
このプログラムは、申請手続きが簡単で 費用もかからない点がメリットになります。ただし、1年間の滞在期間は 延長できないため、それ以上の滞在を希望する場合は他のビザへの切り替えが必要になります。
特別就労許可（SWP）と臨時就労許可（PWP）
短期間の就労を目的とする場合、 9Gビザ（正規の就労ビザ）の代わりに 特別就労許可（SWP）や 臨時就労許可（PWP）を取得できます。
SWPは、講演やセミナー講師、コンサルティング、緊急修理作業など、 3〜6カ月以内の短期プロジェクトに従事する外国人向けの許可証です。一方、 PWPは より短期（通常3カ月未満）の仕事や緊急の業務に対して発行されます。
これらの許可証は 就労ビザの前段階として利用されることも多く、正規の就労ビザが発行されるまでの 「つなぎ」として使います。申請はいずれも 雇用主が行い、申請から取得まで比較的短期間で済むのが特徴です。
フィリピンビザに関する注意点
フィリピンのビザ制度を利用する際には、いくつか注意点があります。
まず、 滞在期限は厳守となります。 オーバーステイ（許可された滞在期間を超過すること）には1日あたりの 罰金が科され、長期間のオーバーステイになると、次回は 入国拒否をされる恐れもあります。定期的に滞在期限を確認し、必要に応じて延長手続きを行いましょう。
次に、 ビザの種類によって活動制限があることも理解しておきましょう。例えば、 観光ビザでの就労は禁止されており、違反すると 強制退去の対象になりかねません。活動内容に合ったビザを取得することが大切である理由がわかるでしょう。
また、ビザ申請や延長時には必ず 公式の窓口を利用しましょう。非公式な代行業者を通すと、 不正な手続きや高すぎる手数料の請求などのトラブルに巻き込まれる危険性があります。
最後に、ビザ制度は 予告なく変更されることがあります。渡航前に 在日フィリピン大使館や 領事館、または 信頼できる情報源で最新情報を確認するようにしましょう。
まとめ
フィリピンへ渡航するには、目的や滞在期間に応じたビザを選ばなければいけません。観光・商用目的の短期滞在から、就労・就学・永住まで、様々な種類のビザがあります。
ビザ申請時の書類準備や条件確認を行い、滞在中はビザ条件を遵守しましょう。フィリピンで充実した時間を過ごすために、この記事を参考にビザ取得の準備を進めてください。
日本における外国人の方に向けては、以下が参考になります。
大阪でビザ申請・在留資格のご相談はMIRAI行政書士事務所が運営するビザ申請の窓口
◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇留学経験
イングランドのオックスフォードのOxford English Centreに3週間の語学留学と、スコットランドのエディンバラのUniversity of Edinburghに1年間の交換留学をしていました。
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。
