旅行や出張、留学でフィリピンを訪れる際に不安なことの一つは、事件や事故、パスポート紛失などの不測の事態への対応だと思います。
そのような事態を避けるために、入念な準備や細心の注意はもちろんかかせませんが、万が一の時に現地で頼りにできるのが「日本大使館」です。
この記事では、在フィリピン日本国大使館および日本国領事館の概要と、各館が提供するサービスや取り組みについて説明していきます。
フィリピン滞在を予定されている方、フィリピン留学を検討されている方は、ぜひご覧ください!
- 在フィリピン日本国大使館の概要と所在地
- 大使館が提供する領事サービス一覧
- 安全情報と緊急時の対応
- 日本企業支援と経済協力の取り組み
- 文化交流と広報活動
- 大使館からのお知らせと最新情報の入手方法
- まとめ
在フィリピン日本国大使館の概要と所在地
在フィリピン日本国大使館は、首都マニラの南に位置するパサイ市内に所在しています。
同市はマニラ首都圏(通称メトロ・マニラ)の交通の要衝としても知られ、日本大使館へも、マニラLRT・エドゥサ駅をはじめとした複数の交通機関からアクセスが可能です。
また、そのほかにセブとダバオに、それぞれ日本国総領事館が所在しています。
各館の概要は以下の通りです。
在フィリピン日本国大使館
所在地 |
2627 Roxas Blvd., Pasay City, Metro Manila, 1300, Philippines |
代表電話番号 |
(63-2 ) 8551-5710 |
領事窓口直通 |
(63-2) 8834-7508(日本語) (63-2) 8834-7514(英語) |
窓口対応時間 |
申請受付時間8:40 ~ 12:00、13:30 ~ 16:30 交付時間9:30 ~ 12:00 、13:30 ~ 15:30 |
休館日 |
土曜・日曜日・フィリピンの祝祭日・一部の日本の祝日 |
URL |
在セブ日本国総領事館
所在地 |
8th Floor, 2Quad Building, Cardinal Rosales Avenue, Cebu Business Park, Cebu City 6000, Philippines |
電話番号 |
(032) 231-7321、231-7322 |
窓口対応時間 |
申請受付および交付時間8:40~12:30、14:00~16:30 |
開館日 |
月曜日~金曜日(祝祭日を除く) |
URL |
在ダバオ日本国総領事館
所在地 |
4th Floor, BI Zone Building, J.P. Laurel Avenue, Bajada, Davao City 8000 |
電話番号 |
(082) 221-3100 |
窓口対応時間 |
申請受付および交付時間8:40~12:30、14:00~16:30 |
開館日 |
月曜日~金曜日(祝祭日を除く) |
URL |
大使館が提供する領事サービス一覧
在外公館(大使館・総領事館)の領事窓口では、在留届の受付、旅券(パスポート)の申請受付、査証(ビザ)の申請受付および交付、戸籍に関する各種届出(出生届/認知届/婚姻届等)の受付などの、領事サービスを提供しています。
おもな領事サービスの詳細を見ていきましょう。
在留届
外国で事件・事故や災害が起こった時に、日本の外務省がその国に滞在している日本人の状況を把握するために使用されるのが「在留届」です。
この届出をもとに安否確認や支援、迅速な情報提供が行われます。
また、現地の日本大使館・総領事館の領事サービス提供や、海外滞在中の日本人に関する各種統計や施策検討にも利用されます。
旅券法第16条の規定により、日本人が外国に住所等を定めて3か月以上滞在する場合には、現地の日本大使館・総領事館に「在留届」を提出することがを義務付けられています。
また、在留届の提出後、連絡先や住所などの記載事項に変更があった場合には「変更届」、帰国や他の国への転居する場合には「帰国・転出届」を提出する必要があります。
滞在が3か月以内の旅行者については、在留届の提出は必要ありませんが、同じく外務省の提供サービスである「たびレジ」に渡航情報を登録しておきましょう。これにより、最新の安全情報に関する配信を、無料で受け取ることができます。
たびレジURL:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html
在留届の提出方法
住んでいる地域を管轄するの在外公館にメール、郵送、もしくは窓口にて提出できるほか、後述の通りオンラインでも提出可能です。
お住まいの地域 |
「在留届」提出先 |
パラワン州を含むルソン地方 |
日本大使館 |
ミンダナオ地方 |
在ダバオ日本国総領事館 |
ビサヤ地方 |
セブ総領事館 |
「在留届」「変更届」「帰国・転出届」の申請書は大使館のホームページから、PDF形式でダウンロードできます。また、大使館・領事館でも書面で入手できます。
在留届案内URL:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000257.html
オンライン在留届(ORRネット)
在留届の提出は、外務省が提供する電子届出システム「ORRネット」を利用して、オンラインでも行うことができます。
オンラインで在留届を提出した場合には、登録情報の変更や帰国・転出届の提出もORRネットから行うことができます。
ORRネットURL:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
大使館・領事館に在留届を提出した場合には、オンラインで変更や帰国の申請手続きを行うことはできず、変更届、帰国・転出届を管轄の在外公館に提出する必要があります。
旅券(パスポート)
大使館・総領事館では、日本の旅券(パスポート)に関して、新規申請や切替申請など、各種申請手続きを行ことができます。
新規申請 |
・フィリピンで出生した方などが初めてパスポートを申請する場合 ・有効期間が切れた場合 ・パスポートの記載事項(氏名、本籍地など)に変更があり新しいパスポートを申請する場合 |
切替申請 |
パスポートの有効期間の残りが1年未満で記載事項に変更がない場合 |
紛失/盗難/焼失 |
有効期限内のパスポートを紛失/盗難/焼失し、新しいパスポートを申請する場合 |
残存有効期間同一旅券 |
パスポートの記載事項に変更があった、または査証欄に余白がなくなった場合で、現在のパスポートと同じ有効期間のパスポートを希望する場合 |
帰国のための渡航書 |
パスポートを紛失/盗難/焼失したが、早急に日本に帰国する必要があり、パスポートの発給が待てない場合 |
各種証明
在留証明、署名・拇印証明、戸籍記載事項証明、警察証明(犯罪経歴証明書)などの各種証明書の発行を依頼することができます。
オンライン在留届(ORRネット)に登録している場合には、一部を除く各種証明のオンライン申請と、クレジットカードによる手数料のオンライン決済を利用できます。
戸籍に関する各種届出
フィリピンで出生した子の出生届・認知届、日本人とフィリピン人の外国方式での婚姻による報告的届出、日本人同士の婚姻による婚姻届など、各種届出を大使館・総領事館に提出することができます。
提出した届出の事項が戸籍に反映されるまでには2ヵ月程度かかるため、戸籍への記載を急ぐ場合は、日本の本籍地の市区町村役場に届け出たほうがよいでしょう。
査証(ビザ)
フィリピン国内での日本のビザサービスについては、VFSサービシズ・フィリピンが請負い、2025年4月7日に日本ビザ申請センター(JVAC)が開設されました。
JVAC案内URL:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000249.html
JVACにおける事前予約は2025年3月19日から開始していましたが、2025年4月7日以降はフィリピンの5都市にあるVFSビザ申請センター(ビザセンター)でも申請手続きができるようになります。
VFSビザ申請センターURL:https://visa.vfsglobal.com/phl/ja/jpn/
就労や報酬を受ける活動を伴わない最大90日間の「短期滞在」、短期の渡航を複数回行う「数次有効短期滞在」、留学、就労、配偶者・親との同居等の「長期滞在」のための訪日ビザの申請をビザセンターで行えます。
ただし、長期滞在ビザの申請については、事前に日本の出入国在留管理局(入管)で「在留資格認定証明書」を取得する必要があります。
安全情報と緊急時の対応
フィリピンでの犯罪やテロ等の情報や注意喚起については、在フィリピン日本国大使館のホームページで入手することができます。
安全情報(大使館)URL:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000945.html
また、外務省の「海外安全ホームページ」でも、フィリピンの危険スポット情報や安全の手引き、医療情報、緊急時の連絡先などを掲載しています。
海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_013.html#ad-image-0
万が一、フィリピンで事件・事故にあったときには、迅速に最寄りの警察へ被害の届けを出し、クレジットカードの盗難があった場合には、カード会社に連絡してカードを無効にしてもらいましょう。
事件・事故に巻き込まれた時、または緊急入院した場合などには、大使館・領事館も一緒に解決方法を考えてくれます。
在フィリピン日本国大使館では、領事担当者直通の日本語対応の電話窓口と、緊急時のための24時間対応のホットラインを用意しています。日本語を話せるスタッフに相談できるため、困ったときにすぐにかけられるように、スマホの連絡先、手帳など複数の場所にメモしておきましょう。
在フィリピン日本国大使館連絡先
領事窓口直通(日本語) 受付時間:8:30~12:30、13:30~17:15 |
8834-7508 |
邦人援護ホットライン(24時間対応) |
8551-5786 |
日本企業支援と経済協力の取り組み
大使館では、政府機関としての公平性・中立性を損なわない範囲で、日本企業の活動のサポートも行っています。さらに、海外において、日本企業が模倣品や海賊版による知的財産権の侵害の被害を受けるケースが増加していることから、知的財産保護の支援もしています。
反対に、対日直接投資を促進するため、日本への進出を目指すフィリピン企業に対しても支援を行っています。
日本企業、フィリピン企業ともに、電話やメールでの問い合わせにより、各種照会の申し込みや相談を行うことができます。
日本企業支援関連案内:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000305.html
文化交流と広報活動
現地の人々に日本という国を理解してもらうために、日本文化紹介事業を行うのも、世界各国の日本大使館や総領事館の活動の一つです。
たとえば、フィリピンの日本大使館では、両国の文化的、人的交流を図る「日本語センター財団」に対し支援を行っています。
日本語センター財団は、1997年に在フィリピン日本大使館広報文化センターから日本語学校の運営を引き継ぎ、フィリピンにおける日本語学習を促進しています。
大使館からのお知らせと最新情報の入手方法
大使館からの新着情報、プレスリリース、求人情報などは、公式ホームページのトップページから確認できます。また、「外交政策ニュース」も随時更新されています。
大使館トップページURL:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
外交政策ニュースURL:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/index.html
上記に加えて、フィリピン滞在中の日本人向けに、メールマガジン配信サービス「いつでもどこでも大使館(総領事館)」が提供されています。
メールアドレスを登録しておくことにより、日本大使館からの治安・安全情報、在外選挙に関する情報、領事手続きに関する情報などを受け取ることができます。
メールマガジン登録URL:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/mailmz/menu?emb=ph
まとめ
いざというときに慌てなくて済むよう、海外に滞在する際には、現地の日本大使館の情報を知っておくと役に立ちます。
この記事では、フィリピンの日本大使館・総領事館の概要と、そこで受けられるサービスを紹介しました。
大使館・総領事館は非常時に日本語で相談できる緊急連絡先であるだけでなく、長期滞在者には必須の在留届の提出先でもあります。
オンラインで申請手続きを行うことができるサービスもありますので、上手に活用してみましょう。