海外への渡航が決まるとワクワクですが、事前に確認しておきたいのが現地の大使館ということをご存知ですか?
観光地やアクティビティなどの楽しいチェックだけでなく、滞在している期間に何か起こった際の緊急連絡先として必ず知っておきたいのが大使館だからです。
この記事では、オーストラリアの日本大使館について、概要から提供しているサービスなどまで幅広く紹介します。
オーストラリア行きを考えている人はぜひご参考にしてください。
オーストラリアにおける日本大使館の概要
南半球に位置するオーストラリアには大きな魅力があり、日本を含め多くの国から年間約60万人以上もの観光客が訪れます。
英語学習者にとっても人気の国のひとつです。
オーストラリアの首都はキャンベラ(Canberra)、その他にもメルボルン・パース・シドニー・ケアンズなどの都市があり、世界的にみて比較的治安が良く自然が素晴らしい国ということで多くの人が訪れます。
まず、オーストラリアにおける日本大使館の概要を紹介しましょう。
オーストラリア日本国大使館の概要
さて、オーストラリアの日本大使館の正式名称は「オーストラリア日本国大使館」です。
メインの大使館は首都キャンベラにあり、2025年2月現在では、鈴木量博大使が着任しています。
在オーストラリア日本国大使館の概要は以下になります。
【所在地】112 Empire Circuit, Yarralumla, Canberra A.C.T. 2600, Australia
※シティバス乗り場からroute 57でDeakin Shopsの次のバス停下車、徒歩約10分。
【電話番号】+61 (02) 6273 3244
【e-mail】consular@cb.mofa.go.jp
【開館時間】月曜~金曜 午前9:00~午前12:00/午後2:00~午後4:30
【休館日】土曜日・日曜 ※その他にも国民の祝日など休館となります。
詳細は以下のページを参考にしてください。
オーストラリア日本国大使館の領事サービス
さて、ここからはオーストラリアにおける日本国大使館がどのようなサービスを提供しているのかについて紹介します。
その前に皆さんはキーワードとも言える「領事」という言葉の意味を知っていますか?
領事とは、外国にあって自国の経済・貿易の促進、または自国民の保護・取り締まりにあたる者を指します。
このような職務を行なう在外公館を領事館と呼び、通常は大使館のなかに日本領事館が置かれています。
したがって、オーストラリアに住む日本人がパスポートの更新などを行なう機関は領事館ということになるのです。
ちなみに、総領事館は領事館の一種で、総領事が館長を務めます。
一方、領事館は領事が館長です。
大使館と領事館の関係がわかったところで、実際にどのような領事サービスが提供されているのかについて案内しましょう。
提供される領事サービスとは?
領事サービスは大きく3つの種類に分かれます。
ひとつ目は、その管轄地域に滞在する日本人の安全確保に関する業務です。
2つ目は、その管轄地域に滞在する
日本人の戸籍・国籍・パスポート・各種証明・国政選挙(参議院選および衆議院選)に関する手続きです。
3つ目は、外国人に対するビザの発給手続きとなります。
以下、具体的にサービス内容をみていきましょう。
・在留届、転居届、帰国届の受理
・パスポート(旅券)の交付
・在留証明、各種証明書の交付、発給申請の受理
・出生届、婚姻届、外国人との婚姻による名前変更届など、戸籍関係の届出・受理・相談
・在外選挙人名簿登録申請の受付
日本人が海外での滞在期間、日本にいるときに受けるサービスを外国でも受けられるようにサービス提供するのが領事館です。
異なる点は、移住や語学留学などで外国に3ケ月以上滞在する日本人が義務としてその国の住所・緊急連絡先などを届け出る「在留届」や、国外から日本の衆参の選挙に投票するために行なう手続きである「在外選挙人名簿登録申請」などを扱っている点です。
これらのサービスを領事館で利用する際には、事前にオンラインで予約をする必要があるかの確認も必要となります。
サービスの事例紹介:パスポートの申請
ここで、実際にどのような流れで大使館・領事館を利用するのか、パスポート申請~交付を例に挙げて紹介しましょう。
なお、2025年3月24日以降は旅券の発給体制が変わります。
ここでは、成人のパスポートの切替発給申請から受け取りまでの流れを簡単にみていきます。
パスポートは残存有効期間が1年未満となった時点から切替発給申請を行なうことができます。
1.「一般旅券発給申請書」をオーストラリア日本大使館のウェブサイトからダウンロードして記入する。
2.写真1葉(縦45ミリx横35ミリ)を用意する。
3.豪州における滞在資格が確認できる書類を用意する。
4.1~3を準備して、大使館窓口で申請をする。
5.申請受付をしてから、土日・休日を除き、通常1週間で発行され、申請者は大使館に行き発行されたパスポートを受領します。
この際に持参するものは申請の時点で渡された受理票、そして手数料です。
手数料は10年か5年か、12歳未満かなどで費用が変わります。
筆者のことで恐縮ですが、2025年が明けてから10年有効のパスポートを在英国日本国大使館に申請をしましたが、イギリスでは申請がようやくオンラインでできるようになりました。
オーストラリアはこの執筆の時点でまだ対応していないようですが、今後変わる可能性が高いかもしれません。
いずれにしても、オーストラリア日本大使館では様々なサービスを提供していることが分かりました。
日本とオーストラリアの関係強化活動
オーストラリアは「豪・豪州」と表示されます。
これは宛字表現である「濠太刺利」からきていると言われています。
濠太刺利は、オーストラリアの発音に対して作られた当て字です。
日豪の関係は、1800年代末の羊毛や石炭の輸入をはじめとし、その後第二次世界大戦後に通商協定を締結したことでこれまで発展してきました。
日本とオーストラリアは経済・安全保障・文化など、様々な分野で連携をとる戦略的パートナー国です。
2国間でどのような活動が行なわれているのか、ここで紹介します。
日豪の防衛協力
防衛省によると、日豪両国はインド太平洋地域における米国の同盟国であること、2014年に「特別な戦略的パートナーシップ」関係を樹立したとあります。
参考:防衛省「日豪防衛協力」
経済「日豪経済委員会」
日本・オーストラリア経済連携協定(日豪EPA)は2015年1月15日に発効されました。
日豪EPAでは発効後10年間で両国の貿易額の約95%の関税が撤廃されました。
なお、1963年に設立された日豪経済委員会は日豪経済界の相互理解と協力の促進を通じ、経済関係を発展することを目的としています。
主要産業とビジネスチャンスを掴むため、次世代リーダーズ・プログラムなどの活動を行なっています。
日豪の文化交流と豪日交流基金
読者の皆さんのなかにも旅行したことがある、仕事で出張や駐在をしたことがあるなど、何かしらの渡航目的でオーストラリアに行ったことがある方がいらっしゃるかもしれません。
在日オーストラリア大使館によれば、日豪には107もの姉妹州や都市提携がされているということです。
それらの関係では、お互いの訪問や文化やスポーツなどの交流が行なわれています。
そして「豪日交流基金」という基金があります。
1976年に設立、両国間の文化交流といった活動を支え関係向上に尽力してきた団体です。
助成金も提供しており、毎年20ものプロジェクトに対し助成しています。
参考:豪日交流基金
オーストラリアの安全情報と緊急時の対応
観光やワーキングホリデーまたは仕事でも、様々な理由でオーストラリアへ行く場合、現地の安全情報、そしてパスポート紛失など緊急なことが起こってしまった際にどこに連絡をするのかなど対応についてチェックしておくべきでしょう。
オーストラリア日本国大使館・領事館の緊急連絡電話番号
領事サービスのひとつ目で、その管轄地域に滞在する日本人の安全確保に関する業務があることを述べました。
開館時間は平日月曜~金曜 午前9:00~午前12:00/午後2:00~午後4:30ですが、緊急時には24時間対応をしています。
閉館時で通じない場合は、以下に連絡をしてください。
+61 (02) 5104 3352
なお、渡航前に外務省の海外安全ホームページの国・地域別情報を利用し、オーストラリアや行くエリアの安全チェックをすることもおすすめします。
「在留届」と「たびレジ」
旅券法第16条により、住所を定めた形で外国に3ケ月以上の期間滞在する日本人は「在留届」の届出が義務となっています。
大使館または総領事館にて届出をすると、現地の生活情報や緊急時の連絡、支援などのサービスを受けられます。
また、外務省には海外安全ホームページがあり、海外で生活したり留学する人、海外旅行をする人への情報提供をしています。
安全情報配信サービス「たびレジ」もそのひとつです。
旅行日程や滞在先・連絡先を登録すると、安全に関する情報や緊急時のメールを受け取ることができます。
これらに登録をすることで、渡航先でも日本政府と繋がることになります。
オーストラリア各地の日本領事館
オーストラリア日本国大使館は首都キャンベラだけではなく、その他5都市に領事事務所が置かれています。
オーストラリア5都市にある領事事務所
以下が5つの領事館です。
・在シドニー日本国総領事館
・在パース日本国総領事館
・在ブリスベン日本国総領事館
・在メルボルン日本国総領事館
・在ケアンズ領事事務所
各事務所の所在地や電話番号は、以下のリンクからご確認ください。
参考:在外公館リスト 在オーストラリア日本国大使館・総領事館|外務省
各領事事務所の領事出張サービス
例えばパスポートを申請・受領したくても北オーストラリアや西オーストラリアにいる場合、キャンベラは遠いですね。
このため、各領事事務所における出張サービスというものがあります。
このサービスは、ある日程で担当者が各地に出向き行政サービスを行なうものです。
サービスとしては、パスポートの申請と受け取り、各種証明の発行、在外選挙人登録、また安全に関する相談受付などです。
キャンベラに行くのが大変な人へのサービスであり、在留届をしていればこれらの日程をメールで受け取ることができます。
まとめ
本記事では、オーストラリア日本国大使館に関する概要、提供しているサービス、日豪両国の活動、オーストラリア内の各領事事務所の案内など幅広く紹介しました。
備えあれば憂いなし!旅行や留学などの計画時には、必ずオーストラリア日本国大使館のウェブサイトに目を通し、在留届やたびレジ登録をお忘れないようにしてください。

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。