高校生の海外留学を徹底ガイド!種類・費用・奨学金までわかりやすく解説

高校生留学、ネイティブキャンプ、オンライン英会話

高校生のうちに海外留学なんて、本当にできるのかな?そう思っている保護者の方も多いかもしれません。でも実は今、語学研修や正規留学に挑戦する高校生が増えています

文部科学省の調査によると、2023年度は約3万1千人が短期研修に参加し、3千人以上が長期留学を経験。コロナ禍で一度落ち着いた留学熱も、また高まってきています。

小学校での英語教育が進んだことや、SNS・オンラインで海外がぐっと近くなったこともあって、今では「高校生の留学」はけっして珍しくありません。

この記事では、どんな留学のスタイルがあるのか、どれくらい費用がかかるのか、奨学金の制度はあるのかなどをわかりやすくまとめました。「高校生だからこそできる経験」、今こそ考えてみませんか?

高校生でできる海外留学の種類

早速ですが、高校生のうちから挑戦することができる海外留学の方法について解説していきたいと思います。日本の高校生が海外留学として挑戦できる方法は主に2つです。ひとつは「正規留学」というもの。もう一つは「交換留学」という方法です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

正規留学

正規留学とは、別名私費留学と呼ばれるもので、留学先の国や地域、学校、期間などを自由に本人が選択できる方法です。そのため学校の選択肢は通常の公立学校だけではなく、スポーツや芸術など特定の分野を極めるために設立された高等学校を選択することも可能です。

ESLと呼ばれる、英語を母語としない留学生を対象にした英語の授業も選択できるので、英語に不安がある場合でも不安なく留学ができます。この正規留学と呼ばれるものは、日本の高校を卒業せずに海外の現地の高校を卒業するという資格になります。そのため、自ずと留学期間は数年単位となるでしょう。

デメリットとしては、私費留学であるため全ての費用は自己負担となります。留学期間中の学費や滞在費、生活費など全ての費用がかかりますので、卒業までの期間の費用をどのように賄うのかを保護者の方としっかりと計画、話し合うことが大切です。

交換留学

二つ目の方法として、「交換留学」というものがあります。正規留学とは異なり、滞在する国や地域、学校や機関が定められています。しかし、日本で在籍している高校が授業料などを負担して暮れる場合も多く、現地のボランティアファミリーの家に滞在できたりすることもあるので正規留学と比べて費用が安く済みます。

さらに、文部科学省は日本の高校に在籍する学生の1年間の海外留学に対して「在籍する日本の学校の最大単位まで認める」としているため、留学をしながら日本の高校で必要な卒業単位の取得も可能です。

そのため、基本的には帰国後に留年する必要はなく復学ができます。最終判断は学校長の判断によるらしいので、事前に単位取得が可能かどうか、留年の必要がないかどうかを確認しておくといいでしょう。

交換留学のデメリットとしては、滞在国や地域が自由には選べないこと、留学期間は長くて1年間までであることでしょうか。さらに、日本の高校内で何人も希望者がいた場合は校内選抜のような試験を受け、合格をしないと派遣できない可能性もあります。一定の英語力も英検などの英語能力試験の結果を見て判断される場合も。

普段の授業態度や定期テストの結果によるGPAも選考に影響する可能性があるため、日本の高校在学中に交換留学を希望する場合は高校入学時から意識して勉強に取り組みましょう。

参考資料:高校生の留学って実際どう?留学タイプの種類や費用、メリット・デメリットを解説 | 通信制高校ナビ
https://www.tsuushinsei-navi.com/tsuushinsei/koukou-ryugaku.php

留学中の滞在方法

正規留学・交換留学に関わらず、現地で生活する際の滞在方法は主に以下の2つがあります。

①学生寮
②ホームステイ

学生寮

学生寮とは、留学先の学校に通う学生たちが一緒に生活をする施設のことです。そこで一緒に生活をします。帰宅時間など時間に制約がありますが、朝から晩までいつでも学校の友達がいてくれることで安心できるのは寮生活の大きなメリットと言えるでしょう。

また、基本的に海外の高校の学生寮は学校の敷地内や学校から徒歩数分の場所に建設されていることが多いのでアクセスも抜群です。

安全のために敷地内には先生や学校のスタッフが住み込んでいる場合も多いので保護者も学生自身も安心して海外生活を送ることができます。週末や長期休みには学生寮ならではのイベントが開かれたりと、留学生ならではの経験を積むことができるのも学生寮に住むことの醍醐味です。

ホームステイ

もう一つの選択肢はホームステイです。現地の一般家庭の家に泊まらせてもらうスタイルです。日本の家で生活をするように、ホストファミリーと一緒に寝食を共にするので、リアルな現地の生活を体験することができます。海外の生活様式や家族同士の価値観、習慣などを学ぶことはとても有意義な経験です。

ちなみに筆者の留学時はこのホームステイという方法で約4ヶ月間ニュージーランドのホストファミリーにお世話になりました。留学中にお世話になったファミリーとは、帰国後も連絡をとり続けている方も多く、数年後に再訪する方も。実は筆者も昨年、ホストファミリーのいるニュージーランドの首都ウェリントンに遊びにいき、約7年ぶりの再会を果たしました!留学生活中の思い出が込み上げてきて、感極まったことを思い出します。

高校生の海外留学の費用

続いて、高校生として海外留学をする際に必要な経費・費用について解説していきます。海外留学に必要な費用の内訳は大まかに以下のようになっています。

・渡航費 (パスポート申請料、ビザ申請料、海外保険料、航空券)
・滞在費 (家賃、光熱費、通信費、食費など)
・学費
・お小遣い

高校生の留学にかかる費用の目安は、1年間で最低でも200万〜600万円と言われています。これは正規留学か交換留学かによっても変動しますし、どの国や地域に留学するかによっても異なります。

ここでは、国別に1年間かかる費用を大まかに比較してみました。

国名 留学費用の目安(年間)
アメリカ 約200〜600万円
カナダ 約200〜450万円
オーストラリア 約200〜600万円
ニュージーランド 約200〜500万円
イギリス 約300〜600万円
ハワイ 約300〜500万円

参考資料:留学の費用 | 留学なら留学ジャーナル
https://www.ryugaku.co.jp/cost/

高校生の留学って実際どう?留学タイプの種類や費用、メリット・デメリットを解説 | 通信制高校ナビ
https://www.tsuushinsei-navi.com/tsuushinsei/koukou-ryugaku.php

高校生の海外留学に使える奨学金制度

ここまで読んで、「やっぱり費用がネック…」と感じた方もいるかもしれません。実は、高校生のための海外留学にはさまざまな奨学金制度が用意されています。利用できる制度をうまく活用すれば、自己負担を抑えつつ、憧れの海外生活に挑戦することも十分可能です。ここでは、特に高校生が利用しやすい代表的な奨学金制度を紹介します。

トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム【高校生コース】

文部科学省と民間企業が連携して実施する留学支援プロジェクト。現在1番認知度の高い奨学金制度です。

文部科学省と民間企業が連携して実施している留学支援制度で、高校生が自ら計画した留学に対して奨学金が支給されるプログラムです。語学学校への短期留学から、現地高校でのアカデミックな長期留学まで、幅広い内容に対応しており、次の4つの探究コースの中から目的に応じて選択します。

マイ探究コース

社会探究コース

STEAM探究コース

スポーツ・芸術探究コース

応募時には「留学計画書」の提出が必要で、以下の3つの活動を盛り込むことが求められます。

自主活動:語学学校やエージェントが用意したものではなく、自分自身で考えた現地での取り組み。

アンバサダー活動:現地の人に日本や自分の地域の魅力を伝える活動。

エヴァンジェリスト活動:帰国後に、自分の留学体験をまわりに伝えたり、次の世代に還元する活動。

また、参加者には出発前・帰国後の研修が用意されており、同世代の仲間とのネットワークづくりや、留学前後の目標設定と振り返りの機会もあります。奨学金の金額は、留学の内容や期間、渡航先の地域、家庭の収入などによって異なります。制度について詳しく知りたい場合は、学校の留学担当の先生や信頼できる留学エージェントに相談すると良いでしょう。

AFS日本協会の交換留学奨学金

AFS(エーエフエス)は、世界各地に拠点を持つ国際教育交流団体で、日本では「公益社団法人AFS日本協会」が窓口となっています。AFSを通じて実施される交換留学プログラムには、個人や企業、団体からの寄付による奨学金制度が設けられており、家庭の経済状況などに応じて支給されます。

選考方法や支給額は奨学金ごとに異なりますが、応募にはエッセイ面接が課されることが多く、留学への意欲社会貢献への姿勢が重視されます。AFSの留学ではホームステイが基本で、現地の家族とともに生活することで、日常的な文化交流を深めることができるのが魅力です。

ロータリークラブによる高校生交換留学プログラム

ロータリークラブが提供する高校生向け交換留学も、非常に費用負担が少ないことで知られています。学費・食費・滞在費が原則免除され、参加者が負担するのは主に渡航費、ビザ関係費用、保険料などです。もともと費用が抑えられる交換留学の中でも、特にコストパフォーマンスの高い選択肢だといえるでしょう。

ロータリークラブは、アメリカ発の国際的な奉仕団体で、世界各国で教育支援や人道支援を行っており、この交換留学制度も「国際理解と平和推進」の一環として長年にわたって運営されています。受け入れ側のロータリアン家庭に滞在するケースが多く、現地でのサポート体制も整っているのが安心できるポイントです。

高校生が海外留学するメリット

大学に入ってからでもまだ間にあう留学ですが、高校生のうちに海外留学をすることで得られるメリットについて知りましょう。

メリット① 英語の習得・上達が早くなる

第二言語習得論研究という言語の習得に関する研究の分野で言われていることで有名なのが、外国語の習得は学習を始めるのが早ければ早いほど最終的にネイティブスピーカーのような言語能力に到達できる可能性が高いということ。大人に比べて吸収力や記憶力の高い高校生のうちに海外で語学や専門分野の学習をすることでそれらの大幅な向上が期待できます。

帰国後には、大学進学の際や就職活動、自分の将来やりたいことを考える時の視野が大きく広がるでしょう。さらに、大学入学後に再度海外留学に挑戦したい場合にもさらに視野が広がり、選択の幅も増えるでしょう。

メリット② 多様な価値観を知る機会となる

高校生という多感な時期に海外に出て様々なバックグラウンドを持つ人々と関わることは、今まで知らなかった物事の考え方や捉え方、人へのリスペクトをすることの大切さなどを学ぶ大変貴重な機会となります。

慣れ親しんだ日本の生活を離れて、全く異なる言語、文化、社会の地で暮らすことに最初は戸惑ったり不安になることは当たり前。でもそれらを経験することで、精神的に一回りも蓋周りも大きくなって帰国できます。

自分が普段、日本で安全に暮らせていたこと、授業中に黙っていても乗り過ごせていたこと、言わなくても伝わるという暗黙の了解という文化が存在していたということ…などなど、海外で生活して現地の人と関わることで自分の中で当たり前と思っていたことが全くそうではなかったということに気付かされるのです。留学経験者の筆者からも、この経験は、帰国後から生涯自分の役に立ってくれると断言できます。

高校生から海外留学するデメリット

最後に、高校生のうちに海外留学をすることによって生じる可能性のあるデメリットについても解説しておきます。いますぐ夢と希望を持って留学に出発!と言いたいところですが、まず検討しておかなければいけない事項を知りましょう。

デメリット① ホームシックにどう対処するか

大学生になってからの留学の場合、すでに一人暮らしを始めている方も多く、自分で自分の生活を成り立たせることが経験済みです。すでに親元から離れて生活をしている人は、留学先でホームシックに陥っても解決方法を知っていたり、周りの人への頼り方もわかっています。

そのため、生まれてからずっと家族や親戚などと暮らしてきた人の多い高校生が突然家を離れ、海外の知らない土地で生活を始めることにホームシックが訪れることは珍しいことではありません。ホームシックに陥る代表的な要因として、「言語の壁」「文化の違い(カルチャーショック)」「食文化の違い」があげられます。

それぞれの要因にはそれぞれの対処法が必ずあります。留学先の大学には必ず、留学生専用の相談室やアドバイザー、カウンセラーが常在してくれています。気分がすぐれない時、不安な気持ちでいっぱいな時には迷わずにその人たちのところへ行って相談しましょう。海外の相談所は日本のように閉鎖的ではなく、とっても明るくカジュアルな雰囲気です。英語の練習にもなるし、気軽な気持ちで訪れてみていいですよ。

また、現地で出会えた日本人の留学生と仲良くなるのもお薦めです。よく海外留学中には日本人と連まないほうがいいというアドバイスをする人もいますが、これは極論すぎだと筆者は思います。困った時、悩んでいる時に同じ国出身で同じ母語を話す人がいてくれることは、精神的にとても大きな存在となるのです。

デメリット②留学で一番気になる『お金』のこと

留学に興味はあるけど、やっぱり気になるのがお金の問題。正直なところ、これが一番のハードルかもしれません。文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」によると、日本の高校に3年間通うと、目安として平均して以下の費用がかかります。

公立高校(全日制):約59万7,000円/年 ×3年=約179万円

私立高校(全日制):約103万円/年 ×3年=約309万円

中には、東京の私立高校で3年間で500万円超えなんて学校もあるそうですが、それでも平均で見るとこのくらいです。

一方で、留学となるとどうでしょう?

たとえば、ニュージーランドの高校に留学した場合、学費は年間120万円ほど。そこにホームステイ代、航空券、保険代などを合わせると、1年で約250万円かかる計算に。

3年間通うなら、トータルで750万円前後。日本の公立高校と比べると、その差は明らかです。大学進学を控えている時期にこの金額…と考えると、家庭の経済状況によっては、かなり大きな負担になるのも事実です。

参考:https://www.mext.go.jp/content/20241225-mxt_chousa01_000039333_1.pdf

デメリット③大学受験とのタイミングがズレることもある

高校で留学を考えるとき、見落とされがちなのが「日本の大学受験とのスケジュールのズレ」です。

たとえば、高校2年生の1年間を海外で過ごした場合、帰国後の高校3年生では、受験に向けた準備をかなり短期間で進めなければなりません。共通テストや個別試験の対策をしながら学校生活を立て直すのは、想像以上に大変です。日本の大学入試は「高校3年間の履修」を前提に組まれているため、海外の教育カリキュラムとタイミングがずれると、志望校の受験自体が難しくなるケースもあります。

もちろん、留学で得られる経験や視野の広がりは大きな財産になります。ただ、「今、留学すること」「将来、どんな進路を目指すのか」は別の軸で考える必要があるのです。

不安な場合は、学校の先生や留学経験者に相談して、自分にとって無理のないスケジュールや選択肢を一緒に探ってみてくださいね。

高校生に人気!海外留学におすすめの国5選

いろいろな国があるため、どこを選ぶか迷う方も多いはず。ここでは、高校生に人気の5つの国を特徴と費用とあわせて比較できるようにまとめました!

国名 特徴 短期費用の目安 長期費用の目安
オーストラリア 治安が良く、英語コースが充実。時差が少なくて過ごしやすい 約41万円
(2週間〜)
約230〜600万円/年
カナダ 多文化社会で教育の質も高く、自然も豊かで安心して暮らせる 約50.5万円〜
(2週間〜)
約200〜600万円/年
アメリカ サマーキャンプや交換留学などプログラムが多彩。大学進学も視野に入る 約25〜83万円
(2週間〜)
約150〜400万円/年
ニュージーランド 少人数制で先生との距離が近く、自然に囲まれて穏やかに過ごせる 約45万円
(2週間)
約220〜500万円/年
イギリス 英語の本場。歴史や文化も学べる環境が整っている 約21万円〜
(2週間〜)
約250〜600万円/年

1. オーストラリア|あたたかく迎えてくれる国

青い空、開放的な雰囲気、そしてフレンドリーな人たち。オーストラリアは、はじめての留学先として選ばれることが多い国です。多くの高校で留学生向けの英語サポートがあるので、英語に不安があっても大丈夫。時差が少なく、保護者の方も連絡が取りやすいのが安心ポイント。自然と都会がうまく共存していて、生活しやすさも◎です。

2. カナダ|いろんな文化にふれて、視野が広がる

カナダは、世界中からの移民を受け入れている多文化な国。英語だけでなく、文化の違いにも自然と慣れていける環境が整っています。バンクーバーやトロントなど人気の都市は治安もよく、自然も豊か。教育水準も高くて、留学生へのサポートも充実しています。「はじめての海外でも落ち着いて過ごせそう」と感じる高校生が多い国です。

3. アメリカ|選択肢が多く、自分らしく学べる

アメリカは、やっぱり王道の留学先。短期のサマースクールから1年間の交換留学、私立校への正規留学まで幅広いプログラムがあります。学校によっては、美術や音楽、ITなど専門的な科目を学べるところも。ニューヨークやロサンゼルスなど、行ってみたい都市を選べるのも楽しみのひとつ。「将来アメリカの大学に進学したい」と考えている人にもおすすめです。

4. ニュージーランド|自然に囲まれてのびのび学ぶ

美しい景色と静かな環境が魅力のニュージーランド。クイーンズタウンの湖や山、オークランドの港町の景色など、日常に自然がある暮らしが楽しめます。少人数制の学校が多く、先生との距離も近いので、質問しやすい雰囲気です。アウトドア好きな人や、のんびりとした環境で学びたい人にはぴったりの国です。

5. イギリス|歴史ある街で、本場の英語にふれる

英語の発祥地・イギリスでは、正確で美しい英語にじっくり触れることができます。ロンドンやエディンバラなどの都市は文化や芸術にあふれていて、学び以外の刺激もたっぷり。格式ある教育を受けたい人や、ヨーロッパ文化にも興味がある人には特におすすめです。少しフォーマルな雰囲気もまた、イギリスらしさかもしれません。

まとめ

このコラムではここまで、「高校生の海外留学」をテーマに、高校生として海外に留学をする方法を費用や滞在方法を含めて詳しく解説してきました。いかがでしたでしょうか?

高校のうちにしか吸収して学ぶことのできないことを経験できる海外留学に挑戦して、ぜひ一回りも二回りも大きくなって帰国してくださいね!留学経験者として、心から応援しています。

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