韓国ドラマやK-POPがきっかけで韓国語習得をしている学習者が今ではたくさんいます。
また、韓国文化に興味があったり、韓国旅行に行ったことがきっかけで韓国語学習を始めた人も少なくないはずです。
私たち日本人は学校教育で英語を学んでいますが、知識として単語や文法を覚えても使える英語力、言い換えると会話力がつかなかった人がほぼ全員と言っても過言ではないはずです。
この傾向は、残念ながら韓国語でも同じで、韓国語能力試験やハングル検定など韓国語試験には合格していても話せない悩みを持つ人は非常に多いです。
とは言え、韓国語学習者の目的や目標は人それぞれで、必ずしも全員が会話をできるようになることを目指しているわけではありません。
そのため、学習者の悩みはひとつではなく個々にそれぞれあります。
前回の記事では、よくある韓国語学習での悩みごとを5つ取り上げました。
今回の記事は前回の記事の続きとして、よくある韓国語学習での悩みを5つ(後半)を取り上げます。
そして、それぞれについての解決策を、私自身が3か国語の習得に成功、韓国語の指導をして来た経験を基に書きます。
よくある韓国語学習での悩みごと5つと解決策(後半)
ここからは、よくある韓国語学習での悩みごと5つ(後半)を取り上げ、それぞれの解決策を書きます。
前半で取り上げた悩みが韓国語学習者のほぼ全員に当てはまる一般的な悩みであるのに対し、今回取り上げる悩みは個人差がある悩みです。
6.単語のスペルミスが多い
単語のスペルを正確に書けない悩みは、単語を覚えられない悩みとも関連します。
韓国語のスペルミスが多い理由は2つあります。
1つ目は、日本語にはない音があり、その聞き分けや発音の区別が難しいためです。
韓国語は、子音であれば平音、激音、濃音があります。
これは、それぞれ、息を普通に出す音、息を激しく出す音、息を出さない音で、それぞれスペルが違います。
また、母音も日本語では「あ、い、う、え、お」の5つしかありません。
ですが、韓国語では10個あり日本人にとっては似た音の発音の区別や聞き取りが難しいです。
例を挙げると「お」は「오」と「어」がありますが、日本人にはこのふたつの発音の区別や音の聞き分けが難しいです。
単語のスペルミスの根本的な原因として考えられるのは、発音の区別ができないためにスペルも正確に書けないということです。
韓国語は音を表記する表音文字です。
そのため、自分がしている発音が間違っていれば、それをもとに表記するスペルもミスをすることになります。
例を挙げると「カ」という音の場合、平音であれば「가」、激音であれば「카」、濃音であれば「까」と表記しなければならないですが、自分の発音が曖昧だったり間違っていれば、これらを書き間違えるということです。
2つ目の理由は、連音化された音や発音変化の通りにスペルを書いてしまうためです。
韓国語には日本語とは違い子音で終わる文字が多くあります。
そして、子音で終わる文字の後ろに母音が来た場合、子音と母音を続けて発音する連音化という規則があります。
また、連音の関係で実際に表記する文字とは発音が変化する発音変化もあります。
これらは、スペルと発音がずれるため、特に初心者や初級者に多いミスであり、悩む学習者も多いです。
子音と母音が続く連音化の例を挙げると、「선생님은(先生は)」は「선생님(先生)」と「은(~は)」が一続きで発音されます。
この時、「선생님(先生)」の最後の子音「ㅁ」と次の「은」の最初の母音「으」は続けて発音されるため、「믄」という音になります。
発音変化の例としては、「설날(お正月)」は文字通りだと「solnal」ですが、実際の発音は「solral」です。
このように、文字と実際の発音が一致しないため、韓国語のスペルを正確に書くことは難しいことがあります。
解決策としては、発音練習をする時に正確にできなくても、似た音を区別することを意識して発音することです。
「お」であれば、日本語に近い「오」で済ませて発音しようとするのではなく、「어」の発音の仕方を意識し練習するということです。
また、発音変化はテキストに規則が説明されていますが、知識として覚えるだけではなく、実際に発音することで発音練習しながらスペルを書き、発音とスペルの違いを意識して覚えることです。
7.自分に合った教材がない
韓国語の教材は今では多くあります。
自分に合った教材がないと悩む場合、選んだ教材を使っても学習効果が上がらない、難しすぎるなど何かしらの違和感があり、自分に合わないと感じるはずです。
その場合、合った教材がないのではなく、自分にとってどんな教材が必要なのかを把握しないまま合わない教材を選んでいる可能性があります。
例を挙げると、韓国語初級者なのにネイティブスピーカーが良く使うフレーズ集や単語の使い分けのような難易度の高い教材を選んでも理解ができません。
また、会話ができるようになりたい学習者が韓国語能力試験の単語集を使って単語を覚えることも目的に合っていないため学習効率が悪いです。
その理由は、試験で出る単語は会話では必要がなかったり、あまり使わない単語も多く、会話目的で学ぶ場合には覚える必要がない単語も多いためです。
解決策は、教材を選ぶ時はおすすめされているものや自分の好きなものを選ぶのではなく、自分のレベルや学習目的に合ったもの把握した上で選ぶことです。
初心者や初級者でどれを選べば良いか分からない、しっかりと勉強したい場合、まずは一冊で一通り学べる総合書を選べば無難です。
継続的に学習して中級や上級を目指す場合、韓国の語学堂のテキストなど初級から上級までシリーズで揃っているテキストを使うと教材を選び直す手間がありません。
また、違うテキストを選び直す場合に起きる、学んだ内容の過不足もないため効率良く学ぶことができます。
8.韓国語を使う機会がない
韓国語に限らず外国語は、日本にいるとその言語を使う機会は普通に暮らしていてもまずありません。
ですが、この状況はその言語を使う国にいても実は同じです。
つまり韓国語であれば、日本にいても韓国にいても、自分で韓国語を使う機会を作ろうとしない限りは使う機会ができることはない、ということです。
今は、インターネットの普及、またSNSが一般的になったことで、日本にいても韓国語など外国語を使う機会を作ることはいくらでもできます。
具体的には、会話目的のオンラインレッスンを受ける、言語交換アプリを利用する、SNSを使い韓国語で情報発信する、などです。
また、都市部であれば韓国人の留学生、ビジネス目的の長期滞在者、日本人の配偶者などが多くいるはずです。
それらの人と直接会って、韓国語で話す機会を持つこともできるはずです。
また、円安の影響で韓国からも多くの観光客が日本に来ています。
それらの人で、何か困っていることがありそうなら声を掛けて助けてあげるといったことでも韓国語を使う機会を作ることはできます。
結論、韓国語を話す機会は、自分から積極的に動いて機会を得ようとしなければできないということです。
9.TOPIK試験以外の対策方法がよく分からない
韓国語の試験で良く知られているものは、韓国語能力試験(TOPIK)とハングル検定です。
まず、韓国語の試験は、受験することで自分自身の現状の韓国語能力を客観的に測定し、把握するためのものです。
言い換えると、日頃の学習の成果を試験により客観的に判定するものです。
このことから前提として、ある程度の学習をして韓国語能力がついていなければ受ける意味があまりありません。
そのため、試験対策としてまずすべきことは日頃の学習です。
教材を使い、単語や文法を学ぶ知識習得を少しずつしていくことが一番の基本です。
その上で、ある程度学習を続けた段階で成果を測るために受験すると良いです。
試験対策は過去問題集を使い勉強することが基本です。
TOPIKとハングル検定では出題の傾向や形式、試験時間などが違います。
TOPIKがより実用的な知識が問われるのに対し、ハングル検定は必ずしも実用的ではなく、どれだけ知識を知っているかを問われる傾向があります。
ハングル検定で出題される問題は、日頃の学習で使う教材ではカバーできない内容が多いので、試験対策として出ている教材を別途使って十分な試験対策をする必要があります。
10.中級以降の勉強方法が分からない
中級は多くの学習者が伸び悩みを感じたり、進歩を感じられない停滞を感じる段階です。
中級以降では、初級でインプット中心の学習で取り入れた知識をアウトプットすることで使えるようになるための実践練習を増やしていきます。
また、中級や上級でも単語や文法をさらに学ぶことで、表現力をつけていくことも課題になってきます。
初級は、個々に違う学習目的や目標に関係なく基礎を作る段階として学びますが、中級以降は引き続きベースとなる単語や文法学習をしながら、個々の目的に合わせた学習や練習も取り入れていくと良いでしょう。
例えば、ドラマを理解できるようになることが目的であれば、ドラマを字幕付きで見ながら単語や文法を学び、セリフを自分で音読練習し、聞き取り力もつけるといった勉強法が考えられます。
会話力をつける場合、レッスンを受けているのであれば、自分で事前にいろいろな場面を設定した会話を作り講師からチェックを受け、それを講師と会話練習するような実践を意識した学習をしていくことで、単なる知識習得ではなく使える韓国語力が身に付きます。
まとめ
前回と今回の記事で、よくある韓国語学習での悩み10選とそれぞれの解決策を説明しました。
学習や練習をする中で、いろいろな悩みを持ったり、なかなかうまく学習が進まないことは誰でもあると思います。
前回と今回の記事では多くの学習者が抱える悩みを取り上げました。
参考にして、目標達成まで諦めずに学習を継続してください。

◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
・韓国語能力試験(TOPIK)6級
・延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇留学経験
【オーストラリア】
・クイーンズランドカレッジオブイングリッシュ:3カ月
・ゴールドコーストカレッジオブビジネス:6カ月
【フィリピン】
・ファーストウェルネスイングリッシュアカデミー:3週間
【韓国】
・梨花女子大学校言語教育院:3週間
・延世大学校言語研究教育院(韓国語教員養成課程):5週間
【タイ】
・プロランゲージ(タイ語):1年6カ月
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.