If onlyは簡単に見えて実は扱いづらい表現です。長文読解などでも「if only構文が出てきたところでつまずいてしまった」という人も多いのではないでしょうか。
使われている単語はシンプルなのですが、会話の中でのニュアンスや、後に続く文章の語順がややこしく、使いこなすには少し練習が必要になります。また、仮定法がセットで使われるため、時制を正しく揃えるのも大変です。
今回の記事では、そんなくせ者のif onlyの使い方を徹底解説していきます。例文を使いながら、if onlyの数種類の使い方、仮定法のおさらい、if onlyを使った表現、only ifとの違いなどを学んでいくので、ぜひブックマークをして見返せるようにしておいてください。
If onlyの基本的な意味
まず、if onlyの全体的なイメージをつかんでいきましょう。If onlyの基本的な意味は「~さえすればいいのに」「~でさえあればいいのに」です。
「雨さえ降っていなければいいのに」
「電話さえあれば」
「もっと時間さえあれば」
といったように、「現実とは違ったことがらを求める願望」を表すときに使います。意味合い的にはI wishと同じですが、より強く、やや切実さがある表現です。
仮定法の基本おさらい
さて、if onlyを使いこなす上で、仮定法の知識は必ず必要になります。前述したように、if onlyは仮定法とセットで使われます。仮定法が理解できていなければ、if onlyを正しく使うことはできないのです。
そもそも仮定法ってなに?
「仮定法はどんな時に使うのか」を考えながら、仮定法とは何か探っていきましょう。仮定法は「事実とは反する話をするとき」に使います。簡単に言うと「もし~だったら」と言いたいときです。
「もし晴れていれば」
「もしお金を持っていれば」
「もし私があなたの立場だったら」
といったように、実際はそうではないけどもしそうだとしたら、という「仮定」の話をするときに使える便利な英文法です。
こう聞くと高度な英語表現に思われがちですが、
「今日飲みに行かない?」
「いやー、お金があれば行くんだけど。今月キツくて…」
のような、カジュアルな会話でも頻繁に使われます。
仮定法のルール
当然、文脈によって言い回しが変わりますが、まずは仮定法の基本的な形を見ていきます。
「もし~だったら」は動詞の過去形で表し、「~しただろう」はwouldかcouldで表す。これが基本的な形です。
もしくは方程式的に、
「If + 主語 + 動詞の過去形, 主語 + would (could) + 動詞の原形」
という風に教える人もいます。わかりやすいほうを参考にしてください。
一般的な仮定法の例文
もしもっとお金を持っていたら、もっと良いノートパソコンを買うだろう。
私があなたの立場だったら、そこへは行かない。
もし大学の学位があれば、もっと良い仕事に就けるだろう。
仮定法過去完了の例文
仮定法過去とは、文字通り過去に関することで、現実に起こったこととは違う出来事を仮定するときに使う表現です。「もう過ぎたことだけど、あの時こうしてればもっとこうだったかもね」のようなことを言いたいときに使えます。
「If+主語+had+過去分詞, 主語+would(could) have+過去分詞」という形になります。
高校生の時にもっと勉強していれば、今頃もっと楽だっただろう。
もしあなたがあの場にいたら、彼らはもっと行儀良くしていただろう。
Not bad. It would have been more productive if everyone had not been so tired, though.
昨晩のミーティングはどうだった?
悪くなかったよ。でも、みんながあんなに疲れてなければ、もっと生産的だっただろうね。
I wishを使った仮定法
I wishを使うと、上記の公式を使わずに仮定法の文章を作ることができます。特に「願望」を表すフレーズです。
もっとお金があればいいのに。
結婚していなければいいのに。
もしもピアノが弾けたなら。
If onlyを用いた仮定法の構文
それでは本題の、if onlyの使い方を見ていきましょう。
実は、ここまで読んでくれた方は、if onlyの使い方の90%はマスターしています。というのも、基本的な形が「仮定法の文章の頭にif onlyを付けるだけ」だからです。それだけで「~さえすればいいのに」「~でさえあればいいのに」という意味の文章が作れるんですね。
では、それぞれの仮定法にif onlyが加えられるととどんな訳、ニュアンスになるのか、例文と共に学んでいきましょう。
If only+仮定法
まずは、「if only+仮定法」の例文をお見せします。それから「仮定法過去」と「仮定法過去完了」に分けた例文を学んでいきます。
もしもっと良い携帯電話を持ってさえいれば。
もし彼女がここに来ることを知ってさえいれば。
もしみんながルールに従いさえできれば、私たちの生活はもっと簡単になるだろう。
Seriously? If only you had woken up earlier.
あちゃ、電車を逃したみたいだ。
マジかよ。君がもっと早く起きてさえいれば。
最初の3つが「仮定法過去」(現在に関する願望)、最後の1つが仮定法過去完了(過去の出来事に関する願望)の例文ですね。それぞれを詳しく見ていきましょう。
If only+仮定法過去
「If only+仮定法過去」は、「現在のことに関する願望」です。過去形が使われていますが、これは過去形を使って現在(現実)と距離を離し、非現実を表す英語独特の表現です。過去の話は関係ないので、注意しましょう。
韓国語が話せさえすれば。
彼女が僕に話しさえしてくれれば。
Yeah, if only we had enough workers.
また残業?
そうだよ。十分な人手さえいればね。
He is, but he just can’t show up to rehearsal on time. If only he was more punctual.
何でマイクをクビにしちゃったの?彼はここら辺では最高のギタリストだって言ってたじゃないか。
あいつは最高のギタリストだよ。ただ、あいつは時間通りにリハーサルに来ないんだ。彼がもっと時間に厳しい人でさえいてくれれば
If only+仮定法過去完了
次は「if only+仮定法過去完了」です。「過去に関する願望」ですね。もう既に起こってしまったことに対して、「あぁ、あの時こうしてさえいれば…」と言いたい時のフレーズです。
過去形にしてしまうと「現在の願望」になってしまうので、さらに過去(大過去)にすることで過去の話にしてしまうという力業です。
あなたが私の言うことを聞いてさえくれていれば。
もし家をもうちょっと早く出ていれば。
No, I didn’t. She doesn’t speak English. If only I had had a translator on my phone.
じゃあ、あの娘の電話番号は手に入らなかったの?
ダメだったよ。彼女は英語を話さないんだ。携帯に翻訳機さえあったら。
If onlyを用いた会話表現
なんとなく、if onlyが持つ雰囲気は理解できたでしょうか?ここからは、ネイティブスピーカーが実際に言った文章をもっと見ていきます。
そしてあなたは思ったでしょう。「あぁ、こういうものが書けてさえいれば。」(仮定法過去完了)
スペルや文法のように、コンピューターが音も自動修正できさえすれば。(仮定法過去)
1,000人のフォロワーがいさえすれば、気分がいいだろう。(仮定法過去)
イングランドがそのポジションにいさえすれば、物事は違うようになっていただろう。(仮定法過去)
根本的なアイデアは、お金さえあれば人々は家を買うだろう、ということだ。
Only ifとの違い
最後に、if onlyと混同しがちなフレーズ、only ifとの違いを確認しましょう。
If onlyとonly ifは似ていますが、まったく違う意味を持ったフレーズです。試験などでも読み間違えると失点につながりますし、会話でも勘違いの原因になります。
Only ifは「~の場合に限り」という意味です。願望や時制は関係なく、条件の提示やシチュエーションの限定をするときに使います。
もし次のテストで80点以上を取ることができた場合にのみ、最新のスマホを買ってあげます。
一生懸命頑張ったときのみ、目標は達成できる。
意味合い的にはifと同じですが、「その条件が満たされる場合にのみで、それ以外は認めない」と強調されています。
まとめ
If onlyは、最初はややこしいフレーズかもしれません。しかし、1つずつ分解していけば、ただの仮定法のバリエーションの1つであることが分かるでしょう。
その仮定法もややこしいかもしれませんが、決まった形で使われることが多いので、数パターンの例文を覚えておけばテストや会話でも十分に対応できるはずです。恐れず、一歩ずつ理解していきましょう。
また、if only構文や仮定法のように分かりづらい文法は、実戦での反復練習が習得の近道です。
ネイティブキャンプのようなオンライン英会話で練習するのも、有効な手段です。ネイティブキャンプでは、24時間365日ネイティブスピーカー、もしくは同レベルの日本人講師からのレッスンが受けられます。間違えてもいい練習環境で、実践を積み重ねてみましょう。

◇経歴
・アメリカ、オクラホマ州の四年制大学を卒業
・英語学習に関するブログを中心に、英語ライター・翻訳家として活動(現在)
◇資格
・TOEFL503点(大学入学時)
・Bachelor of Arts(文学士号)
◇留学経験
渡航先:アメリカ、オクラホマ州タレクア
留学期間:2012〜2017(5年)
学校名:Northeastern States University
◇海外渡航経験
・高校卒業後に、アメリカのオクラホマ州にあるNortheastern州立大学へ5年間の正規留学を経験
◇自己紹介
高校時代にアメリカの音楽文化に興味を持ち、アメリカへの大学留学を決意したことが、英語学習を本格的に始めることになったきっかけです。渡米後に3ヶ月の語学研修とTOEFL試験をクリアし、正規入学を果たしました。音楽学部にてJazz Studiesを専攻し、複数のバンドでギタリスト・ベーシストとして活動したことは一生の財産です。言葉はその人の価値観を定義付け、語学の習得は世界の見え方を変えます。自分が今も現在進行形で経験している、言語の魅力を発信するために、日々、英語・語学に関する情報発信をしています。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.