moralとmorale。どっちが道徳を意味する「モラル」?

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今回は、日本語でもよく使う「モラル」に関する英語をご紹介していきます。

気を付けなければならないのは、moralとmorale、2つの似たスペルがあることです。どちらが私たちが日常生活で使う「モラル」なのか、以下で見ていきましょう。ちなみに、カタカナの「モラル」を日本語で表すと、「道徳」以外にも「倫理」「倫理観」「道徳意識」という意味があります。

MoralとMoraleの違い

では、moralとmoraleの違いを早速見ていきましょう。

まずはmoralについて解説します。

Moralには名詞として「道徳」や、形容詞として「道徳の」「教訓的な」といった意味があり、これが日本語の「モラル」に当たります。

英英辞書Oxford Learner’s Dictionariesで調べてみると、moralの意味が4つあることが分かりました。順に見ていきましょう。

1.[only before noun] connected with principles of right and wrong behavior

こちらを和訳すると、

「[名詞の前に置く]正しい、あるいは間違った行動の原則と結びつけられる」

となります。

和訳をしても小難しい説明ですが、いわゆるカタカナの「モラル」に含まれる意味と同じです。「何が正しくて間違っているのかの人間の根本を問う」ということですね。こちらは形容詞の解説でしたので、名詞の前に置くことも明記されていました。

2.[only before noun] based on your own sense of what is right and fair, not on legal rights or duties

「[名詞の前に置く]法律や義務ではなく、何が正しく公正であるか個人の感覚に基づく」という意味です。類義語は「倫理的」です。

3.following the standards of behavior considered acceptable and right by most people

こちらは「ほとんどの人から受け入れられ、正しいと認識されている行動基準に従うこと」という意味です。これこそ「モラル」であり、モラルから逸脱すれば多くの人から批判を受けるでしょう。

4.[only before noun] able to understand the difference between right and wrong

「[名詞の前に置く]正しいか間違っているかを理解出来ること」という意味です。2番の意味と似ていますね。

https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/moral_1?q=moral

そもそも「道徳」や「倫理」といった言葉を深掘りするのは難しいので、英英辞書に書いてある英文を理解するだけでもある程度モラルの意味が分かり、英語力の向上にもつながるでしょう。

では、moralを使った例文を見ていきましょう。

Moral harassment is psychological harassment.

「モラハラとは心理的嫌がらせのことだ」

She kindly gave me some moral support

「彼女が親切にも、私の心理的サポートをしてくれたの」

The moral of the story is that being kind to others is important.

「この物語から得られる教訓は、他者を思いやることは大切だということだよ」

最初の2つの例文は「モラル」という意味で作りましたが、最後の例文は「教訓」という意味です。 “The moral of the story is~.” は決まり文句なので、本や映画、自身の体験から何か学んだと言いたい時などに使ってみてください。

次に、moraleの意味を見ていきましょう。

Moraleは名詞で、「士気」や「やる気」という意味があります。Moralと違って形容詞はありません。

日本語では「士気が低い」や「やる気が低い」などと言いますが、英語でも士気ややる気が低いことを「low」を使って表現します。逆に士気ややる気が高い場合は「high」を使います。

もともとは軍隊に対して使われていた単語ですが、現在はビジネス英語の要素が強くなっています。

特に複数人や集団(組織)でのやる気状態を意味し、例えば「Morale is high.」と言うと、チーム全体の士気が高いことを意味します。

Our morale is quite low. But it can’t be helped.

「私たちのチームの士気がとても低い。しかし、それは致し方ない」

We need to find a way to boost morale.

「やる気を高める方法を見つける必要がある」

Boost moraleboostは、「~を高める」という意味の動詞です。(TOEICの重要単語でもあります)

Moralとmoraleの意味の違いを見てきましたが、最後に発音の違いを見ておきましょう。

Moralの発音記号は【mˈɔːrəl】で、最初の音節にアクセントがあります。しかし、morale【məˈrɑːl / mərˈæl】と発音し、アクセントは第二音節に来ます。どちらもカタカナにすると同じ「モラル」になりますが、英語では発音が全く違うので注意が必要です。

Moralと関連表現

では、moralの類義語と関連表現も見ていきましょう。類義語を芋づる式に覚えれば効率的な暗記が出来ます。

Moralの要素の幅は広いですし個人差もありますが、主に以下の要素が必要になると考えられています。

【類義語】

Compassion:慈悲

Equality:平等

Acceptance:許容

Gratitude:感謝

Fairness:公平

Honesty:正直

Integrity:誠実

Kindness:親切さ

Politeness:丁寧さ

Responsibility:責任感

Tolerance:寛容さ

Trustworthy:頼もしさ

【類義語を使った関連表現】

I believe that human beings need a sense of responsibility, fairness, and acceptance.

「私は、人間には責任感と公平さ、許容が必要であると考えます」

また、上記の単語(類義語)は形容詞にすれば、人の性格や個性を表す単語になります。

He is honest and tolerant.

「彼は正直で寛容だ」

Dylan is always very kind and fair to me.

「ディランはいつも私に対して平等でとても優しい」

皆さんは、moralには他に何が必要だと考えますか?

Moraleと関連表現

次に、moraleの関連表現を見ていきましょう。

Morale「やる気」という意味でしたが、やる気と聞いて別の英単語を思い浮かべた方はいませんか?

Motivationも「やる気」という意味で、「モチベーション」が既に日本語として定着していますよね。

では、moraleとmotivationの違いは何でしょうか。

Morale「士気」や「やる気」と訳されることが多いのに対し、motivation「動機」や「動機付け」と訳される傾向があります。

MotivationをCambridge Dictionaryで調べてみると、以下の説明がありました。

enthusiasm for doing something

「何かをするための熱意」

Moraleはグループ全体の士気や意欲を指すのに対し、motivationは何かをやるための熱意、意欲を意味します。

I failed the exam because of a lack of motivation.

「やる気が無かったので試験に落ちた」

ここで追加で覚えておかなくてはならないのが、motiveという名詞です。こちらは「動機」や「真意」という意味で、motivationとしっかり区別しておかなくてはなりません。

Motivationもmotiveも意味が似ていて、さらにスペルまで似ていますが、使いどころを間違えると大きな誤解を招きます。なぜなら、motivationはポジティブな意味合いなのに対し、motiveはネガティブな意味合いがあり真逆だからです。

分かりやすい例で言うと、「犯人の動機」に使うのがmotiveです。このような意味合いでmotivationを使うと、意味は伝わってもかなり変な文章になってしまいます。

逆に、ポジティブな内容を伝えたいのにmotiveを使ってしまうと、何やら良くないことを企んでいるようなニュアンスになります。

正しい使い方をした例文は、以下の通りです。

My motivation for studying German is to study abroad.

「私がドイツ語を勉強する動機は留学するためなの」

The serial killer was arrested but we don’t know the motive.

「連続殺人犯が捕まったが、動機がわからない」

Moral Morale まとめ

Moralは私たちが一般的に意味する「モラル」Morale「やる気」という意味でしたね。英語ではアクセントの位置が違うので聞き分けはしやすいですが、スペルが似ているので意味を取り違えないよう注意しましょう。

また、Moraleの類義語ではあるものの、正しい使い分けが必要なmotivationとmotiveの違いは英語学習者が間違えやすいところなので、しっかり覚えておきましょう。

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