今回は、dismissという英単語を深掘りしていきます。英語に限らず他言語を習得しようと思った時に大変なのが語彙力の強化ですよね。
その暗記のうち、さらに時間がかかってしまうのがひとつの単語に複数の意味がある場合です。Dismissにも複数の意味があるので、それらの使い方について見ていきましょう。
Dismissの意味と使い方
Dismissには複数の意味がありますが、共通しているニュアンスに「人を遠くにやるイメージ」があります。習得したい言語を覚える際、苦労する人は日本語に対応させてしまう人です。
そもそも言語が異なるのだから、ニュアンスまですべて合う単語はないと言っても過言ではありません。Dismissも日本語ごとに覚えようとするのではなくて、イメージを中心に覚えるのがコツです。では、以下で例文付きの解説をしていきます。
解散させる
Dismissには、「解散させる」という意味があります。Dismissの中でも最も一般的に使われる意味なので覚えておきましょう。受動態で使われることが多く、形容詞ではdismissive、名刺ではdismissalとスペルが似ています。
今日の授業はここまで
こちらの例文は、ハリー・ポッターシリーズの第3巻「アズカバンの囚人」にて、魔法生物学の教授となったハグリッドが言ったセリフです。見たことがある方は、マルフォイがケガをした直後のシーンだとわかるでしょう。
しかし、この例文を見て違和感を抱いた方はいませんか?文法的には間違っています。正しくは、The class is dismissed.と言い、受動態なのでbe動詞が入らなければいけません。
ネイティブスピーカーは細かい文法に従わず喋ることも多く、上記の例文が良い例です。私たち日本人だって、文法に忠実に喋ろうと思うとかなりかしこまってしまいますからね。ある言語を第二言語として学ぶ場合、どうしてもまずは正しい文法を覚えるためこういった砕けたネイティブスピーカーの英語に疑問を抱いてしまうことも言語学習者の間ではよくあることです。
文法に従って文を作ることも大切ですが、英会話の場合はそれがある程度崩れてもあまり気にしないことが大切です。
解雇する
Be dismissed fromのように言えば「~が解雇される」という意味になります。こちらも受動態で使うことが多いため、上記で解説した「解散させる」との違いは文脈から得ることになります。イメージは似ていますが、「解散させる」は学校で「解雇される」はビジネス英語で使われる確率が高くなります。
問題は、なぜ彼が解雇されたかってことだよ
例文中で使われている「The problem is~」は、「問題は~」という表現で良く使われます。似た表現に「The point is~」などもあります。「言いたいのは~」や「大事なのは~」といった意味合いで、文頭に置くことで相手にそれまでの論点をまとめることを知らせたり、自分が最も言いたいことを今から言うぞと知らせることができます。
却下する
Dismissには他にも「却下する」という意味があります。こちらもどちらかというと学校よりもビジネス英語のイメージで、上司に提案したアイデアや要求が却下される時などに使われます。
覚えておくと便利なイディオムは「dismiss A as B」です。「AをBとして退ける」という意味で、以下の例文のようにして使います。
上司が私の提案をつまらないと却下したからめっちゃムカついてる
Annoyは「イライラさせる」などの意味で、主語をIにし受動態で使うことが多いです。類義語にはirritateがあります。
Proposalも重要な単語です。「提案」という意味として使われますが、日本語だと「プロポーズ」が思い浮かんでしまうことから「結婚の申し込み」と勘違いしてしまう人がいます。必ずしも結婚に関する提案ではないことを知っていないと職場でプロポーズだらけになってしまうため注意しましょう。
免責する
こちらでdismissが持つ主な意味は最後になります。 日本語でも少し難しいですが「~を免責する」という意味も覚えておきましょう。こちらも受動態で使うのが一般的なので、「~は免責される」と覚えておいても構いません。
その場合、それは免責されることを覚えておくべきだね
「免責する」はdischargeとも言い換えが可能です。Chargeは「請求する」という意味で、TOEICの重要単語にもなっています。
ここまで動詞のdismissの使い方を見てきましたが、品詞は違えど同じ意味を持つ単語はセットで覚えておいた方が効率が良いですから、形容詞のdismissiveと名刺のdismissalについてもご紹介しておきましょう。
形容詞のdismissiveには、「否定的な」「軽蔑的な」「拒否するような」という意味があります。ネイティブスピーカーらしい表現となるため英語上級者向けで、知っていると英会話レッスンの先生らに驚かれるかもしれません。
彼の人を馬鹿にしたような質問には全員イラついたよね
「dismissive of」は「~に対してそっけない」という意味で、「make a dismissive remark about~」は「 ~について軽蔑的な発言をする」意味です。どちらも暗記することをおすすめします。
正直に言うと、医者はたいてい患者に対してそっけないから嫌いなんだよね
To tell you the truthは決まり文句で「正直に言うと」です。丸っと暗記してしまいましょう。
政府についてよくもまあそんな発言ができるね!
How dare youは「よくも~できるね」といったニュアンスで使われます。また、名詞のdismissalは「解雇」や「解任」「解散」という意味で使われます。
彼女の不当解雇は全員を驚かせた
「Unfair dismissal」は「不当解雇」、「one’s dismissal」は「~の解雇」という意味です。「解散」という意味で使うなら、「dismissal time」「下校時間」も覚えておきましょう。
関連表現
dismissには「解雇する」や「却下する」という意味がありましたが、これらの意味を持つ別の単語もあります。関連表現として覚えておくと言い換えが可能になります。
Fire
Fireは「火」や「火事」という名詞として知られていますが、動詞として使うと「解雇する」「クビにする」という意味になります。Dismissよりもインフォーマルな言い方である点に注意しましょう。
彼女がまだクビになってないのが何故なのか誰も知らない
英語では、no oneを主語にすることで否定の意味を表すことができます。「誰も~ない」というニュアンスです。
例文では間接疑問文という文中に疑問文を入れる形が使われています。間接疑問文の場合、その疑問文は疑問詞の語順ではなく、肯定文の語順になることに注意しましょう。例えば、例文の中ではwhy she hasn’t been fired yetという英文がありますが、これが純粋な疑問文ならWhy hasn’t she been fired yet?「彼女は何故まだクビにならないの?」となります。
クビになる「彼女」が主語なので「クビにさせられる」という受動態を使いますが、「まだ~ない」と言いたい時は現在完了形の完了用法を使うため、have+過去分詞と受動態を足して、「have+been+過去分詞」になっています。
Reject
Reject は「拒絶する」という意味です。Dismissには「却下する」という意味があるため、似ている意味として使えます。
彼女が何故彼を拒絶したのか知ってるよ
例文では能動態になっていますが、拒絶された「彼」に注目を持っていきたい場合は、I know why he was rejected by her.と言い換えることができます。この場合は受動態となるため、be動詞を過去形にして時制を元の文に合わせることを忘れないようにしましょう。
まとめ
Dismissの英語表現や類似表現はたくさんあるので、表現パターンに慣れるまで何度もしつこく例文付きで練習することが大切です。
英和辞書を引いたり、ネットで調べればたくさんの例文が出てくるのであらゆる表現に慣れておきましょう。大切なのはその単語が持つイメージです。Dismissの場合は、「人を遠くにやるイメージ」を覚えることが先決です。
◇経歴
英語科高校卒
外国語学部英米学科卒
学習塾で英語を教えている
◇資格
・IELTS6.5
◇海外渡航経験
高校時代にオックスフォードの語学学校へ留学
大学時代にエディンバラ大学へ1年交換留学
◇自己紹介
ハリー・ポッターがきっかけで英語に目覚め、高校・大学とイギリスに留学したイギリスマニア。学校はアメリカ英語なので自己流でイギリス英語を習得。発音、スペル、すべてにおいてクイーンズ・イングリッシュを使い英語の先生にバツをくらうもめげず。生まれも育ちも日本で、海外に繋がりがなかったため留学が夢となった。アルバイトで全資金を稼ぎ渡英すると、勝手な高い理想を上回るほどの素晴らしさを目の当たりにし更に虜に。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.