日本語での「賞・表彰」にあたる英語表現の使い分けは、英語学習者にとって、特にややこしいのではないでしょうか。
「賞」に対する英訳としては、主に「award」と「prize」がよく使われますが、どう違うのかと聞かれると、なかなか答えられませんよね。また、「award」と、よく似た「reward」との使い分けも気になるところです。
そこで、この記事では、「award」・「prize」・「reward」の違いと使い分け方について、具体的な例文とともに解説します。
その他にも「表彰」・「賞」・「報酬」を意味する様々な表現についても解説していきます。ぜひ参考にしてみて下さい。
- award・prize・reward の違い
- awardの意味と使い方
- prizeの意味と使い方
- awardとprizeの違い
- rewardの意味と使い方
- awardとrewardの違い
- その他の似た表現
- まとめ
award・prize・reward の違い
「award」は、権威や名誉の証として表彰されるときの「賞」を意味します。また、受賞に際して与えられる「賞金」についても使います。
「prize」は、競技などの勝者を表彰する賞や、その賞に付随して与えられる「賞金」を指して使われます。
「reward」は、人の利益になる行為などに対する「報酬」を意味し、主に金銭による報酬を指すことが多いです。
それでは、それぞれの意味と使い方について、具体的な例文とともに見ていきましょう。
awardの意味と使い方
「award」は「権威ある者から表彰された賞」という意味で使います。
まず、「award」を語源から考察してみましょう。「award」は「a」と「ward」という部品に分解することができます。
「ward」はもともと「見る」という意味の言葉で、「観察して(考えて)決定する」ことを指します。そして、「a」は「〜に向けて」という意味の言葉です。
そのため「award」は、「よく考えた上で相手に対して与えるもの」という意味になります。それが転じて、「(審査員などが)よく考えた上で与えられる賞」を指すようになりました。
彼は新人賞を受賞した
彼女の絵は特別賞を受賞した
このように「award」は、「審査員などによって熟慮された結果、授与される賞」を表します。
またawardは、名詞としてだけでなく「(賞や賞金を)授与する」という意味の動詞としても使われます。
市長は優勝者に10万円を授与した
prizeの意味と使い方
「表彰・賞」を意味する英語としては、awardだけでなく、「prize」があります。
このセクションでは、「prize」の基本的な意味・用法と、「award」との違いについて解説します。
prizeの基本的な意味と用法
「prize」は、ヨーロッパの古い時代に「戦利品」という意味で使われてきた言葉です。
その意味が転じて、「競争などでの勝者に与えられる賞品」も指すようになりました。
息子はかけっこで一等賞をとった
彼女は弁論大会で最優秀賞を獲得した
「一等賞」を表すフレーズ「(the) first prize」は非常に良く使われるので覚えておきましょう。ちなみに「二等賞」は「(the) second prize」といいます。
また、「最優秀賞」は「grand prize」といいます。
awardとprizeの違い
「award」は審査員たちの熟慮の末に表彰される、名誉ある賞という意味合いが強いです。
一方で「prize」は、競争で優秀な成績をおさめた者に与えられる賞で、名誉ある賞という意味合いはあまりありません。
しかし、そうなると、「ノーベル賞」の英訳「Nobel Prize」に疑問を持つ人もいるでしょう。
一説によると、「Nobel Prize」は「prize」のやや古臭い用法が残っている特殊な例であるとのことです。そのためやはり、「名誉ある賞」には「award」を使います。例えば、「アカデミー賞」は「Academy awards」です。
ただ、アカデミー賞は、オスカー像が贈呈される賞という意味で「Oscars」と呼ばれることも多いようです。
rewardの意味と使い方
「award」と似た言葉に「reward」があります。
このセクションでは、rewardの基本的な意味・用法と、awardとの違いについて、例文をまじえて解説します。
rewardの基本的な意味と用法
「ward」には、「観察して決定する」という意味があります。
「re」は「再び」という意味で有名ですが、もともとは「後ろを振り向く」という意味の言葉です。
そのため、「見返りを与える」という意味で、主に金銭による「報酬・褒美」を表すのが「reward」です。
彼女は行方不明の猫を見つけた人に100万円の報酬を払うと言った
彼の尽力には正当な報酬が与えられるべきだ
2番目の例文の「deserve(〜に値する)」は少し難易度が高いですが、重要な動詞なのでぜひおさえておきましょう。
また、「reward」は名詞としてだけでなく、「報いる・報酬を与える」という意味の動詞としても使われます。
社長は社員の労に報いるために旅行を計画した
awardとrewardの違い
「reward」は、「award」と同じルーツを持つ言葉です。
2つの単語に共通する「ward」は、「観察して決定する」という意味でしたよね。
そのため、「award」は「a(〜に向けて)」+「ward」で、「選考の末に授与される賞」と考えることができます。
一方で、「reward」は、「re(かえりみる)」+「ward」で、「見返りとして与える報酬」という意味になります。
「award」が「賞金を伴う賞」を表す場合もありますし、「reward」が「金銭を伴わない報酬」を表す場合もありますが、2つの単語のコアとなるイメージをおさえておけば、適切に使い分けることができるかと思います。
その他の似た表現
「賞」や「報酬」を意味する英語は、他にもさまざまなものがあります。
具体的な例文とともに見ていきましょう。
incentive
「reward」と近い意味の言葉に「incentive」があります。
「incentive」はもともと、「刺激」・「動機」を意味する名詞ですが、ビジネスシーンでは、「もっと熱心に働こうとする動機を刺激するもの」という意味で、「奨励金」・「報奨」を指して使われます。
日本語のビジネスシーンでも「インセンティブ」と、カタカナでよく使われますよね。
incentiveとrewardの違いについてですが、「incentive」は「将来支払う約束の報酬」であるのに対し、「reward」は「過去の労働や尽力に対する報酬」だということが挙げられます。
そのため、以下のように両者を使い分ける必要があります。
今後の営業成績によっては、給料のほかに追加の報酬の用意があります
給料にプラスして、去年の営業成績に応じた追加の報酬が支払われます
commendation
「commendation」は、「称賛」・「表彰」を表す言葉です。
「commend」は褒めるという意味の動詞ですが、堅いニュアンスの単語なので、単体ではあまり使いません。
しかし、「推薦する・おすすめする」ことを意味する「recommendation」とその動詞形「recommend」は非常によく使うので、「commendation」と一緒に覚えてしまいましょう。
そして「commendation」は、以下のような例文で使います。
彼はひったくりを捕まえて表彰された
まとめ
「award」と「prize」はともに「賞」を意味しますが、「award」が審査員などが熟慮した末に選ぶ名誉ある賞を指すのに対し、「prize」は競争に勝った場合に与えられる、客観的な尺度に基づく「賞」という違いがあります。
また、「award」と「reward」は同じルーツを持つ言葉ですが、「award」が「授与される賞」であるのに対し、「reward」が「見返りとして与えられる報酬」といえます。
英単語を個々に覚えるよりは、部品に分けた上で、それぞれのコアとなるイメージを覚えて使いまわすと、効率よく学べます。遠回りなようですが、おすすめの学習法です。
適切な学習法で、充分な学習量を確保してください。そうすれば、Your effort will be rewarded.(努力は報われます)。

◇経歴
東北大学大学院で「日本人の英語習得」について研究、英語で論文執筆・学会発表
◇資格
・TOEIC860点
◇海外渡航経験
ギリス・アメリカ・オーストラリアに留学、フィンランドで学会発表
◇自己紹介
はじめまして。英語学習Webライター・兼・英語学習研究者のなっつるんです。
Webライターという仕事を通して、「日本人の大人がどうやったらラクに英語を覚えられるか」を追求しています。
最近英会話のカンが鈍ってきたと感じ、オンライン英会話のレッスンを受け始めました。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.