「Listen」と「Hear」、どちらも中学校で習う英単語です。
しかし、英語学習を進めるうえで使い分けに悩んだ経験をお持ちの方も、かなり多いのではないでしょうか?
今回の記事では、それぞれの単語を復習しながら、意味の違いを確認し、使い分けの習得を目指します。いっしょに学んでいきましょう!
まずは辞書で確認
辞書を引いて、それぞれの単語の意味を調べてみましょう。
Listen(自動詞) 過去形・過去分詞:listened
①(~に)耳を傾ける、(~を)(注意して)聞く、傾聴する(to)
②(忠告などに)耳を貸す、従う(to)
③(相手の注意を喚起して)ねえ,あの(※命令形で用いる)
Hear(他動詞) 過去形・過去分詞:heard
①(音・声など)が聞こえる,耳に入る(※通例進行形では用いない)
②…を耳にする,伝え聞く;(…ということを)聞く(※通例進行形にはできない)
③(人の意見など)を(じっくり)聞く;(…かを)聞く
Hear(自動詞*) *今回は取り上げていません。
①耳が聞こえる
②(うわさなどで)耳にする,伝え聞く
よく見てみると、※印(※自体は筆者が追加)の部分が異なることに気づくと思います。
英語学習の上級者の方は、こうした※印にも目を向けるようになると、さらなる英語力UPが期待できますよ。
リスニングとヒアリング
さて、数年前にTOEICが形式を変更した際、「TOEIC Listening & Reading (L&R)」に名称が変更になりました。「リスニング」は辞書で見たとおり、まさに「耳を傾ける」こと。
「リスニング」に対して、「ヒアリング」という言葉も使いますね。ネイティブスピーカーによれば、「Listen」と「Hear」の違いで迷ったら、「Hearing test」 と「Listening test」 を思い浮かべるとよいそうです。
つまり、「Hearing test」は聴力検査、聴覚機能検査のことであり、病院で耳がきちんと聞こえているかどうかのテスト。一方の「Listening test」は、TOEICや英検の聞き取り能力のテスト。こうした違いがあるそう。
参照:https://sandwicheikaiwa.com/vs/listen-hear/
具体的に考えてみます。普段、私たちの耳には、自然に色んな音が入ってきます。
車が行き交う音、セミの鳴き声、鳥のさえずり、電車の音、救急車のサイレンなどなど。それらは勝手に耳に入っていますが、意識していません。
そうした意識をせずに耳に入ってくる音を、「Hear」で表します。
一方、意識して聞いている音もあります。先のTOEICの「リスニング」はもちろん、大好きなミュージシャンの音楽や、学校で聞く先生の話、YouTubeから流れる動画の音声などなど。これらの音に自ら耳を傾けて聴いている状態を、「Listen」で表します。
意識して聞いているのかどうか、また身体的に聞こえているのかどうか、そこに2語の違いがあります。次に詳細に見ていきながら、例文を考えてみましょう。
耳を傾けて聴く「Listen」
Listen(自動詞) 過去形・過去分詞:listened
①(~に)耳を傾ける、(~を)(注意して)聞く、傾聴する(to)
②(忠告などに)耳を貸す、従う(to)
③(相手の注意を喚起して)ねえ,あの(※命令形で用いる)
I’m listening.
聞いてるよ。
少し大まかな言い方ですが、「自動詞」は自発的で、自ら進んでいくようなイメージです。
対象を示さなくても、聞いている状態を表現できます。対象を示すときには、「Listen to」と方向を示す助詞が必要です。一方の「hear」(助動詞)は助詞を必要としません。
♪Every day, I listen to my heart. / ひとりじゃない♪
平原綾香さんが歌う『Jupiter』の出だし、「毎日、自分の心に聴く」という意味です。自分の心に熱心に耳を傾ける様子が頭に浮かびます。
Listen! What's that noise? Can you hear it?
聞いて! なんの音? 聞こえる?
この「Listen!」は、「耳を澄ませて!」とか、「ちょっと聞いて」というニュアンスです。「What's that noise?」は直訳すると、「あの騒音は何?」です。
Sorry, I wasn't really listening.
ごめん、ほんとに聞いてなかった。
他のことを考えていたり、ちょっとボンヤリしていたり、何かを聞き損ねた時に使えるフレーズです。
I listened carefully to her story.
私は彼女の話を注意深く聴いた。
「Listen carefully」で「注意して聞く」、「ちゃんと聞く」という意味になります。
He was listening intently to what she was saying.
彼は、彼女の言うことを熱心に聴いていた。
「intently」は「熱心に」という意味の副詞です。「what she was saying」で「彼女の言うこと、言った内容」を意味します。
参照:『Oxford Learner’s Dictionaries』
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/listen_1?q=listen
聞こえる「Hear」
Hear(他動詞) 過去形・過去分詞:heard
①(音・声など)が聞こえる,耳に入る(※通例進行形では用いない)
②…を耳にする,伝え聞く;(…ということを)聞く(※通例進行形にはできない)
③(人の意見など)を(じっくり)聞く;(…かを)聞く
少し動詞の分類に関する話を。動詞は、「動作動詞」と「状態動詞」の2つに大別されます。
Eat、 Run、Flyなどの動作を表すのが「動作動詞」。一方の「状態動詞」は、ある一定期間継続する状態を表す動詞のことで、Like、Know、Belong などが当てはまります。また、be動詞も代表的な「状態動詞」です。
「状態動詞」は、一般的に進行形を用いません。なぜなら、意味的に突然、変化しにくいことを表している動詞だからです。
参照:「動作動詞」と「状態動詞」
https://manabitimes.jp/english/2201
【英語】なぜ状態動詞は進行形にならないのか?
https://www.shuei-yobiko.co.jp/labo/high-english-10/
ネイティブスピーカーによっては、「I’m hearing」といった表現を使う方もいるようですが、「通例は進行形にしない」と覚えておきましょう。
また他動詞ですから、聞こえる対象を示す際に「to」などの助詞を必要としません。先に出てきた例文を振り返ると、Listen! What's that noise? Can you hear it?
「hear it」の「it」は「the noise」を表しますが、このように直接、動詞に対象物が続きます。
Can you hear me?
私の声、聞こえますか?
例えば、「ネイティブキャンプ」での英会話の最中、回線が途切れたときなど、この表現が使えます。聞こえないときは、「I can’t hear you.」、逆に聞こえたら「I can hear you.」でOKです。
He heard a noise and went to investigate.
彼は物音を聞いて調べに行った。
「investigate」は「調査する」という意味の動詞です。
I could hear the sound of traffic in the background.
後ろで車の往来する音が聞こえた。
「the sound of traffic」は「往来の音=車が行き交う音、車の走行音」のこと。 「in the background」で「背景で;目立たないで;後ろに控えて」という意味の成句です。
He could hear a dog barking.
彼は犬が吠えているのが聞こえた。
「hear somebody/something doing something」の形です。
I heard my mom playing piano.
母の弾くピアノが聞こえた。
参照:『Oxford Learner’s Dictionaries』
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/hear?q=hear
おさらい(簡単テスト)
簡単なテストで、「Listen」と「Hear」の違いをおさらいしましょう。
【問題①】 ( )内に「Listen」か「Hear」を入れてください。
A: Can you ( ) the sound of insects? *insects=虫
B: No.
A: ( ) carefully. You can ( ) them.
【問題①の訳&答え】
A: 虫の声が聞こえる? (hear)
B: 聞こえない。
A: よく聞いてごらん。聞こえてくるよ。 (Listen) (hear)
【問題②】 ( )内に「Listen」か「Hear」を入れてください。
A: ( )! Someone is coming!
B: I can’t ( ) anything. What did you ( )?
A: The car engine. It should be my grandma.
【問題②の訳&答え】
A: 聞いて! こっちに誰かが向かってる。 (Listen)
B: 聞こえないよ。なにが聞こえたの? (hear) (hear)
A: 車の音。おばあちゃんだ。
まとめ
今回は「Listen」と「Hear」の違いに焦点を当てましたが、理解できましたか?
その確認には、誰かと話してみるのが一番。『ネイティブキャンプ英会話』で積極的に使ってみましょう!

福岡県出身。現在は関東圏に在住。英語の面白さに目覚めたのは、夫の転勤に伴いアメリカに住んだ時。日本語との違いが楽しくて、渡米中の3年間でどんどんハマりました。もともと英語を「書くこと、読むこと」で勉強したので、「聞くこと、話すこと」の方が苦手。でも、オンライン英会話を活用することで、肩の力が抜けて、慣れるものだなぁと実感しました。趣味は山登り。低山から山小屋を利用した縦走まで、山とその周辺の自然に幅広く親しんでいます。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.