「Even」の意味や使い方とは……ネイティブスピーカー感覚の使い分け5選

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海外のテレビドラマや映画を見ていると、会話の中でよく登場するのが「even」。もちろんネイティブスピーカーの人たちの日常会話でも頻繁に使われます。

見た目はそんなに難しい単語ではないように感じますが、でも実際に使うとなると、いま一つ使い方がわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では「even」の基本的な意味と、さらに会話だけでなくTOEICや英検、TOEFL、IELTSなどの英語資格試験でもよく登場する「even though」、「even if」、「even better」といったフレーズ、また、その他の使い方も併せてご紹介しましょう。

これをマスターすればネイティブスピーカーとの会話に役に立つこと間違いなし!ですよ。

1:evenの意味とは

「even」にはいろいろな意味があります。

まずは特によく見かける、一語で「副詞」として使われる場合の「even」を解説しましょう。evenの使い方も例文で確認してください。

・「〜でさえ」の「even」

最も基本的な使い方として、「even」「〜でさえ」「〜でも」「〜すら」「〜だって」といった意味を表します。彼でさえ、あの人でさえというように強調をしたいときにevenを使います。

そしてちょっと難しいのが、英文内での「even」の位置。置かれる場所によって意味が異なってきますので注意しましょう。
 

Even he said so.
彼でさえそう言った。
He even said so.
彼はそういうことさえ言った。

一つ目の例文「Even he〜」のように主語の前に「even」が来ると、「(主語)でさえ」という意味になります。evenの意味から、「彼がそんなことを言うとは思っていなかったけれども、彼でさえ言った」といったニュアンスにすることができます。

一方、二つ目の例文のように、主語の後(動詞の前)に「even」が来ると、「そういうことさえ言った」という具合に、「even」が強調するものが違う部分になります。

Even the kid can read the book.
その子どもでさえ、その本を読むことができる。
I didn’t even think about it.
私はそれについて考えることさえしなかったよ。= 私は考えもしなかったよ。

ただし、「even」の位置にはいろいろと例外的なものもあります。例えば次のように、くだけた文章の場合は「even」が語尾に置かれることもあります。

Many of my friends are in their 60s, one or two in their 20s even.
私の友人の多くは60代だが、1人か2人は20代の人だっている。

また、比較的まれですが、強調しようとする語句の直後に置くこともあります。書き言葉の場合は「even」を「カンマ(,)」で挟み、話し言葉(会話)の場合だと「even」の前後に一拍置くなど発音に小休止があります。

When they divorced, her ex-husband gave their house, even, to her.
離婚した時、彼女の元夫は彼女にその家さえあげてしまった。

・「さらに」「ずっと」「いっそう」の「even」

2つ目のイーブンの意味を紹介しましょう。「even」は形容詞や副詞の比較級を強調することができます。「さらに」「ずっと」「いっそう」といった意味になります。

This Christmas tree is even taller than that.
このクリスマスツリーはあっちのよりもずいぶん背が高い。

evenを入れなくても比較の意味は伝えられますが、ここでのeven部分の訳し方でわかる通り、いっそう高いということを強調する形になっています。

つづりが長い形容詞や副詞の比較級は「-er」をつけずに「more ~」としますが(more beautifulなど)、強調の「even」をつける場合は、普通は「-er」をつける形容詞や副詞であっても「more」を使うことがあります。

I am even more happy than you are.
私はあなたよりずっと幸せだ。

「happy」は普通は比較級だと「happier」ですが、強調の「even」がついたため「more happy」となっています。

・「実際」や「むしろ」の「even」

「His piano playing was bad, even the worst.」という文は、「彼のピアノの演奏はひどかった。実際のところ最悪だった。」という意味です。

つまり、何かを話した後に、さらに言いたいことを強調したり正確に表現したりする場合などに使います。日本語では「実際のところ」や「いやむしろ」といった訳になります。

Yesterday’s dinner with my boyfriend was so good, even the best.
彼との昨日のディナーはとてもよかった。いえ、むしろ最高だったわ!

2:even though

ここでは、evenをどういうときに使うのか?ということでeven thoughというフレーズを紹介します。「even though」は「〜なのにもかかわらず」「〜であるけれども」「〜であるにしても」「たとえ〜としても」などの意味です。

2つの文と文をつなぐ「接続詞」の役割をします。同じ意味を表す単語に「although」がありますが、これを強調したのが「even though」です。現実にあること、あったこと、また事実について述べるときに使うようにしましょう。
 

Lucy went to the school even though she was sick.
ルーシーは病気だったのにも関わらず学校へ行った。
They played baseball even though it was pouring.
土砂降りだったけれども彼らは野球をした。
He's a great father, even though he's a busy man.
彼は忙しい人であるにしても、いい父親です。
I'm always on your side even though you're all grown up.
あなたたちはみなもう大人だけれども、私はいつもあなたたちの味方よ。

「even though」の後には、現実の事や既に存在する事実を示した文が来ます。「even though」と似ている、次項の「even if」とはこの点が違いますので、注意してください。

なお、繰り返しになりますが、「even though」となった場合に文と文とをつなぐ接続詞になります。「even」一語だけでは文と文をつなぐことはできませんのでご注意ください。

3:even if

「もし〜でも」「もし〜しても」「たとえもし〜であっても」といった意味を表すのが「even if」です。こちらも「even if」で文と文とをつなぐ接続詞の役割をします。

「if」(「もし」)がついていることからも想像できるように、「if」の後にはまだ実際には起きていないことやはっきりしないことを表す文が来るのが普通です。

「仮の話」または「これから起こるであろうこと」「事実に反したりして実現の可能性が低いもの」などです。この点が上で解説した「even though」と異なりますので注意しましょう。

Even if he's not rich, I want to marry him.
彼が金持ちでなくても、私は彼と結婚したい。
Even if it rains tomorrow, we'll play baseball.
たとえ明日が雨でも、私達は野球をする。

・「even if」と「if」の違い

まず下記の例文を見てください。「even if」(もし〜しても)「if」(もし〜したら)の意味の違いがよく分かる例文です。

例文1 We are going to play baseball even if it rains.
例文2 We are going to play baseball if it rains.
 
例文1は「もし雨が降っても私達は野球をする。」という意味です。これは普通に納得できる内容ですね。

ところが一方、例文2は、「もし雨が降ったら私達は野球をする。」という意味になります。つまり「晴れたら野球をしない」という意味になってしまいます。これはちょっと一般的ではない感じです。

・仮定法と共に用いられる「even if」

さて「事実に反したりして実現の可能性が低いものを表す」ということは、「even if」は仮定法と共に用いられることもあるということです。

Even if I were sick, I would go there.
たとえ病気であっても、わたしならそこに行きます。

一方、前述の「even though」の場合は「事実がベースにある話」なので、仮定法と共に使うことはできません。

4:even better

前述のように「even」は形容詞や副詞の比較級を強調することができます。

このような「even+比較級」でよく見かけるフレーズが「even better」です。イーブンベターの意味は「もっと良い」「ますます良い」「さらに良い」「一層良い」など、前よりも状態が良いことを表す時に使えます。even betterのbetterはgoodが変化したもので、その意味は「もっと良い」でしたね。

He looks even better today than yesterday.
彼は昨日よりも、今日はずいぶん調子良さそうだ。
There's even better news for employees.
社員達にとってさらに良いニュースがある。

・「even better」が文頭で用いられる場合

「even better」には特別な使い方もあります。「even better」が文頭に置かれると、文全体を修飾して「さらに良いことに」「もっと素晴らしいことに」といった意味になります。

Even better, she got promoted.
さらに良いことに、彼女は昇進した。

5:その他 evenの英語表現

他にも「even」使った役立つ表現があります。ここでは「even when」「even before」「even after」「even so」「even now」の5つを紹介しましょう。

・「〜の時でも」「〜の場合でも」の「even when」

「even when」は「〜の時でも」「〜の場合でも」という意味になります。

It's hot here even when it's winter.
ここは冬であっても暑い。
I play soccer even when it rains.
雨の場合でも私はサッカーをする。

・「〜の前でさえ」「〜の前でも」の「even before」

「even before」は、「〜の前でさえ」「〜の前でも」の意味になります。

I’m exhausted. Actually, I was tired even before I started work.
私はくたくただ。実は働き始める前でも疲れていた。

・「〜の後でさえ」「〜の後でも」の「even after」

「even before」があるなら、やはり「even after」もあります。ペアで覚えておくといいでしょう。意味は「〜の後でさえ」「〜の後でも」という意味になります。

He is like a troublemaker even after his death.
彼の死後でさえ、彼の周りはトラブルだらけだ。

・「たとえそうであっても」「だからって」「けれども」の「even so」

「even so」は「たとえそうであっても」「だからって」「けれども」といった意味です。「but」や「however」と同じ意味で、これらの代わりに使うことができます。

He is a funny guy, even so, he is an eager beaver.
彼はおもしろいヤツだ。けれどもがんばり屋でもある。
I can't believe it! I didn’t study at all, even so, l passed the exam.
信じられない! 私は、全く勉強しなかった。けれども、試験は合格した。

・「今でさえ」の「even now」

「今でさえ」「それでも」「いまだに」「今だって」という意味になるのが「even now」です。

Even now, I can’t forget his words.
今でも彼の言葉が忘れられない。

Evenの種類 使い分けまとめ

いかがでしたか?「even」にはそれだけでもいろいろな意味があり、また、他の語と組み合わせてさらにいろいろな使い方があるので、ちょっと頭が混乱してしまいますね。

こういう言葉は一足飛びにマスターするのはなかなか難しいので、一つずつ意味と例文を確認しながら習得していくようにしましょう。

そしてぜひ、英会話や英作文に使ってみてください。あなたの英語に深みが出ますよ。