知っているようで知らない ” catch up ” の使い方 句動詞を覚えよう

f:id:nativecamp_official:20201007201019j:plain

みなさんは“catch up(キャッチアップ)”という言葉をビジネスシーンで聞いたことはありますか?

よく日本語で、「業界の最新動向についてキャッチアップしていこう!」といった感じで、自主的に何か新しいことを学んでいくイメージだと思います。

筆者もそのように使っていたことがありますが、実は英語におけるそれとは、少しニュアンスが異なります。何となく分かっているようで使っているけど、イマイチ確信がない方も多いのではないでしょうか。

この記事では“catch up(キャッチアップ)”の意味と例文をいくつかご紹介していきます。

”catch up”は句動詞(phrasal verb:動詞+前置詞 or 副詞のこと)の一つで、句動詞にはさまざまな意味がある一方で、覚えてしまえば多くのシーンで使える便利なものです。

実はビジネス英語だけでなく日常会話でもよく使われるので、ぜひ覚えておきましょう。

catch up 基本の意味は「追いつく」

”catch up”にはさまざまな使い方がありますが、まずは基本的な意味を理解しましょう。

1つの英単語や句動詞には複数の意味がありますが、基本的な意味(ざっくりとしたイメージ)を知っていれば、応用して他の意味を理解することができます。これは英語学習において単語を覚えるためのコツです。日本語訳を一つ一つ受験勉強のように覚えるよりも、まずはその単語の基本的な意味を捉えるのです。

”catch up”のイメージは「(遅れた状態から)追いつく・取り戻す」という意味です。分かりやすい例として、ビジネスシーンを想像してみて下さい。夏休み明け、あなたは久しぶりに会社に出勤します。一週間分の仕事や未読メールがたくさん溜まっていることでしょう。

「1週間も夏休みを取っていたので、急いで業務にキャッチアップしていかないと!」と言いますよね。

この「キャッチアップ」は英語の意味と合致しています。1週間分の遅れを頑張って取り戻さなくてはいけないからです。このように、ざっくりとしたイメージを捉えることが大事です。

それでは、例文を交えて”catch up”の使い方を紹介していきます。

catch up to / with someone

最初に紹介するものは、基本的な意味に近い使い方です。遅れている状態から、前にいる誰かに追いついていくイメージです。

マラソンで追い上げていくような物理的な状態でも、遅れている業務が追いつくような比喩的な状態でも使うことができます。ロングマン英英辞典には次のように記載があります。

“to improve and reach the same standard as other people in your class, group etc”

(クラスのみんなの標準に追いつけるように改善して到達していくイメージ)

“to come from behind and reach someone in front of you by going faster”

(前で走っている人に早く走って追いつくイメージ)

“improve”や”reach”という単語が使われていますね。何とかして自分で手を伸ばしていくイメージです。よって、”catch up”は自然に追いつくのではなく、労力のかかる作業であることが分かると思います。

例文

・Go on ahead. I’ll catch up with you soon.

(先に行ってて、すぐに追いつくから。)

・Drive faster! The patrol car’s catching up with us.

(もっと急げ!パトカーが追いついてきた!)

・You have to catch up with us because you were absent from the last meeting.

(前回の会議に欠席したから、追いつかないといけないね。)

・” When I started working in Southeast Asia, I had to catch up with local regulations.”

(私が東南アジアで働き始めたとき、現地の規制を理解しなくてはいけなかった。)

最後の例文のように、新しい職場で働き始めたり、未経験の仕事にチャレンジするときにも使われます。周りの環境に自分を追いつかせなくてはいけないからです。何となく、イメージがつかめましたか?

catch up on something

次は少し応用させた意味を持つ使い方です。

本来やらなければいけないタスクがあって、しばらく放置されているとします。まとまった期間の間に頑張って追いつかせるイメージです。勉強や仕事を何らかの理由で出来なかった場合、一時期にまとめてやることはありますよね。そんな時に使います。

“to do what needs to be done because you have not been able to do it until now”
(今まで出来なかった必要な何かをやるイメージ)

例文

・I have to catch up on some working this weekend.

(週末に仕事を追いつかせないといけない。)

・I spent all morning catching up on my email because I'd taken a vacation for a week.

(一週間の休暇をとっていたので、午前中は溜まったメール処理をしていたよ。)

・I'm so sleepy. I need to catch up on my sleep tonight.

(とても眠い。今夜は睡眠不足を解消しないと。)

・Let's catch up on Netflix TV shows this weekend.

(見ることが出来なかったNetflixの番組を週末に見よう。)

ユニークな使い方としては、仕事や勉強だけでなく、睡眠や見ていない番組にも使えるということです。これが日常会話でも頻繁に使われる理由です。

catch up

その次はさらに応用させたネイティブスピーカーらしい表現です。

しばらく会っていなかった友達とカフェやレストランで会って、近況報告をするという意味です。「遅れている状態から追いつく」という基本的な意味を振り返ると、分かりやすいのではないででしょうか。

“to spend time finding out what has been happening while you have been away or during the time you have not seen someone”
(不在だったり、会っていなかった間、何があったのかを知るために時間をとるイメージ)

日本語で言うところの「久しぶり!最近どう?」という感じですね。

例文

・” Let's catch up soon! ”

(近々、会おうよ!)

・” Do you wanna catch up over coffee this weekend? ”

(週末お茶しない?)

・" It was great catching up with you tonight! "

(今夜、会えて良かったよ!)

今はコロナ禍なのでリアルに友達と会ってキャッチアップすることは難しいかもしれませんが、オンラインのビデオチャットで近況報告することも”catch up”と表現してもOKです。

・Catch up with you tomorrow!”(じゃ、また明日ね!)

上記のように” See you tomorrow! ”と同じように使うことが出来ますが、この場合は特に「近況報告をする」約束がある状態です。「明日、君の話を聞かせてね!」という意味が含まれています。

ここまで自然にサラリと出てきたら上級者。英語ネイティブスピーカーだなーと筆者は思ってしまいます。

be/get caught up in something

最後に紹介するのは、これまでとは違う使い方です。

何か好ましくないことに巻き込まれるという意味があります。これは”catch”の「捕らえる」から来ていると思います。

“to be or get involved in something, especially something bad”
(何か悪いことに関わること)

例文
・I was caught up in their argument.
(彼らの言い争いに巻き込まれた。)

【おまけ】keep up with

よくビジネスシーンで言われる「業界のトレンドにキャッチアップする」というのは本来の”catch up”とはズレていることが分かったと思います。

この場合は” keep up with ”を使うことが適切です。

例文
・” I attend the academic conference to keep up with updated news ”
(私は最新情報にキャッチアップするために、毎月学会に出席しています。)

” keep up with ”のイメージとしては、「遅れないように付いていく」です。” catch up ”は「遅れを取り戻す」なので、ふたつの意味が異なることが分かったと思います。


ここで少し余談!

下記に、使い方に少し困る英語表現方法をまとめた記事をピックアップしました!ぜひ参考にしてみて下さい♪♪


まとめ

いかがでしたか。いろいろな使い方がありましたね。

”catch up”の意味は大まかに以下の通りです。

・catch up to / with:追いつく(物理的に追いつく、知識や理解が追いつく)
・catch up on:今まで出来なかった事をまとめてやる(仕事、勉強、睡眠、テレビ番組)
・catch up:近況報告をし合う
・be / get caught up in:良くないことに巻き込まれる

”catch up”は句動詞のひとつですが、句動詞にはさまざまな意味があります。その特徴としては誰もが知っている簡単な単語なのに、思いもしない意味があったりします。

これは知ってるか知らないかの差です。難しい単語を覚えることも大切ですが、使用頻度の高い句動詞を学習することは効果的です。

理解すると表現の幅がグッと広がりますので、これをキッカケに句動詞に注目して学習してはいかがでしょうか。自分の状況に置き換えて英作文をし、繰り返し言葉に出して練習すると良いと思います。