韓国語の検定2種類。試験は受けた方がいいの?試験の活用方法

韓国語試験、ハングル検定の試験、TOPIK(韓国語能力試験)

韓国語を勉強されている皆さん、韓国語検定や韓国語の資格について考えることがあるのではないでしょうか?

英語にTOEIC(トーイック)や、TOEFL(トーフル)、英検(実用英語技能検定)があるように、日本で受けられる韓国語の検定試験には、主に、

「TOPIK(韓国語能力試験)」
「ハングル検定(「ハングル」能力検定試験)」
があります。

尚、KLAT(韓国語能力評価試験)という試験もありますが、試験会場もかなり限られていて、日本ではあまり一般的ではないので、この記事では割愛したいと思います。

また、この記事では、便宜的に「TOPIK(韓国語能力試験)」をTOPIKと、「ハングル検定(「ハングル」能力検定試験)」をハングル検定と呼んで、書き進めていきます。

さて、これから韓国語を勉強していくにあたって、これら2つの試験のどちらを受けた方がいいのでしょうか?

そもそも検定試験は受けた方がいいのでしょうか。

受けるとどんなメリットがあるのでしょうか…?

早速みていきましょう。

2種類の韓国語検定試験。その概要とは?

繰り返しになりますが、日本で受けられる韓国語の検定試験には、TOPIKとハングル検定があります。

まず、韓国語試験の大きな違いから説明していきましょう。

TOPIKは、韓国政府系の団体である国立国際教育院が主管機関です。

一方、ハングル検定を主催するハングル能力検定協会は、日本の団体です。

ハングル検定は、日本でのみ実施される試験ですが、TOPIKは、韓国国内や日本はもちろん、世界各国で受験することができます。

日本における韓国語の試験に関する歴史は、ハングル検定の方が古く、1993年から実施されているのに対して、TOPIKは1997年から始まりました。

今でこそ、過去問は公式ホームページから無料でダウンロードできたり、書店に行くと対策問題集や単語集が販売されたりしていますが、2000年代のはじめのころは、ハングル検定の過去問は、協会から直接買わなければならなかったという話も聞いたことがあります。

現在は、勉強するにあたって、試験を受けるにあたって、恵まれた環境になってきたのだなとしみじみ思います。

次は、試験の日程、問題の内容やレベル、難易度など、2つの試験の試験概要をみていきましょう。

ハングル検定

ハングル検定は日本でのみ開催され、6月と11月の年2回実施されます。

初級の5級から始まり、4級、3級、準2級、2級、1級の順に難易度が上がっていき、1級が最上級です。

大まかに説明すると、5級、4級は初級、3級は初中級、準2級は中級、2級から上級になり、1級ともなると合格率はとても低く、韓国語ネイティブでも難しいほどの超難関と言われています。

ちなみに、受験料もそれぞれ異なり、5級は3,200円とお手頃価格で受験できますが、級が上がるにつれて受験料も高くなり、最上級1級になると10,000円と、お値段の方でもかなりのやる気と本気度を試されるような気がしますね。

試験内容は、聞き取りと筆記のマークシート形式です。

5級~準2級は日本語ですが、上級と言われる2級以上は問題文も韓国語になります。

さらに、1級は書き取りの記述問題も出題され、2次の面接試験もあります。

試験時間

5級、4級、3級、準2級  90分(聞き取り・筆記)
2級、1級  110分(聞き取り・筆記)

合格ライン

5級、4級、3級 60点以上で合格(100点満点)
※3級からはいわゆる「足切り点」があり、筆記は24点、聞き取りは12点以上が必須

準2級 70点以上で合格(100点満点)
※筆記30点、聞き取り12点以上が必須

2級 70点以上で合格(100点満点)
※筆記30点、聞き取り16点以上が必須

1級 70点以上で合格(100点満点)
※筆記40点、聞き取り16点以上必須

このように、3級くらいから、聞き取りと筆記、どちらもほどよく習得していなければならないというバランスを求められるようですね。

そして、この辺りから南北の言葉の違いについても理解していることが求められます。

最上級の1級ともなると、頻度の高い方言の理解も求められるようになり、受かればほぼネイティブスピーカーレベル。

筆者の印象ですが、準2級くらいから対策問題集の種類が少々限られてきて、2級以上になると、そもそもあまり対策問題集や単語集は市販されていません。

1級も同様。難易度が上がるにつれて、とくに2級になると合格率もグンと低くなることが分かります。

協会が販売している単語集と過去問題集はありますが、上級レベルになるとそれらが分厚くなり、求められているレベルの高さも感じます。

ここで、大切な注意点が一つあります。2018年春季の第50回ハングル検定から、実施要項が大幅に変更されました。

ですので、それ以前に発売された対策本や過去問は形式に変更があります。

「各級レベルの目安と合格ライン」は変わっていないとのことですが、本番で慌てないように最近の過去問に目を通しておくことをおすすめします。

TOPIK

韓国語検定でハングル検定との大きな違いがあります。

ハングル検定が日本でだけ実施されているのに対して、TOPIKは世界各国で実施されています

日本での受験のチャンスは多いところで年3回です。4月、7月、10月です。7月は、受験できるところが少ない印象です。

英検などの印象で、数字が小さな級ほど上級のイメージがあるかと思いますが、TOPIKはそれらとは違い、数字が大きい級ほど上級になります。

1級から始まって、6級が最上級です。

TOPIK1とTOPIK2があり(実際は、数字はローマ数字で表記しますが)、TOPIK1が初級レベル、TOPIK2が中級~上級レベルです。

満点もTOPIK1とTOPIK2で異なります。

TOPIK1

聞き取り、読解で200点満点。
※1級は80点以上、2級が140点以上で合格
(点数によって級が決まります。)

試験時間は休憩なしで100分間です。

TOPIK2

聞き取り60分、読解70分、書き取り(作文)50分。
途中休憩もあり。
※300点満点で、3級は120点以上、4級は150点以上、5級は190点以上、6級は230点以上で合格
(点数によって級が決まります。)

国家資格に「通訳案内士」がありますが、6級を持っていれば、この資格試験の筆記試験(韓国語)が免除になります。これについてはハングル検定の1級も同様です。

受験料は、一番簡単な初級はハングル検定より高めですが、上級になるにつれて、TOPIKの受験料の方が安くなります

TOPIK1は3,500円、TOPIK2は4,000円です。

聞き取りと読解はマークシート形式で、書き取りの作文は記述式です。

特に、上級レベルになるには600字~700字の長文作文を、短い制限時間内にハングルで書き上げなければならず、受験者の悩みの種となっているようです。

実は、この書き取り試験は平均点が非常に低いのです。

中級レベルの人と上級レベルの人が同じ試験を受けているということも平均点が低い原因かもしれませんが、最上級の6級を取得している人でも作文で7割くらい獲れていればよい方と言えるかと思います。

また、聞き取り、読解が上級レベルでも、書き取りが足をひっぱって、なかなか6級まで届かないという人も目にします。

このTOPIKも2014年に大幅な内容の改訂があったので、少し注意が必要です。

さらに、最近発表されたことですが、2023年からは会話の試験も導入される模様です。

どんな試験になるのかドキドキしますね。

ハングル検定と違って、初級のTOPIK1であっても問題文はすべて韓国語です。

ただし、出題パターンは毎回同じですので、過去問を一通り解いて、問題文のパターンさえ頭に入れておけば、それほどストレスにならないでしょう。

TOPIKについては、過去問は公式ホームページに公開されていますので、試験前にぜひ目を通しておくことをおすすめします。

日本でもTOPIKの対策問題集がたくさん発売されていますし、韓国の書店にもオール韓国語ではありますが、さまざまな対策問題集が豊富にあります。

過去問を必須として、自分に合った問題集または方法で、勉強するとよいでしょう。

検定TOPIKとハングル検定、どちらを受けるべき?

これら韓国語2つの試験は、形式がかなり異なるのですが、どちらも受けておいて損はないと思います。

留学を検討している人→TOPIK
※韓国で通用するため

韓国語学習初心者→ハングル検定4級や5級

TOPIK1は、問題文のパターンは決まっているとはいえ、問題文も全部韓国語とハングルですので、その前に、ハングル検定で韓国語の試験を受けておいた方がいいと思うからです。

上級になるにつれて対策方法も違ってきて、ハングル検定の上級になると、かなり緻密な問題が出題されます。反対にTOPIKのように、長文作文を短時間でまとめなければならない能力も必要になってきます。どちらもバランスよく受けていくのが最善かもしれません。

ここまで2つの試験の相違点について述べてきました。試験概要については、変更されることがあるかもしれないので、必ず受験前に公式ホームページに目を通すのを忘れずに。次からは、韓国語の検定というよりもそもそも試験とは?というテーマでお話していこうと思います。

試験のメリットと効果的な試験の活用法

韓国語のことは一度横に寄せておいて、
「試験」「受験」と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?

・自ら積極的に受けるイメージでしょうか?
・やらなきゃいけないから受けているイメージでしょうか?

後者の人が多いのではないでしょうか…。

大人になってから韓国語をすすんで勉強している人の中には、敢えて受験しないという人も見受けられます。

強制もされていないのに高い受験料を払って受けて、何のメリットがあるのか、きちんと話せるようになればよいではないか、そもそも最上級を持っていてもそれを使ってコミュニケーションをできなければ何の意味もないという意見もチラホラ(苦笑)。

それぞれのスタンスがあるので、全否定はしません。ですが筆者は、そのスタンスこそ大事にしてほしいと思います。受けなければ受けないで全くいいと思います。ただ、試験を受けることにメリットを感じる人もいるのも事実。

筆者自身、初級から試験を受けながら韓国語を上級レベルまで勉強してきて思ったのは、 「私は、試験がなかったら途中で勉強をやめていたかもしれない」 ということです。

私は中級までは独学で勉強してきましたので、自分がどのレベルにいるのかを客観的にチェックするためにも、試験は必要でした。独学だったので、先生から褒められることもなければ、大人ですから勉強せずに怒られることも、もちろんありません。

そんな時に試験があったからこそ、受験後のやりきった後の達成感がありました。
また、目標級に届かなかった時の悔しさも忘れられません。落ちた時は悔しくて、もっと勉強をがんばるぞ!と、奮起する起爆剤になったことも大きな収穫です。

そんなふうに、年数回しかない試験をうまく活用することで、単調でつらくなる勉強にほどよく刺激を与えながら続けて来ることができました。

また、韓国語でも英語でも語学をツールとして持っている人は、就職をする際にツールを持っていない人よりも有利になることは現実でしょう。

敢えて試験のデメリットを挙げるとすれば、あまりにも試験の結果にこだわりすぎて、やる気がなくなってしまうことです。特に、趣味で韓国語学習を始めた人が、試験に落ちるのが嫌だといって、やる気がなくなるのは本末転倒。

無理して受ける必要は全くないので、自分の心の状態をよく観察して、どんな時に受けたらいいのか自分の心の中を観察しましょう。

「今受けたら余計にやる気がなくなる」
「ちょっと疲れたな」
という時は、遠慮なく試験から離れるのも一つの方法です。

反対に、「最近だらけてきているので、ちょっと試験でも…」という意図で受けてみるのもありですよ。

おわりに

ここまで、韓国語試験の概要と、試験を受ける意義についてみてきました。

いかがでしたでしょうか。

必ず受けなければならないものではないからこそ、自分の学習状況に合わせて上手に活用していければいいですね。何よりもまず、自分のペースで楽しく勉強していきましょう。