韓国語学習者がつまずきやすい「音変化」を独学でマスターしよう!

メガネとペン、韓国語の文字

韓国語の文字であるハングルは、仕組みがとても明快で、覚えやすいと言われています。

そのため、学習し始めた頃は、自分の名前をハングルで書けた時、「とても嬉しい!」と感じた方も多いでしょう。また、これから学ぶ方も、きっとそのような気持ちになると思います。

しかし、残念ながら、他の言語学習と同じく「あれ?最近、勉強が楽しくないかも…」と思う時期は誰にでもやって来ます。いわゆる学習スランプというものです。

学習スランプというのは、どの言語を学んでいてもあるものですが、韓国語においては、特につまずきやすい項目が存在します。

でも大丈夫です!今回は、独学してきた筆者自身の経験をふまえながら、つまずきやすい項目や理由、克服方法について紹介していきます。

入門学習者はもちろん、
「初心者の頃は楽しくて仕方がなかったのに、どうして…?」
「ハングルがイヤになりそう!」

と思った初級や中級の方にも、この記事を読んでいただければ幸いです。

文字はシンプルだが、音変化(おんへんか)のある韓国語

多くの韓国語学習者が、悩み、つまずきやすいのが、ハングルの音変化(おんへんか)ではないでしょうか。

なぜ、音変化でつまずくのでしょう?

それは、ハングルという文字は、仕組みが明快で簡単なのは確かなのですが、文字通りに発音しないことが多々あるからです。

音変化は、市販の参考書やラジオのハングル講座(NHKの「まいにちハングル講座」など)などでは、学び始めの冒頭で、必ず触れられる項目です。テキストをお持ちの方は、どこかで絶対に見たことがあるはずです。

ところで音変化って何?

韓国語の音変化には、
「連音化」
「激音化」
「濃音化」
「流音化」
「ㄴ挿入(ニウンそうにゅう)」

など、他にもいろいろあります。

音変化についてすべて網羅することは難しいので、詳しい説明は他に譲ることにして、ここでは、なぜ多くの人がつまずいてしまうのかについて、少しだけ紹介していきますね。

早速、見ていきましょう。

まず、音変化しない簡単な単語を一つ紹介します。

기온

「キオン(kion)」と発音します。日本語の「気温」にあたる単語です。「そのまんま!」と思いますよね。そうなんです。漢字語に由来する言葉が多いため、このように発音が似ているケースも多いのです。

次に、日本語に似ているけれど、音変化しているせいで少し分かりにくくなっている単語を紹介します。

박물관

日本語の「博物館」にあたる単語です。ハングルをかじったことはあるけれど音変化を習っていない方は「パクムルグァン」のように読めそうだなあ…と思うことでしょう。ここが落とし穴なのです。

この単語は、「鼻音化」と呼ばれる現象が起きるため、1文字目の発音が変化します。発音通りのハングルで書き直すと、「방물관」となります。カタカナで無理やり表すとすれば、「パンムルグァン」のような発音になります。

ここまではついて来られる範囲かもしれません。しかし、次のような単語になってくるとどうでしょうか。

독립

日本語の「独立」にあたる単語です。これは、「トクリプ」と読みそうな気がしないでもないですが、実際は「トクリプ」とはかなりかけ離れた発音になります。

この単語では、「鼻音化」と「ㄹ(リウル)のㄴ(ニウン)化」という現象が起きます。何が何やら…と思われるかもしれませんが、大丈夫。ここでは、いろんな発音変化が起きるということだけを頭に入れて下されば結構です。

発音通りのハングルで書き直すと、「동닙」となります。カタカナで無理やり表すとすれば、「トンニプ」のような発音になります。ちなみに、最後のプは「p」の一音節です。

さらに、文章の中で「独立しました」という韓国語になると、「독립했습니다」となり、これは、「トンニッペッスムニダ」のような発音になります。実際は、カタカナでは表記しきれないので、あくまでも、こんな感じに変化してしまうということを知って頂ければと思います。

随分と変わってしまうことに驚きませんか?

ところが、このような現象がしょっちゅう起きるのが韓国語の発音です。ですから、つまずいてしまう学習者がたくさんいるのです。

日本語と単語が似ているから余裕~などと思っていると、挫折の原因になってしまいます(笑)。

音変化を理解することの大切さ

とはいっても、すべてきっちり身に付けてから先へ進もうとすると、入門・初級の学習者は、あまりの音変化のルールの多さに混乱することでしょう。特に、一人で孤独に勉強を続ける独学者には、最初の関門と言えます。

この音変化をあやふやにして、先へ先へと勉強を続けてくこともできないわけではありません。独学の場合、発音を指摘してくれる先生がいないので、そういうケースも珍しくありません。

厄介なことに、音変化を疎かにしていると、中級レベルの文章を理解できたとしても、いずれリスニングで壁にぶちあたります。もちろん会話も通じません。

検定試験でも、音変化を問う問題が出題されます。特に、「ハングル」能力検定試験(略して「ハングル検定」)では必ず出題される項目です。ここで、きっちり点数を獲れると得点源になりますが、あやふやなままにしておくと失点につながります。

せっかく勉強している言語を、読めて意味も分かるのに、聞き取れないのは残念ですよね。それに、モチベーションが下がる原因にもなります。

ですから、音変化を理解することは、韓国語学習の最も大切な基礎を固めるといっても過言ではないのです。

どうすれば克服できるの?

ずばり、音変化の法則を身に付けることです。一気に身に付けるのが無理だったら、少しずつでもかまいません。ただし、入門・初級のテキストに出てくる音変化の法則だけは、最低限、理解して頭に入れてくださいね。

ポイントは、文章やフレーズごとに、何度も声に出して読んで繰り返すこと。心の中で何となく読むのではなく、声に出すことが大切です。

4~5回では足りません。10回でも足りません。30回くらい読んでください。ちなみに、筆者は、50回くらいは声に出して読みました。

模範音声がある場合は、その後について読みます。シャドーイングという学習法です。慣れてきたら、自分一人で何度も読みます。こうして、体に染み込ませるように覚えてしまうと、なかなか忘れないものです。

最初は、
「文字の通りに読まないなんて、変なの。」
「複雑だし、面倒くさい」

と思うかもしれません。

しかし、聞き取れなかった場合は、聞き取れなかった原因は何だったかを分析して、地道につぶしていくしかありません。

そのうち、「耳で聞いた音から文字が浮かび上がってくる…」という現象を体験することでしょう。それは至福の瞬間です。

「今、音変化している文章を聞きとれた!」と思い始めるようになったら、しめたものですよ。

音変化を身に付けるのに最適な教材は?

幸運なことに、独学で先生から習えない学習者におすすめの、音変化を強化するテキストがあります。

韓国語の発音変化完全マスター【CD付き】

韓国語の発音変化完全マスター【CD付き】

韓国語の発音変化完全マスター【CD付き】

著者は、前田真彦先生。著者自身、中級を10年間さまよった経験がおありだそうで、学習者の視点に立って書かれたテキストになっています。

口の形のイラスト(正確には「口腔図」と言います)で丁寧に解説してくれています。音声CDもついていますので、独学者は図を見ながら音声を真似しているうちに自然に綺麗な発音が身につくはずです。

実際の発音もよくなり、規則も覚えることができる、まさに一石二鳥の一冊です。さらに、巻末には練習問題も豊富に掲載されています。

また、随所に著者のコラムが挿入されていたり、最終ページに「あとがき」が掲載されていたりなど、独学者を応援し、語りかけるような構成になっているので、孤独を感じずに勉強できるという点でもおすすめです。

テキスト名どおり、音変化を「マスター」するにはもってこいです。これほど音変化に特化したテキストは他にないかもしれません。すでに中級にさしかかっている学習者であっても、自信がない場合は、その都度読み返すために持っていて損のない1冊です。

理解したら誰かに説明してみよう!

今回説明している音変化に限らず、文法なども同様なのですが、弱点を克服するには、誰かに説明できるくらい自分の理解が深まっているかどうか一度振り返ってみてください。

「自分では理解できているけど、他人に教えるのはちょっと…。」という人は、意外に多いものです。

独学の場合は、「誰か」が実際にそこにいなくても構いませんので、つまずいた音変化について、なぜその発音になるのかを説明してみるんです。ブツブツ言っていると、ちょっと変な人かと思われる危険性はありますが(笑)、これが意外に効果的勉強法なのです。

他人に教えるには、自分がしっかりと理解していなければならないのですから。そして、それができるということは、実際に「使える韓国語」になっている証でもあります。

普段は独学でも、もし、韓国語を勉強する友達や仲間がいるならば、是非、その友達に説明をしてみてくださいね。友達も勉強になるはずです。そして、「なぜ?」と突っ込まれた時に自分がうまく説明できないとしたら、理解不足な点が明らかになるかもしれませんよ。

おわりに

少し難しい部分もあったかもしれませんが、いかがでしたか?

韓国語の音変化をマスターすることで、韓国語学習者が挫折しやすい項目をひとつ克服できるということが伝わったでしょうか。

語学には終わりがありません。ですから、スランプは何度も訪れますし、途中で休んでしまうこともあるかもしれません。それでも、やめないこと、そして地道に続けることが重要になってきます。

どのような理由で韓国語を勉強し始めるか、あるいは、勉強し始めたかは人それぞれでしょう。

もし皆さんに、
「独学で勉強していつか留学したい」
「韓国ドラマを字幕なしで見てみたい」
「俳優さんのファンミで応援のファンレターを渡したい」
「旅行先で、韓国語で話したい」
などという夢があるのだとしたら、挫折を経験し、克服することで、確実に一歩、夢に近付けますよ。

最初に抱いた目標を忘れずに、楽しみながら学習を進めていきましょう。