逐次通訳を検証!英語レベルは?どんな人向き?

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英語力と専門性を持って通訳をしている人って憧れますよね!

英語を学んでいる読者の皆さんの中にはもしかしたら将来、通訳者になろうと考えている人がいるかもしれません。

すると、こんな疑問が浮かんでくることもあるでしょう。

「どれくらいの英語力が必要?」
「通訳学校は行くべき?」

ところで、通訳と言っても3種類あることをご存知ですか?

その3種類とは、同時通訳・ウィスパリング通訳そしてこの記事のタイトルにもある「逐次通訳」(ちくじつうやく)です。

通訳に興味があっても、「逐次通訳」という言葉を初めて聞いた人もいるのではないでしょうか?

そこで、この記事では通訳業そして逐次通訳について詳しく検証してまいります。

英語を使う仕事につく将来の夢のため、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです!

通訳の定義とは?

通訳の定義とは、2つの異なる言語を使える人によってある言語を異なる言語へ変換するということであり、その作業をする人のことを通訳者と呼びます。

通訳者と対し翻訳者がいますが、通訳があくまでも音声で行われるのに対し、翻訳は書記言語をもって行われます。

通訳には正確な内容を伝える高い語学力はもちろん、話し手の言葉に含まれるニュアンスを汲み取る力そしてコミュニケーション能力も必要とされます。

まずは、通訳に関連するそれぞれの用語を英語でどう表現するかみていきましょう。

通訳 interpretation
通訳者 interpreter
翻訳 translation
翻訳者 translater
会議 conference
国際会議 international conference
講演者 lecturer
講演会 lecture presentation/meeting
聞き手 listener/audience
学会 academic conference/institute
インタビュー interview
イベント event

様々なシーンで使われる通訳ですが、その需要は年々高くなっています。

高い通訳者の需要

通訳者になりたい人にとって、その市場が気になりますね。

日本も近年のグローバル化に伴って、通訳そして翻訳の需要は高まるばかりです。

もし高い専門性を持つ通訳者になることができれば、その業界でキャリアを積んでいくことが可能です。

通訳として考えられるものには、 会議通訳者
商談通訳者
放送通訳者
エスコート通訳者
コミュニティ通訳者
通訳案内業
などが挙げられます。

高度な学術的内容や政治を扱う内容のイベントなどでの通訳をする高技術通訳者から、有名フットボールクラブやメジャーリーグで活躍する日本人アスリートの通訳をするスポーツ通訳士まで様々な分野があります。

得意な分野や好きな分野で活躍する通訳者、そして日本に住む外国人を支える通訳者までその需要はこれからもとどまることがないでしょう。

それでは、前述した3つの通訳について説明していきましょう。

通訳3つの種類とは?

通訳には3つの種類があります。
それぞれの違いを通訳が使われるシーンとともに把握するところから始めましょう。

①同時通訳

同時というその言葉通り、話し手の言葉をほぼ同時に通訳していきます。

話し手が通常のスピードで話し続ける言葉を数秒遅れで訳しますが、話し手が通訳を待つことなく話すため一番難易度が高い通訳となります。

大きな会場を使用するときは、ヘッドホンや専用の機材を使用する場合もあります。

かなりの集中力を要し、長時間に渡る会議などでは数名の通訳者が15分ごとに交代して通訳を行います。

同時通訳が使われるシーン:
スピーチ・学会・国際会議・講演会など

②ウィスパリング通訳

通訳者が聞き手の後方にいて小さな声で通訳しているシーンを見たことがありませんか?

それこそ、ウィスパリング通訳です。ウィスパリングは”ささやき”を意味しますのでイメージしやすいですね。

同時通訳と同様、話し手の言葉をほぼ同時に聞き手に通訳します。

ウィスパリング通訳は参加人数が2人~3人といった人数のシーンで使われます。

同時通訳と同様に集中力が必要なため、1人が正確な通訳をできるのは約20分程度と言われています。

ウィスパリング通訳が使われるシーン:
少人数の商談・会議や学会で違う言葉を話す人が数人いるようなシーンなど

③逐次通訳

さて、逐次通訳です。

“順序を追って次々に・順次”という逐次の意味からも分かる通り、話し手と通訳者が順番に発言する形の通訳です。

同時通訳との一番の違いは、話し手は通訳者が訳し終えるのを待ってから次の発言をするポイントです。

話し手は一文またはある程度の長さで発言を区切りますので、それを通訳者が訳す、これを繰り返します。

従って、通訳者は話し手の発言を聞くことに集中し、訳すときは話すことに集中できます。

話し手の発言から情報をメモに取りながら聞く通訳者もいます。

こういったやり方の逐次通訳ですので、時間が倍かかるというのも同時通訳との違いと言えます。

逐次通訳が使われるシーン:
会談・インタビュー・VIPアテンドなど

同時通訳やウィスパリング通訳と逐次通訳の違いは、「通訳するそのタイミング」ということが分かりました。

それでは、逐次通訳に限定して話を進めてまいりましょう!

逐次通訳ができるようになりたい

逐次通訳とは、話し手と通訳者が順番に発言する形の通訳ですね。

同時通訳のほうが難しいと思われますが、これが一概には言えません。

逐次通訳と同時通訳に求められるものが違うからです。

同時通訳は瞬間瞬間で話し手の言っていることを通訳するため完璧な訳にすることが難しく、情報の80%を訳することが基準です。

これに対し逐次通訳には100%の情報を完璧に訳す正確性が求められます。

このように国際舞台や仕事のシーンなど幅広い場で活躍する通訳者。

しかし、実は通訳者として必要な国家資格というものは無いのです。

通訳志望者は、まず“逐次通訳のトレーニング”から始めるのが一般的です。

そして、逐次通訳のトレーニングには、サイマル・アカデミーやISSインスティテュートなどといった通訳学校へ通うという方法が一般的です。

通訳学校では一般的に、以下のようなトレーニングを受けます。

・リテンション&リプロダクション
聞いた文章をリテンション(短期記憶で保存)し、そのまま言ってみるトレーニング。

・リテンション&言い換え
聞いた文章をリテンション、同じ意味の別の表現に変えるトレーニング。

・シャドーイング
英語のリスニングとスピーキングでも効果のあるシャドーイング。
聞いた文章をシャドー(影)のように追いかけるトレーニングは通訳そのものですね。

・サイトトランスレーション
サイトトランスレーションとは、原稿を見ながら同時通訳することを指します。原稿にスラッシュを入れたり難しい部分には部分訳を書き入れていきます。

・実技
音声の会話やスピーチを使用して実際に通訳をするトレーニング。
メモの取り方がよいか、内容がきちんと理解できているか、TPOに合っている訳かなどの観点で確認されます。

通訳学校へ通う以外に可能性のある方法としては、 ・通訳エージェントに登録する
・勤務する企業で通訳を担当する

これらは、通訳学校を卒業した後に通訳者として働くためにするべきものでもあります。

通訳学校で受けるトレーニングですが、これらのスキル向上は英語力があっての上です。

通訳学校は入学した時点で求められる英語力がとても高いのが現実なのです。

通訳のトレーニングを受けるためですから、英語ができて当然という世界であり、語学学校とは全く違うということを認識する必要があります。

ということで、必要な英語のレベルについて知りたくなりましたね。

逐次通訳に必要な英語のレベル

通訳学校で通訳コース準備科を始める時点で必要とされる英語力をTOEICスコアで言うなら900点以上です。

学校には、英検1級やTOEIC満点の人がたくさんいます。

通訳になるために通訳学校へ通うにはTOEICで言えば900点程度、そして英検で言えば1級といった高い英語力が目安になります。

しかし、もちろん英語力だけでなく実績が求められる通訳。

実績を積むにはどのようなことができるのでしょう?

通訳として実績を積む方法

通訳は様々なシーンで大変重要な役割を担うため、求人を見てもほとんどが経験者の募集です。

しかし、通訳志望者で未経験者はどうしたら良いのでしょう。

まずは、ボランティアで通訳をして場数を踏んでいくことをお勧めします。

例えば、各都道府県や市区町村・大学・国連・NPO・などJICAのウェブサイトをチェックしてみましょう。

東京都では、「外国人おもてなし語学ボランディアweb」というシステムがあります。

誰でも気軽にできるボランティア講座を無料で実施していたり、通訳の活動をする機会があります。

その他の方法としては、派遣社員や契約社員として企業内で通訳者として働くケースがあります。

実績を積み認められれば、正社員への途用も可能性があります。

また、エージェンシーに登録しながら、通訳を必要とするであろう外資系企業やグローバル化の進む国内企業のウェブサイトで採用情報を常にチェックするのも手です。

実績を積んだ後は、フリーランスや正社員として通訳業を極めていきます。

日本の現状では、地方では企業での通訳の機会が少ないのが現実のようです。

では、最後にどんな人が逐次通訳をできるのか説明していきましょう。

逐次通訳者に向いている人とは?

学校を優秀な成績で修了した場合、学校が仕事の紹介をするケースもありますが、通訳学校を無事卒業したとしても通訳者になるという事ではありません。

コース修了後、ここからが実は肝心なのです。

チャンスを待っていてはダメ、自ら積極的に動き機会を求めていかなければなりません。

そして、チャンスがきたら誰もが持つだろう不安な気持ちをコントロールし、ベストを尽くすという意思が大切です。

ここで、逐次通訳者に向いている人、通訳者に必要なことをみていきます。

①通訳者でやっていくという強い意志

どんなにスマートに通訳をこなす通訳者でも恥ずかしい経験をたくさんしてきています。

クライアントから厳しい評価を受けることもあります。

そこで終わってしまうか失敗から学んでいくかは、強い意志があるかないかで違ってきます。

また、仕事が入りだしてもその業界について学んだり、専門性を高めていくなどハングリー精神が必要とされます。

事前の準備にも相当な時間をかける意識が必要です。

②集中力

逐次通訳であれば、2時間ほどを自分1人で通訳担当します。

話し手の言うことを集中して聞き理解し、速攻で通訳するためその集中力は相当なものです。

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③瞬発力

集中力と同時に、瞬発力も必要です。翻訳は納期さえ守れば自分のペースでやっていけますが、通訳はそうはいきません。

逐次通訳も話し手が話しを区切った瞬間に通訳を始められる瞬発力はトレーニングそして実践で極めていきます。

④分析力とコミュニケーション力

通訳者は話し手と聞き手の橋渡しをする大変重要な役目です。

ある言語を異なる言語に変換するというだけのものではありません。

話し手が言おうとしていることを汲み取る分析力、そして聞き手が最大限理解できるような通訳はコミュニケーション無しではあり得ません。

⑤ITスキル

通訳は現場にでかけていき仕事をします。

企業内は別として、常に異なる環境での仕事となりますので、自分の端末をWiFiに繋げたり、オンラインストレージの利用など最低限のITスキルは必要とされます。

逐次通訳を検証!まとめ

今年のイースターは、運営する剣道道場からの数名と一緒にジャパンツアーを企画・実行しました。

剣道のお稽古だけでなく日本文化をたくさん体験できるツアーにしたくて、ある日鎌倉で茶道体験を申し込みました。

そこで、お茶の先生のお話しをイギリス人メンバーへ通訳することになりました。

全くの想定外、茶道体験2時間の予定が4時間、集中し私なりのベストを尽くしましたがヘトヘト。

今思うと、まさに逐次通訳でした。

先生の説明や気持ちがメンバーに伝わったかなぁと思いつつ、大変貴重で楽しい時間でした。

逐次通訳でも同時通訳でも、憧れの通訳は甘いものではありませんでした。

しかし、その夢に向かう中での自分の成長、そしてやりがいを考えればとても素敵な職業ですね!