【仮定法表現】But forの意味とは?Withoutと置き換えられるのはなぜ?

f:id:nativecamp_official:20190530233252p:plain

みなさん、仮定法は得意ですか?

多くの学習者が苦手意識を抱えがちな仮定法は、その用法が多岐に渡るために、特に難易度の高い文法項目となっています。

そんな仮定法を学んでいる時、“but for”という表現パターンを目にすることもありませんか?

「"if〜"構文だけでも複雑なのに、これ以上のバリエーションは勘弁して...!」 と思ってしまうかもしれませんね。

特に学校英語などでは、この“but for”というのをよく見かけるでしょう。

そして、“but for”は“without”と同じ意味だと習ったことがある人もいるのではないでしょうか。

しかし学校英語で 「“but for”は前置詞“without”と同じ意味」 だと習ったことがある人もいるのではないでしょうか。

確かにコアイメージは同じなのですが、学校英語で「意味は一緒だ」と習う表現は、実際は似た意味であってもどこか違いがあることが多いですよね。

そこで今回は特にわかりづらい“but for”に焦点を当てながら、“but for”の意味、そして“without”との違いについて実際の英語フレーズを交えながら解説していきます。

まずはこちらの記事を参照して、仮定法について理解を深めると、“but for”がイメージしやすくなるでしょう。

nativecamp.net

But forの基本的な意味と仮定法での使い方例

ではまず“but for”の意味や使い方をみていきましょう。

“but for”を英和辞典で引いてみると、 「…がなかったら」
「…がなければ」
「…を別にすれば」
と出てきます。

しかし“but for”は仮定法というものでよく使われる表現ですから、この言葉だけの日本語訳を見てもなんだかピンとこないでしょう。

ですからなるべく簡単な英単語を使った例文とその翻訳を見ながら、“but for”の意味とその用法を感じとってみましょう。

(1) But for your help, I could have been killed by now.
君の助けがなかったら、今頃私は殺されていたかもしれない。

(2) I wouldn’t have passed the exam but for my great teacher.
私の素晴らしい先生がいなかったら、その試験には合格できなかっただろう。

(3) But for you, my life would have been miserable.
あなたがいなかったら、私の人生は悲惨なものだったでしょう。

(4) But for food, we couldn’t live.
食べ物がなければ、私たちは生きられない。

例文からもわかる通り、仮定法としての“but for”は文頭につけても文中につけても同じ意味となります。

しかし文頭につけている文章の方がよく見かけます。

これは文中につける“but for”には、仮定法以外での用法があるからでしょう。

文中につける"but for ~"には「~を除いて/~を別とすれば」という意味があります。

仮定法ではなく、単純な直説法の表現ですね。

ちなみにこちらの用法だと、前置詞の except と置き換えが可能です。

Everyone helped me but for you.
あなた以外は私を助けてくれた。

but単体でも「〜を除いて」という意味で使うことができるので、あえて"but for〜"を使うケースは少ないですが、参考までに頭に入れておきましょう!

さて、先程挙げた(1)〜(4)の例文は、"but for”に慣れていないとなんだかピンとこないかもしれませんが、“but for”を使う文章は、 「〇〇がなかったら、××だっただろう。」 という現実には起こっていないことを、仮定し、その仮定した状態では、現実とは異なることが起こっただろうということを言う文章です。

英語力が中級以上の人なら、下記の文章なら理解することができるでしょうか。

If you hadn’t helped me, I could have been killed by now.
もし君が助けてくれなかったら、今頃私は殺されていたかもしれない。

これは、仮定法過去完了(3rd conditional)の文章ですが、(1)の例文はこれとほぼ同じことを言っているわけです。

「英語の仮定法はConditionalsで制す!複雑な仮定法もシンプルに理解できる方法。」では、仮定法の基本形しかご紹介していませんが、仮定法にはまだまだ種類があり、“but for”を使う文章も、仮定法の1つなのです。

ただし“but for”を使う場合、3rd conditional(仮定法過去完了)もしくは2nd conditional(仮定法過去)でしか使えません。

“but for”を使う表現は、実際には起こらないこと・起こっていないことについて妄想する文章だからです。

(4)の例文は、2nd conditionalですね。通常の2nd conditionalの言い方をすれば、次のような文章になります。

If there weren’t food, we couldn’t live.
もし食べ物がなかったなら、私たちは生きられない。

なんとなく、“but for”をどう使えば良いのか見えてきたでしょうか。

日本語で言う「仮定法」、英語で言う“Conditionals”がわかっていないと、ちょっと難しいかもしれないので、よくわからないという人はまず仮定法(Conditionals)の基礎からマスターしましょう。

Withoutの基本的な意味と使い方例

さて、では“without”にはどんな意味があるのでしょうか。

こちらの単語は日常英会話で非常によく使う基本前置詞ですので、すでに意味がわかっている人も多いでしょう。

英和辞典で引くと 「…がなく」
「…なしに」
「…がなければ」
という日本語が出てきます。

ちょっと“but for”とは違いますよね。

“without”が日常会話でよく出てくるのは“but for”よりも使い方が単純で、「…なしに」という文章なら、どんな文章でも使えるからです。

例えばこんな感じですね。

- I can’t live without you.
君なしでは生きられない。

- She came here without an invitation.
彼女は招待なしにここに来た。

- He passed the exam without studying.
彼は勉強せずに試験に合格した。

なぜ“but for”は“without”で置き換えられると言われるのでしょうか。

But forはWithoutで置き換えられる?

“but for”が“without”で置き換えられると言われるのは、“without”は使える幅が非常に広く、仮定法にもできるからです。

では実際に“but for”で使った例文を“without”に置き換えてみましょう。

(1’) Without your help, I could have been killed by now.
君の助けがなかったら、今頃私は殺されていたかもしれない。

(2) I wouldn’t have passed the exam without my great teacher.
私の素晴らしい先生がいなかったら、その試験には合格できなかっただろう。

(3) Without you, my life would have been miserable.
あなたがいなかったら、私の人生は悲惨なものだったでしょう。

(4) Without food, we couldn’t live.
食べ物がなければ、私たちは生きられない。

すべて“without”に置き換えてみましたが、この全てが仮定法として成立し、“but for”を使った場合と同じ意味になります。

つまり仮定法で使う“but for”は、“without”に全面的に置き換えられるのです。

逆ももちろん置き換え可能ですが、“without”は前述の通り、使える幅が広いため“without”全てを“but for”には置き換えられません。

この2つの表現の関係をしっかり分かっておく必要があります。

それでは、一体どんな場合において置き換えができないのでしょうか?

例えば、 “She came her without an invitation.” を
”She came here but for an invitation.” にはできないということです。

これは、元々の英文の内容が仮定の話ではないからですね。

このwithoutは、あくまでも「〜なしで」という条件を付すために使われて使われています。

仮定法の文と条件の文は見た目がよく似ているので注意が必要です。

まとめ

今回は“but for”“without”についてご説明しましたが、なんとなく意味はつかめたでしょうか。

仮定法は英文法の中でも非常に混乱しやすいものですが、これを押さえることによって少しずつ英語表現の幅を広げていけるといいですね。

日本語の日常会話も、意識して聞いてみるとたくさんの仮定法が使われていますから、やはり言いたいことを的確に表現するのに仮定法は不可欠、と言うことなのだと思います。

ちなみに“but for”は英語圏でもそれほど日常英会話で出てくる表現ではありませんから、相手の発言に出てきたときに意味さえわかれば、使いこなせなくても問題はありません。

文中でもご紹介したとおり、基本の仮定法表現で言い換えることができるからです。

できるだけ早く効率的に英会話を習得するために、 「本当に必要な表現だけを確実に覚える」 というのもおすすめの英語勉強法です。

ですから自分には“but for”は難易度が高いと感じる人は、意味を理解するだけにとどめておいて、基本の仮定法表現をまずはマスターしましょう。

オンライン英会話「ネイティブキャンプ」でも、文法レッスンで仮定法について学ぶことが出来ます。

仮定法だけでも細分化された複数のレッスンが用意されていますので、ぜひトライしてみてくださいね!