フィリピンの台風シーズンを知る:安全な旅と生活のために

「フィリピンの台風シーズンに観光に行こうと思うけど大丈夫?」「留学中に台風がきたらどうする?」と不安を抱えていませんか?

せっかくの楽しい旅行や留学が、台風のせいで台無しになるのではないかと心配ですよね。そこで今回の記事では、実際にフィリピン渡航歴のある筆者が以下の点を解説します。

・台風シーズン中の生活と旅行の注意点
・台風シーズン中の健康管理
・台風シーズン中の留学・滞在のポイント

フィリピンの天気と台風シーズン

フィリピンの季節は雨季と乾季に分けられます。6〜12月が雨季、1〜5月が乾季です。その中でも、台風シーズンは6月から11月までの期間に集中しています。

この期間は、太平洋の熱帯低気圧や台風が頻繁に発生しやすく、7月から10月にかけて最も活動が活発です。特に8月と9月は、年間を通じて最も多くの台風が発生する時期とされています。

この期間中は、豪雨や強風による洪水や土砂崩れ、浸水被害などのリスクが高まるため、十分な備えと注意が必要です。

北太平洋や東方沖で発生した台風は風に乗って日本へ向かうことが多く、10月以降は西へ進むためフィリピンを直撃しやすくなります。

2013年の巨大台風30号(ヨランダ)はセブを直撃し、多くの犠牲者を出しました。フィリピンでは貧困層の住む簡素な家屋や防災知識の不足により、被害が大きくなる傾向があります。

セブへの台風上陸は約3年に一度ですが、通過時には風雨が強まることもあります。

観光や留学で訪れる方は、雨季と乾季の気候変化を把握し、折りたたみ傘を持参することをおすすめします。雨季には雨傘、乾季には日傘として役立ちます。

日々、フィリピン気象庁(PAGASA)などの天気予報を定期的に確認し、最新の台風情報や注意報に注意を払うようにしましょう。

地域別の台風影響度

ルソン島の台風の影響度は、比較的頻繁に台風の直撃や接近を受けます。特徴としては、都市部や農村部ともに洪水や強風、土砂災害のリスクがあります。

特にマニラや周辺地域は交通の混乱や停電も起こりやすいです。セブ島の影響度は、台風の通過ルートによっては影響を受けやすい地域です。

特徴としては観光地としても人気のエリアですが、台風による洪水や高潮、土砂崩れのリスクがあります。

特に海沿いの地域は高潮に注意が必要です。ダバオやコタバトなどのミンダナオ島の台風の影響度は、比較的台風の影響を受けにくいとされることもありますが、時には強風や豪雨に見舞われることもあります。

特徴は、他の地域よりも台風の通過頻度は少ないものの、影響を受けた場合は洪水や土砂災害に注意が必要です。

パラワン島の影響度は台風の通過ルートによって大きく異なります。特徴は自然豊かで観光地としても有名ですが、台風の影響を受けると洪水や高潮のリスクがあります。

全体として、フィリピンのどの地域も台風の影響を受ける可能性があるため、常に最新の気象情報を確認し、適切な避難計画を立てることが重要です。

台風シーズン中の生活と旅行の注意点

ここからは台風シーズン中のフィリピンでの生活と旅行の注意点を5つ挙げました。

もしもの時に備えて、事前に避難経路や災害グッズを準備しておくことは非常に大切です。

露出を避けた服装をする

雨が降る前はジメジメした気温のせいで、蚊が増える傾向があります。フィリピンではデング熱やチクングニア熱、マラリアなどの感染症が多く、建物の中や高層ビル内でも蚊に刺されることがあります。

日本の蚊よりも大きく、刺されると非常に痒くなるのも特徴です。感染症防止のために、手や足を露出しないような服装が望ましいでしょう。

真夏の場合は、半袖の上に羽織れるパーカーがあれば便利です。また、蚊除けのための虫除けスプレーを携帯するのもいいですね。

移動はタクシーや公共交通機関を使う

雨が大量に降ると、水たまりができて道は歩きづらくなります。行きたい目的地がある場合は、徒歩よりもタクシーや公共交通機関を使うのが良いでしょう。

ただし、公共交通機関は台風の影響で大幅な遅れなどが発生する場合もあるので事前に調べてから乗るようにしましょう。

特にタクシーを使うのは便利でおすすめです。フィリピンでは、普段タクシーは贅沢な交通手段とされていますが、雨天時には濡れるのを避けるため、短距離でもタクシーを利用する人が増えます。

そのため、道端でタクシーをつかまえるのが難しくなることがあります。対策としては、Grabというアプリを使って事前にタクシーを呼ぶことや、複数人で乗り合わせることがおすすめです。

避難計画を立てておく

台風に備えて事前に避難場所や避難経路を確認しておきましょう。例えば避難勧告が出された際はどこに避難するのか、家族や関係者と共有しておきましょう。

また、非常食、飲料水、医薬品、懐中電灯、電池など避難用品を準備しておくことが望ましいです。留学の際は、学校関係者に学校はどんな台風対策を行っているのか事前に聞いておくと安心です。

停電に備える

フィリピンでは、インフラ整備の遅れや「電気泥棒」、「計画停電」などが原因で、頻繁に停電が発生します。台風に関係なく年間を通して停電が多い国として知られています。

特に台風のシーズンでは停電が多発する可能性があります。停電が発生しても対応できるように、スマホの充電をこまめに行うこと、懐中電灯やろうそくを備えること、食べ物を備蓄しておくことが大切です。

通信障害に備える

フィリピンでは、日本に比べてインターネットの通信状況が安定しないことが多いです。

急に途切れたり、メンテナンスで長時間使えなくなることもあり、雨や曇りの日はさらに回線が弱くなることがあります。台風シーズンは特に回線が遅くなり、通信障害が起こりやすいです。

対策としては、モバイルバッテリーを携帯することと、あらかじめSIMカードにロードをしておくことが挙げられます。

台風シーズン中の健康管理

台風シーズンには普段あまり発生しないような感染症が流行することがあります。そして日本では聞きなれない感染症も多くあります。

それらにかかってしまったら、治療が大変なだけでなく、日本になかなか帰国できなくなる可能性もあります。台風シーズン中は健康管理もしっかりするようにしましょう。

腸管感染症

腸管感染症とは、主に感染性の微生物(細菌、ウイルス、寄生虫など)が腸に感染し、下痢や腹痛、嘔吐、発熱などの症状を引き起こす疾患の総称です。

これらの感染は、汚染された食べ物や水、感染者との接触を通じて広がることが多く、衛生状態の悪さや不衛生な環境が原因となることもあります。

代表的なものには、サルモネラ菌やノロウイルス、コレラ菌などによる感染症があります。台風シーズンには、洪水や浸水による汚染された水や食べ物を通じて、腸管感染症が流行しやすくなります。

デング熱

デング熱とは、蚊がデングウイルスを媒介することで引き起こされる感染症で、主に熱帯性気候の地域で発生します。

感染すると、発熱、頭痛、筋肉や関節の痛み、発疹などの症状が現れます。重症化すると、出血や血管の損傷、血圧低下を伴うデング出血熱やデングショック症候群に進行することもあり、命に関わる場合もあります。

台風による大量の雨と停滞した水たまりは、蚊の繁殖場所となり、デング熱の感染リスクを高めます。台風シーズンは蚊に刺されないように注意し、蚊帳や虫除けを使用しましょう。

呼吸器感染症

呼吸器感染症は、鼻、喉、気管、肺などの呼吸器系の器官に感染して起こる疾患の総称です。

主にウイルスや細菌によって引き起こされ、風邪、インフルエンザ、肺炎、気管支炎、喉頭炎などが含まれます。症状としては、咳、喉の痛み、鼻水、発熱、息苦しさなどがあります。

台風シーズンでは洪水や濡れた環境により、風邪やインフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症が増加します。真冬なら適切な防寒、そして夏でも台風シーズンはマスクの着用が大切です。

肝炎

肝炎とは、肝臓の炎症を指す疾患で、さまざまな原因によって引き起こされます。最も一般的な原因はウイルス感染です。

症状には、疲労感、食欲不振、吐き気、黄疸、腹部の不快感などがあります。慢性肝炎になると肝硬変や肝臓がんに進行することもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。

台風シーズンでは雨による、衛生状態の悪化や不衛生な水の摂取により、A型肝炎やB型肝炎の感染リスクが高まります。

傷口感染症

傷口感染症とは、傷口に細菌やその他の微生物が侵入し、感染を引き起こす状態を指します。傷口が汚染された土や水、汚れた手や器具に触れることで感染リスクが高まります。

感染が起こると、傷口の周囲が赤く腫れたり、痛みや熱感、膿が出ることがあります。重症化すると、化膿や蜂窩織炎、さらには敗血症に進行することもあるため、早めの適切な処置が必要です。

台風シーズンでは、洪水や倒木、建物の倒壊などで怪我をした場合、適切な消毒や医療処置を行わないと感染症にかかるリスクがあります。

台風シーズン中の留学・滞在のポイント

6〜11月の台風シーズンでは、留学中に台風がくることもよくあります。留学生活の中で台風がきたら焦りますよね。

気候情報をしっかり確認するだけでなく、台風に備えた事前の準備をしておくことで安心につながります。

雨具を携帯する

特に熱帯気候のフィリピンでは、天気予報では晴れになっていたけど、午後や夕方に突然降り始めることが多く、数十分から数時間続くことがあります。

このようなスコールは、雷や風を伴うこともあり、道路の冠水や交通の乱れ、洪水の原因となることもあります。

フィリピンの気候の特徴の一つであり、旅行や日常生活においても注意が必要です。

晴れの日でも常に折り畳み傘は携帯するようにしておきましょう。傘だけでなく、雨避け用のジャケットや長靴もあれば便利ですよ。

災害に備えた計画をする

台風による停電や断水、交通網の混乱に備えるためには、以下の防災対策が重要です。

・非常食と飲料水を、少なくとも3日分備蓄する
・長時間の停電に備えて、モバイルバッテリーや携帯用充電器を準備する
・停電時に役立つ懐中電灯と予備の乾電池、防水バッグを用意する

また、台風接近時には、滞在先の語学学校や宿泊施設のスタッフに、近隣の避難所や安全な場所を確認し、政府や自治体の避難勧告に従って安全な場所へ避難することが大切です。

オンライン学習を活用する

台風の影響で外出が難しくなったり、語学学校が休校になった場合でも、自宅からオンライン学習を利用して学習を継続することができます。

多くのフィリピンの語学学校では、オンライン授業を提供しているため、計画的に英語の勉強を続けることが可能です。

雨の日や台風の日は無理せず、オンライン学習を活用するようにしましょう。留学先の学校がオンライン授業に対応しているか事前に聞いておくことも大切です。

台風情報の収集と対応策

台風の進路や状況は常に変動するため、信頼できる情報源から最新の気象情報を入手することが非常に重要です。

フィリピン気象庁(PAGASA)の公式ウェブサイトやアプリ、またはニュース番組を活用して、台風の進行状況や警戒レベルを確認しましょう。おすすめのアプリは下記の通りです。

Windy:台風の進路、風速、降雨量などをリアルタイムで確認できます。
PAGASA公式アプリ:フィリピン気象庁の公式アプリで、最新の台風情報や警報を提供しています。

これらのアプリをスマートフォンにインストールしておくことで、外出中でも最新の気象情報を把握し、安全な行動を取ることが可能です。

情報を集めるほかにも、台風による停電、断水、交通の混乱に備えるためには、必要な防災グッズを事前に準備しておくことが大切です。

また、滞在先の語学学校や宿泊施設のスタッフに近隣の避難所や安全な場所について確認しておきましょう。

台風が接近した際には、政府や自治体からの避難勧告が出されることがあるため、その指示に従い、安全な場所へ避難しましょう。

まとめ

楽しみにしている旅行や留学中に台風がきたら困りますよね。しかしフィリピンでは残念ながら日本より台風発生率が高く、台風シーズンは被害に遭うこともあります。

もし台風シーズンに旅行や留学に行く予定があるなら、台風に備えた準備をしておきましょう。備えあれば憂いなしという言葉があるように、準備をしておくことで心の持ちようが違ってきます。

この記事が台風シーズンにフィリピンに行く方の参考になればうれしいです。

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