大自然の恩恵を存分に受けながら異文化交流の経験をしたい。
単なる語学留学では味わえないような深い人間関係を築いてみたい、など、海外経験において「語学」以外の面から刺激を受けたいと考えているあなたへ「ファームステイ」の魅力を紹介します。
ファームステイとは、読んで字のごとく「農業を生業としている、家庭へのホームステイ」です。今回は、ニュージーランドのファームステイを題材にその魅力、おすすめポイントに迫っていきます!
ニュージーランドの地理・気候
本題に入る前に、まずはニュージーランドの特徴を「地理・気候」の観点から紹介します。
まずは地理的特徴です。ニュージーランドは北と南に大きな島が分かれ、その周り一面を海が囲んでいます。
加えて、国土全体が縦長になっているなど、日本の地理的特徴と多くの共通点があります。国土の内部には、広大で豊かな森林に平野、見渡す限りの海岸線、険しい山脈、火山など、自然の全てを兼ね備える世界屈指のネイチャーワールドです。
広大な自然環境における象徴的な存在として、北南合わせて13の国立公園を保有し、昔から受け継がれる自然環境の保護に力を入れていています。
また、北島の⅕、南島の⅔が山岳地帯となっているほど、国土全体に様々な山脈、山脈が広がっています。
さらに、活火山が多く存在しているため、豊富な地熱資源を保有していることも大きな特徴です。
一方で、気候的特徴としてはまず「温暖で年間を通じて住みやすい気候」があげられます。ニュージーランドは、西岸海洋性気候に属し、年間を通した気温差が小さく、夏は平均最高気温24℃前後、冬は平均15℃程度と安定しています。
加えて、日照時間が長く、太陽の光を豊富に感じられるのも特徴の1つです。他方で、地元の人から「年間を通していつ何時でも雨に降られる可能性がある」と言われるほど、年間を通じて十分な降水量に恵まれています。
このような、気温、日光、降水などのバランスの良さが、緑豊かで農業に適した国土を形作っているのでしょう。
ここまでニュージーランド全体の気候的特徴の外観をお話してきました。ここからは、北南島で気候面の色の違いを紹介します。北島は、穏やかな海洋性気候の色が強くなっています。
1年を通して比較的穏やかな気温帯で、夏は少し湿度が高くなる傾向にあります。日本の夏よりは過ごしやすそうですね。一方で、南島は地域によって様々な特色があります。
例えば、西側地域は西風の影響で国内でも降水量が多い傾向になります。年間6,000mmを超える降水量が圧巻の自然環境、広大な農場の土壌となっています。
東側の地域は、南島の中心にそびえる山脈を隔てる影響で、他の地域と比べると乾燥が目立ちます。
このエリア最大の都市でもある「クライストチャーチ」の夏は乾燥と高温が大きな特徴となっています。
そして、オタゴ地区などを擁する中心部は、周囲をそびえる山々に囲まれた半大陸性気候で、夏は非常に暑く、冬は雪が積もるほどに冷え込みます。
ニュージーランド内では寒暖差が厳しくなりますが、その分四季を存分に感じることはできます。
以上がニュージーランドの地理、気候の大まかな特徴です。日本と共通する特徴も多く、住みやすそうに感じますね。
ニュージーランドの農業事情
ニュージーランドが地理、気候の側面から「農業」に適した国であると感じたのではないでしょうか。では、実際のところニュージーランドの農業にはどのような特徴があるのか、深堀していきましょう。
ニュージーランドの農業はGDPの5%を占める国内経済の重要な産業で、野菜や果物を育てる園芸農業から、畜産、酪農、家畜等々、多岐に渡って発展しています。
古くから農業は、ニュージーランド産業の心臓的な位置づけだったこともあり、現在でも多くの国民が農業に誇りを持っています。
具体的な農業分野を語る上でまず触れるべきは「羊農業」です。現在も国内には人間1人あたり5匹の羊が存在しているほど、羊農業が盛んに行われています。(ちなみにピーク時は1人あたり22匹だった)
そんな羊農業の主なプロダクトは「食用」と「ウール」です。そのうちウールの生産高は年間で22万tもあり、世界屈指の産業規模を誇ります。
続いては「酪農」です。ニュージーランドは世界第8位の牛乳生産力を誇るほどの酪農大国です。その数なんと、500万頭の乳牛が年間200億L以上の牛乳を生産しています。
その背景には、Fonterraという企業が、国内10,000の農家と協業し、ニュージーランド全体の95%の牛乳、100種類以上の酪農商品を生産していることが影響しています。
家畜の分野では、前述した羊肉の他に肉用牛の飼育も盛んです。その中で、鹿肉の生産高は世界一を誇る規模を持っています。
最後に、「園芸農業」です。
肥沃な土壌と温暖で恵まれた気候を持つニュージーランドでは、果物や野菜などの栽培も例外なく盛んです。特に、キウイフルーツの生産、輸出は国内産業の主軸を担っています。
他にも、ワイン用のブドウ、アボカド等は国内至る所で生産されています。
いかがでしょうか。ニュージーランドは特定の分野だけではなくあらゆる分野で世界的にも強みを見せるスーパーオールラウンダ農業大国なのです!
農業留学・ファームステイが人気の理由
前章にて、ニュージーランドの農業がスーパーオールラウンドであることをお伝えしてきました。これほど農業の実績があると、農業留学をしてみたい!と思う人が多くなるのは納得できるのではないでしょうか。
そこで、ここからは3つの観点から改めてファームステイ人気の理由に迫っていきます。
多くの動物と触れ合うことができる
1つ目は、大自然の中で多くの動物と触れ合うことができる点です。国土全体に広がる大自然、温暖で穏やかな気候の下、動物に囲まれながら農作業ができる。
これほど農業を学ぶ上で恵まれた環境は世界を見渡しても中々ないでしょう。人間の5倍多い羊の群れに囲まれて、世界トップクラスの乳牛とともに農業に集中できる点は大きな魅力ですね。
農業の種類がバリエーション豊か
2つ目は、参加形態におけるバリエーションの幅広さです。農家形態や取り扱う作物の対象を見ても、園芸農業、酪農、ホースファームなど幅が広いため、本格的に農業に携わりたい人や専門分野を持つ人には理想的な環境があります。
加えて、期間の幅や、農作業に携わる温度感も自由度高くカスタマイズすることができます。つまり、農業経験が浅く、観光を第一目的とした場合にも参加の選択肢があるという点が多くの人を惹きつける要因になっています。
暖かい受入体制
3つ目は、渡航者の受け入れ体制が整っている点です。多くの農家がファームステイや農業留学のような受入プログラムと提携しているため、外国人の受入に慣れています。
加えて、ニュージーランドの方々の穏やかな気質が、ファームステイ希望者を温かく歓迎してくれるため、参加に心理的障壁が低いことは人気を後押しする要因です。偏見として農業従事者は怖い、という印象をお持ちの方もニュージーランドなら安心ですね!
このように、ニュージーランドファームステイは「農業経験値」「幅広な選択肢」「盤石な受入体制」と三拍子揃った理想的な環境から、多くの農業留学希望者、自然好きから高い人気を誇っています!
ニュージーランドの主なファームステイプログラム
ファームステイに参加してみたいと思ったとき、気になるのは実際どのような経験を積めるのか、という観点ですよね。そこで、ここではファームステイプログラムの具体例を紹介します。
前提として、従事する農業の形態から期間、場所等、かなり選択肢が幅広いので、ご自身の希望をある程度固めていくことは理想の環境選択に向けて重要です。その上で大枠として、体験や観光重視の短期ステイと、農業技術の習得や労働者として活動する長期型に二文化されます。
活動日数は、1日〜2週間程度の超短期、4週間〜12週間の短中期、半年以上の長期などの幅があります。
勤務時間はどのプログラムでもおおよそ、農作業に1日5-6時間程度、その他の雑務(家事など)を週に数時間程度あります。
そして、実際どのような業務に従事するかというと、初心者でもできる家畜や酪農動物のお世話、園芸作物の水やりや収穫から、ある程度の農業素養を必要とする土壌や放牧の管理等、多岐に渡ります。
それら活動の待遇として、一定賃金の支払いがあります。加えて、自室や食事提供など生活面でのサポートも充実しているため、安心して農業に打ち込むことができます!
ニュージーランドのファームステイに必要な費用
ファームステイの特徴やプログラム内容について理解が深まったところでいよいよ参加を検討する頃ではないでしょうか。最後に気になるのはやはり費用ですよね。
ここからは、ファームステイ参加に必要な費用を紹介していきます。ファームステイ参加の費用は短期滞在の方が高額になる傾向があります。具体的な費用帯の目安は以下の通りです。
短期型(1週間〜1ヶ月程度)20万円~/月
長期型(3ヶ月〜)30万円~/合計
その他、生活にかかる費用についてです。
前提として、食事はホストファミリーの提供があり、労働に対する賃金の支給もあるので、生活費は多くはかかりません。
その上で、生活にかかるベーシックな出費の例を下記にて紹介します。
スーパーマーケット
牛乳2L 350円
お米1kg 270円
卵12個 950円
外食 ベーシックなランチ Wドリンク 2,000円程度
レストランのディナー 3,000円~6,000円程度
カフェでコーヒー 500円程度
以上がニュージーランドのファームステイにかかる主な費用情報です。語学留学や長期留学と比較して費用を大幅に抑えることができる点も大きな魅力ですね!
まとめ
ここまでニュージーランドのファームステイの特徴や魅力についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。ニュージーランドの大きな特徴である「大自然」と主力産業である「農業」の魅力を掛け合わせたとてもエキサイティングな異文化経験に感じましたよね??
農業に強い関心がなくても、英語に自信がなくとも、その気になれば誰だって挑戦できることが「ファームステイ」最大の魅力です。少しでも興味を抱いた方は、ぜひ留学以外の海外経験の選択肢として、ファームステイを検討してみてください!
大自然があなたの人生に新たな彩りをもたらすでしょう。