
タイは多くの日本人旅行者に人気の国で、本場のタイ料理を味わうことは旅の大きな楽しみのひとつです。しかし、東南アジアは、日本とは異なる気候や衛生環境により食中毒や体調不良のリスクがあり、旅行中の食事に対し不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、タイで暮らしている私の実体験を踏まえ、タイでの食中毒や食事による体調不良の予防法だけでなく、万が一症状が出た場合の医療機関の受診や保険の使い方、病院で使える英語表現まで、安全にタイでの食事を楽しむための情報を詳しくお伝えします。
タイ旅行で食中毒を避けるための方法3選
タイ料理は、レストランだけではなく屋台やローカル食堂、露店のお弁当などでも楽しむことができますが、衛生面の管理が日本ほど厳しくないため注意が必要です。衛生環境が非常に整った日本から来た旅行者は、慣れない環境で体調を崩しやすいです。ここでは、細菌やウイルスによる食中毒を避けるための方法を詳しく解説します。
十分加熱されていない・時間が経っている料理は食べない
まず避けるべきは、食中毒の原因となる細菌・ウイルスに汚染されやすい食材です。
加熱が十分にされていない肉や魚介類(特に貝類)は、細菌や寄生虫による食中毒の原因となるリスクが高く避けるべきです。
また、タイでは、朝早くから露店でパック入りのお弁当や袋入りのおかずが販売されています。これらの食べ物は、日中になると調理されてから時間が経っている可能性が高く細菌が繁殖しやすいため、朝の早い時間以外は避けるのが無難です。
予防法としては、火がしっかり通っていることが分かる作り立ての熱い状態の料理を選ぶことが基本です。
また、ソムタムなど生の野菜を使った料理やカットフルーツは、水道水を使って洗っている可能性があるため注意が必要です。
お客さんの出入りが多く回転率が高いお店を選ぶ
タイで食中毒にならないためには、衛生的なお店を選ぶことが重要です。
まず、選ぶ際の基本として、お客さんの出入りが多く、回転率が高いお店や屋台を選ぶことです。特に屋台の場合、来客が少ないお店で作り置きされている物は、調理してから長時間経っていることもあり食中毒のリスクが上がります。
また、タイ政府公認の「Clean Food Good Taste」マークなど衛生面の認証マークがあるお店を選べば、一定水準の衛生面が整っており安心です。
その他に、調理場と調理器具や食器が清潔か、調理担当者の身なりや清潔な手で食品を扱っているかを確認しましょう。
予防法として、食事前にトイレなどで手を洗うか、屋台では消毒スプレーやウェットティッシュで手を清潔にするようにしてください。
また、フードコートなどではカトラリーコーナーに熱湯が入った容器が設置されていることもあります。その場合、それを利用してカトラリーを消毒するとより安心感が高いです。
うがいや歯磨きでもミネラルウォーターを使う
タイの水道水は飲用ができず、うがいや歯磨きのような吐き出す場合でもミネラルウォーターを使う方がより安心です。
氷は、透明で中央に穴が開いているチューブ状のものは基本的に安全です。一方、濁った氷や自家製のように見える氷は避けるようにしてください。
また、一部の屋台などで、無料のセルフサービスで提供している水や氷は、水道水や不衛生な水である可能性があるため、無料だからとむやみに飲まないようにしてください。
タイではフルーツジュース店も多いですが、ジュースやスムージーは、氷や作られる環境に衛生面でのリスクがあるため、カフェや屋内のお店、ホテル内など安全度が高いお店で飲むことをおすすめします。
タイ旅行者が飲食で気をつけるべき3つのポイント
タイ旅行では、食中毒だけでなく、タイ特有の環境や食事による体調不良にも注意が必要です。ここでは、PM2.5や辛い物など、旅行者がタイでの飲食で気を付けたい注意点と予防法を解説します。
暑さ・日光対策で免疫力低下を防ぐ
暑さや日光の強さは、食中毒の原因ではありませんが、炎天下での外出による熱中症や日射病、またそれによる疲労は免疫力低下に繋がります。それにより、体力低下や胃腸にストレスを与え、食中毒や感染症にかかる可能性を高める間接的な原因になりえます。
予防法として、こまめに水分を摂り、午後2時から3時頃の最も日差しが強く暑い時間帯は無理に外出せずに休憩をとったり、出かける場合でも日陰を歩いたり日傘をさすなど、直射日光を避ける対策が重要です。
疲れを感じたら無理せずホテルなどで十分な休息をとり、無理のない観光を計画することが旅行中の体調管理には大事です。
胃腸にストレスをかける料理は食べ過ぎない
食中毒ではないですが、日本人が下痢や腹痛になりやすい辛い物や脂っこい料理には注意が必要です。
タイ料理は、唐辛子や香辛料が多く使われており、辛い物やスパイスのきいた食べ物を食べ慣れていない日本人の胃腸には刺激が強すぎる可能性があります。
本場のタイ料理の辛さ加減は、日本のタイ料理の辛さに比べるとかなり辛いということを心得ておいてください。日本でもおなじみのグリーンカレーやソムタムは、タイでは非常に辛さが強いです。予防法として、注文時に「マイペット(辛くしないで)」と伝え、辛さ控えめにしてもらうと良いです。ですが、調味料に辛さがあり、完全に辛さをなしにできない料理もあります。そのため、多少の辛さがある場合も実際はあります。
食中毒ではない、辛い食べ物による下痢でも症状は辛く、旅行に影響が出ることもあります。
また、揚げ物などの脂っこい屋台の料理や、酸味の強い料理を一度に大量に食べないようにしてください。また、これらの料理をビールなど冷たい飲み物と組み合わせることも胃腸にストレスをかけるため注意してください。
PM2.5が酷い日は屋内の飲食店を利用する
乾季(特に1月~4月)のタイ(特に北部)ではPM2.5による大気汚染が酷くなります。
汚染が酷くなるこの時期は、オープンエアの屋台や食堂で出される食品にPM2.5が付着し、健康被害を起こす可能性があります。食材や調理方法自体に問題はなくても、調理された後の食品の管理の仕方や食べる環境にリスクがあるということです。
予防法として、汚染が酷い日は、屋台やオープンエアの食堂は避け、屋内で食事ができる飲食店やモール内のフードコートなどを利用することです。
また、PM2.5は、食事だけではなく観光時もマスクの着用、外出時間を短縮するなどの注意が必要で、日本からPM2.5をガードするミストタイプのスプレーを持参することをおすすめします。
PM2.5の症状として、咳や喉の痛み、アレルギーなどがありますが、呼吸器系の疾患がある人はこの時期の渡航は避ける方が無難です。
食中毒になったときの対応・現地病院の利用方法

どれほど予防法をしても、食中毒や下痢の症状が出てしまうことはあります。
食中毒の症状である下痢や嘔吐などの初期症状が出た場合は対応をし、病院に行くべき重症度を冷静に判断します。
症状が出た場合、下痢止め薬の自己判断での服用は避けるようにしてください。下痢は、原因菌を体外へ排出するための症状なので、むやみに止めてしまうと菌が体の中に留まってしまい悪化する恐れがあるためです。
下痢による脱水症状を予防するためには、経口補水液やスポーツドリンクで十分な水分補給をし、安静にします。タイではポカリスエットを売っています。
病院受診の判断基準は、38.5℃以上の高熱、激しい腹痛、血便、尿が出ない、意識が朦朧とするなどの脱水症状がひどい場合で、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
バンコクやパタヤなど日本人が多い観光地には、日本語対応が可能な医師や通訳がいる病院があります。
知っておきたい保険の使い方
タイの私立病院での治療費用は高額になる場合が多いため、海外旅行保険の加入は非常に重要です。ここでは、万が一の際に保険をスムーズに使うための情報と手続きを解説します。
病院で受診を受ける場合、病院へ行く前に保険会社へ連絡し、キャッシュレスで治療を受けられるかを確認してください。また、提携している病院も一緒に教えてもらうと探す必要がありません。
受診料や薬代などを一旦立て替えた場合、請求に必要な書類(医師の診断書、領収書など)を忘れずにもらってください。
バンコクなどの日本人の受け入れに慣れている医療機関であれば、保険の手続きにも慣れている可能性が高いです。
病院受診時の英語フレーズ
タイの病院では、医師や看護師とは英語でのコミュニケーションが必要になる可能性が高いです。ここでは、スムーズに症状を伝え、適切な治療を受けるための英語フレーズ集をご紹介します。
病院の受付でのフレーズ例:
「I need to see a doctor for food poisoning.」
食中毒なので医者に診てもらわなければなりません。
症状説明のフレーズ例:
「I have a fever and diarrhea since yesterday.」
昨日から発熱と下痢があります。
「I feel nauseous and have a stomachache.」
吐き気がして、お腹が痛いです。
医師への質問のフレーズ例:
「Is it serious?」
これは深刻でしょうか?
「What should I eat?」
何を食べればよいですか?
「How often should I take this medicine?」
この薬はどれくらいの頻度で服用すればよいですか?
英語に不安がある場合、体調不良に関わる単語(下痢、嘔吐、発熱、腹痛、脱水症状、治療方法など)をあらかじめ英語でリストアップしておくと安心です。
まとめ
タイ旅行を楽しむ上で食中毒を防ぐためには、食事や水の衛生面だけではなく、暑さやPM2.5、辛い料理といった環境要因や食事による体調不良にも注意が必要です。万が一、食中毒や体調不良になっても、病院の利用方法や保険の使い方を知っていればいざという時にも慌てることなく適切な対応や病院を受診することができます。
今回の記事を参考に、食中毒や体調不良の備えを万全にして、タイでの観光とタイ料理をぜひ楽しんでください。
◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
・韓国語能力試験(TOPIK)6級
・延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇留学経験
【オーストラリア】
・クイーンズランドカレッジオブイングリッシュ:3カ月
・ゴールドコーストカレッジオブビジネス:6カ月
【フィリピン】
・ファーストウェルネスイングリッシュアカデミー:3週間
【韓国】
・梨花女子大学校言語教育院:3週間
・延世大学校言語研究教育院(韓国語教員養成課程):5週間
【タイ】
・プロランゲージ(タイ語):1年6カ月
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。