ゴールウェイ(Galway)はアイルランドの西部に位置する都市で、アイルランドで4番目に大きな都市です。人口は約8万6千人で、アイルランドの伝統文化が色濃く残る地域として知られています。そんなゴールウェイへの留学について解説していきます。
ゴールウェイの基本情報
地理と気候
ゴールウェイはアイルランドの西部に位置しており、コノート地方に属しています。ゴールウェイ湾に面し、周囲には美しい自然景観が広がっているのが特徴的です。歴史的な港町としても知られています。
美しい山々や湖、海岸線が魅力的で、特にコネマラ国立公園やアラン諸島などの観光名所があります。このような自然環境は、観光やアウトドア活動に適しており、多くの観光客が訪れます。
ゴールウェイは、西岸海洋性気候に属し、年間を通じて比較的温暖な気候が特徴です。湿度は高い傾向があります。年間の平均気温は約4°Cから19°Cの範囲で変動し、特に冬季の平均日中最高気温は約9°Cです。
降水量は年間を通じて分散しており、特に冬に多く降る傾向があります。夏の降水量自体は少なく、晴れた日もありますが、雨が降る確率は依然として高いです。ゴールウェイでは、年間を通じて風が強く、ほぼ曇りの日が多いことも特徴です。
教育
ゴールウェイは、教育水準が非常に高いことで知られています。特に、アイルランド国立大学ゴールウェイ校(NUI Galway)は1845年に設立され、現在では世界大学ランキングでトップ1〜2%に入るレベルの高い大学です。この大学は、学生の約10%が留学生であり、国際的な環境が整っています。
また、ゴールウェイには多くの語学学校があり、特に英語教育に力を入れています。これにより、留学生は質の高い教育を受けることができ、英語力を大きく向上させることができます。
文化
ゴールウェイは、失われつつあるケルト文化の遺産を最も色濃く残す街であり、年間を通じて芸術祭、音楽祭、映画祭、文学祭など、幅広いジャンルのイベントが多く開催されています。2020年には「欧州文化首都」に選定されています。
街には美術館や博物館も多く、地元のアートシーンが活発です。特に、ゴールウェイ国際芸術祭は毎年7月に開催され、演劇、音楽、ビジュアルアートなどが楽しめるアイルランド最大の文化イベントの一つとなっています。
歴史
ゴールウェイの歴史は非常に古く、1124年にコノートの王タロウ・オコナーによって建設された要塞に起源を持ちます。この要塞の周りに集落が形成され、約1世紀後にはアングロ・ノルマン人によって占領されました。
中世には、ゴールウェイは商業の中心地として栄え、特に15世紀には都市国家としての地位を確立しました。この時期、ゴールウェイは、アイルランドの14の部族の一つであるブレイク家によって支配され、彼らは貿易を通じて富を蓄えました。国際貿易の中心地となり、フランスやスペインとの貿易が盛んでした。ゴールウェイの街並みや建築物には、この時代の影響が色濃く残っています。
17世紀には、イングランド、スコットランド、アイルランドの間での権力闘争である三王国戦争(1639年~1651年)の戦場の1つとなりました。結果、1653年にオリバー・クロムウェルの軍に占領され、政治的な状況が大きく変わりました。17世紀末には、ウィリアマイトに占領され、ゴールウェイは衰退していきました。
19世紀後半に、ゴールウェイはアイルランドの国際貿易の中心地として再び栄え、観光業が発展していき、現在の文化の中心地としての地位を獲得していきました。
交通
ゴールウェイ市内の交通手段としては、主にバスが利用されています。市内には15路線のバスが運行しており、どこへ行くにも便利です。市バスの運賃は1回あたり約€2.15(約344円)となっています。
レンタル自転車も市内移動の手段として人気があり、至る所にサイクルスタンドが設置されています。自転車の利用料金は、最初の30分が無料で、その後は1時間まで€0.50(約80円)、2時間まで€1.50(約240円)など、時間に応じた料金が設定されています。
市外へのアクセスも良好です。特にダブリンとの間には、直行の列車が運行されており、所要時間は約2時間30分となっています。
また、シャノン空港からゴールウェイへのアクセスには、Eireann社のバスが1時間に1本運行しており、所要時間は約2時間、片道の運賃は約€15(約2,400円)となっています。
ゴールウェイ留学の特徴やメリット・デメリット
ゴールウェイは、学生の街として知られ、人口の約1/3が学生で構成されています。学術的な雰囲気が漂い、語学を学ぶにも理想的な環境となっています。さらに、アイルランドの伝統文化を体験できる場所でもあり、ケルト文化や音楽、アートに触れる機会が多くあるのも特徴です。
メリット
日本人が少ない環境
ゴールウェイは日本人留学生が比較的少なく、英語を集中して学ぶことができます。日本語に接することのない環境では、英語力を飛躍的に向上させることができます。
アイルランドの伝統文化に触れることができる
地元の文化や伝統的なイベントに参加することで、アイルランドの歴史や文化を深く理解することができます。音楽やアートのフェスティバルが多く開催されているので、活気ある街の雰囲気の中で留学生活を楽しむことができるでしょう。
生活費の安さ
ゴールウェイはダブリンなどの大都市に比べて生活費が抑えられるため、留学費用を節約することが可能です。特に、食費や住居費がリーズナブルです。
自然環境
ゴールウェイは美しい自然に囲まれており、海や山のアクティビティを楽しむことができます。特に、アイルランドの大自然を体験したい方には最適な場所となっています。
デメリット
アルバイトの機会の少なさ
ゴールウェイは小規模な街であるため、アルバイトの求人が少なく、特にパートタイムの仕事を見つけるのが難しい場合があります。
天候の影響
アイルランドは雨が多いことで知られており、特にゴールウェイでは天候が不安定なことがあります。そのため、外出や観光に影響が出てしまうことがあるので注意しましょう。
娯楽の選択肢の少なさ
大都市に比べて娯楽施設やショッピングの選択肢が少ないため、特に若い留学生には物足りなさを感じることがあるかもしれません。
ゴールウェイ留学の費用
留学費用は、期間や滞在方法、選択する語学学校によって大きく異なります。一般的な費用の目安を解説します。
短期留学
1ヶ月の短期留学の場合、学費や滞在費を含めて約30万円から40万円程度が相場とされています。一般的に語学学校の学費は約18万円~25万円程度、住居費は9万円~18万円程度、生活費は約6~10万円程度となっています。
長期留学
1年間の留学の場合を解説します。語学学校の学費は、1年間で約100万円から200万円程度が相場です。住居費としては、ホームステイを選んだ場合、1ヶ月約6万円から10万円程度です。食費や交通費、通信費などの生活費は、1ヶ月あたり約6万円から10万円程度となります。1年間合計の留学費用の目安は、約205万円から300万円程度となります。
渡航前費用
学費や住居費、生活費以外にも、航空券や旅行保険の費用などを支払う必要があるので注意しましょう。価格は以下のようになります。
航空券
時期によって変動しますが、日本からアイルランドへの片道航空券は、約€470~€670(約7万円から10万円)程度です。
旅行保険
1年間の旅行保険は、約€740 (約11万円)程度が目安です。保険内容によって異なるため、複数のプランを比較することが推奨されます。
ゴールウェイ留学前の準備と留学後にすること
ゴールウェイ留学前後にするべきことについて解説します。
ゴールウェイ留学前の準備
留学先の選定
まず、留学する学校やプログラムを選ぶことが重要です。ゴールウェイには多くの語学学校があり、それぞれに特色があるので、自分の学習目的や予算に合った学校およびプログラムを選びましょう。
入学手続き
選んだ学校に入学願書を提出し、必要な書類を準備します。これには、パスポートのコピーや学費の支払い証明書が含まれます。入学が許可されると、入学許可証が発行されます。
航空券の手配
留学の数ヶ月前には航空券を手配することをお勧めします。早めに予約することで、より安価な料金で購入できる可能性があります。
住居の手配
ゴールウェイでの住居を決める必要があります。ホームステイやアパートの賃貸など、さまざまな選択肢があるので、事前に住居を決めておきましょう。
海外留学保険の加入
海外留学保険への加入は必須です。アイルランドでは、留学中の医療費や事故に備えるために、適切な保険に加入しましょう。保険は、学校が提供するものや、日本の保険会社が提供するものなどがあるので詳しく調べてから選んでください。
持ち物の準備
留学に必要な持ち物をリストアップし、準備します。必須の持ち物には、パスポート、ビザ関連書類、現金、クレジットカード、海外旅行保険証書などがあります。
留学後
ビザの申請
日本国籍の場合、90日以内の滞在であればビザは不要です。この場合、観光ビザとして入国して、留学を行うことができます。しかし、滞在日数が90日(3か月)を超える場合は、学生ビザの申請が必要です。
ビザ申請は、アイルランドの入国管理局(Garda National Immigration Bureau: GNIB)で外国人登録(Irish Residence Permit: IRP)を行う必要があります。
この時に必要な書類は、有効なパスポート、入学許可証、英文の銀行残高証明書、銀行の入出金明細書、保険加入証明書、入学許可証(Confirmation of Enrolment:COE)、学費の支払証明書、英語力の証明書、滞在先の住所などです。
銀行口座の開設
銀行口座を開設するには、有効期限の残っているパスポート、住所を証明できる書類が必要になります。一部の銀行では、事前に予約が必要な場合があるので注意しましょう。
PPSナンバー(Personal Public Service Number)の取得
アイルランドで働くためには、PPSナンバー(Personal Public Service Number)が必要です。この番号は、税金の支払い、社会保障の受給、公共サービスの利用に必要となります。PPSナンバーを取得するためには、PPSナンバーが必要であることを示す雇用主からのレターや身分証明書、住所証明書などの書類を用意してから、MyGovIDというオンラインサービスで申請を行う必要があります。
まとめ
美しい自然に囲まれ、アイルランドの歴史、文化を深く知ることのできる街ゴールウェイでは、留学生にとって貴重な経験ができる環境が整っています。教育水準が非常に高い上に、アートイベントも頻繁に開催されていて留学生同士の交流が盛んです。
このように留学生にとって理想的な場所であるゴールウェイへ、留学を検討してみてはいかがでしょうか。

◇経歴
海外向けデバイスのソフト設計開発、関連資料翻訳
◇資格
TOEIC 900点
◇留学経験
ワーキングホリデーにてカナダ、オーストラリアに滞在経験あり
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーでは、ホテルやレストランで仕事をしていました。
◇自己紹介
普段は翻訳などの仕事をしていますが、Webライターとしても活動しています。
興味の幅が広く、様々なテーマで記事を書いています。
皆様にとってわかりやすく面白い記事を書けるよう頑張ります。
よろしくお願いいたします。