カナダ英語の特徴:アメリカ英語、イギリス英語との違いも解説

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英語の中でも、アメリカ英語やイギリス英語、カナダ英語といったように、国や地域によって英語に違いがあるというのは聞いたことがありますか?英語というくくりは同じであっても、使われる単語や発音などが少し違い、それぞれ特徴があるのです。

今回は、そんな英語の中でも特に「クセがなくキレイ」と言われることの多いカナダ英語をご紹介します。特徴や他の地域の英語との違いだけでなく、カナダ英語の生まれた背景も一緒にご紹介していくので、英語学習にさらなる興味を持つきっかけになるかと思います。

カナダ英語の特徴

カナダ英語の特徴として、発音にクセがなくがキレイな点があげられます。日本語のカタカナと似た発音が多いため、日本人にとって聞き取りやすいのです。

また、カナダは第一言語が英語ではない人に対して寛容な環境が整っています。カナダの公用語に英語に加えてフランス語もあり、地域によってはフランス語のみで会話するところもあるくらいです。そのため、英語がネイティブレベルでなくても、暖かく接してくれる人が多いと言われています。

カナダ英語とアメリカ英語はどのくらい違う?

カナダ英語と、私たちが学校の授業で習うアメリカ英語はどのくらい違うのでしょうか。

カナダの英語は、アメリカ英語とイギリス英語が混ざったようなものです。カナダには移民が多く英語が第二言語の人も多いため、比較的誰にでもわかりやすいニュートラルな英語に触れられることが多いです。

アメリカ英語と比較しても発音にはほとんど区別がないのですが、スペルやボキャブラリーにイギリス英語が混ざっている点が違いとしてあります。とはいえ、英語ネイティブスピーカーの人たちであっても、カナダ英語とアメリカ英語の区別がつかないことも多いと言われているくらいには似た英語が使われています。

カナダ英語が生まれた背景

カナダ英語はアメリカ英語と似た発音を持ち、イギリス英語寄りのスペルを持つ、アメリカ英語とイギリス英語の混ざった英語です。このようなカナダ英語が生まれた背景として、カナダの歴史をみてみましょう。

アメリカ独立革命を逃れ、当時イギリスの領土であったカナダに大量に亡命集団が流れたことが、カナダ英語の基盤となっています。この亡命集団の一派はアメリカから北上してきた人々で、ここからアメリカ英語が全土に広まっていきました。

アメリカから逃れてきた一派は、イギリスに近い状態でいようとしました。カナダを支配する強い権力をもったイギリス人は、学校教育にも影響を及ぼし、イギリスのスペルを学校で教えるようにしたのです。

また、米英戦争後にイギリス人やアイルランド人、スコットランド人の移民がやってきた影響も受けています。

その結果、アメリカ英語とイギリス英語が混ざ理、カナダ英語が誕生したのです。

アメリカ英語とイギリス英語との違い

カナダ英語はアメリカ英語と同じような発音で、単語にイギリス英語が混ざったものだと先ほど少しお伝えしました。これだけでは抽象的なので、発音やスペル、ボキャブラリーのそれぞれの観点から、具体的に違いをご紹介します。

発音の違い

カナダ英語は基本的にアメリカ英語の発音をしますが、一部イギリス英語のものもあります。イギリス英語の発音のものを、一部ご紹介します。

まず、「o」の発音です。アメリカ英語では「o」の発音をするとき、口を大きく縦に広げて発音し、日本人からすると「ア」に近い音に聞こえます。それに対して、イギリス英語やカナダ英語では口をすぼめて「オ」に近い音で発音するのです。

この発音は “pot” や “not” といった基本的な単語で使われる音です。ネイティブスピーカー同士が聞き取れないほどの発音の違いではないようなので、機会があれば少し注意して違いを聞いてみてください。

次に、「Z」の読み方の違いがあります。アメリカ英語では「ズィー」と発音しますが、カナダ英語ではイギリス英語の発音が踏襲され「ゼッド」と発音されます。

スペルの違い

続いて、使われるスペルの違いです。カナダ英語では、基本的にイギリス英語と同じものが使われていますが、一部アメリカ英語のものが使われている単語があります。

まず、アメリカ英語とイギリス英語のスペルの違いとして、アメリカ英語では単語が「-or」「-er」で終わるものを、イギリス英語では「-our」「-re」と書くものがあります。“color”を “colour”、“center” “centre” と書くというような感じです。これに関しては、カナダ英語ではイギリス英語と同じ形が取り入れられています。

その他には、アメリカ英語では “realize” と書くものを、イギリス英語では “realise” と表記するように、「-ize」で終わる単語を「-ise」と表記するものがあります。これは、カナダ英語ではアメリカ英語と同じ形が取り入れられています。

また、スペルについては政治的、経済的な影響を受けている部分もあります。

例えば、アメリカ英語で “tire”,、イギリス英語で “tyre” と表記されるタイヤ、カナダ英語ではアメリカ英語のものが取り入れられています。これは、自動車産業において、カナダはアメリカとの取引が多いためだそうです。同様に、金融機関においては、イギリスとの関係が強いため、小切手を意味する単語「チェック」は、アメリカ英語のスペル “check” ではなく、イギリス英語と同じ “cheque”が使われています。

ボキャブラリーの違い

ここからは、使われるボキャブラリーの違いをご紹介します。

こちらも発音やスペルと同様に、アメリカ英語のものが使われていたり、イギリス英語のものが使われていたりと混ざっています。大半はそう大きな違いはなく、間違えても通じるものが多いですが、中にはアメリカ、カナダ、イギリスで全く違う単語が使われていることもあるので、注意が必要です。

まずは、アメリカ英語と同じ単語が使われているものからご紹介します。

「ガソリン」の単語は、イギリス英語では”petrol”が使われますが、カナダ英語ではアメリカ英語と同じ “gasoline” です。それと同じように、地下鉄を意味する単語 “subway” はアメリカ英語からきたもので、イギリス英語では “underground” “tube” を使います。

また、「通貨」はイギリスでは “pound ”が使用されているのに、対してカナダではアメリカと同じ “dollar” が使用されています。

次に、イギリス英語と同じ単語が使われているものについてです。

食事の際に使う「ナプキン」は、アメリカ英語では “table napkin” が使用されますが、カナダ英語ではイギリス英語と同じ “serviette” が使用されます。「蛇口」はアメリカ英語では “faucet” ですが、カナダ英語やイギリス英語では “tap” です。

また、カナダ英語で使用する単位は基本的にイギリス寄りです。例えば、アメリカでは距離を表すのにマイルを使いますが、カナダではイギリスと同じメートル記法を使用します。温度もアメリカでは華氏(℉)を使うのに対して、カナダではイギリス同様に摂氏(℃)を使います。長さに関してだけは、アメリカと同じようにインチやフィートを使用しています。

また、「炭酸飲料」はアメリカ英語では “soda”、イギリス英語では “fizzy ”と言いますが、カナダ英語では “pop” という単語が使用されていて、3種類の英語で違う単語が使われています。

違いはそれぞれありますが、基本的には「これを間違って使ったからと言って通じない」ということはあまりありません。意識しすぎなくても大丈夫です。

カナダ英語特有の表現

ここからは、アメリカ英語とイギリス英語とはまた違う、カナダ英語特有の表現がいくつかあるのでご紹介します。

“~,eh?”

「~だよね?」「そうじゃないの?」というような表現をするとき、カナダ人はよく “~,eh?” という表現を使います。学校では “aren’t you?” “don’t you?” と習ったはずの表現です。

知らずに “eh?” と言われると、日本人からすると相手が怒っているような失礼な感じに聞こえてしまうかもしれませんが、カナダ特有のくだけた表現だということを覚えておきましょう。アメリカで同じような表現としてよく使われる”right?”も、同様にカナダで使われることももちろんあります。

トイレを表す言い方

トイレを表す単語はカナダ・アメリカ・イギリスでそれぞれ違います。カナダ英語では “washroom” という単語を使うことが一般的です。日本語の「お手洗い」をそのまま訳したような表現で、日本人にとって理解しやすいですね。

アメリカでは “bathroom” が使われます。家のトイレに関しては、カナダはユニットバスが基本なため、こちらは “bathroom” で通じるのですが、シャワーがついていない公共の場で “bathroom” を使うとカナダ人は違和感を覚えるようです。

イギリスでは “public toilet” “lavatory” が使われます。他にも、細かいカナダ特有の表現はありますが、日常で使う頻度の高い表現としてはこの2つです。

まとめ

今回はアメリカ英語、イギリス英語と比較したカナダ英語の特徴をご紹介しました。

これだけ違いがあると、「カナダに行ったら今までの英語は通じないんじゃないかな…。」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、心配は不要です。ここまでで何度かお伝えしていますが、カナダ英語はアメリカ英語とイギリス英語が混ざった英語です。基本的にはニュートラルで、英語が第一言語でない方にもわかりやすいものと言われています。

それに、同じ「英語」であることは変わらないので、多少使う単語を間違えたとしても全く伝わらないということはありません。とは言っても、カナダ英語の特徴を知った上でカナダに行くと、今まで気づけなかった言葉の違いに気付ける面白さもあるかと思います。

カナダに行った際には、少しだけ使われている言葉に注意を向けてみてください!

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