「Do not」と「Don't」の違いは?意味と正しい使い分けを覚えよう!

「Do not」と「Don't」の違いを知っていますか?「Do not」の短縮形が「Don't」。そう学校で習いますね。ですが、口語となると、ニュアンスが変わってきます。

どう違ってくるのか、「does not」と「doesn't」も含めて、勉強してみましょう。

「Do not」を使ったときのニュアンス

詳しく見る前に、軽~く英文法をおさらいしておきましょう。以下の違いは、すでに明瞭でしょうか?

主語(I, We, You, They)+ don’t

I don’t watch TV.
私はTVを見ません。

主語(It, he, she)+ doesn’t

He doesn’t watch TV.
彼はTVを見ません。

Don’t + 動詞
Do not + 動詞

Do not watch TV.
TVを見るな。

主語が省略されている場合は、日記やスケジュールなどの一部を除いて、命令形となります。

さて、口語では、何度も何度も出てくる言葉を省略したり、短縮したりします。どの表現もスラング、俗語というよりも、日常会話で使われている表現です。

「want to」→ 「wanna」
「going to」 → 「gonna」
「will not」 → 「won’t」

「don’t」も同じで、「do not」と2語にしないで1語にすれば、短くて済みます。では、あえて2語で表現すると、どんな違いが生じるのでしょう?

答えは、「強調」の度合いです。

I don’t watch TV.
こちらは普通に「TVは見ないよ」とか「あまり見ないかな」といった感覚です。

I do not watch TV
2語に区切った上に、NOTまで強調して言うと「本当に見ないんだよ」くらいの強さになります。

同じ否定でも、「Never」は「決して~しない」と訳されるほど全否定します。ですので、「I never watch TV.」というと「(今もこれからも)TVは決して見ない」という強いニュアンスになります。

それに対して「I do not watch TV.」は、「(決して見ないってことはないけど)ほぼほぼ見ないんだよね」くらいの感覚です。

「want to/wanna:~したい」を加えると、その意図がはっきりします。

I don’t wanna watch TV.
TVは見たくないかな。
I do NOT wanna watch TV.
TVは見たくないんだってば!

英語でドラマや映画を見るときには、どこでNOTを強く言っているのか、注意して見てみましょう。「こんな風に言うんだな」など、新たな発見があるかもしれませんよ。

「Do not」がよく使われるシーン

◆平叙文の中の「Do not」

省略しない形が好まれるのは、フォーマルな場面です。

主に公の場、演説や講演など、大勢の参列者や視聴者がいる場面です。しっかりと否定していることを分かってもらうために、2語に分けて話します。

オバマ元大統領の演説から。

People tell me around the world when I travel, developing nations, they do not just want aid, they want trade.
私が旅に出ると、世界中の人々にこう言われます。開発途上の国々は、ただ支援を望んでいるのではなく、貿易を望んでいるのだと。

実際に聞いてみると、NOT だけトーンが高めに聞こえます。

また、パソコンのクリーニングを紹介するYouTubeでは、

We recommend that you do not use chemicals since these can damage plastics.
化学薬品はプラスチックを傷めることがあるため、化学薬品を使わないことを勧めています。


「We recommend that 主語+述語」は「~することを勧める、推奨する」という意味です。ここでの「since」は、「~なので」という理由を表します。

「化学薬品は使わないように。プラスチックを傷める可能性があるから」ということです。

これが一般的な会話や口語になると、強い否定を表すことになります。つまり、普通に「~しない」ではなく、それを強調した「~しないんだってば」や「絶対に~しない」というニュアンスになります。

I don’t wanna talk to you now.
いまは、あなたと話したくない。
I do not wanna talk to you now.
いまは絶対にあなたと話したくない。

聞く側にはこのくらいの違いがありますので、使い方に注意しましょう。

「doesn’t」と「does not」についても、同じことが言えます。

He doesn’t know the company.
彼は、その会社のことを知らないよ。

He does not know the company.
彼は絶対にその会社を知らない。

また、論文や正式な文書にも「do not」が用いられることも覚えておきましょう。

◆命令文としての「Do not」

一般的に見かけるのが、禁止事項です。

DO NOT ENTER
立ち入り禁止
よく建物の入り口などで見かけます。

DO NOT DISTURB
起こさないでください

ホテルのドアに掛ける掲示ですね。本来の意味は「邪魔をしないで」ですが、ホテルでは「就寝中につき、起こさないでください」という意味になります。

DO NOT SMOKE
禁煙
公共の場所ではよく見かけます。

DO NOT PARK
駐車禁止

この「Park」は(車を)停めるという意味の動詞です。駐車をすると邪魔になる場所に、よく掲示されています。

「Don't」を使ったときのニュアンス

◆平叙文の中の「Don’t」

いわゆる否定ですので、会話の中でごく普通に用いられます。

A:Hey, it’s already 7pm. We got to catch the train.
B:I don’t wanna go home

A:もう7時だ。電車に乗らなきゃ。
B:家に帰りたくないな。

楽しい時間はあっという間。もう家に帰る時間だ……だけど、まだ帰りたくない。そんな気持ちを素直に表現しています。

A:Can you tell me the arrival date of the products?
B:Unfortunately, we don’t know when we can get them due to the delay of transportation.

A:商品の入荷日を教えてもらえますか?
B:残念ながら、輸送が遅れているため、いつ入手できるか分かりません。

新型コロナの影響で、様々な輸送機関などに遅れが生じました。外的な要因=輸送の原因によっていつ入手できるのか分からないと、さらりと言っています。

◆命令文としての「Don’t」

「Do not」ほど強調している訳ではありません。しかし、口語の中での命令ですので、場合によっては強く感じるかもしれません。

A:Mom, I wanna drive this car!!
B:Don’t be silly!

A:ママ、このクルマ、運転したい!
B:冗談を言わないの!

大人が子供をたしなめる時によく用いる表現です。「Silly」は「馬鹿な、愚かな」を意味する形容詞です。

「Don't」がよく使われるシーン

会話の中で使われる「don’t」は、ごく普通の否定です。

A:Sorry, I have missed the shot.
B:You don’t need to say sorry.

A:シュートをミスしてごめん。
B:謝らなくていいよ。

「don’t need to 動詞」 で「~する必要がない」と表現できます。直訳すると「ごめんなさいと言う必要はない」ですが、「謝らないで」とやさしく言っています。

A:Should I move this box to the outside?
B:You don’t need to do that job.

A:この箱を外に出しますか?
B:その仕事はやらなくていいよ。

直訳すると、「あなたはその仕事をする必要はない」です。こちらも「やらなくていいよ」という感覚を表せます。

単数に用いる「doesn’t」も見ておきましょう。

A:Elton’s mother is from France, right?
B:Yeah, but he doesn’t speak French.

A:エルトンのお母さんは、フランス出身だよね?
B:そうだけど、彼はフランス語を話さないよ。

あえて「does NOT」にすると、

Yeah, but he does NOT speak French.
そうだけど、フランス語はぜんっぜん話さないよ!

このように強調されることを覚えておきましょう。

短縮形にするとニュアンスが異なる他のフレーズ

先ほど出てきた表現を振り返りましょう。
「want to」→ 「wanna」
「going to」 → 「gonna」
「will not」 → 「won’t」

このあたりの表現は、口語としてごく一般的に使われていますし、スラングに属するものでもありません。また、「want to」と言っても「wanna」と言っても、意味は変わりません。

注意したいのが、「Can not」と「Can’t」、「Cannot」です。会話の中で主に使われるのは「Can’t」です。

A:Would you like to join the half marathon next month?
B:Oh, no, I can’t run that long distance!

A:来月のハーフマラソン、参加しませんか?
B:いや、無理です。そんなに長い距離、走れません。

この中の「that」は、「そんなに」や「それほど」を意味する副詞です。この場合は「そんなにも長い距離」と距離を強調しています。

A:Why was Emily angry at the station?
B:She can't stand people who smoke in public places.

A:エミリーはなぜ駅で怒ってたの?
B:彼女、公共の場所でタバコを吸う人に耐えられないの。

「can’t stand ~」は、「~」の部分に人や物などの対象物が入り、「~に耐えられない;~に我慢できない」という意味になります。

省略形の「Can’t」は、フォーマルな文章には適していません。例えば、これから取引きを始める会社の担当者と直接会って、話し合うことになった時には、

We cannot wait until the meeting that day.
その日のミーティングが待ち遠しいです。

直訳すると「その日のミーティングまで待てない」となりますが、実際には「待ちきれない、待ち遠しい」といった意味になります。

また、メールなどの文章の中では、「not only A but also B」 などのフレーズで「can not」と分けて書くことを、覚えておきましょう。

「not only A but also B」:AだけでなくB

The car dealer can not only sell used cars but also repair them.
そのディーラーは、中古車を売るだけでなく、修理もできます。

正しいニュアンスを覚えて使い分けよう!

いかがでしたか?「Do not」と「Don't」は、ただ短縮したかどうかの違いだけではなく、強調を意味することも分かっていただけたと思います。

最初は慣れるまで時間がかかるかもしれません。でも、音や発音にも注意しながら、たくさんの例文に触れたり、自分でも例文を思い浮かべることで、次第に慣れてくると思います。
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