日本語の「微妙」に最も近い意味を持つ英語は、ズバリ”iffy”でしょう。
しかし、日本語の「微妙」が持つ意味は幅広く、常にiffyに言い換えられるわけではありません。
また、iffyは比較的カジュアルな言い方でもあるので、例えばビジネスの場面や書面では使わない方がよいでしょう。
一方で、日本語への直訳が「微妙」とはならないけれども、似たような意味を表す英語表現も多くあります。
それぞれを例文を交えて、どのような場面で使うべきかを解説していきます。
iffy
先ほど述べたように「微妙」を表す英語で、最も意味が近いのは”iffy”でしょう。
しかし、iffyはかなりカジュアルな言葉なので、使い方には注意が必要です。親しくない人に対して、あるいは書面で使うのは避けましょう。
iffyは「もし」の”if”に”y”がくっついて形容詞化したもので、「未定」であることを表し、”I’m iffy about doing ~.”で「~するかどうか微妙」となります。
また、「良くない」、あるいは具体的に「体調が良くない」を表すこともあります。
”I’m iffy about doing~.”=「~するかどうか微妙。」
早速ですが、例文を交えて使い方を見ていきましょう。
- I’m iffy about going for a drink tonight.
(今日、飲み会に行くかは未定です。)
=(今日、飲み会に行くか微妙。)
「もし、今日飲みにいったら明日が辛いな。」とか「もし、今日飲みに行ったら当分節約生活だな。」と、様々な”if”を考える様子を表しています。
人を主語に取り「決めていない」という意味になるため、”It’s iffy”とは言わないので注意しましょう。
また、worry aboutやcrazy aboutなどのようにaboutと一緒に使われます。
「微妙」=「最良ではない」=「良くない」
そもそも日本語の「微妙」の「妙」は、「巧妙」や「妙案」のように「良い」という意味があります。
したがって「微妙」は「かすかに良い」ということになるのですが、これは文脈によっては「最良ではない」=「良くない」というニュアンスを表すことがあります。
例文を見てみましょう。
- I have a soccer match today, but the weather is iffy now.
(今日サッカーの試合があるけど、天気が微妙だ。)
- I tried a popular sweet, but it tasted iffy.
(流行りのスイーツを食べたけど、微妙だった。)
- Honestly, the film you recommended to me was kind of iffy.
(あなたが薦めてくれた映画、正直微妙でした。)
※kind of: 多少、ちょっと
Yes and no
ここからは「うーん、ちょっと微妙かも」というような時の「微妙」を表す英語表現についてご紹介していきます。
まずは、”Yes and no”です。
これは「そうとも言えるし、そうでないとも言える」「どちらとも言えない」というニュアンスです。
単にどちらとも言える場合にも使えますが、相手の言っていることを一部認めつつ、本心はNoの時などにも使えます。
後者の例を見てみましょう。
·友人と映画を観た後に、「面白かったね」と言われて「うーん、微妙」と答える時
- That film was so amazing, wasn’t it?
(すごく面白かったね!)
- Well, actually, yes and no. The CG (Computer graphics) was amazing, but the story wasn’t.
(うーん、微妙かなぁ。CGは凄かったけど、ストーリーはそうでもなかった。)
特に理由などを説明せず、「まあまあかな」「悪くなかった」のようなニュアンスを伝えたい場合には、
- It was OK.
- It was alright.
と言うこともできます。
Not really
“Yes and no”と同じく、相手の言っていることを間接的に否定する、という意味では”Not really”も似たような使い方ができます。
上の映画の例で言えば、
- That was amazing, wasn’t it?
(すごく面白かったね!)
- Well, not really.
(いやー、微妙だったなあ。)
と、ほぼ同じニュアンスを表します。
“Not really”は言ってみれば、柔らかい”No”で、はっきりと否定するのが憚られる場合に使われます。
「映画、面白かったね!」と言われて、”No”と言えば「面白くなかった=つまらなかった」となりますが、一方で、”Not really”の場合は、
- It was NOT REALLY amazing.
で、
[Not] [REALLY amazing]
↓
[REALLY amazing]ではない
↓
凄く面白いわけではない
となります。
意訳としては、「あなたが言うほどではない」や「そうでもない」に近いかもしれません。
It’s hard to say
“Not really”よりも間接的に「自分はそう思わない」ということを表せるのが”It’s hard to say”です。
- That was amazing, wasn’t it?
(すごく面白かったね!)
- It’s hard to say.
(うーん、なんて言ったらいいかな。)
ここでのhardは難しいという意味なので、直訳すると「言うのが難しい」となります。
「微妙」という言葉自体には直接結びつきませんが、「うーん、なんて言ったらいいかな」のような使い方ができます。
ここまで、「はっきりとは言えないけど、そうではない」というニュアンスを表す「微妙」について見てきました。
表現の直接度は、
No > Yes and no, not really > It’s hard to say
となっています。
ちなみに、”It’s hard to do ~”は、文字通りの意味で「~するのが難しい」という使い方もできます。
subtle
辞書で「微妙」を引くと、”subtle”が候補に出てくるかもしれません。
確かにsubtleは微妙という意味を表しますが、必ずしも全ての文脈で使えるわけではありません。
例えば、”iffy”の項目で見たスイーツの場合に、
- I tried a popular sweet, but it tasted “subtle”.
と言うと、「味が微妙だった」というよりは「味が薄かった」となります。
これはsubtleが「一見して分かりにくい、気づきにくい」というニュアンスを持っているためです。
他には、
- Honestly, the film you recommended to me was kind of “subtle”.
は、
「正直に言うと、あなたが薦めてくれた映画はちょっと分かりにくかった。」
となり、日本語の「微妙」とは少し異なる意味となります。
このように、これまでに見た「微妙」を表す英語のフレーズとは少し異なり、「一見して分かりにくい、気づきにくい」、または「微妙な、微妙に、かすかに」を意味します。
次の例を見てみましょう。
(その2つのバージョンには微妙な違いがあります。)
この例と同様に、多くの場合、subtleは「わずかな」と訳すことができます。
また、「良い」という意味で「巧妙な、巧みな」を表すことがあるので注意してください。
例えば、
- We may have to tackle this problem with another subtle plan.
(我々はこの問題に対して、他の巧妙なプランを用いて取り組むべきなのかもしれない。)
※tackle: (問題などに)取り組む
ここでは、“A subtle plan”は「微妙なプラン」や「分かりにくいプラン」ではなく、「巧妙なプラン」という意味です。
slight/slightly
”slight”は“subtle”とほとんど同じような使い方ができます。
単に量が少ない、程度が小さいということを表し、
- I’ve been experiencing a slight headache since I got up this morning.
(今朝起きた時から微妙に頭が痛い。)
また、副詞のslightlyを使って、
- The train has been slightly delayed.
(電車が微妙に遅れている。)
のように使うこともできます。
ただし、一般的な日常会話では「少し」「多少」を表す
·a little
·a bit
·kind of
unclear
最初の”Iffy”で見たように、なんらかの予定について自分の意思をまだ決めていない時にも「微妙」という言葉が使われることがあります。
- I’m iffy about going for a drink tonight.
(今日、飲みに行くか微妙。)
一方で、自分の意思とは関係なく、将来的にどうなるか分からない状況で「微妙」というニュアンスを表したい時には”unclear”を使うと良いでしょう。
“unclear”は[un]+[clear]で、「不確かだ」を意味します。
例えば、
- It’s unclear whether he’ll be in time for the test.
(彼がテストに間に合うかは不確かだ。)
=(彼がテストに間に合うかは微妙だ。)
のように使うことができます。
in doubt
上の”unclear”と似たような用法で使えるのが”in doubt”です。
こちらは”doubt=疑う”で、日本語としては「疑わしい」という訳の方が近いかもしれません。
例文を見てみましょう。
- It’s in doubt if I can catch the train.
(電車に間に合うかどうか疑わしい。)
=(電車に間に合うかどうか微妙だ。)
この場合、日本語で受ける印象の通り、”in doubt”の場合、「駄目かもしれない」というネガティブな予測が含まれています。
なお、単に”I doubt if ~.”と言うこともできます。
ちなみに、もし「微妙に」遅く到着し、電車に間に合わなかった場合は先ほどの”slightly”を使って、
- I was slightly late to get on the train.
(電車に乗るためには、微妙に遅かった。)
と表現できます。
controversial
”controversial”は直訳すると「物議をかもす」となりますが、「白黒つけられない」という意味で「微妙」を表すことがあります。
※controversy: 議論→controversial: 物議をかもす
例えば、スポーツにおける「アウトか、セーフか」「ファウルか、そうでないか」などの物議をかもす「微妙な判定」は”a/the controversial call”と言うことができます。
awkward
今まで見てきたように日本語の「微妙」が表す範囲は非常に広いですが、会話でよく使われる用法として「微妙な空気」があると思います。
そして、この場合の「微妙」は「気まずい」と言い換えられ、次のように言うことができます。
- The atmosphere got awkward as soon as he brought it up.
(彼がその話題に触れた途端、気まずい空気になった。)
=(彼がその話題に触れた途端、微妙な空気になった。)
※awkward: ぎこちない、不器用な、やっかいな
※bring up: 話題に上げる
uncomfortable
”uncomfortable”は「居心地が悪い」と訳されることが多いですが、上の”awkward”に似たニュアンスを表せる言葉でもあります。
- We felt uncomfortable because he started talking about the topic.
(彼がその話題について話し始めたので、居心地が悪くなった。)
=(彼がその話題について話し始めたので、微妙な空気になった。)
まとめ
冒頭で述べたように、日本語の「微妙」に最も近いのは”iffy”です。
あれもこれも色々な”if”を考えていて、意見がまとまっていない様子を表し、”I’m iffy about doing ~.”で「~するかどうか微妙。」と表現できます。
ただし、
·カジュアルな表現なので、使う相手/場面を選ぶ
·必ずしも日本語の「微妙」全てに対応するわけではない
という2点について、注意が必要です。
例えば、”an iffy difference”と言うと日本語の「微妙」の意味にならないため、「微妙な違い」と言いたい時は”a subtle difference”とすべきです。
このように、
·何が「微妙」なのか
·なぜ「微妙」なのか
を考えて、適切な英語の単語や表現を選ぶことが重要です。

東京出身·在住のSaMと申します!大学では哲学を専攻し、スポーツ関係の職に就くも、アイルランドへの語学留学を決意し退社。帰国後、Cambridge英検 FCE、TOEIC920取得。国際的な英語教師の資格であるCELTA、そしてTOEIC990の取得を目指し、現在もNative Campで英語学習を継続中。英語教師・日本語教師・翻訳家・カレー屋さんのパラレルワークを実現すること、そして小説家になるのが夢です!

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.