ネイティブに“おっできるな!”と思わせる四字熟語と慣用句

Chinese

中国語は習得が特に難しい言語と言われています。もちろん簡単に習得できる言語なんでありません。

どんな言語であっても習得しようと思えば努力しなければなりません。皆さんは中国語が特に難しいと言われている理由はなんだと思いますか?

発音などの音声をマスターすることでしょうか?それとも日本語と異なる文法でしょうか?

実はどちらでもなく、四字熟語と慣用句がとても多いことです。中国語を学習していき、中級くらいになった段階で基本的な日常会話は不自由なく話せるようになります。

しかし、四字熟語はいわば上級中国語に当たるので中国を話せる。ということと四字熟語を使いこなせるということは全く別の話です。

四字熟語を習得するメリットは?

複雑な四字熟語や慣用句を覚えていかなければならないと考えると気がめいってしまうかもしれませんね。

でも、これらの四字熟語と慣用句を少し覚えておくと中国の方との会話にとても有利になるんです。

しかも、日本人の私たちが会話の中で突然四字熟語を言い出したらネイティブの方もびっくりするでしょう。

「おっ!この人は中国をわかっているな!」 という印象を与えることができます。中国の方はこの四字熟語に誇りをもっています。

そもそも漢字というもの自体が中国独特のものですし、その中国語の特性をいかんなく発揮して、複雑な意味を4つの漢字にきれいに収めた四字熟語というものは中国の方の歴史であり、文化であり、象徴であり、なくてはならないアイデンティティなのです。

そんな四字熟語を外国人が使いこなすということ自体が中国の方に対するリスペクトなのです。

中国語の表現力を高めていくためにもぜひ参考にしてみてくださいね。

成語を制する者は中国語を制す!

そういうわけでこの記事では中国語の四字熟語と慣用句を紹介していきます。

「そんなに難しいこと言われてもわからないよ~」 と思われるかもしれませんが、どうぞご安心ください。

ここではまず日本語でよく使われる四字熟語やことわざなどから解説していきますので簡単にイメージすることができますからね。

そうそう、それから中国語で四字熟語のことは“成语”と言います。以下四字熟語とは呼ばず成語と表記します。

急がば回れ=欲速不达 ピンイン:yù sù bù dá

この急がば回れは私たちもよく使いますよね。意味は急いで何かを行おうとして危険な近道を行くよりは、遠回りであっても安全な道を行く方が得策であるという意味ですね。中国語の欲速不达も同じ意味です。

四面楚歌=四面楚歌 ピンイン: sì miàn chǔ gē

この言葉の意味は周りが敵ばかりで、孤立していて全く助けがないことです。誰でも自分が孤立してしまっているように感じることはあるものです。そんな時に使うと良いでしょう。

余談ですが、この四面楚歌という言葉の由来は、その昔楚の項羽と漢の劉邦が戦争をしていた時に追い詰められた楚の軍隊を降伏させるために漢の軍隊が楚の故郷の歌を歌ったことからきているそうです。

実際には漢の兵士が楚の歌を事前に練習していたそうなのですが、その歌を聞いた楚の兵士が大部分の仲間が漢に降伏してしまったと思い、戦意喪失して脱走していくという話です。

このように中国語の成語には歴史と深い関りのあるものもあるんです。

中国の方にとって成語はその何千年という長い歴史が生み出した“作品”なんですよね。

成語を知るために辞書や辞典を調べるのも良いですが、こんな風に歴史の角度から言葉の由来を調べていくとより楽しく習得できますよ。楽しい方が効果も上がりますしね。

心ここにあらず=心不在焉 ピンインxīn bù zài yān

この表現もよく使用するのではないでしょうか。

体はそこにあっても心はどこか別のところにある、集中していない、何か別のことを考えている、というような状態を指す言葉です。

デートのときなどに相手が自分を見てくれず、何か他のことをずっと考えていると何かと気になりますよね。そんな時にピッタリ当てはまるのがこの“心不在焉”です。

誠心誠意=诚信诚意 ピンインchéng xīn chéng yì

「誠心誠意真心を尽くしておもてなしします」などと言うことがあります。

主に接待やもてなしをするときに用いる表現ですね。中国語でも意味は同じです。

相手の人に自分の誠意をわかってもらいたいときにはこの表現を使うと良いですね。

知らず知らずに=不知不觉 ピンインbù zhī bù jué

この表現もよく使いますね。

日常生活においてはなにか特別に意識していないのに特定の行動をとってしまうことがあるものです。

訳が分からない=莫名其妙 ピンインmò míng qí miào

「まったくもって訳が分からない」と言いたくなるようなことってありますよね。

中国語ではそんなニュアンスもちゃんと4つの漢字で表現する頃ができるんです。

ちょっと考えてみてください。もし外国人が 「まったくもってチンプンカンプンだ」 と言い出したらどう思いますか?

「“チンプンカンプン”という言葉まで知っているのかこの人は!」 とびっくりしますよね。

こうした表現を用いることで「この人、やるな」と思っていただくことができます。

さて、次ですが少し角度を変えて紹介したいと思います。

青梅竹马 ピンイン qīng méi zhú mǎ

意味ですが、幼馴染の男女という意味です。この言葉で注意したいのが幼馴染とも竹馬の友とも全くの同義語ではないというところです。

日本語で幼馴染と言った場合、小さいころからの知り合いで一緒に大きくなったという意味です。

この場合は同性、異性を問いません。

竹馬の友という表現も読んで字のごとく「ともに竹馬にのって遊んだ友達」という意味があり、やはり性別を問いません。

青梅竹马の場合は幼馴染の男女に限定されます。

私も以前この違いが分かっていなくて中国人の幼馴染の男性2人に「あなたたちは青梅竹马ですね。(你们是青梅竹马)」と言ったことがあるのですが、即答で青梅竹马は異性に対してしか使いませんという返事が返ってきました。

この違いも覚えておきましょうね。

走马观花 ピンインzǒu mǎ guān huā

直訳すると馬を駆って花見をするという意味になります。

もう少しわかりやすく言いますと、そもそも花見というものは時間をかけてじっくりと鑑賞するもの、それを馬を駆ってみるだけでは十分に鑑賞することができないということです。

表面をサラッとみて終わるということですね。

さて、この走马观花ですが、中国語を勉強する方にはぜひ覚えてほしい言葉です。

なぜかと言いますと言語を勉強するときにありがちなのですが、早く上達したいという気持ちが強すぎて自分の進歩に満足できないという状態に陥ってしまうのです。

もちろん早く上達できればそれに越したことはありませんが、そもそも言語を習得するということは一両日でどうにかなるものではありません。

“終わりのない旅”とも言われています。

上達しようと焦って苦しみながら勉強するよりは、自分の進歩をかみしめながら楽しく一歩一歩進んでいった方がストレスも少ないですよね。

なのでぜひ、じっくり花見をするかのように毎回の勉強の機会を楽しんでいってくださいね。

人は笑っているときが一番学習効率が良いとも言われています。

また、成語ではなくてもある事柄を形容するのに漢字四文字で表現したりします。

例えば

食在广州

という言葉があります。広東省の広州の人は食にとてもこだわるので“食は広州にあり”というニュアンスを表現したものです。ただ、この言葉には前後の文脈が存在していて

生在蘇州、穿在杭州、食在広州、死在柳州,

shēng zài sū zhōu,chuān zài háng zhōu ,shí zài guǎng zhōu,sǐ zài liǔ zhōu

と言ったりするそうです。

江蘇省の蘇州で生まれて盛大なお祝いをしてもらい

杭州の上等な織物を羽織り

広州の美食を楽しんで

柳州の上質の木材で作った棺桶で死ぬ

ということが理想の一生であるということです。

中国語の試験で出ることはないでしょうが覚えておくと中国の方の物の考え方と各地の特色を理解できます。


ここで少し余談!

下記記事では、中国語の動詞の使い方を例文を交えて分かりやすく解説しています!文法をしっかり押さえて中国語学習を効果的に進めていきましょう♪♪

nativecamp.net


慣用句編

ここまでは四字熟語、つまり成語について紹介しましたが、次は慣用句について紹介します。

慣用句ですと成語より漢字が多いので覚えるのが大変と思うかもしれませんが、一つ一つの漢字の意味をじっくり考えていくとイメージしやすいです。

イメージできればほぼ習得したようなものです。

また、韻をふんでいたりするので発音してみると“気持ちいい”“しっくりくる”感じがします。

慣用句もやはり中国文化が生み出した作品なんですね。

朱に交われば赤くなる=近朱者赤近墨者黑ピンインjìn zhū zhě chì, jìn mò zhě hēi

朱色が混じれば当然赤くなるように人は自分の接する人から影響を受ける、善悪の価値観が感化されるという意味ですね。

もともと中国からきている言葉です。

ぱっと漢字だけ見てみると「うわっ、時数多いなぁ」と思うかもしれません。

でも、ここは走马观花しないでじっくり見てみてください。

よく見ると前半部分の4つの漢字と後半部分の4つの漢字を分けることができることに気づかれるでしょう。

実は、この慣用句、4x4=8で成り立っていて韻を踏んでいるんです。なので、実は覚えやすくて発音しやすかったりします。

近朱者赤:日本人であれば漢字をみて意味を読み取れますね。近、つまり近づく。何に?朱色に。朱色に近づく者はどうなる?赤くなる。ということです。

近墨者黑:近、つまり近づく。何に?墨に。墨に近づく者はどうなる?黒くなる。ということです。

しかも“近”と“者”がそれぞれ前半と後半に一回ずつ出てきています。韻を踏んでいるわけですね。

他にも

当局者迷,旁观者清 ピンインdāngjúzhěmí pángguānzhěqīng

という言葉もあります。

当事者には事の真相が見えていなくても周りの人にはわかるものである、ということです。

実際自分の事って自分ではあまり見えていなくて他の人の方がはっきり見えているということがありますよね。

この言葉も4x4=8の形式で成り立っていて覚えやすく、かつ言いやすくなっています。前半部分と後半部分にそれぞれ“者”という感じがあり、韻を踏んでいます。


ここでまた少し余談!

下記記事では、”食の観点”から中国語を学ぶ方法をご紹介しています!気分転換にこういった違う角度からも勉強してみましょう♪♪

nativecamp.net


最後に

今回は中国語の難易度の高い成語と慣用句を紹介しました。

ちょっと難しいと思われたかもしれませんが、覚えやすいものからでよいので覚えていきましょう。

今回紹介できなかったものでも沢山私たちになじみやすいものがあります。

中国語の学習の際にはぜひ成語と慣用句にも注目してみてくださいね。加油!!