英語の「能動態」ってなんのこと?

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「受動態」という文法用語は、英文法を学ぶ際に聞いたことがあるでしょう。

受動態の作り方や用法は、中学英語から高校英語までみっちりと勉強するため、多くの人が理解しているのではないでしょうか。

また、英語から離れていた人も「やり直し英文法」など英語学習を再開するときには、必ずと言っていいほど解説ページがありますよね。

では「能動態」はどうでしょうか。

そこで今回は能動態とはどういうものなのか、受動態との関係を例文も交えながらご説明していきます。

 

 

実は誰もが能動態の文章をよく見ている!

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冒頭でも話した通り、受動態については学生時代に何年もかけて勉強するため、多くの人が覚えているかと思いますが、能動態について聞かれたら悩む人も出てくるかもしれません。

そんな能動態ですが、実はとても簡単なんです。

なぜなら、英語を少しでも勉強したことがあるみなさんは、必ずこの能動態の文章をよく見ているからです。

「能動態」と聞いて文章をパッとイメージできない人も、単に文法用語として「能動態」という言葉を覚えていないか、何のことだったか忘れているだけなんですね。

ですから能動態について、深く悩む必要はありません。

「能動態」という存在を意識する時といえば、受動態の学習の際にその対となる存在として紹介された時くらいでしょうか。

ちなみに誰もが耳にしたことがあり、意味もわかっている下記の文章も能動態です。

 

I study English.
(私は英語を勉強します。)

 

非常に単純な英語の文章ですよね。なぜこれが「能動態」なのかよくわからない人もいるでしょう。

では一体能動態とはなんのことなのでしょうか。

 

英語における能動態ってなんのこと?

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英語における能動態とは、受動態ではない文章のことです。受動態とは受身形の文章です。ここでは受動態について深くご説明はしませんが、主語が受け身の立ち場になる文章が「受動態」なんです。

そして能動態とは、主語が動詞の動作や行為を自分で行なっていて、受け身の立ち場にはなっていない文章のことです。

つまり、文の先頭に来る名詞や動詞の目的語が何であろうが、助動詞の有無や、肯定文なのか否定文なのか、時制は何なのかなどは関係なく、受け身かそうでないかがポイントなんです。

 

それで言うと、世の中に溢れている英文章の多くが「能動態」なんです。ちなみに英語で能動態は“active voice”言います。

“active”には「活発な」「積極的な」「能動的な」という意味があり、主語が受け身の立場になる受動態とは異なり、主語が主体となって行動を行なっている様子をイメージすることができますね。

ではここからは能動態の例文をみていきましょう。
下記の文章はすべて能動態です。

 

I speak Japanese.
(私は日本語を話します。)

She uses the dictionary.
(彼女は(その)辞書を使います。)

I borrowed his book.
(私は彼の本を借りました。)

His attitude impressed me a lot.
(彼の態度は私を感動させました。)

My mother made me sad by her lie.
(私の母は嘘をついて私を悲しませました。)

My friend called me late at night.
(私の友達は夜遅くに電話をかけてきました。)

She always travels everywhere.
(彼女はいつもあちこちに旅をしています。)

She explained the history of the town.
(彼女は町の歴史について説明をしました。)

I have told him that he had dropped something.
(私は彼に、彼が何かを落としたことを告げました。)

 

どうでしょうか。すべての文章で、主語が動詞の動作を行っていますよね。

このように、能動態とはとても単純な文章です。主語+動詞の並びがあれば、能動態とみて間違いありません。

ここを見ているほとんどの人が、能動態の文章を作れるはずです。

先ほども少し触れましたが、能動態は主語が受け身になっていない文章というのがポイントで、現在形にも過去形にもなります。

最後の例文のように現在完了も可能ですし、過去完了、未来形でも能動態の文章はあります。

また、どんな前置詞も使えますし、that節やto不定詞も能動態の文章では存在するので、受動態のように時間をかけて学ぶものではなく、色々な文法や表現を学ぶうちに自然と身につくものになります。

 

ここまで説明をすれば、「能動態」という文法用語を忘れてしまっていた方も、能動態のことを理解できたのではないでしょうか。

大事なことなので改めて能動態のルールをまとめますと、
「主語となっているものが、動詞の動作を自ら行っている」
となります。

 

なぜ「能動態」が「受動態」に必要なのか

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先ほどから受動態と比較しているので、わざわざ言わなくてもピンときている人はいるかもしれませんが、受動態を学ぶ時に必要な理由を改めてご紹介します。

受動態を学ぶのに能動態が必要な理由、それは受動態を学ぶ際に、能動態になっている文章を受動態に書き換えたり、受動態の文章を能動態に書き換えたりという並び替え問題が出題されることが多いからです。

先ほどの例文から1つピックアップして、受動態を作ってみます。

 

【能動態】
His attitude impressed me a lot.
(彼の態度は私を感動させました。)

【受動態】
I was impressed a lot by his attitude.
(私は彼の態度に感動しました。)

 

日本語訳を見てみればわかる通り、この2つの文章は同じことについて説明をしています。

この2つの文章は単語の並び順が少し変わりますが、正しい英文です。

しかし主語が誰なのかという部分で、焦点を当てている部分が違うのですね。

また、すべての受動態は主語を変えて能動態に書き換えることが可能です。

逆を言えば、能動態に書き換えられなかった受動態は間違っていると言うことになるので、受動態を学ぶ上ではとても重要になってきます。

そして英語の先生がテストの問題に出す際は、書き換え問題として出題されることが多いですよね。

私の高校時代の英語の先生は、「受動態を能動態へ、能動態を受動態へ書き換えなさい。ただし、書き換えられないものはそのまま記載しなさい。」というような問題を出題していました。

 

私は学生時代は英語が大の苦手だったので、「能動態とは何か」ということを深く考えずに受動態をパズルのように考えていました。

(共感してくれる人がどれだけいるかはわかりませんが、語彙力も皆無だった私は、受動態の書き換え問題は、漢文を単語の意味がわからなくてもレ点や一二点などのルールに則り、パズルのように文字を入れ替えていくあの感覚でやっていました。)

 

そしてテスト当日、私は先生の罠にまんまと引っ掛かって書き換えられない文章もパズルのように書き換えてしまっため、たくさんのバツをいただきました(笑)

また、学生時代の私は「受動態なんて覚えなくても、全ての文章を能動態にすれば良い。」と思っていましたが、もちろんそういうわけにはいきませんよね。

なぜなら主語が変わることで、同じ状況についての説明でもニュアンスが少し変わるからです。

上記の能動態と受動態の例文の日本語訳を見ると、それがなんとなくわかるのではないでしょうか。

そういったニュアンスの違いを、受動態を学ぶ際にしっかり理解するためには、「能動態」というものがどういう文章なのかを理解しておく必要があるんですね。

ですから、こんなに単純な能動態で普段はあまり言及されない英語表現ではありますが、「受動態」を学ぶ際には盛んに出てくるのです。

 

能動態の疑問文について

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能動態の疑問文も非常に単純なものですが、受動態の疑問文を学ぶ際には、能動態の疑問文がきちんと作れないとなりません。

ですから最初に紹介した例文を、全て疑問文にしてみましょう。

まずは例を見てみてください。

 

(例)I speak Japanese.
→  Do you speak Japanese?(あなたは日本語を話しますか?)

 

この文章をそのまま疑問形にすると「私は日本語を話しますか?」と、とても不思議な質問になってしまうので、Iの部分はYouにして疑問文を作っていってみましょう。

解答は一番下に記載しています。

 

(1)She uses the dictionary.

(2)I borrowed his book.

(3)His attitude impressed me a lot.

(4)My mother made me sad by her lie.

(5)My friend called me late at night.

(6)She always travels everywhere.

(7)She explained the history of the town.

(8)I have told him that he had dropped something.

 

解答

(1)Does she use the dictionary?
(彼女は辞書を使いますか?)

(2)Did you borrow his book?
(あなたは彼の本を借りましたか?)

(3)Did his attitude impress you a lot?
(彼の態度はあなたを感動させましたか?)

(4)Did your mother make you sad by her lie?
(あなたのお母さんは彼女の嘘であなたを悲しませましたか?)

(5)Did your friend call you late at night?
(あなたの友達は夜遅くにあなたに電話をしましたか?)

(6)Does she always travel everywhere?
(彼女はいつもあちこち旅をしますか?)

(7)Did she explain the history of the town?
(彼女は町の歴史について説明しましたか?)

(8)Have you told him that he had dropped something?
(彼に何かを落としたことを告げましたか?)

 

どうでしょうか。

この問題を難しいと感じる人は、受動態の疑問文でも躓いてしまいます。逆に言えば、受動態を勉強する前には、この能動態の肯定文・疑問文ともに、しっかりマスターしておかなければなりません。

現在完了・過去完了が入るとなかなか難しいかもしれませんが、単純な現在形・過去形の能動態については、スラスラと文章を作れるようになっておきましょう。

 

まとめ

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今回は受動態の説明をする前置きとして、まずは能動態についてご説明しました。これがマスターできている人で、受動態はまだよくわからないという人は、これから受動態について学んでみてくださいね。

能動態の文章が作れない人は、まずは能動態をマスターすることから始めてみてください。

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