
オーストラリアへのワーキングホリデー(ワーホリ)は、給料が高くビザを手に入れやすいなどの理由があり、人気が高い渡航先です。
しかし、興味を持ったものの、どの程度の費用が必要になるのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、 オーストラリアのワーホリに必要な費用や情報について解説していきます。
学校なしの時の費用やできるだけ低予算に抑えた時の費用についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
- オーストラリアの基本情報
- オーストラリアのワーホリ制度について
- オーストラリアワーホリにかかる費用の全貌
- オーストラリアの最低賃金【2025年6月】
- オーストラリアではいくら稼げる?
- オーストラリアでかかる税金
- オーストラリアの物価事情
- 【滞在目的別】オーストラリアワーホリ1年間の費用
- オーストラリアでの生活環境とおすすめの5つの都市を比較
- まとめ
オーストラリアの基本情報
オーストラリアはオセアニアに位置する国家で、正式にはオーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)という表記です。
安全性が高く旅行・留学・ワーホリ先として人気なため、街中には日本人も多くいます。 気候や言語などを詳しく解説していくので、合わせてチェックしておきましょう。
地理・気候
オーストラリアは768万8,287平方キロメートルの広大な土地を持っています。
その大きさは日本の約20倍にも達するため、主要都市間の移動には飛行機が使われることも多いです。
主要都市部は沿岸沿いに栄えており、内陸部は砂漠地帯です。
また、都市ごとの気候も大きく異なり、北に行くほど気温は高くなります。北部のケアンズでは夏の平均気温が23〜31度、冬の平均気温が17〜26度と非常に暑く、一年を通して半袖半ズボンで行動する人を見かけるでしょう。
しかし、南部のメルボルンでは夏の平均気温が14〜25度、冬の平均気温が6〜14度となり、四季を感じやすい気候となっています。
人口・言語・宗教
オーストラリアの人口は約2,720万人(2024年6月時点)です。多民族国家ではありますが、キリスト教の人が43%、無宗教の人が38%と偏りがあり、日曜日には教会に集まる人もいます。
言語は英語で、オーストラリア特有のスラングが使われることも多いです。
例えば、カナダでは「Thank you」や「Sorry」に対して「No worries(気にしないで)」と返す人が多いです。
しかし、オーストラリアでは「All good(大丈夫だよ)」と返す人が多くなります(この時の2つの言葉の意味や使い方に大きな違いはありません)。
また、オーストラリア英語はイギリス英語がベースとなっているため、アメリカ英語よりはイギリス英語に近いです。
オーストラリアのワーホリ制度について
オーストラリアのワーホリ(ワーキングホリデー)では、最長で3年間の滞在が可能です。一般的なワーホリは最長で1年しか過ごせないことが多いので、より余裕を持った期間でワーホリを充実させたい人に人気があります。
以下はオーストラリアのワーホリ制度の主な情報です。
| 対象年齢 | 18~30歳以下 |
| 発給制限 | なし |
| 申請料金 | 650AUD |
| 滞在期間 | 1年(最大3年) |
| 就学期間 | 最大4ヶ月 |
| 証明資金 | 5,000AUD |
最初のビザ発給で12ヶ月分のワーホリ期間が与えられ、期間内で3ヶ月特定の仕事で働くと次の12ヶ月分を、さらに6ヶ月働くと最後の12ヶ月分を延長できます。
1年目をオーストラリアで過ごした後に国外へ出国し、後に国外から2年目を申請することも可能です。
また、学生ビザでは2週間で最大48時間しか働けない制限がありますが、ワーホリにこの制限はありません。フルタイムで働けるため、経済的な負担を抑えやすくなります。
オーストラリアワーホリにかかる費用の全貌
オーストラリアにワーホリに行く時に必要な費用の目安・相場を紹介します。
| 費用 | 金額の目安 |
| シェアハウスの宿泊費 (個室/週250~300AUD) | 9.5~12万円/月 |
| シェアハウスの宿泊費 (ルームシェア/週150~230AUD) | 5.5~9万円/月 |
| ホームステイの宿泊費 (週250~350AUD) | 9.5~13.5万円/月 |
| 食費 (自炊中心/週150AUD) | 6万円/月 |
| 食費 (外食中心/週400AUD) | 16万円/月 |
| 航空券 (片道) | 3.5~10万円 |
| ビザ申請費用 (650AUD) | 6万円 |
| 海外保険 | 0.5~2万円/月 |
| 学費 | 10~20万円/月 |
| 交通費 | 2万円/月 |
| 雑費・交際費 | 4万円/月 |
航空券代は目的地や時期などで大きく変化するため、早め早めにチェックしておくと良いでしょう。
食費は自炊をするかどうかで大きく変化します。オーストラリアの外食は非常に高く、お寿司1皿でさえ400円以上です。外食する時の物価は、基本的に 日本の4倍以上と考えておいてください。以下の項目では、オーストラリアワーホリにかかる各費用の詳細について解説します。
語学学校の費用
オーストラリアの語学学校では、週あたりの授業料が一般的に2万7千円~3万4千円ほどです。オーストラリアの語学学校はアメリカやイギリスより割安ですが、授業時間やコース内容、学校の立地により上下します。
また、オーストラリアの語学学校では一般英語コース・ビジネス英語・進学準備コースなど多様な選択肢があり、選ぶ内容で金額が変化します。
校外アクティビティや文化体験を含むパッケージを選んだ場合は、費用が大きく上昇するケースが多いです。
なお、長期期間の受講を予定する場合、学期割引や複数週契約による割引を使うと総コストを削減できます。
ホームステイ費用
オーストラリアでホームステイを利用する場合、滞在先や地域により1週間当たりの費用は約2万5千円から4万円前後が相場です。
シドニー・メルボルンなどの都市部ではやや高めの設定が多く2万8千円〜3万8千円程度が相場ですが、郊外や地方では2万5千円前後に収まるケースもあります。
ホームステイ宿泊費には朝食・夕食、光熱費、Wi‑Fiなどの生活費も含まれるのが一般的です。特に、週20時間以内の就労が許可されているため、アルバイトとの併用で滞在費の補填も可能となります。
ビザ申請費用
オーストラリアのワーキングホリデービザ(Subclass 417/462)の申請費用は650AUDで、日本円では約6万円前後です。
また健康診断や警察証明の取得が必要な場合は、当該費用も追加で発生する可能性があります。
海外保険費用
オーストラリアでのワーホリ期間中には、海外旅行保険への加入が事実上必須です。現地では日本の健康保険が適用されず、医療費は全額自己負担となるため、保険なしでは高額請求リスクがあります。
例えば、日本の保険会社が提供するワーホリ向け保険ではAIG損保で年間24万円〜30万円であり、補償範囲により年額が変動します。
プラン選びの際は治療救援費用無制限・携行品補償・個人賠償責任などを含む内容かを重視し、補償期間が滞在全体をカバーできるようにしましょう。
航空券
日本からオーストラリアへの往復航空券は、利用時期やキャリアによって価格に大きな差が出ます。ANA・JALなどではピーク時に往復で16万円~20万円程度、オフシーズンであれば8万円台も可能です。
一方、ジェットスターなどのLCCは片道2万円〜8万円と安価ですが、キャンセル・欠航のリスクや荷物追加料金があるため注意が必要です。
航空券代を抑えるにはセールや早期予約を活用してピークシーズンを避けることが有効で、年末年始や春休みを避けるだけで5万円以上の節約も可能です。
食費
オーストラリアでワーキングホリデーをする際、食費は節約の鍵となる重要な生活費項目です。自炊中心にすれば、スーパーのセール品や素材を活用して週100AUD〜140AUD(約9,500円〜13,300円)程度に抑えられます。
月に換算すると約4万円〜5万3千円のコストであり、パスタや米、季節の野菜をメインにすると大きく節約が可能です。外食を控え、週1回程度のランチ外食に留めれば、無理なく食費を抑えて満足度の高い生活ができます。
交通費
オーストラリアの交通費は地域や移動手段によって異なります。公共交通機関を利用するワーホリ滞在者を想定すると、週40AUD〜60AUD(約3,800円〜5,700円)が一般的です。
主要都市ではOpalカード(シドニー)やMykiカード(メルボルン)などのスマートカードが使われ、料金は以下が相場となります。
月単位で見ると160AUD〜240AUD(約15,200円〜22,800円)は予算として想定しておきましょう。なお、自家用車やレンタカー利用時には、燃料費・保険・駐車場などのコストも増加します。
オーストラリアの最低賃金【2025年6月】
オーストラリアの2025年7月1日からの全国最低賃金は時給24.95 AUD(週38時間で週給948 AUD)に引き上げられることが発表されました。昨年比3.5%の上昇であり、日本円に換算すると約2,520円/時、週給約95,600円となります。
今回の改定は消費者物価上昇率(2.4%)を上回り、実質賃金の底上げ効果を狙ったもので実際に低所得層約260万人が恩恵を受けると見られています。
生活水準改善と経済の安定のバランスを取った今回の政策は、コスト上昇に悩むワーホリ経験者にも直接影響しますので、予算計画に反映させておきましょう。
参考:Minimum wages increase 3.5% from 1 July 2025|Fair Work Ombudsman
オーストラリアではいくら稼げる?
ワーホリでオーストラリアに行く場合は、主に以下の3種類の雇用形態で働くことになります。
| フルタイム | パート | カジュアル | |
| 労働時間 | 週38時間以上 | 週20時間以下 | 不定期 |
| 最低時給 | 24.10AUD (約2,280円) | 24.10AUD (約2,280円) | 30.15AUD (約2,850円) |
| 特徴 | 安定した労働時間 有給がある | 安定して短時間労働ができる 有給がある | 高給だがシフトが不安定でクビになりやすい |
どの雇用形態で働くかは、応募した職種によって異なります。また、土曜日は時給が1.25倍、日曜日は1.5倍、祝日は2倍になる場合もあります。
同じ日本人でも給料には格差がある
オーストラリアでは、ファームで大金を稼げるという話を聞いてワーホリに来る日本人が多いですが、実際の給料には大きな格差があります。
働き手の飽和に加え雨季の影響もあり、稼げると評判のファームジョブでさえ週2で1日3時間しか働けない場合も多くありました。
しかし、自身で積極的に情報を集めて応募を続ける人は稼げており、ファームで月に50万円ほど稼ぐ人は程々にいます。
また、歩合制のファームでハイシーズンのみ働き、月に100万円稼ぐ猛者も稀にいます。都心部で働く場合は、行動力と英語力が採用率に直結しやすいです。
こちらも働き手の飽和によって年々採用されにくくなっていますが、フルタイムで採用されれば、月に35万円ほど稼げるようになります。
オーストラリアでかかる税金
オーストラリアで働く際にかかる主な税金は、所得税および出国時の出国税です。
まず、ワーキングホリデーで働く場合、2024〜2025年度は最初の45,000 AUD(約450万円)までが15%、その後は30%~45%の累進課税が適用されます。
仮に年収60,000 AUD(約600万円)であれば、以下の形で課税され、手取り収入への影響はかなり大きくなります。
そして、渡航・帰国時に課される出国税は、2024年7月1日からA$70(約7,000円)です。上記を含めると収支計画では所得税金約20%+出国税を見込むのが現実的で、所得税率と併せて計画を立てておくと安心です。
オーストラリアの物価事情
オーストラリアの生活水準は日本に比べて全体的に高めで、特に家賃や外食・食料品の価格が大きく上回ります。例えば、シドニー中心部の1ベッドアパート賃料は月約20万円前後で、日本の都市部のほぼ倍に相当します。
また、ミネラルウォーター(500ml)が約250円、ファストフードのセットが約1,500〜2,000円と日本の約2倍の水準が一般的です。
一方、公共交通機関の片道運賃は平均で約300円と日本に比べて高いものの大差はありません 。
2025年2月時点ではシドニー郊外の単身生活費が約38.5万円/月に達しており、日本と比較して倍以上の支出が必要です。
ワーホリを考えている方にとっては、自炊中心で節約を意識するか住むエリアやライフスタイルを工夫する必要があります。
【滞在目的別】オーストラリアワーホリ1年間の費用
実際にオーストラリアにワーホリに行く時に必要な費用は、滞在目的によって大きく変化します。
語学留学の場合は1年分の費用を持っていくと勉強に集中できておすすめですが、ワーホリの場合は1年分の費用を用意する必要はありません。働いて稼ぎながら勉強や休暇を満喫できるからです。
滞在目的別に大まかな費用を紹介するので、渡航する時の参考にしてみてください。
語学学校なし・学校行かないですぐに働くパターン
語学学校なしの場合は留学費用がかからないので、費用は非常に抑えられます。
オーストラリアの給料は週払いか隔週払いが基本なため、2ヶ月分〜3ヵ月分の生活費を持っていけば十分でしょう。
具体的には、航空券やビザ申請費用なども合わせて合計30〜70万円ほどになります。
オーストラリアにワーホリに行く場合は、証明資金として5,000AUDが必要になるので、申請が出せた時点でこのパターンの費用はクリアです。
語学留学をした後に働くパターン
ワーホリビザでは4ヶ月間の留学期間が認められています。都心部のカフェのバリスタやホールなどで働きたい場合は英語力が必要です。
そのため、語学学校で勉強した後に働きたいという場合は、4ヶ月分の学費と6ヶ月分の生活費を持っていくと良いでしょう。
具体的には、180〜220万円ほど持っていくことをおすすめします。
語学留学をしながら働くパターン
語学留学をしながら働く場合は、2ヶ月分〜3ヶ月分の生活費に加えて4ヶ月分の学費を持っていくようにしましょう。具体的には、70〜160万円ほどになります。
語学留学中は、机での勉強はもちろんのこと、友人や恋人を作って英語で会話することも重要な勉強の1つです。
持っていく費用をさらに抑えることはできますが、勉強時間や友人・恋人との余暇の時間を削っては元も子もないので、多めに用意しておくと良いでしょう。
語学学校なしかつ最低費用ですぐに働くパターン
ワーホリに必要な費用をできるだけ低くしたい場合は、日本にいる間にファームジョブに応募しておきましょう。
ファームジョブは数ヶ月前から募集があり、働き手のみのシェアハウスを提供している場合も多いです。
ファームのシェアハウスはほとんどがシェアルームですが、家賃は週1.5万円程度まで抑えられます。
週払いのファームは多いので、1ヶ月分〜2ヶ月分の費用、27〜43万円ほど用意しておけば十分です。
3,000〜6,000AUDで古い車を購入すれば働き先を選びやすくなる上に、無料or格安のキャラバンパーク(キャンプ場)も利用できます。
次のファームに移動するタイミングで利用すれば、さらに予算を抑えられるのでおすすめです。
オーストラリアでの生活環境とおすすめの5つの都市を比較
オーストラリアは移民大国で、多くの世帯には国外出身者がいます。それぞれが信仰する宗教も異なるため、多様な言語や服装が共存しており、世界各地のレストランやショップが立ち並んでいます。
また、気候が大きく異なるため、都市ごとの生活環境なども大きな違いがあります。 自分に合った都市を選んでみましょう。
シドニー
オーストラリア国内最大の都市で、ワーホリ先としても人気が高いです。物価や家賃の高さはトップクラスですが、他の都市よりも仕事は見つけやすくなります。シティエリアなので非常に栄えており、交通の便も良いです。
ボンダイビーチやマンリービーチなどの有名なビーチへのアクセスも良く、最初のワーホリ先としておすすめできる都市になります。
メルボルン
世界で最も住みやすい街に7連続で選ばれた都市です。歴史的建造物や洗練されたカフェ、緑あふれる自然や多様な観光スポットなど、滞在地としては非常におすすめできます。
しかし、人口密度はオーストラリアで一番高く、シドニーと比べると仕事は見つけにくくなるでしょう。
メルボルンではウーバーイーツで稼ぐワーホリの人も少なくありません。坂が少し多めですが、車か電動自転車を利用すれば、普通に働く時と同じ時給を稼ぐことも可能です。
ゴールドコースト・ブリスベン
ゴールドコーストとブリスベンは電車で1時間半前後の位置なので、行き来する人が多い都市です。
ゴールドコーストはサーフィンを楽しむ人が多く、夏場は男女ともに水着で街中を歩いたりバスに乗ったりしています。背の高いビルなどは少ないため、都会の喧騒が苦手な人におすすめです。
対してブリスベンはビルが立ち並ぶ都会なので、働く場所を探すことに向いています。どちらも1年を通じて温暖な気候であり、穏やかな生活を楽しめるでしょう。
ケアンズ
熱帯雨林気候で1年中暑い都市です。半袖や短パンで1年中暮らせるため、常に身軽でいられる楽さがあります。ケアンズは中心部も小さめなので、1日足らずで見て回れます。その分働き先を見つけることは大変で、英語を話せないと厳しくなるでしょう。
しかし、付近には大型のファーム先がいくつか存在するため、働き先を見つけられると安定して稼ぎやすくなります。
車がないと生活できない位置にあるファームが多いため、働き手が他のファームよりも少なくなっており、その分給料と採用率も高くなりやすいです。
パース
オーストラリアの西海岸最大の都市であり、日当たりが良く温暖で過ごしやすい気候の都市でもあります。中心部はモダンな高層ビルが立ち並び、郊外に出れば大自然を味わえます。マリンアクティビティが豊富で、ダイビングやサーフィンを楽しむ人が多いです。
ただ、ワーホリとして働くには難易度が高く、仕事は見つけにくいかもしれません。また、仕事が見つからなかった後に他の都市への移動が難しく、確実に長距離の飛行機移動になります。
ファームジョブの募集は一定数存在し、街並みが素晴らしいことには違いないので、応募して受かった後に訪れてみてください。
まとめ
オーストラリアは治安や給料が優れており、街並みや気候が過ごしやすいと評判の高いワーホリ先です。
ワーホリの中でも滞在可能日数がずば抜けているため、じっくりと街に慣れ、人間関係を育みながら英語に触れることができます。学校なしでのワーホリであれば、費用を非常に抑えて渡航することも可能です。
都市によって大幅に特徴が異なる影響で楽しみ方が変わるので、自分に合った都市を選び、充実したワーホリ生活を過ごしていきましょう。